ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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というわけで後編です。

楽しんでください(*'▽')


力の大会 前哨戦 後編

 

ーー全王・謁見の間

 

 虚空の闇が広がる無の界にてーー大神官が作り出した武舞台がある。

 

 青白い光の帯が戦士の待機場に発生し、孫悟空がビルスとウイスと共に連れられて現れた。

 

「お、やってんな! どいつもこいつも、すげぇパワーを感じっぜ!!」

 

 瞳を鋭く細めてニヤリとする悟空に、闘技場を見下ろす円状の宙に浮かぶ島から声が上がった。

 

「あ、悟空〜!!」

 

「よぉ、全ちゃん! 今からオラも参加すっぞ〜!」

 

 青い肌の少年のような見た目をした、全知全能の神。

 

 あらゆる神と天使を従える神々の王。

 

 名を全王。

 

「ほんと〜? 楽しみなのね!!」

 

 しかし、その名に似合わぬ無邪気で幼い見た目、態度と声で全王は悟空を迎え入れた。

 

 これにニッとだけ笑みを返し、悟空は武舞台で幾つも展開されている激闘を見据える。

 

 第1から12までの宇宙から、それぞれ6人の戦士が呼ばれてバトルロワイヤルが行われている現状に、悟空のサイヤ人としての血が騒ぐ。

 

「おし! いっちょ、やってみっか!!」

 

「悟空! 真・超サイヤ人の力を見せてやれ!!」

 

 拳に手を合わせて、乾いた音を響かせる悟空にビルスが声をかけてきた。

 

「え? いきなり、真を試すんか? やっぱ、どんなヤツが出てっか知りてえから、ブルーからにしてぇんだけど」

 

 思わず黒目を見開く悟空にビルスが静かに一人の戦士を見つめる。

 

 その戦士は開戦時から場を動かず、空中で瞑想を行なっていた。

 

 第11宇宙の戦士・ジレンであった。

 

 ジレンを目に入れた悟空の表情は、一気に鋭くなる。

 

「なるほどな。確かに、とんでもねぇヤツが居るみてえだ」

 

「そういうことだ。真の力を隠してやり合える程、甘い相手じゃないぞ」

 

 ビルスの言葉に笑みを返し、悟空はゆっくりと武舞台に飛び降りていった。

 

「…さあ、ここで楽しませてもらおうか。お前の本気をな」

 

 送り出したビルスがニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、隣に立つウイスもまた、ニコリと笑った。

 

 武舞台に悟空が着地した瞬間、ベジータとブロリーがニヤリと笑い、一気に気を開放する。

 

「…はぁ!!」

 

 青い炎を纏うベジータの叫び声に応えるように、ブロリーも緑色の光を纏いながら唸りを上げた。

 

「ぬぅうう! ぬぁぁあ!!」

 

 これに対峙していた第11宇宙のディスポ、トッポの目が見開かれる。

 

「変身しやがった、だと…!?」

 

「青い方は神の気だが、緑色の方はなんと禍々しい!!」

 

 神々しい神の気を纏う超サイヤ人ブルーとなったベジータと、禍々しい緑色のオーラに3メートルを越える巨躯と化した伝説の超サイヤ人ブロリー。

 

「さて、続きを始めるか。ウサギ野郎」

 

「な、なんだと?」

 

 踏み込んで来るベジータにディスポが反応。フットワークを駆使して相手の背後に回り込む。

 

「はっ、確かに動きはマシになったが。そんな程度のスピードで、第11宇宙最速のディスポ様を捕まえられるとーー」

 

 だが、ディスポが語る途中でベジータのアイスブルーの瞳がディスポを捉えていた。

 

「ーーな!?」

 

「ーー悪いな、ディスポ。貴様の動きは、見切った」

 

 回り込まれたと同時にベジータも体を振り返ってディスポに目を合わせていたのだ。

 

 殴りかかってくるベジータにディスポは、フットワークを刻みながら紙一重で拳と蹴りを避けていく。

 

(な、なんだコイツは!? スピードもパワーも桁違いに上がりやがった!!)

 

 攻撃を避けながら、鋭く手堅く、手数を繰り出すベジータの連打撃をディスポは舌を巻く思いで見ていた。

 

 一方、3メートルを越える巨躯と化したブロリーは、自分と同程度のガタイをした第11宇宙リーダーのトッポを白目で睨み付けていた。

 

「ーーどうした、正義の味方? ボサッと突っ立ってないで、かかって来たらどうだ?」

 

「……なるほど。神の気ではないが凄まじいパワーだ。貴様の禍々しい力、正義の戦士として見過ごせぬ!!」

 

 構えを取るトッポにブロリーの口元がニヤリと裂ける。

 

 巨体に似合わぬスピードで、両者は拳と蹴りを打ち合う。

 

 宇宙で最も丈夫とされる素材で作られた武舞台は、瞬く間に次々と掘り起こされていく。

 

 数合、互いの打撃をかち合わせた後、動きを止めてブロリーとトッポは睨み合う。

 

「これほどの使い手が、悪に居ようとはな。だが、強大な力を持った悪こそが、力無き弱者を虐げる! 負けるわけには行かん!!」

 

「ーーふん。口先だけで悪を倒せる正義など、居るものか。気に食わないのなら、力でねじ伏せる。それだけだぁ」

 

 赤い闘気を纏うトッポに対し、緑がかった金色のオーラを纏うブロリー 。

 

「いくぞ、悪の戦士よ!!」

 

「ーーさぁ、来い。ここが貴様の死に場所だ!!」

 

 両者は互いに相入れぬが故に、相手に向かって巨大な拳を振りかぶりながら踏み込んだ。

 

 一方、第6宇宙の暗殺者ヒットの時飛ばしを散々受けながらも、野生の勘と予測で相手と渡り合うバーダック。

 

 彼は超サイヤ人に変身しないまま、ヒットを睨み付けていた。

 

「ーーなるほど。孫悟空と身体能力に差はないが、凄まじい当て勘だ。極限にまで磨き抜かれている。だが、何故だ?」

 

 ヒットが構えを取りながら黒の瞳孔が浮かんだ真紅の瞳でバーダックを睨み付ける。

 

「悟空が変身した超サイヤ人、とやらに何故ならない? お前ほどの実力者がキャベのように変身できない訳ではあるまい?」

 

「…超サイヤ人は確かに強力だが、俺には素の状態が一番しっくりくる。それだけだ」

 

「ーー悟空も変わっているが、お前もヤツに似て相当変わっている」

 

「へっ、俺はアイツの親父だからな。似てて当たり前だ」

 

「……なるほど。ならば、続きを始めよう」

 

 フットワークを刻みながら、ヒットは両手を顔の前に出して構えを取る。

 

 それだけだが、バーダックの目には相手の戦闘力が一気に跳ね上がったのが理解できた。

 

「…なんだよ。テメエも、力を隠してやがったのか? 人の悪い野郎だ」

 

「…フ、お互い様だ」

 

 ニヤリと笑みを浮かべて、二人の戦士は互いに向かって踏み込んだ。

 

 戦士たちが、更なる激闘を繰り広げる中で一人。

 

 静かに瞑想を続けるジレンに向かって、胸と背に「悟」の文字が書かれた山吹色の道着の男が一歩一歩、己の脚を踏み出していく。

 

 ジレンに向かって正対する位置で、道着の男ーー孫悟空が立ち止まった。

 

「……何者だ?」

 

 ジレンが瞑想を辞めて、ゆっくりと目を見開き両脚を地面につける。

 

 悟空は瞑想を辞めたジレンにニヤリと笑みを返すと構えを取りながら名乗った。

 

「オラ、孫悟空! オメエ、強そうだな。オラの相手してくんねぇか?」

 

「…貴様が孫悟空。ベルモットが言っていた注意しなければならない男か」

 

 両の拳を握り、悟空に対するだけで凄まじい重圧が悟空を襲った。

 

 悟空は自分の頬から冷や汗が流れるのを感じながら笑う。

 

「こりゃ、とんでもねぇ野郎が現れやがったな」

 

「変身しないのか? 俺は加減などせんぞ」

 

 その言葉と同時に、ジレンが目の前に踏み込んで頑強な拳を放ってきた。

 

「…へ、舐めんなよ!!」

 

 悟空も拳を握り、打ち込み返す。

 

 まともにぶつかり合う右拳と右拳。

 

 自分の拳を止められて、軽く目を見開くジレンに悟空が目にも止まらぬ猛攻(ラッシュ)を仕掛けた。

 

 顔に放たれた悟空の左拳をジレンは右手で払い、左拳をボディに返すも右の膝に受け止められる。

 

 そのまま秒間100発を下らない打撃の応酬を繰り広げ、一際巨大な音を立てて悟空の右ハイキックとジレンの右ストレートがぶつかり合って止まった。

 

 悟空はバックステップして構えを取りながら、ジレンを睨みつける。

 

「なるほど。この強さ、中々のものだな」

 

「…そいつは、どうも」

 

 能面のような顔に向かって不敵な笑みを返し、悟空は拳を握る。

 

「…だが」

 

 瞬間、ジレンの肉体が真紅の炎のように激しいオーラを纏った。

 

 その気の嵐は、ただ立っているだけの悟空の肉体にダメージを刻むほどに凄まじい。

 

「…なんて気だ。ヤツの正面に立ってるだけなのに、どんどん削られている」

 

 黒眼を鋭く細めながら、悟空は拳を握る。

 

 相手の気によって肉が裂け、血が流れていく。

 

「俺が力を開放しただけで、そのザマか? ならば相手にならんぞ。孫悟空」

 

「…へ、仕方ねぇな。オラも出し惜しみは無しだ」

 

 ジレンに言葉を返しながら、悟空は拳を握り黄金の炎を足下からチラつかせる。

 

 それだけで、ジレンから受けていた気の嵐の影響がなくなった。

 

「…この力、そうか。ベルモットが言っていたことはあながち大袈裟でもなかったという事か」

 

 激しい黄金の炎のようなオーラを身に纏い、逆立った黒髪は黄金に燃え上がる。

 

 眼つきは鋭くなり黒かった瞳は、黒の瞳孔が現れた翡翠眼に変わっていた。

 

 第7宇宙は1欠状態であったが途中参加した孫悟空が戦線に加わり、闘いは更に激化。

 

 各宇宙の破壊神はおろか、天使達すらも手に汗握る熱戦が繰り広げられている。

 

「ヒットォ、ケフラァ! お前達なら勝てるぅう!!」

 

 コートを着た紫色の肌の暗殺者が拳を時と共に飛ばす。

 

 両方の耳に緑色のイヤリングをした緑金色の髪を逆立てた女が強烈な赤と緑の混じった光を放つ。

 

「ジレンさえ居れば、勝てる!! 絶対に、負けるはずがないんだ!!」

 

 赤と黒のフィットネススーツを着た灰色の肌の男が、頑丈な拳に赤い灼熱を帯びさせて真っ直ぐに放つ。

 

 第6宇宙の破壊神シャンパが、第11宇宙の破壊神ベルモットが自分の宇宙の最強の戦士に向かって叫んでいる。

 

「悟空ぅう!ベジータ、バーダック、悟飯、ブロリー!!全員、真の力を開放しろぉお!お前達のーー超サイヤ人の力を見せてやれぇえ!!!」

 

 対する第7宇宙の破壊神ビルスは、先ほどから全宇宙に狙われている自分の宇宙の戦士達に向かって声を張り上げる。

 

 大ピンチだった先までと違い、今は戦力が拮抗している。

 

 急いで悟空を連れて来た甲斐があったというものだ。

 

 頑なに変身しなかったベジータとブロリーが、超サイヤ人ブルーと伝説の超サイヤ人になっている。

 

 神の気を纏い洞察力を上げるブルーならば、ディスポのスピードにも対応できるし。

 

 3メートルを越える筋骨隆々の長身となったブロリーは体格でもパワーでもトッポに負けていない。

 

 唯一、バーダックのみ変身していないが、こちらもヒットの時飛ばしに対応している。

 

 そんなあらゆる場所で争いが起こる中、山吹色の道着を着た黄金の炎を纏う真・超サイヤ人ーー孫悟空が。

 

 灰色の肌の男、ジレンと向き合っている。

 

 互いに無言で顔を突き合わせると、同時に高速移動で姿を消して拳と蹴りをぶつけ合う。

 

 光の波紋が、そこいらで発生し衝撃でレベルの低い戦士が吹き飛ばされていく。

 

 にも構わず、黄金と真紅の炎を纏った両者は会場を所狭しと跳びまわる。

 

 ジレンの目が赤く光り、無数の見えない拳打が放たれるも悟空も笑みを浮かべて見えない拳と蹴りを返していく。

 

 自分のスピードについて来る悟空に、はじめてジレンが目を見開いた。

 

「あいにくだな、俺も見えない拳を使えんだ。ーーオメエだけ、別の世界に居ると思ったか?」

 

 同時に着地し、悟空がバックステップして距離を取って構え直す。

 

「…コレがベルモットが言っていた超サイヤ人、か。確かに、凄まじい力だ。お前達を全員倒せば、俺は更なる高みの力を手に入れることが出来る…!この勝負、俺が勝つ!!」

 

 低い声で告げる灰色のジレンに対し、黄金の戦士・超サイヤ人は応える。

 

「どうかな? やってみなけりゃ、分からねぇ…!」

 

 強烈な力と力がぶつかり合う。

 

 拳が蹴りが更に激しく手数を増やし、互いに目にも映らない速度で交換し合う。

 

「ば、馬鹿な! 孫悟空が強いのは知っていたが本気になったジレンと互角に打ち合えるだと!?」

 

「そ、そんな!! これが、これが超サイヤ人だと言うのか!?」

 

 ベルモットと界王神カイが叫ぶ中、悟空とジレンの気は天井知らずに上がっていく。

 

 この光景に全王がニコニコ笑って手を上げている。

 

「凄い凄い!! 凄いのね! 大神官、悟空と互角のあの戦士ーー! なんて言うの!?」

 

 全王の問いかけに答えたのは、青い肌に青い服を着た天使の長ーー大神官だった。

 

「彼は第11宇宙のジレンですね。素晴らしい戦闘力ですーー。しかし、全王さま。このまま彼らの戦いをエキシビジョンで見てしまうのは、惜しいのでは?」

 

「どういうこと?」

 

 首を傾げる全王に、大神官は穏やかに微笑む。

 

「今回の試合は、急遽組まれた前哨戦。本番は、きちんとルールを決めてそれぞれの宇宙の戦士に一対一で闘っていただく予定です。その方が、全王さまもゆっくりと観戦できますからね」

 

「うん! でも、バトルロワイアル形式も面白いのね!」

 

 悟空達やジレン達も凄いが、他の知らない宇宙の者も多彩な技と強さを示している。

 

 全王は、それが嬉しかった。

 

 だが、大神官は違うようだ。

 

「ーーですので、きちんと形式を定めた本番まで孫悟空とジレンの戦いは取っておいた方が良いのでは、と。私も純粋に楽しみたいのです。孫悟空さんの力が、本当に最強なのかを」

 

 今のバトルロワイアル形式では、周りに彼らの戦いを邪魔される可能性がある、と大神官は言うのだ。

 

 また、他にもバーダック達、一人一人の実力も知りたいというのが大神官の主張である。

 

「分かったのね! それじゃーーあ」

 

 全王が頷きながら、中止を告げようとした時。

 

 強烈な黄金の龍を纏った拳と全てを撃ち抜く灼熱の拳がぶつかり合った。

 

 互いの気がビッグバンのように爆発し、キラキラと無の界全てに光の粒子が舞い落ちる。

 

 彼らの力を前に微動だにせずに居られるものは、誰も居ないーー。

 

 ーーーー第7宇宙の戦士達を除いて。

 

「! し、信じられん。こんな、こんな連中が第7宇宙だというのか!?」

 

「ちくしょう! 汚ねぇぞ、ビルス!! どんだけ鍛えてんだ、テメェ!!」

 

 ベルモットが驚愕に、シャンパが怒りに表情を震わせる中、ビルスは額の汗をぬぐう。

 

「…フン。悟空が真の超サイヤ人を出したんだ。他の連中が力を出さないだけでも有難く思え!」

 

 確実な第7宇宙の勝利を確信するも、ウイスが声を上げた。

 

「それは、どうでしょうね? 真・超サイヤ人の力に引き上げられるようにジレンも力を上げています」

 

「な、なんだと!?」

 

 目を見開いてジレンを確認すれば、気が更に膨れ上がっている。体力が落ちれば落ちる程に気が反比例して上がっている。

 

 互いに拳を身体で受け、交互にのけ反りながらも脚を止めて全力の一撃を交換している。

 

「ベルモット様。ジレンもまた、孫悟空の強さを前に壁を超えようとしています。これは、どちらが勝つとは言い切れませんですますよ」

 

 長い白髪をツインテールにした第11宇宙の天使マルカリータの言葉にベルモットが笑みを浮かべる。

 

 その端では、第6宇宙の超サイヤ人ケフラの圧倒的な力の前に倒されようとしている第10宇宙の黄色の肌の戦士オブニが肩で息をしていた。

 

 彼の左右には仏像のような姿をした戦士ムリチム、赤い肌をした長い水色の髪の優男ジラセンがいる。

 

「へ、ここまでのようだな? ま、アタシを相手によく頑張った方だぜ」

 

「…く、ここまでか。申し訳ありません、ゴワス様」

 

 右手を掲げて緑と赤が混じった光を放つケフラ。その前に彼らは成す術なく飲み込まれようとしていた。

 

「ーー第10宇宙の代表戦士ともあろう者が、この程度のことで簡単に諦めるな」

 

 よく通る低い声。

 

 漆黒の闇の空間から小さな太陽のような赤い光弾がオブニを守る様に放たれ、ケフラの光を飲み込んで消した。

 

「な!?」

 

 目を見開くケフラの前には、逆立った黒髪と漆黒の瞳孔が開いた銀色の眼を持った男。

 

 赤いコートは界王神のもの。それを明るい水色の腰帯で締め、白い道着のズボンに孫悟空と同じタイプのブーツを履いている。

 

 その帯の上には猿のような尾が巻かれている。

 

 その長い前髪は彼の顔の右半分を隠すほどに長く身長は2メートルを越えている。

 

「だ、だれだ、あの男は!? 全王様の謁見の間に、どうやって来た!?」

 

「まさかーーお父様の結界を破った? いったい!?」

 

 ラムーシとクスが叫ぶ中、男の左右には黒髪を腰まで伸ばした長い髪の男と白い人型の龍が居る。

 

「オブニーームリチムにジラセン、と言ったか? 私たちに交代してもらおうか。よろしいですね?ゴワス様、全王様」 

 

 不敵な笑みを浮かべて飛び入り参加した界王神の服を着た男が告げた。

 

「まさかーーザマス?」

 

 ゴワスがあり得ないと思いながらこぼす中、全王が両手を挙げて頬を染め、謎の男に叫んだ。

 

「うんーーっ!! 待ってたのね!! 君のこと、なんて呼べばいいの!?」

 

「ーー我こそは、戦闘民族サイヤ人の神。サイヤと名乗りましょう」

 

「オッケーなのね! 凄い試合、見たいのね!見せて欲しいのね!!」

 

「ーー言われるまでもない。なあ、第7宇宙の者達よ」

 

 挑発的にサイヤが第7宇宙の戦士に向けて語る。

 

 これにベジータが、ピッコロが、バーダックが、悟飯が、ブロリーが笑みを浮かべて闘志に目を見開いている。

 

「最高の相手がやってきたぞ!!!」

 

「フハハ! ヤツは、俺が倒す!!」

 

 超サイヤ人ブルーベジータの言葉に伝説の超サイヤ人ブロリーが叫ぶ。

 

「貴様らの相手は私とディスポだ!!」

 

「そう言うこった。舐めんのも大概にしろよ、サイヤ人!!」

 

 これにジレンと同じ服を着た髭の生えた筋肉質の戦士トッポが紫色のウサギに似た人間ディスポと共に応える。

 

「いいじゃねぇか、ベジットでも勝てなかった野郎。俺がブッ倒してやらぁ!!」

 

「気の早い男だ、お前の相手は俺だぞ」

 

 第6宇宙の暗殺者ヒットが、バーダックの前に立ちはだかる。

 

「この世界の孫悟飯とピッコロ、か。少しは出来るようだがーー」

 

「俺たちの敵ではないな、当然だが」

 

 悟飯とピッコロが目を細める中、ゆっくりと白い人型の龍と長い黒髪をなびかせた人造人間が立つ。

 

 この世界の歴史からすれば遥か未来の存在ーー超一星龍と超17号という二人組だ。

 

「…これは、いよいよ総力戦ーーと言ったところでしょうか?」

 

「フン。誰が最強かーー手っ取り早く決められそうだな!!」

 

 悟飯の言葉にピッコロも嬉しげに頷く。

 

 ビルスが目を見開いて呆然とする中、自分の宇宙の戦士達は笑みを浮かべて、この状況を歓迎している。

 

 あり得ない来訪をした戦士達を。 

 

「おいおい、お前ら。何度も言わせるなーー。勝手に決めるなよ? 最強を!!」

 

 その闘志に破壊神ビルスも燃え滾り立ち上がった。

 

「ビルス様、反則負けになってしまいますよ」

 

「…ぐっ!」

 

 ウイスがすぐさま水を浴びせた。

 

 とはいえ、天使である彼も昂奮している。これほどの戦士が集まるとは思っていなかったのだ。

 

 正に前代未聞ーー史上空前の戦いが繰り広げられようとしている。

 

 その時だった。

 

「ーーどういうつもりだ、孫悟空!?」

 

 ジレンの叫び声に皆が注目すると、超サイヤ人悟空が背を向けていたのだ。

 

「悪りいが、辞めだ」

 

「辞めだと!? この勝負に泥を塗る気か!? 俺の力では相手に不服だとでも言うか!!?」

 

 無表情だったジレンの顔は激情に彩られて激しく歪んでいる。

 

 対する悟空の表情は凄みのある冷徹な顔だった。

 

「…そうじゃねぇ。勿体ねぇんだよ、オメエ達とこのまま闘(や)り合うのはな」

 

 冷たく鋭さを保ったまま穏やかに笑顔を浮かべて悟空は言う。

 

「見てぇって思っちまったんだーー。力や強さを求めるオメエが、俺以上に真っ直ぐに強さを求めて歩いてるーーアイツと闘う所をなーー!!」

 

「………っ!!」

 

 目を見開く悟空の瞳孔が開いた翡翠眼は一見、冷徹に見えるもその実、ジレンに勝るとも劣らない激情の炎が宿っていた。

 

 その迫力に、気迫に、ジレンの魂が揺さぶられている。

 

 戦わせろ、このまま貴様とーー。

 

 そう感じると同時に相反する気持ちが浮かび上がる。

 

(この、孫悟空程の男が言う俺と闘わせたい戦士ーー。見てみたい)

 

 気付けば、武舞台の激闘はピタリと止まっていた。

 

 ニヤリと周囲を見渡した後、悟空は全王を見上げる。

 

「ーー全ちゃん、そういう訳だかんよ」

 

 気安げに全王に語りかける悟空の姿に、周囲の破壊神、天使達の表情が変わった。

 

「うん! 分かったのね!!」

 

 だが、彼らが何かを言う前に全王が嬉しそうに応えるのを見て破壊神達は目玉が飛び出るほどに見開き、硬直している。

 

 そんな破壊神達の狼狽など知らないとばかりに悟空は真・超サイヤ人を解き黒髪黒目の通常時に戻る。

 

「…ウイス、なんだろうね。コイツらの反応が懐かしく思えて来たよ」

 

「すっかり慣れちゃいましたね〜。悟空さんと全王様の会話にも」

 

 しみじみと語るビルスとウイスにシャンパが目を点にして声をかけてきた。

 

「イヤイヤイヤ、慣れとか。そう言う問題じゃないだろ」

 

「…じゃあ、諦めか?」

 

「何があったんだよ、兄弟」

 

「聴きたいか? 本当〜に、聴きたいか?」

 

 この世の終わりを体験したかのようなビルスの表情にシャンパをして問答無用で首を横に振っていた。

 

 第10宇宙では、飛び入りして来た三人組を前にゴワスとラムーシが話しかけている。

 

 それを背にこちらへ引き上げて来る悟空達を見てビルスが肩をすくめた。

 

「まぁ、丁度いいタイミングだよ。前哨戦で真になったお前と戦える選手が居たって情報だけでも有意義だ」

 

「サンキュー。ちょっとだけ闘(や)り足りねぇけんどな」

 

 そう言って笑う悟空にベジータが問いかけた。

 

「それで? 何故、今の段階でアイツをターニッブに引き合わせるんだ?」

 

「多分、ジレンのヤツが突き抜けっからさ」

 

 今の段階でも真・超サイヤ人で倒しきれなかったというのに更に限界を超えさせようというのだ。

 

 思わずベジータは頭を抱えた。

 

「たまに貴様が分からん。何故、わざわざ勝てないようなヤツを作り出そうとする?」

 

「そりゃ、強くなりてぇからさ。強くなったソイツを倒してオラが一歩先に行くためだ」

 

「…そう都合よく踏み台にできるか? あの男」

 

 ベジータが思わず第11宇宙の戦士ジレンを見つめる。

 

 すると、ジレンも悟空達を見つめて来ていた。

 

 だけでなく、こちらに歩み寄ってくる。

 

「カカロット、あちらさんから来てくれたぞ」

 

「ーーみてえだな」

 

 ベジータの言葉にニヤリと笑い、悟空も振り返ってジレンを見つめる。

 

 彼は、第7宇宙の戦士達と距離を保って立ちとまり、悟空に語りかけてきた。

 

「孫悟空。約束だ、案内してもらうぞ」

 

「分かった。オメエに合わせてぇヤツのところに連れてってやる」

 

「……」

 

 腕を組み、目を閉じるジレンにバーダックが舌打ちする。

 

「ケッ、愛想のねぇ野郎だぜ」

 

 そう呟く彼の横で悟飯も苦笑している。

 

「気難しい人みたいですね。父さん、躊躇なく話しかけてますけど」

 

 ブロリーが腕を組み、ピッコロが笑う中、ジレンは悟空に問いかける。

 

「此処にいる連中より、その男は強いのか?」

 

 その問いかけに、悟空は満面の笑みで応えた。

 

「ああ、ソイツの強さはオラ達より上かもな」

 

「…フン。単純な戦闘力で勝てるような安い相手じゃないことは確かだな」

 

 ベジータも間髪入れずに応える。

 

 コレにジレンは頷いた。

 

「いいだろう。お前達程の男が言うならば下らぬ嘘ではないだろうからな」

 

 これに悟空はニッと笑い返すと肩を差し出した。

 

「オラの肩に掴まれ、早く! 会わしてやっぜ、オラの知る中でも一番、真っ直ぐに強さを求めてるヤツにーー」

 

 ジレンが手を置いたのを見て更に笑みが強くなる。

 

「オラが勝ちてぇヤツーー。とびっきりスゲエ、オラと同じサイヤ人」

 

 黒目を見開き、天に向かって叫びながら悟空はジレンを連れて瞬間移動を始めた。

 

「ターニッブに、なぁ!!」

 

 その響く言葉を最後に、無の界から孫悟空とジレンが消えた。

 

 空を悟るものに連れられて、純粋なまでに力を求めしものは出会うのだ。

 

 さらなる高みへと至るため。

 

 愚直なまでに真っ直ぐに道を求めるものとーー。

 




次回も、お楽しみに!(^^)!
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