ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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では、不定期に復活するこちらから行ってみましょう( *´艸`)

よろしくです( *´艸`)
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未来(GT)からの旅人

 

 

 

ーー あったけぇ。あったけぇな、神龍(シェンロン)の背中ぁ。

 

 その戦士は、時空の狭間にて。

 

 世界のーー次元の果てにて、願い球と共に行方をくらました。

 

 あの世に居らず、この世にあらず。

 

 その魂は、願い球の龍と共に次元を彷徨い続けていた。

 

 彼には何も出来ない。

 

 ただただ、各次元の結末を見届けるだけだ。そう、それだけだったーー。

 

 サイヤの魂が集う特異点ーー其処に有った惑星が、彼を呼び起こすまで。

 

ーー あり? アレはーーオラか?

 

 黄金の炎のようなオーラを纏い、黄金に燃える逆立った髪に冷徹な黒い瞳孔の現れた翡翠の瞳。

 

 普通の超サイヤ人に似て明らかに非なる山吹色の道着を着たサイヤ人の姿に、彼は驚く。

 

 黄金の超サイヤ人になった若い自分は、自分に笑いかけてきた。

 

「…未来の俺か。ありがとよ、オメエのおかげで俺は最強に近付ける」

 

ーー 水臭せぇ事言うな、オメエも俺じゃねえか。この先、オメエが俺に成るのか分からねぇがな。

 

 勝手に動いた口に驚いて自分を見下ろした時、赤い猿の体毛が生えた剥き出しの上半身に道着のズボン。

 

 逞しい大人の肉体に長い黒髪をした超サイヤ人に変身している。

 

ーー なんだ、コリャ? オラが知らねえオラの記憶が流れてくる?

 

 まるで自分が体験したかのような光景が、闘いが、身体の無い自分に刻まれていく。

 

 山吹色の道着を着た「悟」の文字を書いた自分。

 

 黒い道着のズボンとシャツの上から赤い羽織を着た自分。

 

 ワクワクしていた。

 

 自分の知らない自分の闘いが、頭と身体に体験し、体得されていく。

 

 様々な光景が、脳裏に繰り広げられていく。

 

ーー ああ、闘いてぇな。こんな、こんなスゲエ奴等と、オラも闘いてぇ!!

 

 そんな叫びを、声なき声を上げる彼の目の前には、青い空と緑の広野が広がっていた。

 

「ん? あり?」

 

 涼しい風に、肌に注ぐ風。

 

 肉体があった頃の懐かしい感覚に思わず声が出て、彼は辺りを見渡していた。

 

「…どうなってんだ、こりゃ? オラ、確かに」

 

 自分の身を見下ろせば、褐色の肌になった小さな手足がある。

 

 山吹色の道着のズボンに空のような青い道着の上着、そして雲のように白い帯。

 

 両手首には薄紅色のリストバンドを付け、尻から生えた猿に似た尻尾。

 

「オラの中に消えた神龍の気配が、ねぇ? なんでだ?」

 

 生身になった自分に戸惑いながらも気を探れば、自分の見知った懐かしい人々の気を感じる。

 

 ただ、自分が知る彼らと。今、気を感じる彼らとは違うと、尻尾が生えた左右非対称に跳ねた黒髪の少年は悟っていた。

 

 とりあえず、どうしたもんか。

 

 そう悩みながら、少年ーー孫悟空は腕を組む。

 

「一回、神さまん所に行ってみっかな。なんか、分かるかもしれねぇし」

 

 額に人差し指と中指を立てて当て、孫悟空は瞬間移動を行なった。

 

ーー神殿。

 

 地球の神デンデが住まう天空に浮かぶ宮。

 

 石造りの建造物は、悟空に懐かしさを感じさせる。

 

「ーーこんにちは、悟空さん」

 

 背後からかけられた声に振り返ると、神の装束を着たナメック星人の少年ーーデンデが立っている。

 

 彼の傍らには漆黒の肌の付き人、ミスター・ポポが寄り添うように居た。

 

「よぉ、久しぶりだな。デンデにポポ! つっても、オメエはオラが知ってるデンデよか、ずっと若いみてえだ」

 

「…そうなのですか? でも、悟空さん。何故、こちらの世界へ?」

 

 穏やかに笑いながらデンデは悟空に問いかける。

 

 すると、その前にポポが口を開いた。

 

「悟空。その姿、懐かしい。ポポ、昔を思い出す」

 

「オラもだ、ミスター・ポポ。オメエは変わんねえなぁ」

 

 嬉しそうに笑いかけたあと、悟空はデンデに向き直った。

 

「実はよ、オラーー!」

 

 悟空は、簡単に自分の身に起きた出来事を説明した。

 

 邪悪龍との闘いや、ドラゴンボールの消滅、そして自分の身に起きた全てを。

 

「ピッコロさんの作り出した究極ドラゴンボールが、この神殿の地下に? 悟空さんは、そのドラゴンボールのせいで身体を子どもにされてしまったーーと?」

 

「ああ。そんで、邪悪龍を倒したんだけど。オラも身体は死んじまってよ。ドラゴンボールを二度と悪用されねぇ為にオラは神龍と一緒にみんなの前から消えたんだ」

 

 悟空の説明を受け、デンデは頷く。

 

 魂だけの存在となった孫悟空は、神龍の背から色んな世界を見て来たという。

 

 そしてーー特異点(惑星サイヤ)のある、この世界へと呼び込まれたのだろう。

 

「悟空さんが、こちらの世界へ来た理由は多分。その邪悪龍だと思います」

 

「…なんだって?」

 

 明るかった幼い顔が、険しく変わる。

 

 デンデは静かに語り始めたーー、この世界でこれから起こる史上空前の最強を決める大会を。

 

「全ての宇宙や歴史の中から、最強を決める大会です。全王さまが開催された、破壊神様たちも参加するーー」

 

「…最強を決める大会? 天下一武道会の規模がデッカくなった大会っちゅうことか?」

 

「はい。今、悟空さんが話された邪悪龍の長ーー。それに究極の人造人間も参加するんです」

 

「一星龍と超17号が大会に? 信じらんねぇな。あの一星龍たちが、おとなしく大会に参加するって?」

 

 目を瞬かせる悟空にデンデが微笑んで応えた。

 

「冷酷な人造人間や邪悪龍の長の心を変えたのは、真の格闘家と呼ばれるサイヤ人の真っ直ぐな拳です」

 

「真のーー格闘家?」

 

「この世界の悟空さん達が競い合う相手ーーサイヤ人ターニッブさん。ピッコロさんのお父さんであるナメックの帝王カタッツさん。そして、この世界の悟空さん達は真の強さを得て極みへと至るんです」

 

 静かに語るデンデの言葉ーーその熱に、悟空は黒い目を見開く。

 

 久しぶりに感じる燃えるような熱を孕んだ感情。

 

 全身の血が騒ぎ、悟空は無邪気に叫んだ。

 

「オラ、なんだかワクワクしてきたぞ!!」

 

 明るい声に微笑みを返すデンデ。

 

「ほう? 随分と懐かしい姿だな。貴様ーー孫悟空か」

 

 彼らの前に、白いターバンとマントを羽織った長身のナメック人が姿を見せた。

 

「その声は、ピッコロか!? ホントに懐かしいなぁ!!」

 

 明るく笑いながら、振り返った悟空の前にはピッコロが腕を組んで何気なしに立っている。

 

 しかし悟空は、ピッコロと目が合うだけで心地よい緊張感が首筋を這い上がっていくのを感じた。

 

「ピッコロ? オメエ、いってぇ何があったんだ? なんで、こんなとんでもねぇ気を……!」

 

 隠しているが、その潜在能力を直感的に悟り悟空は目を見開いている。

 

 これにピッコロはニヤリと返した。

 

「フン、どの世界でも勘の鋭い野郎だ……! 貴様、俺たちの世界とは別次元の存在のようだな。それにーー貴様の気に混じったこの気配は神龍か?」

 

「……! 分かるんか? さすが元神様、だなぁ」

 

 孫悟空と共に消えたドラゴンボールの、神龍の気がこの悟空から感じられる。

 

 それは高度な神の気に似て非なる龍神の系譜だった。

 

「楽しませてくれそうだな……! 孫!!」

 

 牙を剥き出しにして笑うピッコロの表情は、かつての自分のライバルであったーー好戦的で邪悪なナメック人の頃を思い出す。

 

「オメエ、オラの知ってるピッコロじゃねぇな……!」

 

 黒目を鋭く細めて不敵な笑みを浮かべる悟空。

 

「確かめてみろ。貴様の世界のピッコロと、この俺様の違いを!!」

 

「……ああ! 行くぞ!!」

 

 拳を握りしめ、悟空は構えを取る。

 

 ピッコロは淡々とそれを見下ろし、両腕を組んだまま微動だにしない。

 

 だがーー悟空の頬には冷や汗が流れていた。

 

(なんちゅう、圧だ! コイツ、ホントにオラの知ってるピッコロじゃねぇ!!)

 

 今の悟空の基本戦闘力は、ミスター・ブウと互角。

 

 それでもーー腕を組んで立っているピッコロを相手に打ち込む隙がまるで見えない。

 

「オメエ、いったい何があったってんだ……! この強さは、半端じゃねぇ!!」

 

 オーラすら纏わないピッコロだが、それでも今の悟空では勝てない。

 

「当たり前だ……。これが、真の強さを手に入れた格闘家(俺)の力だ」

 

「真のーー強さだって?」

 

 目を見開く悟空にピッコロはニヤリと返す。

 

「俺の世界の悟空や悟飯、ベジータ達サイヤ人は表面的な戦闘力だけではないーー真の強さを手に入れている。今の貴様では相手にならんぞ」

 

「……この世界のオラは、今のオメエをライバルって言えるぐれぇに強ぇんか」

 

「当然だ。貴様の裡にも眠っているはずだぞ……! 真の超サイヤ人の力はな」

 

 悟空は、ピッコロのが言葉を紡いで呼吸が途切れた瞬間を狙い、一気に踏み込んだ。

 

 目の前に高速で移動し、小さくなった右拳を振りかぶって顔に放つ。

 

 その威力は身体が小さくなっても、変わらない。

 

「……!!」

 

 だが、拳はピッコロの顔に当たる寸前で目標を失った。

 

 ピッコロの姿が、まるで蜃気楼のように消えたのだ。

 

 完全に見切られたことを悟り、悟空は放った拳を途中で止めて着地すると、ゆっくり後ろを振り返った。

 

 まったく、その場を動かずに構えすら取らず、腕を組んだ姿勢のままピッコロが立っている。

 

「なるほどな……! 残念だが、今のオラじゃ勝負にならねぇみてぇだ」

 

「……そのようだな」

 

「だったらよ……!!」

 

 金色のオーラを足元から噴き立たせる。

 

 やがて金のオーラには赤い光が交わり始めた。

 

「……はぁあああああっ!!」

 

 金色の大猿が金色のオーラを纏いながら浮かび上がってピッコロを睨み下ろした後、爆発。

 

 長い黒髪に赤い体毛の生えた上半身、尻から伸びるのは猿に似た赤い尻尾。

 

「どうだ、ピッコロ? コイツが超サイヤ人4だ…!」

 

「ああ。よく知っている」

 

「……!!」

 

 不敵に笑った悟空に対して、ピッコロは淡々とクールに返すと組んでいた両腕を解いて拳を握った。

 

 それだけで、悟空の顔が鋭くなる。

 

「驚いたぜ。この世界の俺は、もう超サイヤ人4になれんのか?」

 

「尻尾がないから一日に一度、それも10秒程度しかなれんが見せてもらったことがある。それにその姿ならば貴様の親父がなれる」

 

「……俺の、父ちゃんだと?」

 

「ああ。それにもう一人のサイヤ人ーー名をブロリーというが。ヤツもなれたはずだ」

 

 言葉の最後でピッコロが消える。

 

 目の前に踏み込んできたピッコロは、そのまま拳をボディに繰り出す。

 

 乾いた音と共に、悟空の左掌がピッコロの右拳を掴み止めていた。

 

「そう来なくては、な」

 

「……俺を舐めんなよ、ピッコロ」

 

 瞬間、両者は高速移動で姿を消して神殿の床から飛び上がった。

 

 神殿の更に上空へと移動した二人は、高速移動で拳と蹴りをぶつけ合う。

 

 単純なパワーは悟空、技のキレはピッコロが上だった。

 

 殴り合いの技術は、ほとんど互角。

 

「……思ってたより、ずっと強ぇな。ピッコロ!!」

 

「心の力や真の一撃を手に入れずに、この強さか。流石だな、孫悟空」

 

 互いに腕を交差させて紙一重で拳を避けた姿勢のまま、会話する。

 

 同時に逆の拳を繰り出して顔の前でぶつけ合い、後方へ離れる。

 

 高速移動で姿を消し、互いに互いの影を追いかけるように移動する両者。

 

(ほんとに強ぇや。もしかしたら、四星龍と同じくれぇ強ぇかもしれねぇ)

 

 パワーでは勝てているが、その差も確実とは言い難い。

 

 ピッコロの拳や蹴りは、強靭な超サイヤ人4の肉体でもダメージを受ける。

 

 悟空をして、意識が断ち切られそうになるのだ。

 

「…超サイヤ人4の俺でも、防御や回避を選択しねえとヤベェなんてよ。いってぇ、どんな修行を積んできたんだ。ピッコロ?」

 

「このくらいで騒ぐな、悟空。それに貴様の全力は、こんなものではあるまい。超サイヤ人4のフルパワーは、基本戦闘力の数十倍以上ーーのはずだ」

 

「……っ!?」

 

 目を見開き、フルパワーを言い当てられたことに驚く悟空に、ピッコロはニヤリと笑いかけてくる。

 

「ホントに、超サイヤ人4を知ってるみてえだな。まさかフルパワーまで見抜かれてるなんて、驚いたぜ」

 

 ピッコロはクールに笑うと、ターバンとマントという重りを外し、紫色の道着の姿になる。

 

「ついでに、俺の全力を見せてやろう。悟空!!」

 

 首と拳を鳴らしてから、ゆっくりと拳を腰に置いて気を高める。

 

「ぬぅうああああっ!!」

 

 気が爆発し、青みがかった白銀の炎がピッコロの全身に纏わる。

 

「はぁああああああっ!!」

 

 気が入り、一気にピッコロのパワーが爆発的に上がる。

 

 これに黒の動向が開いた金色の瞳を鋭く細め、超サイヤ人4の悟空が武者震いしていた。

 

「ーーピッコロ。オメエーーっ!!」

 

「孫、貴様と闘(や)り合うのも何度目かな? 楽しみが増すばかりだーー!!」

 

「ーー嬉しいこと、言ってくれっじゃねえか。ピッコロぉ! 俺もワクワクして来たぜ!!」

 

 拳を握り構える悟空に、ピッコロもニヤリと笑う。

 

「これが究極のパワーを手に入れた俺様の力だ。究極(アルティメット)ナメック人の力ーー思い知るがいい!!」

 

「……その力を前に出し惜しみなんぞ出来る訳ねぇ。俺もーー超サイヤ人4のフルパワーで闘う!!」

 

 瞬間、孫悟空の気が爆発して一気に高まる。

 

 そのパワーは一瞬で桁が変わる程のものだった。

 

「究極のナメック人か、究極の超サイヤ人か。勝つのは、どちらだろうな?」

 

「…それは、今から分かるさ。行くぞ、ピッコロ!!」

 

 気が弾けて、一瞬でピッコロの懐に入り込む悟空。

 

 パワーだけでなく、スピードも反応速度も、先程までとは桁が違う。

 

 だが、ピッコロの冷徹な眼差しは変わらない。

 

 強烈にして強力な左拳を腕でガードし、殴り返す。その拳は悟空の右手に掴み止められていた。

 

「……!」

 

「ぬるいぜ、ピッコロ。今の俺に、こんなパンチは効かねえぞ!!」

 

 掴み止めた拳を押し返しながら、悟空が前に出る。

 

「どれだけ速かろうが、手数があろうが……! パワーがなけりゃ、俺には効かねぇ!!」

 

 金色のオーラを噴き立たせ、悟空が一気にピッコロの懐に入る。

 

 猛烈な勢いで拳と蹴りを放ってくる超サイヤ人4。

 

「ーーチッ!!」

 

 舌打ちしながらピッコロも拳を握り、打ち返す。

 

 目の前に迫る拳を腕で受け止めようとして、炸裂音が鳴り響いて腕が跳ね上げられる。

 

(ーーっ!?)

 

 本気の超サイヤ人4のパワーは、ピッコロをしてまともには止められない。

 

 捌くか、躱すしか選択肢はない。

 

「やってくれたな、孫悟空!!」

 

「ーーフ」

 

 野性的な笑みを返す悟空にピッコロが大魔王そっくりの邪悪な笑みを浮かべて牙を剥いた。

 

 強烈な拳を受け止めると今度は悟空の頬に脂汗が浮かぶ。

 

(超サイヤ人4の俺の腕が、痺れるだと!? ピッコローー!!)

 

「舐めるなよ、孫悟空ぅうううう!!」

 

「ピッコロォオオオオオオ!!!」

 

 魂が燃え上がり、互いの名を叫びながらぶつかり合うライバル二人。

 

 どちらも譲らない。

 

 世界が割れようが、空が裂けようがお構いなしに殴り合う。

 

「……!」

 

 だが打ち合う両者の均衡が、ピッコロの次の動きで変わる。

 

 悟空の強烈なラッシュの内から右ストレートを選び、ピッコロは長い左脚を鳩尾に狙い定めて槍のように放ち、カウンターを取る。 

 

「うぐぉ!?」

 

 絶妙なタイミングのカウンターに悟空の身体がくの字に曲がる。

 

 前のめりになった悟空の後頭部を後方から勢いをつけて蹴り抜かれる。

 

(なんだと!?)

 

 前から受けたカウンターに動きを止められた次の瞬間には後方から、強烈な蹴りを叩き込まれた。

 

 ピッコロの動きがーー見えなかったのだ。

 

 意識が半分飛びながら空を吹き飛んでいく悟空の目の前にピッコロが高速移動で姿を現す。

 

 長い右脚で上空へとサッカーボールのように蹴り上げられ、吹き飛ばされた悟空の更に上空へとピッコロが移動している。

 

(速ぇ!!)

 

「パワーが足りないと言っていたな? これを食らってもーーそう言えるか!? 悟空!!?」

 

 左手を前方に突き出し、手首を右手で掴んで金の光を練り上げる。

 

 ダメージを受けながらも必死に己の意識を繋ぎ止めようとする悟空の目の前で、ピッコロが強烈な黄金の気功波を放った。

 

「爆力ぃい! 魔波ぁああああ!!!」

 

 紫色のスパークを纏った黄金の光線はまともに超サイヤ人4の孫悟空を飲み込む。

 

「ぐわぁああああ!!!」

 

 上空から撃ち落とされて光が爆発し、ものすごい勢いで地面へと落ちる悟空。

 

 半目になりながらも歯を食いしばり、目の前に迫った地面に右手をついてバク転して体勢を整え着地する。

 

 肩で息をし始めた悟空の目の前にはピッコロが真剣な目で腕を組んで立っていた。

 

(つ、強ぇ……! ピッコロの奴、全然ーー隙がねぇ!!)

 

 自分が優位に立っていると言うのに、ピッコロの表情には油断がない。

 

 自分が押されている事実もそうだが、今のピッコロを崩すには生半可な真似では無理だ。

 

「さて。どうすっかな……!」

 

 このまま何の策もなく闘えば、負ける。

 

 その事実にーー悟空はその野性的で端正な顔に笑みを浮かべていた。

 

「楽しいか? 孫悟空」

 

「ああ……! 最高だぜ、ピッコロ」

 

 その答えにピッコロも笑みを返す。

 

「……俺もだ。心の力も神の気も持たない貴様が、これ程の強さとはな。恐れ入るぜ、孫悟空」

 

 自分の世界の悟空と比べても、異世界の未来から来た悟空の強さは遜色ない。

 

 戦いのセンスも、実力も、全てにおいて孫悟空そのものだ。

 

「嬉しいぞ、孫悟空。分かってはいたがどの世界でも、お前はお前だな……!」

 

「……! ピッコロ、オメエもな」

 

 笑みを交わす二人の表情は、類稀なる激戦を繰り広げている当事者同士には見えない。

 

 日常で会話するような、何でもない一幕。

 

 それほどに穏やかな笑みを浮かべ合っている。

 

 笑みを先に消したのはピッコロ。

 

 音を立てながら右拳を握り、力を高めていく。

 

「……さあ、次で決着をつけよう!」

 

 頭脳派のピッコロには珍しい、真っ向勝負での決着。

 

 昔の大魔王時代を思い起こさせる、すべてを力でねじ伏せていく闘い方に悟空の眼が鋭く細まった。

 

 真っ向勝負を続ければ負ける……!

 

 スピードで上を行かれた上に、手数もキレも負けている。自分が勝っているのは、パワーのみ。

 

 このままの殴り合いで不利だと悟った以上、次の一撃で真っ向から勝負を付けるのは望むところだ。

 

「……!」

 

 自分の右拳を握りしめ、黄金の龍が宿るのを見つめる。

 

 この一撃ならば下手な駆け引きをすることなく、堂々と真正面から打ち勝てる確信がある。

 

 戦闘力において完全に負けていた超一星龍さえも打ち貫いた龍の拳ならば、いかにピッコロが相手と言えども勝てるはずだ。

 

 するとピッコロの背後に三人のナメック人の幻影が浮かび上がるのが悟空の眼に映る。

 

 ピッコロ大魔王、先代の地球の神、そして見知らぬピッコロに瓜二つのナメック人。

 

 彼らの幻影が一瞬だけ現れるとピッコロに取り込まれるように消え、一気に気が高まる。

 

「言っておくぞ、悟空。超サイヤ人4のパワーとその技でも、今の俺はねじ伏せられん」

 

「……ハッタリじゃねぇみてぇだな。ビンビン感じてんぜ、オメエの力を……!」

 

 だが、それでもーー悟空は己の右拳を見つめて前に向き直る。

 

「だが、それでもフルパワー状態の俺の龍拳を真正面から打ち破るってぇのか?」

 

「ああ。それでこそ、真の勝利だろう? あの時ーー大魔王では跳ね返せなかった貴様の全霊の拳を、今度こそは真っ向から打ち返してやる……!!」

 

 その言葉に悟空の脳裏に浮かぶ光景は、一つ。

 

 両足と左腕を潰されて尚、抗った。

 

 己の中に眠っていた大猿の力を引き出して放った全霊の拳は、己をあと一歩まで追い詰めた大魔王の腹を貫いていた。

 

「……! 懐かしい話だな、ピッコロ。いやーー、ピッコロ大魔王!!」

 

「ククク。俺様にとっては、つい昨日のことのように思い出せるぜ? 尾の生えた貴様の姿を見るだけでな!!」

 

 互いに言葉は要らぬ。

 

 後は、限界まで高めた一撃をぶつけ合うのみ。

 

 どちらが上かーーそれを知るために。

 

 右拳を振りかぶって止まりーー構える。

 

「はぁあああああ!!!」

 

「ぬぅううううう!!!」

 

 気を高めていく。互いの気が、臨界点を迎えようとしている。

 

 世界の全てを包み込むほどに強大な究極ナメック人の気と、黄金の大猿のパワーを一点に集中させた赤と金が交わるオーラが睨み合う。

 

 その時だった。

 

「おいおい、そんくれぇにしとけ!」

 

 超サイヤ人4となった悟空と究極のナメック人の力を放つピッコロに向けて、第三者の声が響いたのだ。

 

「フン。いいところだってのに、本戦迄お預けか」

 

 これにピッコロがニヤリと笑みを浮かべて纏っていた強大な気を散らしてそちらを向く。その言葉に悟空は、ゆっくりとピッコロの視線の先へ振り返ると青いインナーシャツの上に左胸に「悟」の文字を書いた山吹色の道着を着て青色の帯を巻いた自分ーーこの世界の孫悟空が立っていた。

 

「よ! 久しぶりだな、未来のオラ!! 惑星サイヤ以来だ!!!」

 

 明るい笑顔で告げてくる孫悟空に悟空は驚いた表情で固まる。

 

 その隣には、彼によく似たバンダナの男と髪を逆立て無地の山吹色の道着を着た青年が立っていたのだ。

 

「ほぉ? 超サイヤ人4--か。そっちのカカロットは使いこなしてるみてぇだな」

 

「これが、未来の父さん。流石、すごい気だな……!」

 

 二人とも、自分の姿を見て軽く驚きはするもののーーそれだけだ。

 

 むしろ、嬉しげな笑みを浮かべている。

 

「この世界のオラと悟飯。それに……!」

 

 赤いバンダナに左頬に傷のある男は、自分と瓜二つの顔をしている。

 

 緑と黒を基調としたバトルジャケットは、フリーザ軍やベジータが着ているものと同じ。

 

「そっちのカカロットは、俺を知らねぇようだな。俺はバーダック。テメエの親父だ」

 

「! な、なんだって!? 俺のーー父ちゃん!?」

 

 驚く悟空に向かって、この世界の自分と悟飯が頷いている。

 

「ついに別次元のカカロットまで参戦しに来たか……!」

 

「コイツは、いよいよ面白くなってきた……!!」

 

 聞き覚えのある声に振り返ると青い長袖のフィットスーツの上に白銀のバトルジャケットを着た若い頃のライバルーーベジータが腕を組んで立っている。

 

 その隣には、白い道着のズボンに赤い腰巻を付けた二メートルを越える長身に黒い長髪のサイヤ人がベジータと同じく腕を組んで立っていた。

 

「ベジータ……! それに、オメエはブロリーか!?」

 

 だが、自分の知るブロリーは、このような静かな強さを秘めた瞳をしていない。

 

 見れば分かるーー悟飯も、ブロリーも、そして自分の父も、桁外れに強いと。

 

「オメエ達、いったい何があった? いってぇ、どうしてそんなにまで極めてんだ!?」

 

 ピッコロの言葉は嘘じゃない。

 

 それどころかーーまごうことなく全て真実。

 

 全員が、未来から来た自分に匹敵する力を持っている。

 

 これにこの世界の孫悟空がニッと笑いかけて来た。

 

「その前によーー!」

 

 超サイヤ人4となった悟空が眉を訝しげに動かす。

 

「………?」

 

「飯にしねぇか? チチが、食いきれねぇくれえのすげえ量の晩飯ぃ、作って待ってんぞ!」

 

 その言葉にーー金のオーラが霧散して超サイヤ人4は解除され、褐色の肌になった少年の姿に悟空は戻ると孫悟空に笑いかけた。

 

「そういや、オラ! 腹減っちまっただぁ!!」

 

「はは、だよな! オラもだ!!」

 

 互いに明るく笑いながら、二人の悟空は楽しそうに会話していたーー。

 

 

 




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次回も、お楽しみに( *´艸`)

追伸

GT悟空の表記は悟空(GT)でいきますので、よろしくお願いいたします。

なお、活動報告にてアンケートというか意見要望をお待ちしております。

ファイターズの世界を描いたエピソードを番外編として復活させるか否か、もし良ければアンケートにご協力ください!(^^)!
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