ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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惑星の意思が存在するという世界が生み出したのは、究極の合体戦士ベジット。

それに対抗するため、孫悟空は己の限界ーー真・超サイヤ人へと変身した。


究極の絶望 真・超ベジット

 

 特殊な力場を使った頑健な闘技場。

 

 超サイヤ人ブルーのベジットが静かに真・超サイヤ人となった孫悟空を見据えている。

 

「…時間がねぇんだ。悪りぃが、睨めっこしてる暇は俺には無え。一気に行くぞ!!」

 

「「…来てみろ!!」」

 

 ベジットが手招きながら、悟空を呼ぶ。

 

 未だにベジットの方が動きもパワーも上。

 

 だが真・超サイヤ人となった悟空には、その差を埋めんとする圧倒的な勢いがある。

 

 右ストレートを左に避けて、一気に懐に飛び込む悟空。

 

 しかし踏み込んだ瞬間に、ベジットが高速移動で姿を消し、悟空の左にやや距離を置いて現れて指先五本に光を宿す。

 

「「…そら!!」」

 

 先は超サイヤ人ブルーでも防ぎ切れない一撃だったが。

 

 五つの気弾を縫うようにジグザグに移動しながら、捌いて踏み込んでくる。

 

「「ヒュー! いい動きだな!!」」

 

 正面に現れた悟空の右ストレートに右拳を合わせて受ける。

 

 二人の拳は、見事に中央で相殺した。

 

「「どうやら、戦闘力は追いついたみたいだな?」」

 

 不敵な笑みで告げるベジット。

 

 悟空は冷徹な瞳を向けて、冷ややかに告げる。

 

「ああ。気の量とスピード、パワー。今の俺はオメエに勝るとも劣らねえ。…だが!!」

 

「「時間が気になる、か? まあ、そうだろうな。だがよ、それとは別の重大な問題があることにも気づいているかな?」」

 

「…なんだと?」

 

 分からないなら教えてやる、とばかりに打撃を繰り出してくるベジット。

 

 対する悟空も殴り返す。

 

 互いに鋭い拳と蹴りの応酬。

 

 地響きがなる中、悟空の顎が跳ね上げられた。

 

「…ぐあ、なんだと!?」

 

「「…ふふ。どうした、孫悟空?」」

 

 同じレベル、同じスピードで動いている。

 

 首が弾かれるのも、ほとんど同じだ。

 

 だが、徐々に。

 

 そして確実に悟空が劣勢になっていく。

 

「…どうなってる!? 悟空の方がスピードを上げて動いてるじゃないか!! なんで打ち負ける!?」

 

「単純だ。ベジットって野郎はカカロットでもあるからさ」

 

 見上げているガーキンの言葉に、バーダックが応えた。

 

 これにブロリーが問いかける。

 

「…どういう意味だ、バーダック?」

 

「どうもこうもねえ。奴はカカロット達が合体した姿なんだろ? なら、カカロットがどんな動きをするのか。ベジットなら手に取るように分かるだろうってだけさ」

 

「…奴はカカロットであり、ベジータでもある、か」

 

 バーダックとブロリーの言葉どおりだった。

 

 読まれている。

 

 真・超サイヤ人となった孫悟空の動きや思考の全てを。

 

 確かに悟空は、圧倒的な差があったベジットのスピードやパワーに追いついた。

 

 いい勝負になっている。

 

 それでも。

 

 いや、だからこそ歴然たる差が悟空とベジットにはあるのだ。

 

「「…負けん気が強いな? オメエじゃ勝てねえのは、バーダックの説明で分かったろ?」」

 

「…生憎と、俺は諦めが良くなくてな。ターニッブやガーキン。この惑星に住む全てのサイヤ人達の命がかかってんだ。そう簡単に投げれねえさ」

 

 劣勢に立たされていても、冷徹なポーカーフェイスは変わらない。

 

 コレも真・超サイヤ人の利点の一つだ。

 

 しかし、ベジットには焦りがハッキリと見えている。

 

「「どうした? 攻め急いでいるな。…闘いを楽しむ余裕がねえぞ、孫悟空」」

 

「…黙れえ!!!」

 

 一気に勇猛果敢に攻め込む悟空。

 

 悟空の纏う黄金の気が、更に倍に膨れ上がった。

 

((…更に倍、か))

 

 ベジットが瞳を鋭く細め、動きを見る。

 

 攻撃をブロックする腕が壊れてもおかしくはない威力。

 

((…この俺の動きを一回り上回るか!?))

 

 ベジットの口元には、それを理解した上で笑みが生まれている。

 

 超サイヤ人ブルーとなった自分がダメージを負う。

 

 そんなスリルがある。

 

 正にコンマ数秒が命取りだ。

 

 そんな悟空とベジットの対決の中、ブロリーがクレーターに倒れ伏したサイヤ人に近寄った。

 

「…おい、ベジータ王子」

 

 静かに倒れ伏したままのサイヤ人ーーベジータに声をかける。

 

「…いつまでカカロット一人に任せるつもりだ?」

 

 その言葉にベジータは目だけを開けてブロリーを見る。

 

「…やはり狙いは、ベジットの」

 

 ブロリーが淡々とした口調で告げ、空を見上げた。

 

 悟空と一騎打ちを繰り広げるベジットを、睨みつける。

 

「…だりゃあ!!」

 

「「うぉりゃあ!!」」

 

 悟空とベジットの何度目になるか分からない右ストレートのぶつかり合い。

 

 ついにベジットが、後方へ吹っ飛んだ。

 

「カカロットの奴め、やりやがったぞ!!」

 

「…いけえ、悟空ぅううう!!」

 

 ターレスが目を見開いて拳を握り、ガーキンが叫ぶ。

 

 その興奮した叫び声が途切れた時、悟空は全身におびただしい汗をかき、黄金のオーラが解除された。

 

「…ぐっ、くく! じ、時間切れ…みてえだな」

 

 肩で息をしながら、何とか超サイヤ人の状態を保つ。

 

 通常のサイヤ人に戻れば、かすり傷でも致命傷を負わされかねない。

 

 舞空術で姿勢を制御して、構えを取ると。

 

 ベジットがパチパチッと拍手を送ってきた。

 

「「スゲエよ、流石は孫悟空だ。だが、残念だったな」」

 

 ベジットはニヤリと笑うと拳を腰に置いて、水銀のオーラを纏った。

 

「「参考までに教えてやる。…こいつが、このベジット・ブルーのフルパワーだ!!」」

 

 一気に気を高めるベジットにバーダックが目を見開く。

 

「…あの野郎。今まで、手ェ抜いてやがったのか!!」

 

「悟空の真・超サイヤ人はターニッブやリューベのモノと同じ。相手のレベルに合わせて無限に強くなる。ベジットとやらはそれを見抜き、圧倒的な力の差を利用して己の全力を隠したまま、悟空に力を使い切らせた…!!」

 

 ジュードの言葉どおり、悟空はまんまと時間切れまで真・超サイヤ人を使い切らされた。

 

 圧倒的な力を誇るベジットの技を受けるには、相手が全力かどうかなど、測っている余裕がない。

 

「「さて、孫悟空。超サイヤ人ブルーにもなれない、今のオメエに。はたしてブルーになった俺が倒せるかな?」」

 

 不敵な笑みを浮かべるベジットに悟空は、構えを取りながら告げた。

 

「確かにな。今のオラじゃ、どう足掻いてもオメエは倒せねえ。けどよ!!」

 

 悟空が額に指を当て、瞬間移動を行う。

 

 これにベジットが目を左に向けると、其処には。

 

「カカロットや俺が、考えなしに貴様に挑んだと思っていたのか? 俺たちは戦闘民族だ。戦いに関して遅れを取ることなどない! たとえ相手が、俺たちが合体した貴様であってもだ!!」

 

 黄金のオーラを纏い、天に向かって靡く黄金の髪、翡翠に黒の瞳孔が現れた目。

 

 真・超サイヤ人となったベジータが居た。

 

「「なるほど、オメエも成れたのか。そいつは驚いたぜ」」

 

 ベジットは不敵な笑みを絶やさずにいきなり、その場から消える。

 

 現れたのはベジータの正面。

 

「「だが、その変身の特性は理解した。要はパワーアップする前に叩き潰せばいいんだろ?」」

 

 まともに鳩尾を貫く一撃に、ベジータの口が開かれる。

 

 前のめりになったベジータの背後に周り、ベジットは強烈な右回し蹴りを後頭部に入れて地面に叩き落とした。

 

「「フン、流石の真・超サイヤ人も。パワーアップする前に倒されては終いだな」」

 

 笑うベジットの足元には巨大な土煙が立ち上っている。

 

「…そうやって、自分の力に酔うのはいいが。相手の力量を図れなければ滑稽なだけだぞ」

 

 背後から聞こえる声にベジットは、ニヤリと笑う。

 

 目だけを背後の気配に向けて話す。

 

「「本物だな、真・超サイヤ人ーー。千年に一度現れる超サイヤ人の伝説に最も相応しい。その変身をしておけば、どんな奴を相手にしても負けるはずがないからな」」

 

 口元の笑みに似合わぬ真剣なベジットの瞳に、ベジータは冷徹な目を向けた。

 

「…戦いの中で、俺たちサイヤ人は強くなっていく。今は貴様と戦うのに真・超サイヤ人の力に頼らねばならんが、いずれは俺もカカロットも、そしてターニッブも! この力に頼らずに全てを超えてやる!!!」

 

 口調は低く冷めたような声でありながら、ベジータの心は何よりも熱く燃えている。

 

「「…それでこそ、誇り高き戦闘民族サイヤ人! それでこそ、我が半身・サイヤ人の王子ベジータだ!!」」

 

 その熱を帯びた声にベジットの目にも、似た炎が宿っていた。

 

 黄金のオーラを纏い、ベジータが突っ込む。

 

 対する水銀のオーラを纏うベジットは、斜に構えて受けて立った。

 

 

 一方で、悟空はブロリーやバーダックのいる観客席に降りてきた。

 

 着地すると同時に超サイヤ人を解除し、脱力感から倒れそうになる。

 

「…へへっ、疲れた…ぜ」

 

 そんな彼をブロリーが支えた。

 

「…大丈夫か?」

 

「あ…ああ、アイツ。やっぱり、とんでもねえや!」

 

 ブロリーに脇を支えられ、肩で息をする悟空をバーダックが後ろから現れて肩を貸す。

 

「すまねえ、ブロリー。父ちゃんも」

 

「…最高に燃える勝負だったぜ、カカロットよぉ」

 

「へへっ、あんがとな。負けちまったけどな」

 

 悔しそうな悟空を見て、バーダックは微かに笑うと怒りのこもった目でベジットを見上げた。

 

 隣のブロリーも真剣な表情でベジータの闘いを見つめている。

 

ーーーーーー

 

 ベジータとベジットの闘いも、やはり真・超サイヤ人がベジットの力に引き上げられてからが、勝負だった。

 

 ただし同じ域に達しても、ベジットにはベジータの動きや思考が読める。

 

 この為、ベジータは体力の消費を覚悟で気を倍にしていかなければならない。

 

 拳と蹴りを何度か応酬し、劣勢になるとベジータは反転し、後方に加速して一気に距離を置く。

 

 コレにベジットも高速で追尾していく。

 

「…ベジータの野郎、真・超サイヤ人の力を使わされてるな。さっきのカカロットの二の舞じゃねえのか?」

 

 ターレスが不機嫌そうに吐き捨てるとガーキンも頷く。

 

「…力に差があり過ぎて、決定打を与えるレベルまで真・超サイヤ人の力が高まらないと勝負にすらならねえ」

 

 悟空も頷いた。

 

「…そうだ。できる限り体力を温存して闘いたいけど、そんな余裕をベジットの奴は与えてくれねえ。むしろ、力を使い切るくれえ、目一杯で挑まねえとあっと言う間にやられちまう。だからって電池切れにされちまっちゃ、真・超サイヤ人になっていられねえ」

 

 ベジットの攻めは、それぐらい情け容赦がない。

 

 遊んでいるように見えて、的確で手堅い攻めだ。

 

 バーダックが睨みつけるようにベジットを見据える。

 

「…気に食わねえ野郎だ。あの舐めた態度は全て、こっちを油断させる演技かよ」

 

 先程の悟空との闘いとは違い、ベジータはベジットと一定の距離を置いてエネルギー弾の撃ち合いをしている。

 

 超高速で移動しながら、無数の光弾が空に放たれる。

 

「…はぁっ!!」

 

「「それ!!」」

 

 片手で宙返りしながら、曲芸師のように放たれる光弾。

 

 その場でボーッと立っていれば、間違いなく蜂の巣になるであろう撃ち合いを見て、ブロリーが呟く。

 

「…威力とスピード、数が互角の気弾の撃ち合いならば、後はセンスがモノを言う」

 

「ブロリー、オメエから見て。ベジータはまだ余裕がありそうか?」

 

 思わずブロリーが悟空を見ると、すでに半分意識がなくなりかけている。

 

「…おい、カカロット!!」

 

「どうした、カカロット!!」

 

 血相を変えるブロリーとバーダックに悟空は弱り切った笑みを浮かべた。

 

「ど、どうやら。力を使い切っちまって…。ね、眠気が」

 

 その言葉にブロリーが「ふう」とため息をつき、バーダックが悟空の頭をクシャクシャとかき混ぜた。

 

「さっさと寝てろ! クソガキ!!」

 

「…そ、そうは行かねえんだ。ベジータのヤツがベジットを倒せる可能性は、ハッキリ言ってねえ。あいつも、それを分かって闘ってんだ」

 

 バーダックが静かに空を見上げながら、告げる。

 

「…テメエが、意識を失わねえようにしてるのも。ベジータ王子が勝ち目のない気弾の撃ち合いをしてるのも。必要なことなんだな?」

 

「…あ、ああ。そろそろベジータが、仕掛けるはずだ」

 

 悟空の言葉どおり、ベジータがエネルギー弾の一つに強烈な気を圧縮させ始めた。

 

「ビッグバン・アタァアアック!!」

 

 叫ぶのと同時に右手から青い気弾がベジットに向けて放たれる。

 

「「大したスピードと破壊力の気弾だ」」

 

 ベジットは左手を突き出し、気弾を止めると爆発させた。

 

「「俺以外になら、通じただろうが、な!」」

 

 爆発をブラインドに、ベジータが懐に入り込んだ。

 

 ベジットも拳を握って返す。

 

 三度巻き起こる乱打戦と土煙。

 

 地鳴りが鳴り響く中、ベジットの右ストレートをかいくぐり、ベジータが背後を取るとその後頭部に右の飛び横蹴りを見舞った。

 

「死ねぃ…!!」

 

 蹴り飛ばされたベジットは、闘技場の壁にぶち当たる。

 

 瓦礫が砕けて落ちる中、吹き飛ばされたスピードの倍の加速をしてベジータの前に現れる。

 

「…舐めるなよ!!」

 

「「お互い様だ、ベジータ」」

 

 またしても、乱打戦。

 

 ベジータの右フックが、ベジットの上半身を揺らせば。

 

 返しのベジットの左ボディが、ベジータの脇腹に炸裂する。

 

「がはぁ!」

 

 くの字になって呻くベジータの顔に右の回し蹴りが決まり、背中からはるか後方の地面に叩きつけられる。

 

「「こいつで決まりだ」」

 

 ベジットは両手を左右に大きく広げてから、前方で左右に開いた掌を突き出し構える。

 

 その手には金色の光が纏わりついている。

 

 更にそれを右腰に両手を置いてたわめ、掌の中に青い光弾を作り出す。

 

「「覚悟しな! ファイナルかめはめ波ぁあああ!!」」

 

 前方に上下に合わせて突き出された掌から、黄金の光を螺旋状に纏った、強烈な青い光線が放たれた。

 

 立ち上がり始めていたベジータに防ぐ手段はない。

 

 光の中に、黄金の超サイヤ人は飲み込まれていった。

 

「…! ベジータぁああ!!」

 

 悟空とガーキン、ジュードの叫び声が聞こえる中、ベジータの姿は完全に消え、強大な爆発と共に爆煙が立ち上る。

 

「「…確かに。ファイナルかめはめ波は、この俺の最高の技だがよ。その真・超サイヤ人ってのに変身してたら効かないんだろ?」」

 

 技を放った姿勢のまま、ベジットが告げると煙の向こうから緑がかった青い光線が放たれた。

 

「…ファイナル・シャインアタァアアック!!!」

 

 土煙が一気に払われ、目の前にベジータが現れる。

 

 彼がファイナルフラッシュの構えから放った緑がかった青い光線は、ベジットの想像を遥かに超える威力だった。

 

 咄嗟に両手で光線を受け止める。

 

「「なんだ、コレは!? ファイナルフラッシュの倍? いやーー!!」」

 

 ベジータの使う技の中で、此れ程までにとんでもない威力とスピードを兼ね備えた技はない。

 

 あのファイナルフラッシュの10倍に匹敵する威力だ。

 

「…貴様が言ってたんだ。死者の都はあらゆる可能性を備えている、と。未来の俺の技だが、貴様のような存在を捻り潰すには、もってこいだったな」

 

「「…貴様…!! ベジータぁああ!!」」

 

「…じゃあな、偽物野郎!!」

 

 更に気を高め、ベジータの光線は堪えていたベジットをそのまま、飲み込んで爆発した。

 

「「ぐぉおおお!! こんな、バカなぁああ!!」」

 

 断末魔のような悲鳴と共に光が爆発する。

 

 ベジータは鋭い目をそのまま爆心地へと向けている。

 

「…下手くそな芝居だな。ベジット」

 

 語りかけると同時に煙が払われ、中から水銀のオーラを纏ってベジットが出てきた。

 

「「半分は賞賛を込めてだ、ベジータ。まさか、オメエに瞬間移動を使わされる日が来るとは思ってなかったぜ」」

 

 ベジットをして初めての逃げの経験だった。

 

 あのまま、喰らっていれば大ダメージは免れなかっただろう。

 

 だからこそ、ベジットは瞬間移動で咄嗟に体を躱し、ベジータの技をやり過ごしたのだ。

 

「……思ったより、ファイナルシャインアタックの消費が激しい、か」

 

 肩で息をしながら、ベジータの全身に汗が噴き出ている。

 

 間も無く真・超サイヤ人が切れるのだろう。

 

 自分の状況に舌打ちしながら、ベジータは目の前のベジットを見据える。

 

 ベジットは掛け値なしにベジータを賞賛していた。

 

「「…大したもんだ。実際、オメエも悟空も、俺を此処まで楽しませてくれるとは思ってなかった。返礼と言っちゃなんだが、見せてやる」」

 

 その言葉にベジータが、吐き捨てる。

 

 悟空も目を見開いた。

 

「…思ってたとおり。俺たちで、真・超サイヤ人のデータを取ってやがったな」

 

「考えることは同じみてえだな。やっぱ性格悪りぃぞ〜、ベジット!」

 

 こうして欲しくない。

 

 こうだったら、嫌だな。

 

 悟空とベジータは、ウンザリとした表情で黄金のオーラを纏ったベジットを見据える。

 

 その瞳には翡翠に黒の瞳孔が現れ、天に向かって黄金の髪が靡いている。

 

 ベジットは、真・超サイヤ人となったのだ。

 

「「まあ、そう言うなよ。俺はオメエ等の合体なんだからよ。このぐらいはするぜ」」

 

 淡々と、冷静に告げるベジット。

 

 悟空に肩を貸したままバーダックが吐き捨てる。

 

「カカロットにも王子にも、似てねえよ! テメエには可愛げが全くねえ」

 

「「まあ、それはそれだ」」

 

 肩をすくめるベジットを尻目に悟空が小声でバーダックに告げた。

 

「…父ちゃん。オラの道着の帯にさ、豆が二粒入ってんだけど。ちょっと取ってくんねえか?」

 

 バーダックは、悟空の背中の方の帯に手を入れ、二粒の豆を取り出した。

 

「…こいつか?」

 

「そ。それ、食わしてくれ」

 

 バーダックは訝しがりながらも、悟空に豆を一つ食わせる。

 

 すると悟空の弱々しかった表情が一気に活力が漲り、バーダックの肩を借りなければ立てなかった先までと違って自分から肩を借りるのをやめ、立つ。

 

「よっしゃあ! 流石に仙豆は効くぜ!!」

 

 言いながら、呆然としているバーダックからもう一つ仙豆をもらうと、ベジータに向かって叫んだ。

 

「ベジータ、仙豆だ!!」

 

 投げ渡された豆を見事に掴み、口に運ぶ。

 

 浮かんでいた汗が消え、再び肉体に活力が漲る。

 

「「…仙豆か、便利なもんだな。さて、悟空にベジータ。体力も回復したことだし、真・超サイヤ人でケリをつけようぜ?」」

 

 笑いながら告げるベジットに、悟空も黄金の髪に翡翠と黒の瞳孔の目を持つ真・超サイヤ人へと変化する。

 

「…待たせたな、ベジータ。こっからは、俺もやらせてもらうぜ」

 

 低く冷徹に声音で告げる悟空をベジータが横目に見た後、告げた。

 

「カカロット、貴様も分かってるんだろ?」

 

「…ああ。このままじゃ俺たちは、どう足掻いても勝てねえな」

 

 淡々とした声で告げる悟空をベジータは見据える。

 

「…だが、俺は負ける訳には行かねえ。俺たちがやらなきゃ、この星のみんなを守れねえ…!!」

 

 そう告げた悟空に、ベジータは微かに優しげな笑みを浮かべた後、告げた。

 

「真・超サイヤ人になったベジットは、まさにデタラメな力だ。そいつに対抗するには、未知の力しかない」

 

「…ああ。問題は、その未知の力をどうやって引っ張り出すか、だな」

 

 ベジットに構えながら、悟空は淡々と低い声で告げる。

 

 これにベジータは、静かに言った。

 

「…カカロット、フュージョンするぞ」

 

「…え!?」

 

 思わず悟空が目を見張ってベジータを振り返ると、真っ直ぐにこちらを見てベジータは告げた。

 

「…フュージョンしてやるって言ってるんだ! さっさと準備しやがれ!!」

 

 ベジータの言葉を今一度、頭の中で反芻させ、悟空は不敵にしてクールな笑みを浮かべた。

 




次回、奇跡の融合 対 究極の合体

ご期待ください(´・∀・`)

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