ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

15 / 116
フリーザとセル、ギニューとの闘いに突入するバーダックとターレス。

 そんな彼らの前に自らを”真のサイヤ人”と名乗る男、リューベが現れる。

 金色と化したフリーザと戦う彼の真意とは?


放てターレス! 最強の必殺技!!

 金色の肌をしたフリーザは静かに、口を開いた。

 

「真なるサイヤ人ですって?」

 

「……」

 

 フリーザの言葉にもリューベは語らない。

 

 ただ拳を握るのみだ。

 

「笑わせてくれますね……! この私をサイヤ人如きが倒せると?」

 

 上品に手で口を覆い、笑うフリーザ。

 

 瞬間、目を見開いて吠えた。

 

「笑わせるなよ、この猿がぁああああ!!」

 

 右手を大きく開いて、紫色の光を溜め前方に向かって放つ。

 

 強烈な爆発が地面に起こり、クレーターを作りあげる。

 

 死者の都の霧が充満したことにより、常世の理が働いているため、本来ならば惑星を滅ぼしかねない一撃もこの程度の被害で済んでいた。

 

「……フン。何が真のサイヤ人ですって? 口先だけではーー!!」

 

 咄嗟に見上げると高速で天から“鬼”が手刀を振り下ろしてきた。

 

「覚悟は良いかーー愚か者めぃ!!」

 

(ーーヤバイ!!)

 

 咄嗟にフリーザは、後方へ大きく跳躍して紙一重で避ける。

 

 全身の鳥肌が立っていた。

 

 金色となった自分をここまで脅かしたのは、破壊神ビルスだけだ。

 

「……い、今のはーー!!」

 

 空を飛ぶ黄金の炎のようなオーラを纏った超サイヤ人。

 

 翡翠に黒の瞳孔が現れた瞳は、冷たい氷のように何も映さない。

 

「……セルさんの忠告を聞いておいて正解ですね。貴方は普通の“人間”ではない、ということですか」

 

「……」

 

 氷の奥にあるのは、深く深く昏い炎。

 

 焦熱地獄のように熱く、昏い。

 

「……面白い。この私がどれだけの力を得たのか。貴方で試してあげましょう!!」

 

 ゴールデンフリーザは本気の構えを取る。

 

 もはや、油断などしていない。

 

 先の一撃は、喰らえば問答無用で行動不能にされるほどの一撃だ。

 

 天才であるフリーザには、その恐ろしさが理解できていた。

 

「今度は、こちらの番ですよ! キェエエエエエエィ!!」

 

 目を見開き、殴りかかる金色の肌のフリーザ。

 

 静かに拳を握り、真・超サイヤ人と言う名の鬼が迎え撃つ。

 

 拳の交換。

 

 フリーザの右ストレートを鬼はあっさりと左に流し、右の拳がボディを射抜く。

 

「ぐお!?」

 

 たったの一撃。

 

 しかし、その一撃には圧倒的な威力と、それ以上の殺意が込められていた。

 

(な、なんだ…!? この拳は!? 芯に来る……だと!?)

 

 悪の帝王と呼ばれるフリーザをして、初めての経験だった。

 

 拳の威力は、青髮の超サイヤ人孫悟空と互角かそれ以上だ。

 

 しかし、その一撃で金色のフリーザを悶絶させるほどではないはずだった。

 

(なんなんだ、コイツと目が合っただけで鳥肌が立つこの不快感は!? 恐怖を感じているというのか!? この、フリーザが!!?)

 

 その視線に。

 

 その一撃一撃に、強烈な殺気が込められている。

 

 純粋なまでの。

 

 ただ相手を殺す為だけの一撃。

 

 そこには嗜虐心も無邪気さも悪意も何もない。

 

 純粋な殺意のみ。

 

「おのれぇ!! あの青い超サイヤ人となった孫悟空やベジータでも、これほどのモノではなかったーー!! 貴様は一体、何なんだ!?」

 

 拳を繰り出しながら、恐ろしいと本気で思った。

 

 自分の経験の中で、これほどまでに殺意しかない拳はない。

 

 どんなに怒り狂っていても。

 

 どんなに屈辱にまみれて殺意を覚えていても。

 

 人間である以上、心が無くなることはない。

 

 なのに、目の前の超サイヤ人からは殺意以外には何も感じられなかった。

 

「心の無い人形や獣のようなモノだと思おうにも、この殺意は……!! だが、殺意以外に感じられない拳を無造作に振るう“人間”など、あり得るのか!?」  

 

 目を見開くフリーザ。

 

 離れた所ではセルも目を見張っていた。

 

「なんだ、あの化け物は? あんなモノがこの世に何故存在している?」

 

 それは身に纏う力や拳の強さだけの話ではない。

 

 ただ全てを殺し尽くさんとする殺意が、男からは立ち上っている。

 

 あり得ないほどに上昇し、全身に漲る力。

 

 比類なき純粋な殺意が拳に篭っていた。

 

「……あの殺意と無限に上がる力を前に平常心をどれだけ保っていられるか、か。何とも恐ろしい敵が居たものだ」

 

 セルが独り言をつぶやきながら、こちらと向かい合う超サイヤ人・バーダックを見据える。

 

 バーダックは燃えるような翡翠の瞳で“真・超サイヤ人”という名の鬼を見ていた。

 

「あのフリーザが完全にビビってやがる……! あの化け物野郎! ……やるじゃねえか!!」

 

 嬉し気なバーダックの横で、ターレスが表情を固めたまま告げた。

 

「あ、アレが……! この世界を統べる化け物。“真の超サイヤ人”か……!!」

 

 彼等と対峙する、超サイヤ人・孫悟空の姿をしたギニューも目を見開いている。

 

「あ、あり得ん…! 何だ、あの化け物は!? あの殺気と戦闘力は、常軌を逸している!!」

 

「……確かにな。無限に上昇する戦闘力もとんでもないものだが。特筆すべきはあの純粋な殺意だ。アレが込められた拳を受けた側は、実際の威力よりも数段上に感じることだろう」

 

「ど、どういう意味ですか、セル殿!?」

 

 冷静な瞳でセルは静かにリューベと闘うフリーザを見据える。

 

 見ればフリーザは肉体的なダメージはまだそれほど負っていないにも関わらず、苦しそうに肩で息をしながら戦っている。

 

「あの強靭なフリーザの肉体と精神力をあれほどまで削るほどの殺意……! それは生きている人間の生命力、即ち気に対して直接ダメージを与えるもの。防御力が高いとか打たれ強いことなど、あの殺気の前には関係なくなる。危険すぎる……!」

 

 人造人間・セルは様々な細胞の記憶を持ったバイオ生命体。

 

 帝王の一族・フリーザやコルド、戦闘民族サイヤ人・ベジータの記憶を持ってしても、はじめて見る。

 

「…残忍で冷酷。戦いと破壊を好む伝説のサイヤ人。なるほど、こいつは想像以上だ。あの時、超サイヤ人の壁を越えた孫悟飯の怒りを遥かに上回る純粋な殺意とはな」

 

 セルは怯えながらも、必死に恐怖を振り払おうと拳を繰り出すフリーザを見て思う。

 

「…フリーザよ。貴様ならば、ナメック星で闘った時に目覚めた孫悟空か。超サイヤ人伝説。私達は、それを軽く見過ぎていたかもしれんな」

 

 鬼と殴り合うフリーザを見て呟くセルの前に、超サイヤ人と化したバーダックが殴りかかってきた。

 

 左腕を掲げてバーダックの左フックを受けるセル。

 

 冷たい表情でバーダックを見下ろせば、彼は野性味ある笑みで笑っている。

 

「おい、化け物。テメエもフリーザの仲間なら、カカロットの敵か?」

 

「…貴様には、私が味方に見えるのか?」

 

「なら、くたばれぇえ!!」

 

 一気にパワーを上げるバーダックにセルも気を高める。

 

 同時に拳と蹴りを繰り出して打撃の応酬をしながら、バーダックは凄絶な闘争本能のままの笑みを。

 

 セルは冷徹にして残忍な笑みを浮かべて互いに笑い合っている。

 

「うぉらぁあああ!!」

 

「はぁあああああ!!」

 

 互いに右ストレートをぶつけ合い、拳と拳を押し合う。

 

 同時に金色のオーラを纏い、高める。

 

「…なるほど。孫悟空よりも荒削りだが、理にかなった動きだ。歴戦の死闘で磨き上げられたものだな…! 戦闘センスだけならば、孫悟空以上だ!!」

 

「へっ! 随分と型にはまった、お綺麗な戦い方じゃねえか? そんなんで、この俺やカカロットを倒そうってのか?」

 

 互いに力を高めながら拳を押し合い、バーダックが不敵に笑う。

 

 セルがこれに挑発するように告げた。

 

「…貴様に良いことを教えてやろう。私は孫悟空を殺したことがあるのだよ」

 

「何を寝言を言ってやがる? カカロットなら今頃、サイヤの城でダチとゆっくり休んでやがるぜ」

 

 嘲笑うバーダックにセルは静かに笑みを返しながら告げた。

 

「ドラゴンボール、というのを知っているか? 七つの光る球を揃えれば、どんな願いも一度だけ叶うという代物だ。どんな願い方をしたかは知らんが、孫悟空は二度目の復活をしたようだな」

 

 肩を揺らして笑うセルに、バーダックの目つきが鋭く変わった。

 

 作られた嘘の類ではないと理解したからだ。

 

「…テメエ。その話がマジなら、人生を終わらせる覚悟はできてるんだろうなぁ……!!」

 

 バーダックの目が凶暴かつ好戦的なサイヤ人そのものの光を帯び、口を吊り上がらせる。

 

 対するセルは冷酷で残忍な笑みを返した。

 

「貴様にできるかな? たかがサイヤ人の貴様が、完全体となったこのセルを相手に?」

 

「ケッ、ほざけええぇ!!」

 

 互いに超スピードで姿を消し、二つの金色の光が螺旋の筋を空に描きながら、所狭しと駆け回る。

 

 それを見た後、ターレスは己の前に立つ自分と同じ顔の怨敵の姿をした男を見る。

 

「一応聞いておこう。お前ごときが、この俺と闘うつもりか?」

 

「如何にも! …この、ギニュー様の力を見せてやろう」

 

 ニヤリと不敵に笑いながら、左手を前に突き出して腰を落として構えるギニューにターレスが失笑する。

 

「バカめ。ギニューよ、貴様は超サイヤ人の入り口に辿り着いただけだ。先ほど死者の都の気を得た神精樹の実を食ったことで、この俺は普通の超サイヤ人よりも遥か先にいるのだ!!」

 

「…確かに。貴様は孫悟空の肉体へと変化した私よりも身体能力が上のようだな? 先のセル殿との戦いで動きを見て分かった。しかし、セル殿が貴様に言っていたように戦いとはセンスだ。貴様の戦い方にはセンスが感じられん。このギニューのような、な?」

 

「笑わせるな…。フリーザの腰巾着めがぁ!!」

 

 余裕の笑みを浮かべるギニューにターレスが、憤怒の表情で両手首を左右に合わせたまま、灰色の光を頭上に掲げて前方に突き出しながら光線を放った。

 

 ターレス版かめはめ波とも言うべき強力なエネルギー波であり、不完全だったとはいえ孫悟空の元気玉を破った唯一の技でもある。

 

「ほう、素晴らしい威力の技だ。だが…!!」

 

 言うとギニューは突き出した左手から紫色の巨大な気弾を放った。

 

 両者の真ん中でぶつかり合う強力な灰色の光線と巨大な紫色の光弾。

 

 威力はターレスが上、しかしギニューの放った気弾を押し返せず、相殺されてしまった。

 

「…なにぃ! こんなバカな!?」

 

 目を見開くターレスの目の前にギニューが現れ、

 

「…隙ありぃ!!」

 

 右の肘打ちでターレスの顎を打ち抜いて吹き飛ばす。

 

 後方へ弾け飛んだターレスは、咄嗟に地面に片手をついてバク転するとギニューに向けて構える。

 

「…どうだ、ターレスよ! 私もセル殿より修行を受けているのだ!!」

 

 彼の闘い方を見て理解する。

 

 地球で闘ったカカロットの仲間と似た動きだと。

 

 余談ではあるが体術を使って格上と戦う術を持つ地球人は、その身体能力こそサイヤ人やナメック星人に比べて劣るものの。

 

 決して侮れないものがある。

 

 事実、ターレスは知らないがベジータとナッパが地球に襲来した時、クリリンや天津飯やヤムチャはベジータから評価されているのだ。

 

「肉弾戦ーー即ち、体術を私は鍛え上げた。そして気弾の方は、威力の高い技を持って打ち合いを制するのではなく相殺させることを学んだのだ」

 

 正面に現れたギニューにターレスが拳を振りかぶる。

 

 右ストレートを放ったターレスだが、ギニューはコレを紙一重で左に受け流し、相手の懐に踏みこむと軽く右の裏拳をターレスの鼻頭に当てる。

 

「…ぐお!?」

 

 首をのけ反らせて下がるターレス、その背後にギニューが高速移動で回ると背後から空に右足で蹴り上げる。

 

「なにぃ〜!?」

 

 天に向かって飛ばされたターレスより更に速く、ギニューは現れて右拳の打ち下ろしを顔面に叩きつけて、地面へと落とした。

 

 叩きつけられたターレスは、土煙を上げながら立ち上がる。

 

「…ヤツめ、これほどまでの体術を!!」

 

 目の前にはギニューが立っていた。

 

「どうだ、ターレス? これが武術であり、身体能力に優る相手を葬る術だ」

 

「…ふふ、なるほど。大したものだ。確かにパワーとスピードに劣る貴様の動きは俺を翻弄している。その動き、後でカカロットやこの星の奴らから学ぶ予定だった。実戦で覚えられるとは好都合だぜ」

 

「…フハハハ! 実戦で覚えようとは、流石は戦闘民族サイヤ人!! だが、このギニュー様についてこれるかな!?」

 

 ターレスはコレにニヤリと笑うとギニューから距離を置いて両手を胸の前で合わせ、前方に赤い炎の輪を作り上げる。

 

「…無ぅ駄なことをぉ! どれほど強力な気弾を作ろうと、私のミルキーキャノンで全て相殺してくれる!!」

 

 ギニューには自信がある。

 

 彼は地獄でセルやフリーザの気弾を相手にしても成功させたのだ。

 

 ターレスの技などに怯む気は無い。

 

 対するターレスは、ニヤリと笑いながら気を練る。

 

「このキルドライバーは、先のカラミティブラスターよりは威力が低い……。ただし、貴様が相殺できるかは別の話だぁ!!」

 

 この技の特性は打ち合いではなく、攻撃を当てた瞬間に爆発させるタイプの技だ。

 

 触れれば爆発する円形の炎の輪が、ターレスの身を護る盾にも敵を葬る剣にもなる。

 

 ゆえに、ギニューが技の性質を見誤って相殺するための気弾を撃ってくればチャンスだ。

 

 キルドライバーは、ギニューのミルキーキャノンと同じく相手の攻撃を無効化できる。

 

 ターレスはギニューが技を撃った隙に、これを盾にして突っ込めるのだ。

 

「終わりだ、ギニュー!!」

 

 前方に作られた炎の輪が、ギニューを目掛け放たれる。

 

 瞬間、ギニューも紫の光弾を前方へと放った。

 

 相殺する両者の技。

 

 生じた爆煙を目くらましにターレスが拳を握ってギニューに殴りかかる。

 

「もらったぞ!!」

 

 超サイヤ人と化した自分の位置をスカウターで測ろうにも、戦闘力が高過ぎて使い物にならない。

 

 不意打ちは成功するはずだった。

 

 だが、乾いた音と共にターレスの右ストレートはギニューの左側に捌かれている。

 

「……フ、馬鹿め!!」

 

「ぐお!?」

 

 ギニューは左手で右ストレートを側面に捌いた後、絶妙なタイミングで右のショートストレートを顎にぶつけてターレスを吹き飛ばす。

 

「おのれ!!」

 

 弾き飛ばされたターレスは咄嗟に地面に手をついて、姿を消すほどの高速移動を行いながら殴りかかった。

 

 ギニューも余裕の笑みを浮かべたまま、高速移動を行う。

 

 辺りに衝撃波と音が響き渡り、地面がせり上がる。

 

「ぐ!」

 

 ターレスが放った左の回し蹴りは左腕で受けられ、右の後ろ回し蹴りをカウンターで顔を蹴り飛ばされる。

 

 高速移動で体勢を整えながら、右ストレート、左フック、右の回し蹴り等を繰り出すターレスだが、全てをギニューにカウンターで返されていく。

 

 一際、強烈な打撃を受けて首を後方にのけ反らせながら、ターレスは空で姿勢を整えて止まる。

 

 ギニューはターレスから少し離れた位置で腕を組んで笑っている。 

 

「どうだ? 体術は少しは学べたか?」 

 

 勝ち誇った笑みを浮かべる超サイヤ人・孫悟空の姿をしたギニューにターレスはニヤリと返した。

  

「なるほど、ギニュー。貴様は体術を磨いたか。だが、この俺は違うものに注目したのだ。ならば…!!」

 

 再びターレスは胸の前で両手を合わせて広げ、赤い炎の輪を作り上げると放たずに前方に盾のように置く。

 

「まだ続けるのか? その無駄な足掻きを?」

 

 ギニューが再び、左手を突き出し紫の光弾を掌に作り上げる。

 

 更に自分の頭上に両手を掲げて右足を持ち上げ、仰向けにのけ反りながら、灰色の光の球を作り上げる。

 

「フフフ、確かに。この俺のキルドライバーもカラミティブラスターも通じぬとは大したものだ」

 

 ニヤリとしながらターレスは笑う。

 

 これにギニューも笑みを返した。

 

「貴様の技など何一つ通じん。技を合わせただけの即席の攻撃で、このギニューを破れるものか!!」

 

 瞬間、ターレスは冷酷な笑みを強めて告げた。

 

「ならばーー死ねェ!! カラミティ・キルドライバァアアアアアアア!!」

 

 前に一歩踏み出しながら、前方へ頭上に掲げた両手の中の光の球を突き出し、炎の輪の中心を撃ち抜く。

 

 瞬間、灰色の光線は赤い稲妻のような光線へと変化し、ギニューに迫る。

 

「馬鹿め! この程度の技で!!」

 

 放たれる掌からの光弾。

 

 しかし、紫の光弾は紅の光線にあっさりと打ち砕かれる。

 

「なんだと!?」

 

 瞬間、ギニューの目が見開かれた。

 

(ただ単に技を合わせただけではないのか? 技同士を重ね合わせることで元の技の数倍にまで威力がーー!!)

 

 表情を引きつらせながら、ギニューは目を見開いて技を放った姿勢のまま迫りくる真紅の光線を見つめた。

 

「ば、馬鹿なァアアアア!!!」

 

 強烈な爆発が起こり、ターレスの前方にあった全ての物を消し飛ばしていく。

 

 これにターレスはニヤリと残酷な笑みを浮かべて言った。

 

「フフフ。ギニューよ、確かに貴様の体術は学ぶ価値があった。だが、サイヤ人を甘く見たのが貴様の敗因だ」

 

 両腕から紅いスパークを散らしながら、ターレスは笑う。

 

 今の自分は、先の技を一日に一回しか撃てない。

 

 それでも、あの孫悟空をも回避させた光を自分の技にできたことにターレスは満足そうだった。

 

 その横に超サイヤ人・バーダックが立ち並ぶ。

 

「今の技ーーカカロットがベジットって野郎に放った紅い光に似てるな?」

 

「……フン。貴様の息子は、今の技を見て思い出したようにいきなり撃ちやがったんだよ」 

 

「ほぉ? 大したもんだ。セルって野郎には通じなかったみてえだがな」

 

「…何?」

 

 訝し気にバーダックが顔を向けている明後日の方を見ると、いつの間にかセルがギニューの肩を掴んで自分の額に人差し指と中指を立てて当てていた。

 

「貴様の倅の技だーー。瞬間移動という」

 

「……ケッ! 気に入らねえ野郎だ」

 

 微笑みながら告げるセルにバーダックが吐き捨てる。

 

 未だに体力が戻らず、超サイヤ人のままの自分への不甲斐なさもある。

 

「申し訳ない、セル殿」

 

「気にするな。貴様は気を扱う修行をこなしているところだ。それにしても奇妙な技だな? 二つの異なる技を重ねるだけでなく、凝縮して放つとは」

 

 ただ気を練るだけの修行ではあんな風にはできない。

 

 セルは静かにターレスを見やる。

 

「詫びておこう…。どうやら、センスの方は孫悟空とは異なるが負けぬモノを持っているようだ。超サイヤ人の状態で先のような一撃を放てるのだからな」

 

 紳士的な礼にターレスが忌々し気に吐き捨てる。

 

「自分には通じないと言いたげだな?」

 

「…見せてやっても良いが。先の技、この戦いの中ではもう撃てまい?」

 

 見抜かれていた。

 

 そのことにターレスが忌々しそうに表情を歪める。

 

 バーダックも静かに拳を握りながら考える。

 

(さあて、どうするか? ターレスの表情から見るにさっきのとんでもねえ一撃はマジで撃てねえようだ。俺の体力もまだ戻らねえ。このままやり合って、どうやって勝つか…!)

 

 退くことではなく、あくまで勝ちに行く。

 

 それがバーダックという男だ。

 

 だがセルは静かにバーダックではなく、明後日の方を向いて手を広げた。

 

 その手に飛び込むように金色の肌を持った人物が背中から飛び込んで来た。

 

 いや、地面に叩きつけられる寸前でセルが受け止めたのだ。

 

「ふ、フリーザさま!!」

 

 ギニューが目を見開く中、歯を食いしばり、血まみれになった顔を歪ませながら、フリーザは目を見開く。

 

 セルが腕の中のフリーザに告げた。

 

「無事か、フリーザ?」

 

「……ええ。申し訳ありませんね、セルさん。ですが…!!」

 

 怒りに身を震わせながらセルの手から離れて立ち上がる。

 

 燃えるような紅と金が混じった灼金色のオーラを身に纏い、ゴールデンフリーザは目を見開いて天に吠えた。

 

「このフリーザに……!! よくも、よくも恐怖を与えてくれたな……!! 絶対に許さんぞ、虫けらが!! じわじわと嬲り殺しにしてくれる!!!!!」

 

 バーダックとターレスがそちらを向けば、天から仁王立ちのまま強烈な轟音と共に、黄金のオーラを纏った濃紺の道着を着た男が降って来た。

 

 針金の様に硬そうな黄金の髪を天に向けてなびかせ、氷の様に冷たい翡翠に漆黒の瞳孔が現れた目。

 

 整ったサイヤ人特有の端正な顔立ち。

 

 真・超サイヤ人リューベである。

 

 彼は淡々とした表情でフリーザを見据えると静かに腰を落とし、拳を握る。

 

「貴様はーーこの俺に殺されるべきなんだぁああああああ!!!」

 

 強烈な紫の光線を右手に纏わせ、放つ。

 

 全ての気を纏わせた強烈な一撃だった。

 

 ターレスが思わず伏せる中、バーダックは静かに目を細めてリューベを見据える。

 

「……滅殺。ぬぉりゃぁああああ!!!」

 

 リューベは乾坤一擲の気合の声を発した後。

 

 左右で握っていた拳を無造作に前方で上下に組むと掌をフリーザに向け、強大な青白い光線を放つ。

 

「な、なにぃ!? これは、孫悟空のーー!?」

 

 ナメック星で戦ったフリーザに対して放たれたかめはめ波に酷似している。

 

 中央でぶつかる両者の光は、数秒押し合った後にあっさりとフリーザの放った光を打ち砕いてリューベの光が全てを飲み込んで行く。

 

「ば、ばかなぁあああああああ!!!」

 

「ふ、フリーザさまぁああああ!!!」

 

 光に包まれていくフリーザとセル、ギニュー。

 

 リクーム達、ギニュー特戦隊のメンバーが呆然と見守る中。

 

 鬼の放った一撃はあっさりと巨悪を飲み込んでしまった。

 

「な、なんだと? あのフリーザ達を一瞬で……!!」

 

 ターレスが目を見開きながら言うのを聞き流し、バーダックは険しい表情のままでフリーザ達を飲み込んだ光と、それを放った鬼を睨みつけていた。 

 

 




 次回! 惑星サイヤを襲う悪!!

 よろしくお願いします( *´艸`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。