ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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バーダックとターレス。

 そして、リューベの活躍により倒されたフリーザ達。

 その根本を断つために、バーダックが動き出した。


新たなるサイヤの力

 バーダックとターレスの一撃は、亡者の怨念が作り出したフリーザ達を倒すだけに留まらず、惑星サイヤを覆っていた瘴気の霧を全て払った。

 

「…フン。ようやく鬱陶しい霧が晴れたか」

 

 ターレスが鼻を鳴らしながら腕を組んで、超サイヤ人の変身を解いた。

 

 隣でバーダックが黄金のオーラを纏ったまま、翡翠に黒の瞳孔が現れた目で、リューベという己と同じ“真に至った超サイヤ人”の鬼を見る。

 

「フリーザどもは死んだのか?」

 

「……死者が墓場に戻っただけよ」

 

「つまり、時間が経てば復活するんだな?」

 

 目を鋭く細めて問いかけるバーダックに、リューベは何も言わない。

 

 真・超サイヤ人から普通の超サイヤ人になりながら、バーダックにはその沈黙が肯定だと理解できた。

 

「死者の都に行けば、フリーザ達を生み出すふざけたヤツをぶちのめせるんだな?」

 

「……死者共の意志の全てを一つに固体化できれば、あるいは」

 

「なら、とっとと案内しろよ! 俺がやる!!」

 

 真・超サイヤ人になっていられる時間はもうほとんど残っていない。

 

 それでもバーダックは退く気がない。

 

 その目を見た後、リューベは静かに己の脇に向かって波動拳を放った。

 

 次元に裂け目が現れ、その向こうには死者の都と呼ばれる瘴気に満ちた世界が広がっている。

 

 ニヤリと笑うバーダックの肩をターレスが掴み止めた。

 

「おい、貴様まさかこのまま行く気か!?」

 

「…たりめえだろ? テメエはサイヤ王に現状を伝えて来い」

 

「死ぬ気か?」

 

 静かに問いかけるターレスにバーダックはニヤリとした。

 

「元々、死んだような身だ」

 

「……」

 

「じゃあな、ターレス」

 

 それだけを告げ、バーダックは次元の裂け目に自ら飛び込んで行った。

 

 リューベは見届けると、静かに己も裂け目の中に飛び込む。

 

 荒野に残されたのはターレスだけだった。

 

「馬鹿め…! 勝算もない闘いなど死にたがりのやることだ!! 俺は貴様らのような馬鹿な真似はせんぞ!!」

 

 拳を握り、吐き捨てる。

 

「仮初めの体だと? 固体化しているのならば、後は星から出ても無事なようにする方法を探らねばな」

 

 サイヤ王への報告など二の次だと、ターレスは王都に向かって歩くのではなく、別の方角へ向けて飛び立った。

 

ーーーー

 

 王都の神殿では、プリカが目を見張っている。

 

「これは…! どうして? 死者の都の霧が晴れた? バーダックさんとターレスさんが?」

 

 瘴気の雲と霧に覆われた世界が、一気に晴れ渡る青空に支配されたからだ。

 

 この世に溢れていた常世の霧が消え、亡者達の気も失せている。

 

 呆然としながらそれを感じていると、女官達が彼女に向かって走って来た。

 

「プリカ様! 大変です、ターニッブ様達が!!」

 

 その言葉にプリカは一もニもなく駆けだした。

 

 神殿の寝台で“真の超サイヤ人”に至った戦士達は、力を使い切って体を休めていた。

 

 巫女の祈りで体力は回復しているはずだが、未だに目を覚まさない彼らに変化があったとすれば。

 

 最悪の可能性を考えながら、プリカは寝台室に訪れた。

 

 王都に流れる清らかな水は、神殿より溢れている湧き水からなっている。

 

 その湧き水の傍にある寝台にターニッブ、孫悟空、ベジータ、ブロリーは寝かされていた。

 

「これは……!!」

 

 プリカをして驚愕する。

 

 彼らは眠りながらも圧倒的な気を纏い、力を高めていっている。

 

「プリカ様、一向に目覚める気配はありませんが。これは一体…!」

 

「……夢を見ているのです。四人のサイヤの戦士達は同じ夢を見ながらおそらく、修行を……!!」

 

 信じられないという表情でプリカは眠っている四人を見ている。

 

 体を休めながらも、彼らは闘うことをやめていない。

 

 感じる力は、どんどんと大きくなっている。

 

「この人たちは、どうしてここまで闘うの?」

 

 思わずプリカはターニッブの前に歩み寄り、その頬を撫でる。

 

「貴方はどうして……?」

 

 無防備な彼にだからこそ、プリカも己の本心を隠さずに済む。

 

 愛おし気に彼女はターニッブの頬を撫でた後、彼の右手を自分の両手で掴んでいた。

 

ーーーーー

 

 孫悟空とベジータ、ターニッブとブロリーはプリカの言うとおり、夢の世界で修行をしていた。

 

 漆黒の世界。

 

 互いの存在ははっきりと見えるが、それ以外は上も下も右も左もない黒の世界。

 

 不思議な空間だった。

 

 四人は目の前に現れた三人の戦士達と修行をしている。

 

「…はぁ、はぁ、参ったぜ…! ここまで力の差があるなんてよ…!!」

 

 蒼い髪の超サイヤ人ーー超サイヤ人ブルーに変身した悟空が肩で息をしている。

 

 今の彼は亀仙流の道着ではなく、少し前にウイスからもらったデザインの山吹色の道着と、青色のマジックテープタイプのブーツを着ていた。

 

 隣ではベジータも蒼い髪の超サイヤ人になりながら、肩で息をしていた。

 

 彼も漆黒のフィットネススーツの上下に、新しいデザインのバトルジャケットを着ている。

 

 この惑星に来た時に着ていたタイプの戦闘服ではない。

 

「どうしたよ、オメエの力はこんなもんじゃねえだろ? こんなことでへばるほど甘い鍛え方、俺ならしてねえはずだぜ?」

 

 相手は自分たちと似て非なる存在。

 

 大猿を思わせる赤い体毛を持った上半身は裸で、下半身は山吹色の道着を着ているが靴はブルーや亀仙流のブーツではなく、ズボンの裾を青色の布で巻いた漆黒の靴。

 

 尻からは上半身と同じ、赤い体毛のサイヤ人特有の尾が伸びている。

 

 肩から背中まで伸びた長くつややかな黒髪。

 

 赤い隈取が浮かんだ瞳は金色で、漆黒の瞳孔が現れている。

 

 超サイヤ人4・孫悟空だ。

 

「情けない! 過去とは言え、それでも俺か?」

 

 その隣には、悟空と同じく漆黒の髪を背中まで伸ばし、赤い隈取と翡翠の瞳に漆黒の瞳孔が現れた目を持つ、革の長ズボンを履いた男。

 

 超サイヤ人4のベジータが腕を組んでいる。

 

「…なんだと!? おのれ…!! 基本戦闘力が俺達より高いからっていい気になりやがって…!!」

 

「フン! 神の力とやらに目覚めたことでパワーアップの方は超サイヤ人4と変わらんが、いかんせん貴様らの基本の戦闘力が低すぎる!!」

 

 未来の自分にダメ出しをされて怒り心頭のベジータを悟空が抑える。

 

「落ち着け落ち着け、ベジータ! アイツ等は未来のオラ達じゃねえか!!」

 

「オメエもだ、ベジータ。実際大したモンじゃねえか? パワーアップ自体は俺達と変わんねえんだからよ? 基本の戦闘力が互角だったらいい勝負になってるぜ。アイツら、俺達よりずっと若けぇのによ」

 

 超サイヤ人4の悟空の言葉に、超サイヤ人4のベジータがイラついたような顔になる。

 

「頭にくるぜ…! あんな変身がまだあったとはな…!! あれがあれば、俺はもっと……!!」

 

「なんだ、貴様? 超サイヤ人ブルーの力が羨ましいのか!?」

 

 忌々しそうに告げる超サイヤ人4のベジータに、超サイヤ人ブルーのベジータが勝ち誇った笑みを浮かべる。

 

「調子に乗るなよ!! 今の貴様の戦闘力では、その変身をしたところで超サイヤ人4の俺を超えることはできん!!」

 

「俺達サイヤ人は戦闘民族だ!! この空間では何故か真・超サイヤ人になれないとはいえ、すぐに基本戦闘力も貴様に追いついてくれる!!!」

 

「やってみろ、このクソッタレ!!」

 

「ほざいたな、クソッタレが!!」

 

 金色のオーラと水銀のオーラを纏い、吠え合いながら殴り合う二人のベジータを二人の孫悟空が頭を掻きながら見ている。

 

「なんで自分同士なんに仲悪りぃんだ、オメエ等」

 

「…しょうがねえな、まったく」

 

 超サイヤ人ブルーの悟空と超サイヤ人4の悟空は互いに顔を見合わせて溜め息を吐いた後、拳を握って構える。

 

 互いに同時に拳を繰り出し、ぶつけ合う。

 

「オラが真・超サイヤ人になれたら、オメエに追いつけるんだけどな…!!」

 

「…それじゃ意味ねえだろ? オメエ達は真・超サイヤ人の力に頼り過ぎてぶっ倒れてんだからな」

 

 高速移動しながら、拳と蹴りを繰り出し合う両者。

 

 全体的に超サイヤ人4の方が攻撃力や反応速度が上のようだが、超サイヤ人ブルーには冷静な判断能力がある。

 

 仮に基本戦闘力が互角ならば、圧倒的なパワーと身体能力に物を言わせる超サイヤ人4と冷静な判断力と洞察力で弱点を見抜く超サイヤ人ブルーで、いい勝負になっただろう。

 

 超サイヤ人4の悟空に諭され、超サイヤ人ブルーの悟空が構えながら頷く。

 

「ああ。やっぱ、オメエと同じくらい基本状態の能力が強くなんねえとダメっちゅうことか!!」

 

「神の気なしの状態で、な?」

 

 ウインクしてくる超サイヤ人4の自分に苦笑して、超サイヤ人ブルーの悟空は拳を構える。

 

 超サイヤ人4の悟空は一瞬だけ変身を解除し、ノーマルのサイヤ人の状態に戻る。

 

 青色の道着の上に白い帯を腰で巻き、山吹色の道着のズボン。

 

 青色の布をズボンの裾に巻き、漆黒の革靴を履いている。

 

 白色のオーラを身に纏い、未来の悟空は素の状態の自分の気を最大にまで引き上げた。

 

 これを見て超サイヤ人ブルーの悟空は目を見張る。

 

「オメエ…! 神の気を使わねえ、素の状態でチビの魔人ブウと同じくらいのレベルなんか…!!」

 

「そゆこった。ベジータもそうだぞ?」

 

「…参ったな。こりゃホントに、相当鍛えねえとダメってことか!」

 

 拳を握り締める超サイヤ人ブルーの悟空に対し、超サイヤ人4に再び変身した未来の悟空は拳を握って構える。

 

「さぁて、そんじゃとことん闘ろうぜ?」

 

「…時間はあんまりねえけんどな!!」

 

「だったら、早ぇとこ俺に追いついてこい!! この俺を倒して自分のモノにしてみせろ! この超サイヤ人4を!!!」

 

「”真・超サイヤ人”の力を更に引き上げるには、それしかねえ! いくぜぇえええ!!!」

 

 ぶつかり合う超サイヤ人ブルーと超サイヤ人4の悟空。

 

 空に軌跡を描きながら、金色と水銀の光が螺旋を作る。

 

 ハイスピードの打撃の応酬はやはり、基本値で負けているブルーの悟空が不利だ。

 

「パワーもスピードも負けてる! だったら、10倍界王拳だぁ!!」

 

 ブルーの悟空は水銀のオーラの上に真紅のオーラを纏い、己の力を底上げしてみせた。

 

「お? こいつはすげえや」

 

 超サイヤ人4の悟空は、その変化に喜び殴り合う。

 

 今度は打ち負けずに互角の勝負を展開する二人の悟空だが、ブルーの悟空は己の肉体が悲鳴を上げているのを感じ取る。

 

「やっぱ、ブルーでも10倍界王拳は短時間しか無理か! 一気に決めっぞ!!」

 

 超スピードで打ち合いをしながら、互いに拳を繰り出して離れる。

 

 腰だめに両手をたわめた構えは、奇しくも同じ技。

 

「オメエ…!!」

 

「フ…、10倍なら俺も10倍の技を撃たなけりゃな? 10倍!!」

 

 同時に両手を相手に向けて突き出す。

 

「「かめはめ波ぁあああああ!!」」

 

 ブルーの水銀の気を溜めて放たれた気功波と、超サイヤ人4の紅い気を溜めて放たれた気功波がぶつかり合う。

 

 その隣では、3メートルを越える超サイヤ人4のブロリーが、超サイヤ人のターニッブと伝説の超サイヤ人となったブロリーを相手にとって闘っていた。

 

 強烈な右の拳の一撃に、ターニッブは超サイヤ人となった顔をのけ反らせながら耐える。

 

「…凄まじい強さだ。だが!!」

 

「フン! 俺ではない俺が認めた男が! この程度なら拍子抜けだぁ!!」

 

 白い道着の黒帯を締め、気合を入れて超サイヤ人のターニッブが踏み込む。

 

 ぶつかり合う両者の拳。

 

 その一撃に超サイヤ人4のブロリーは嬉し気に笑みを強めた。

 

「そうだ!! 俺が認めたのなら、貴様はそうでなければならん!!」

 

「ありがとう、友よ! 俺はお前のおかげで更に強くなれる!!!」

 

 横から伝説の超サイヤ人となったブロリーが割り込む。

 

「ターニッブだけを鍛えはしないだろうな? 違う俺よ!!」

 

「分かっている…! 貴様も超えろ……!! この俺を手に入れてなぁ!!!」

 

 ぶつかり合う巨漢のサイヤ人二人。

 

 高まり合う。

 

 サイヤ人達の闘い。

 

 彼らの口元には、笑みが刻まれている。

 

 強くなる己に。

 

 強くなる相手に。

 

 高まり続ける強さに。

 

 彼らは心から喜んでいる。

 

 別次元の彼らにとっても、真・超サイヤ人となったベジットの力は脅威だった。

 

 それを真っ向から破った自分達に、彼らは望んだのだ。

 

 自分たちを更に強くしたいと。

 

 その望みが、死者の都に反発するサイヤの意志を通じて、悟空達の夢の中に現れた。

 

 強さに果てはない。

 

 そんなことさえも楽しんでいるようにサイヤ人達は、互いの力を認め合い高め合っていった。

 

ーーーー

 

 街道を空を飛んでいたターレスは、静かに己の眼下に広がる町や山を見つめていく。

 

「…サイヤ人が同族同士でいさかいもなく、平和に暮らしているとはな。俺達の世界とは全く違うって訳か」

 

 静かに湖に降り立ち、水を口に含む。

 

 冷たく美しい水は、飲めば生き返るような気がした。

 

「この味、この空気を感じる体が仮初めとはな。まったく、笑かしてくれるぜ。宇宙を股にかけるクラッシャー軍団のこのターレス様が……!!」

 

 無様なもんだ、と己の姿を湖に写し見る。

 

 ターニッブやガーキン達と同じ、サイヤの衣装と思われる白い道着のズボンに破壊されたバトルジャケットのブーツを履き、手には同じく灰色のバトルジャケットのグローブを付け、黒の半袖シャツの上に灰色のチョッキを着た己を。

 

 この惑星でだけ生きていくのならば、支障はない。

 

 死者の都という問題はあるが、そいつが消えれば自分も消えてしまう可能性があるらしい。

 

 だからといって生み出されたフリーザ達と手を組むつもりもない。

 

 ターレスは静かに考える。

 

 自分が生き残れる可能性を。

 

 あのリューベの姿に何か、引っかかるものを感じるのも事実だ。

 

 自分が生き残る可能性は、もしかしたらあの鬼が知っているのかもしれない。

 

「……フン。どうしたもんか」

 

 死者の都に行くにはサイヤ王の宮殿に行かねばならない。

 

 鍛練場から死者の都への階段は降りていた。

 

 だが。

 

「カカロット達が目を覚ませば、死者の都で激しい戦闘が行われる可能性が高い。そいつに巻き込まれるのはごめんだ」

 

 実際に悟空の姿をしたギニューとやりあったが、今の自分では辛うじて倒せるレベルでしかなかった。

 

 相手のギニューも超サイヤ人であったが。

 

 他の連中は更に上のレベルだ。

 

 そんなものと闘って来たという孫悟空やベジータには、異常だという感情しか湧いてこない。

 

 確かにサイヤ人は戦闘民族ではあるが、命を捨ててまで戦おうとする者などそうはいない。

 

「勝てる見込みのない勝負に挑むなど、馬鹿のすることだ」

 

 ターレス自身の信条である。

 

 彼は悟空やバーダックと同じ、最下級戦士の出身だ。

 

 使い捨てである彼にとって、神精樹の実は正に渡りに船だった。

 

 フリーザの目を盗んでは星を壊して喰らい、強くなっていった。

 

 だがーー先ほど見たフリーザはそんな次元のレベルではなかった。

 

「神精樹の実ももはや、俺の力を引き上げるのには間に合わんか。そんな程度の引き上げでどうにかなるようなレベルではなかった」

 

 そんな彼の目にあったのは、超サイヤ人の“真”の姿だ。

 

「…アレに至ることができれば、俺はこの宇宙を支配することも不可能ではない…!!」

 

 なんとかして、あの力を手に入れたい。

 

 その後で、セルが言っていたドラゴンボールとかいうのを使って仲間を復活させれば、クラッシャー軍団の復活などすぐにできる。

 

 まずは“真”への目覚めをどうすればよいか。

 

 ターレスは考え始めた。

 

「…サイヤ王に聞くのが一番早い、か」

 

 そんな結論が出て、ターレスは面倒そうに王都へと帰っていった。

 

ーーーーーー

 

 神殿の中では、金色の光に包まれて寝かされた四人のサイヤ人の状態を、皆が不安げに見つめている。

 

 気が高まっていくのが、プリカでなくても分かる。

 

 それほどまでに圧倒的な成長だった。

 

「…こんなことが。眠りにつきながら、基本戦闘力を上げて来るなんて。一体、夢の中でなにを…!?」

 

 驚愕の表情になるプリカの手を、ゆっくりと誰かが握り返してきた。

 

「…ターニッブ?」

 

 驚きながら、そちらを見ると燃えるような炎を閉じ込めた漆黒の目が、プリカを見てきた。

 

「…お嬢様。治療ありがとうございます。ご心配をおかけして申し訳ありません」

 

 ゆっくりと起き上がり、ターニッブは掴まれていた右手を掴み返した後に、離した。

 

「…あ」

 

 思わず寂しげな声を上げるプリカにターニッブが気づくことはない。

 

 彼は静かに己の掌を見つめると立ち上がる。

 

 すると、ブロリーが次に目を覚ます。

 

「…目覚めたか、ブロリー」

 

「ああ。手に入れたぞ、新たな力をな!!」

 

 邪悪な笑みを浮かべて笑うブロリーに、ターニッブも清々しい笑みを返す。

 

「あの姿を自分のモノにしたのか、大した奴だ!!」

 

「…よく言う。超サイヤ人のままで、その境地を超えた男が」

 

 言うブロリーの表情は、楽しげだ。

 

「…ん! くああ〜! よく寝た〜!!」

 

「アレから丸二日は寝たからな」

 

 隣では悟空とベジータが、目を覚ましてきた。

 

 二人は肩を動かしながら、体の動きを確かめる。

 

「…尻尾は生えてねえが。変身すると生えるみてえだな」

 

「本来は、生えていないと成れんらしいが。死者の都とはデタラメな法則があるようだな」

 

 二人はそんなことを述べあいながら、ターニッブとブロリーの下に歩いて来る。

 

「…悟空にベジータ。無事だったか」

 

「へへっ! オメエ達もな。ターニッブ、ブロリー!」

 

 互いに笑いあう。

 

 誰かの腹の虫が鳴き始めた。

 

「…クス。今から、神殿の料理を振舞います。たっぷりと食べてくださいな」

 

 プリカの言葉に悟空が飛び上がった。

 

「やったぜ、飯だ!! 早いとこ、食って一気に回復しねえとな!!」

 

「夢の中で会った俺たちが言っていたな。バーダックが死者の都に殴り込みに行ったと。急がねばな」

 

 ベジータの言葉にプリカが目を丸くしてターニッブを見ると、彼も静かに頷いていた。

 

「父ちゃんを助けるにも、まずは飯だ! じゃんじゃん持って来てくれー!!」

 

 底抜けに明るい悟空の声が、神殿に響いていた。

 




次回。

集え、サイヤの戦士達。

ご期待ください(´ー`* ))))
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