ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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死者の都に殴り込んだバーダック。

 しかし、真・超サイヤ人に至った反動ですぐにその場で気を失う。

 そんな彼の前に、死者の魂を喰らい生者を滅ぼそうとする惑星の意思が取った姿とは。

 サイヤの民を守るため、自らを鬼と化した超サイヤ人の戦いが始まった。


孫悟空とターニッブ

 死者の都。

 

 緑がかった灰色の空に浮かぶのは、真紅の満月。

 

 超サイヤ人となったバーダックは荒野に降り立った。

 

「…この月。こいつが死者の都ってヤツの本体なのか?」

 

 問いかける先には、静かに月を睨み上げる濃紺の空手着を着た金髪に翡翠の瞳の鬼。

 

 こちらを見ずに静かに天を見上げている。

 

「おい!!」

 

「…うぬ一人では足りぬ」

 

「なんだと!?」

 

 静かに腕を組み、リューベは月を見上げたまま石像の様に動きを止め、雷が鳴るような低い声で言葉を紡いだ。

 

「うぬの力だけでは足りぬ……。彼の者は惑星の意思そのもの。何万年、何億年の時を積み重ねて得た力の全てを一つに固体化した存在を相手するには、うぬだけでは事足りぬ」

 

「…テメエは? テメエの力でも足りねえのか?」

 

「……」

 

 何も語らないリューベの態度にバーダックは目を鋭く細めた。

 

「…ケッ、そうかよ」

 

 倒せるのならば、とっくに倒している。

 

 そういうことなのだろうとバータックは理解した。

 

「…!?」

 

 ふと、眩暈を感じた。

 

 強烈な脱力感と眠気。

 

「こ、こいつは……!!」

 

 力を使い切ると眠くなると言っていた息子の言葉を思い出す。

 

 真・超サイヤ人に至った反動が来たようだ。

 

「…反動か。眠れぃ!」

 

 リューベの言葉に導かれるように、バーダックは気を失った。

 

 リューベは荒野に無数にある巨岩の一つを選び、その上にバーダックを仰向けに寝かせた後、再び天を見上げた。

 

「……ようやく来るか」

 

 リューベの呟きと同時、月が漆黒の気を固めていく。

 

 死者の都に浮かぶ霧が。

 

 瘴気のすべてが紅い月に吸収されていく。

 

 拳を握り、静かにリューベは黄金のオーラを身に纏う。

 

「……数多のサイヤ王の命を御柱に作り上げたこの拳。うぬに破れるか!!」

 

 万物必滅の拳の前に現れたのは、漆黒の大猿だった。

 

ーー サイヤ人よ、滅びるが良い。己の種族の力で ーー

 

「……滅ッ!!」

 

 破滅の意志が具現した。

 

 神をも凌駕する漆黒の大猿と、“真”故に鬼となった超サイヤ人との闘いが始まる。

 

 漆黒の肌と濃い赤茶色の毛を持つ大猿は、赤い目をぎらつかせながら牙をむき出しにしてリューベに巨大な拳を振り下ろす。

 

 その一撃は、破壊神の一撃に匹敵するほどに強大なものだった。

 

 しかしリューベは、その巨大な拳を軽々と左手で掴み止めてみせた。

 

ーー ぐるぁああああっ!! ーー

 

 聞くものを恐怖に叩き落とすかのような恐ろしい咆哮を聞いても、鬼には何の変化もない。

 

 否、冷徹な無表情から激しい憤怒の表情に変わる。

 

「この程度で我を倒す? 愚かな…! 失せよ!!」

 

 右の拳を握り締め、あっさりと懐に飛び込むと強烈な一撃を腹に決める。

 

 まともに撃ち抜かれ、大猿の巨体が宙に浮きながら吹き飛ぶ。

 

 しかしリューベが空を飛んで、もう一撃と左の拳を放つと、大猿の巨体はその場から煙のように掻き消えた。

 

「……笑止!」

 

 裏拳を背後に向けて放つと強烈で巨大な拳がぶつかる。

 

ーー おのれ、真・超サイヤ人…!! ーー

 

 禍々しい紅の目を細め、唸る大猿にリューベも鬼の咆哮を返した。

 

「如何にも! 我こそ、真なるサイヤ人なり!!」

 

 巨大な大猿の拳を弾き飛ばしバランスを崩させると、リューベは強烈な回し蹴りを大猿の顎に決めて後方に吹き飛ばした。

 

 背中から地響きを立てながら倒れる大猿を見つめ、地面に降り立って気合を入れ、腰だめに構える。

 

「御霊を食らう星の意思よ! うぬの無力さ、我が拳にて思いしれぃ!!」

 

 真に至りし超サイヤ人は、無限に高まる己の気を更に上げて。

 

 殺意の拳を振りかざした。

 

 体を横にして休んでいたバーダックは、リューベから発せられる真・超サイヤ人の気を無意識に吸収し、最低でも数日は寝込む睡眠から目を覚ます。

 

「…? なんだ、大猿だと? 普通のタイプじゃねえようだが」

 

 目を開けて見れば、大猿はその巨体に似合わず華麗に空を飛び、強烈な拳と蹴りを放ち、手から気弾も放てるようだった。

 

 超スピードで移動するだけでなく、時たま実体がなくなるように霧のように消えて移動する。

 

 パワーもスピードも大きさも桁違いの強敵だった。

 

「バケモンみてえな黒い大猿。…それを軽々とぶちのめすのかよ。あの強さ、正に鬼だ」

 

 百戦錬磨のバーダックをして唸るほどに強い。

 

 霞のように巨体が消え、背後の頭上から体重を乗せて拳を打ち下ろして来る大猿を、リューベは簡単に飛び上がりながらのアッパーカットーー昇龍拳で顎を打ち抜いて、のけ反った相手に素早く逆の拳を打ち下ろして地面に叩き落とす。

 

「…滅殺豪昇龍!!」

 

 叩きつけられた巨体は再び霞のように実体を消して巨大な拳や蹴りを繰り出してくるも、リューベは反応し逆にカウンターを取って、巨大な大猿を相手に殴り合いを制する。

 

 たまらず距離を取り、両手と口から光を生じさせ、大猿は自分の体よりも大きな紅い光をリューベの正面に放つ。

 

「…滅殺豪波動!! ぬぉりゃあああ!!!」

 

 リューベは、気合いと共に突き出した両手から青白い光を放ち、大猿の光をあっさりと撃ち抜くとそのまま巨体を光に飲み込ませ、後方へ吹き飛ばした。

 

「…グガァァァァアッ!!!」

 

 悲鳴を上げて光が爆発し、背中から地面に叩きつけられる大猿。

 

 バーダックは目を細めながらリューベの戦いを見つめて頷いた。

 

 何百年と生きるとされる彼の力は、真・超サイヤ人のベジットやゴジータとも戦えるレベルだ。

 

(逆に言えば。それだけの力をもってしても倒せなかった”惑星の意思”ってヤツが、このまま終わるとは思えねえな)

 

 自分の考えに更に頷きながら、バーダックは真・超サイヤ人リューベの気を吸収することに専念する。

 

 一刻も早く、己もこの闘いに参戦するために。

 

ーーーーーーーーー

 

 破壊神ビルスの居城にて。

 

 中庭で散歩しながら、ビルスは付き人ウイスの水晶を使って、惑星サイヤにある“死者の都”を見ていた。

 

 映されているのは、巨大で禍々しい黒い大猿。

 

 黄金のオーラを全身に纏い、拳から血のように紅い光を放つ超サイヤ人。

 

「…ねえ、ウイス? リューベの強さで倒せない敵なんか居るの? いくら星の意思が数億年のものとはいえ。事実、力の差は圧倒的じゃない?」

 

「そうですね。リューベは強さだけならばビルス様はおろか、私に迫るものがある。そんな彼が、なぜ一つの惑星の意思ごときを倒せないのか。私も疑問でした。しかし、おそらくは…」

 

「なんだ? …純粋な戦闘力だけなら、この僕をも上回る奴が倒せない理由だと?」

 

 ビルスが自分よりもリューベの実力が上であることを素直に認めたことに、ウイスは少し驚いた表情になった後、続けた。

 

「おそらく。ビルス様ならば造作もなく大猿を“破壊”できるでしょうが。リューベは残念ながら、ただ強いだけ。“対象を破壊する”力ではなく“敵を倒すだけ”の拳なのです。肉体を打ち倒すことはできる。魂を滅ぼすことはできる。しかし、惑星の意思は存在を消さねば足りない」

 

 瞳を閉じ、ウイスは一度言葉を止める。

 

「それにーー」

 

 ウイスが言葉を続けようとするのをビルスが告げた。

 

「ーー惑星の意思を破壊すれば、惑星が死ぬ可能性もあるね? 最悪、惑星サイヤそのものが滅ぶ」

 

「ええ。ですから、リューベにも何か考えがあるのではと踏んでいます」

 

 フムと猫の瞳を細めて、ビルスは静かに“怨念の塊”と“殺意の鬼”の戦いを見据える。

 

「…さっさと終わらせて来い。でないと僕が君と遊べないじゃないか」

 

 水晶に写る超サイヤ人の戦鬼を見据え、破壊の神は静かに目を細める。

 

 もはや、ビルスの頭の中にはリューベに戦いを挑むことしかない。

 

「ビルス様?」

 

「ウイス、悪いんだけど。この鬼は僕がもらうよ…!!」

 

 目が本気だった。

 

 思わずウイスが自分の頬を撫でる。

 

(フゥム…。相当、溜まっていらっしゃるんですね~。サイヤの戦士たちの戦いを見て、ご自分も参加したがってましたしねぇ。ベジットと悟空さん達の戦いを見たのがとどめになってしまいましたか。まあ、仕方ありません…)

 

 ビルスにとって、全力で戦える相手などウイスとシャンパ以外にはいない。

 

 そんな彼にとって、自分の全力を試すには絶好の相手がいる。

 

 サイヤの鬼神と惑星の意思との戦いに乱入しないだけでも奇跡だった。

 

「きちんと言いつけをお守りくださっているようですし。仕方ありませんね…。この戦いが終われば共にサイヤに参りましょう」

 

「当然だ…。これ以上のお預けはごめんだよ」

 

 淡々とした表情と口調で告げるビルスの態度に、ウイスは苦笑を漏らした。

 

 どうやら、本当にいろいろと限界のようだ。

 

ーーーーーーー

 

 そのころ、サイヤの神殿では。

 

 サイヤ王・ジュードとガーキンの前で食事を続ける悟空とベジータ、ブロリーが居た。

 

 出される料理は次々と彼らの胃袋の中に消えていく。

 

 彼ら三人とは違い、ターニッブは質素倹約というべきか。

 

 ジャガイモ二個と干した肉を二切れ食べた後は、腹を落ち着かせる為だと瞑想を行い気を高めて波動を練っている。

 

「ご、悟空にベジータにブロリーよ。まだ食べるのか?」

 

 ジュードの問いかけに三人はそれぞれ、悟空は大きな焼き飯を。

 

 ベジータは巨大なラーメンを。

 

 ブロリーは骨付きの肉を。

 

 口に食べ物をいっぱい頬張りながら無言で頷いた。

 

「そ、そうか……。食べ過ぎには注意しろよ? すぐに動けんぞ?」

 

 ジュードの言葉にウンウンと頷きながら食事を再開する、惑星ベジータ生まれのサイヤ人三人。

 

「俺たちも同じサイヤ人だが、ここまで食うのかよ…」

 

「…フ、頼もしい限りだ」

 

「そうゆうもんかぁ?」

 

 ガーキンが呆れたような表情になる隣で、ターニッブが満足そうに微笑みを浮かべている。

 

 しばらくして悟空が目を見開いた。

 

「ぷはー、食った食った!」

 

 それを合図にするかのようにベジータとブロリーも同時に食事を終えた。

 

 腹を二回叩いて満足そうに笑う悟空に、ターニッブが語り掛けた。

 

「どこまでも際限なく変身するお前の強さの源は、その飯の量なのかもしれんな」

 

「へへっ! オメエもだ、ターニッブ。ただの超サイヤ人でブルーや4のレベルまで極めちまうなんてよぉ。オラ頭が下がるぜ」

 

「お互い様だ」

 

 互いに笑いあう同じ顔をしたサイヤ人。

 

 ベジータとブロリーが顔を見合わせる。

 

「…奴らめ、完全に俺たちの事を無視しやがって」

 

「ふん、構わんさ。俺たちが奴らよりも強ければ良いだけだぁ」

 

「…確かにな」

 

 ニヤリとする二人のサイヤ人。

 

 ガーキンが呆れたような顔になる。

 

「…呆れるくらいにお前ら、よく似てやがるぜ」

 

「まったくだ。兄弟のようだぞ、お前達四人」

 

 ガーキンの言葉にジュードも頷く。

 

 隣ではプリカも微笑んでいた。

 

「…悟空。頼みがあるんだが」

 

 ターニッブが悟空の目を真っ直ぐに見て告げた。

 

 これに悟空もニヤリと笑い、ベジータとブロリーがため息を吐いた後互いを見合う。

 

「…その言葉、待ってたぜ! ベジータ、ブロリー! 先に死者の都に行っててくれ。オラはターニッブと一本だけ組み手する」

 

「…ふん。俺とブロリーが終わらせていても文句は聞かんからな!!」

 

 悟空の言葉にベジータが、不機嫌そうに吐き捨てるとブロリーもニヤリと笑う。

 

「…カカロット、ターニッブ。お前達が強くなれば俺とベジータも更に強くなる。忘れるなよ」

 

 その言葉に悟空とターニッブは同時に頷いた。

 

「…しょうがねえ。ターニッブと悟空の組み手、立会いはこのガーキンがやるぜ。構わねえな、ジュード」

 

 ガーキンの言葉にジュードはにべもなく頷いた。

 

「無論だ、お前を置いて他にあるまい。プリカ、我らは死者の都に行くとしよう。ベジータとブロリー。それにバーダックの援護をせねばならん」

 

 これにプリカは少しだけ、ターニッブを見た後にジュードに向き直り、頷いた。

 

「父ちゃんなら、心配要らねえさ。なんたってオラの父ちゃんだかんな! 今頃、真・超サイヤ人に目覚めてんじゃねえかな!!」

 

「…んなこと、根拠もなく言うなよ」

 

 気楽な悟空の言葉にガーキンが思わず半目になって口にした。

 

 そんな簡単に至れるなら、誰にでもなれるじゃねえかと言いたげである。

 

ーーーー

 

 ベジータとブロリー、ジュードとプリカが死者の都に降りていくと同時。

 

 孫悟空とターニッブ、そしてガーキンは鍛錬場へと来ていた。

 

 静かに山吹色と白色の道着を着た同じ髪型、同じ顔のサイヤ人が向かい合う。

 

 それにガーキンは笑みを強めた後、二人の間に審判のように立った。

 

「さぁて、そんじゃ立ち合いを始めさせてもらうぜ? 有効打を先に一撃入れた方が勝ちだ、いいな?」

 

 ガーキンの説明にターニッブが頷き、悟空が笑う。

 

 そして悟空とターニッブは互いに睨み合う。

 

 ターニッブが静かに右の拳を握って悟空に突き出してきた。

 

「俺の拳を試すか!」

 

 これに悟空もニッと笑った後、右の拳を合わせると、バックステップで距離を取り、構えを取りながら告げる。

 

「来い、ターニッブ!!」

 

 これにターニッブも口の端を歪めた後、超サイヤ人に変身しながら拳を戻して構えた。

 

 両の拳からは青白い雷光が漏れている。

 

 悟空も目つきを鋭くしながら超サイヤ人ブルーに変身した。

 

 青白い燐光が孫悟空の全身を包み込み、剥がれていくと着ている道着が変化する。

 

 亀仙流の山吹色の道着の上シャツには胸と背に「悟」のマークが入り、青のインナーシャツと帯をつけ、履いている黒いブーツには赤い紐を通したモノから。

 

 ウイスに渡された青色のマジックテープで止めるタイプのブーツ、青い帯を山吹色の道着の上から絞める青いインナーシャツから、地肌の上に着る一般的な道着タイプに変化していた。

 

「悟空の奴、着てる道着まで変化するのかよ」

 

 思わずガーキンが呟くと、悟空は静かに告げた。

 

「ああ。夢の中で別次元のオラと修行してたらよ、オラの体はそいつら自身に変身できるように変わったのさ」

 

「…“魂に合わせて肉体が変化する”ようになったっていうのか? それって……!!」

 

「死者の都の力って奴と真・超サイヤ人が、オラやベジータ。ターニッブやブロリーを作り変えたんだろうな」

 

 ガーキンに応えながら自分の手を見下ろし、悟空は己の変身の中で固体化した“己”を見据える。

 

 超サイヤ人ブルー。

 

 その変身は、他の超サイヤ人とは違うものだった。

 

 だからこそ、固体化もしやすかったのだろう。

 

 そしてーーもう一つの“己”。

 

「まさか神の気を纏わず、サイヤ人の力を限界まで引き出すだけで“神の域”に踏み込める変身があったなんてな」

 

 別次元の自分に改めて敬意を表すと同時に、その力を己に取り込めたことも誇りであった。

 

 別次元の孫悟空の力のすべてを、今の自分は手に入れている。

 

 それがどういうことなのかというと。

 

「感じられる悟空の気が、桁違いに上がってやがる……! それも半端な上がり方じゃない……!!」

 

 ガーキンの言葉どおり、それは尋常ではない。

 

 わずか数日の間、眠っていただけだ。

 

 なのに、今の悟空はレベルがあまりにも違う。

 

 神の気を纏わないでも、神のレベルに近い域にまで達しているのだ。

 

 そんな次元にある悟空が、超サイヤ人とゴッドの気を同時に纏った超サイヤ人ブルーに変身すれば。

 

「間違いねえ。今のオラはーー!」

 

 拳を握り、天を見上げて思い描くのは遥か遠い破壊神のいる居城だ。

 

 何故か悟空には、あの破壊神と付き人が自分を天から見下ろしているような気がした。

 

 水色に輝く己を見下ろし、悟空は静かに拳を握る。

 

「ようやっと、ビルス様に闘いを挑めるレベルってことか…!!」

 

 笑う悟空は目の前に居る金色の気を纏うサイヤ人を見据える。

 

 その力はただの超サイヤ人でありながら、ブルーの自分よりも少し上のレベルだ。

 

「…ターニッブ。オメエ、ホントにすげえな」

 

「お前ほどじゃないさ。孫悟空よ、お前が先を進んでくれるから俺も前に進むことができる!!」

 

「オラとオメエは、違う道を歩んでる。でもよ、きっと目指すものは同じなんだろうなぁ」

 

 そんな悟空にターニッブも笑う。

 

「ああ、きっとな! だからこそーー」

 

 笑うのを止め、真剣な表情で口を引き結び構えるターニッブ。

 

「全力で行くぞ!! オメエが、リューベとの約束を果たすためにもなぁ!!」

 

 対峙する悟空も水銀の光を身に纏い、拳を握った。

 

「本気を出せ、孫悟空!!!」

 

「なら、行くぜェええ!!」

 

 地を駆ける悟空は右の拳を振り切った。

 

 対峙するターニッブも右の拳で受け止める。

 

 僅かに地面から浮き、空中で動きを止める悟空。

 

 地面にしっかりと足を踏みしめて、揺らがないターニッブ。

 

「オメエの本気、オラに見してみろ!!」

 

 その言葉にターニッブは拳を打ち払い、右の上段回し蹴りを放つ。

 

 左腕で受け止めた悟空の表情が歪む。

 

「俺の拳、お前の本気に応えられるか!!」

 

 左の正拳突きを放つターニッブに、悟空もサイドステップで脇に見切ってからの左ストレートを返す。

 

 右腕で受け止められる。

 

 真剣な表情で互いが見合うのは一瞬。

 

 強烈な打撃を連撃で打ち合いながら、両者は気を高めていった。

 

 互いに必殺の威力を持つ打撃の交換は、互いの絶妙な技術で捌かれている。

 

 全体的に動くことで自分の位置を見出し、戦いを優位に運ぼうとする孫悟空。

 

 対してしっかりと地に根を張り、どんな不利な体制からでも姿勢を整えて強打を打ち返してくるターニッブ。

 

 初めて戦った時からわかっていた。

 

 自分の拳をまともに受けて、正面から返してくるこの男の強さを。

 

 自分ではない自分の動きが体にどんどんと馴染んでいく。

 

 イメージと実践の歪みは、拳を繰り出す毎に修正され悟空の動きを洗練させていく。

 

 もはや、悟空を止められる者は神の域に達している者でもそうはいない。

 

 そんなある種理不尽な強さを誇る孫悟空というサイヤ人に、真っ向から戦いを挑み打ち負けないターニッブというサイヤ人もまた強い。

 

 折れない心。

 

 燃える闘志。

 

 そして、互いの拳をガード越しに受けて喜ぶ口許。

 

 彼らにとって闘いとは、何か?

 

 強さとは、何か?

 

 そんなことをガーキンは問いたくなる。

 

 果てのない強さを望み、競り合う両者の姿に。

 




ベジータとブロリー。

ジュード王と巫女プリカの4人が死者の都に降りてみたのは。

神々をも凌駕する巨大な大猿と。

黄金の気を身に纏い、殺拳を振るうリューベの戦いだった。

惑星の意思は”真・超サイヤ人”に勝てないことを悟ると、リューベを空間ごと閉じ込めてしまう。

そして大猿と化した意思が次に取った姿は”真・超サイヤ人”の力を振るいながらも”死者の怨念”に意識を乗っ取られたリューベを模した姿だった。

惑星サイヤの未来が、ベジータとブロリーの拳にかけられた。

次回「ベジータとブロリー」

ご期待ください( *´艸`)

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