ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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 ターニッブとの闘いを経て、悟空は変わった。
 
 これまで以上に貪欲に強さを求めるようになったのだ。
 
 いつか、もう一度相まみえるだろう、ターニッブとの再戦を目指して。
 



惑星ベジータの王子 惑星サイヤに発つ

 破壊神ビルスの星。

 

 第7宇宙のどこかに、破壊神ビルスと付き人ウイスが住んでいる宮殿がある。

 

 彼らが見つめる中。

 

 中庭で、二人のサイヤ人が組み手をしていた。

 

 青い闘気を身に纏い、逆立つ髪と鋭い瞳は互いに睨み合っている。

 

「……カカロット、貴様!! いつまで超サイヤ人ブルーのままだ!?」

 

「なんだよ、ベジータ? オラ、真面目に組み手してんぞ?」

 

 互いに右ストレートを皮一枚で首を左に捻って避け、拳が通り過ぎたのを見ずに左ストレートを互いの顔面に放って中央で拳同士がぶつかり、相殺する。

 

 衝撃で互いが少し離れたところで、右の上段回し蹴りを放ちあい、刀の鍔迫り合いのようにぶつかって鎬を削る。

 

「新しい超サイヤ人はどうした!? ターニッブとの戦いで目覚めた、真・超サイヤ人は!?」

 

 叫びながら、悟空の右足を蹴りで跳ね上げてベジータは右の拳を突き出しながら突っ込む。

 

 これを悟空は弾かれた右足を後ろに下げて左足を前に出した姿勢で右ストレートを返した。

 

 再びぶつかり合う拳と拳。

 

「いやぁ、なんちゅうかよ? この真・超サイヤ人はオラだけの“とっておき”にしときてぇっつーか」

 

「ズルいぞ、カカロット!! 貴様、自分だけ!!」

 

「オメエだって、オラより先に目覚めてたら勿体ぶっだろ?」

 

「…黙れ! 貴様の都合は聞いていない!!」

 

「ベジータ、オメエもズリィぞ!!」

 

 凄まじい動きで空と地を駆け回りながら、拳と蹴りをぶつけ合う二人の超サイヤ人ブルー。

 

 ウイスがクスリと笑い、ビルスが興味深そうに言った。

 

「おい、悟空! その真・超サイヤ人ってのは、なんだ?」

 

 これに二人の超サイヤ人は拳をぶつけ合いながら、顔をビルスに向ける。

 

 組み手が途中で切られたことに悟空は不満そうだが、ベジータは静かに元の黒髪に戻った。

 

 それを見て、悟空も渋々と言った表情で超サイヤ人ブルーを解除する。

 

「この間、界王様に言われて向かった惑星で会ったサイヤ人の生き残り。そいつから学んだ超サイヤ人ブルーを超える可能性がある超サイヤ人さ」

 

「……そんな面白そうな話を何故、僕に内緒でやってるんだ?」

 

「いっ!? いやあ……! ビルス様が動くまでもないって界王様も思ったんじゃねえかなぁ!!」

 

 不機嫌そうに目を細めるビルスに、思わず悟空は手をパーにして左右に振った。

 

「君も見たのかい? ベジータ」

 

「はっ! 確かに凄まじい戦士でしたが、ビルス様のお目に適うとは……!」

 

「君も知ってると思うんだけどね? 間もなく全12の宇宙から全王様がお開きになる格闘大会が行われる。我が第7宇宙がその中で最も優秀であると証明する絶好の機会だ。強い戦士は一人でも多い方がいい。分かるね?」

 

 ベジータは口答えするのも終わり、静かに頷く。

 

 これにビルスがニヤリとした後、告げた。

 

「まあ、そのサイヤ人に関しては追々聞いていくとしようか。今はそれよりも、その“真・超サイヤ人”ってのに興味がある」

 

 言うとビルスは悟空に顔を向けて立ち上がりながら、告げた。

 

「悟空、なりなさい」

 

「……え~! でもよぉ、やっぱ“とっておき”だしなぁ!」

 

 渋る悟空にビルスは不敵な笑みを浮かべて構える。

 

「その新しい力がどれほどのモノか。僕が確かめてあげるよ」

 

「え!? ビルス様、それはーー!!」

 

 ベジータが不満そうに告げるとビルスがニヤリと笑う。

 

「その力を君が手に入れる為にも、見極めは大事だろ? 僕なら、普通に戦って悟空に負ける訳がないからね」

 

 その言葉にベジータが不満そうというか、不服そうに黙り込む。

 

 悟空は対照的にニヤリと笑った。

 

「ありがてえ! ようやく、ビルス様と組み手が出来るんだな!!」

 

「悟空、僕は無駄なことが嫌いだ。出すなら最初から出しなさい」

 

 両手を広げ、首を鳴らしながら構えるビルス。

 

 これに悟空も左手を顔の前に、右拳を腰に置いて不敵に告げる。

 

「ならーー見せてやる!!」

 

 瞳を閉じ、黄金の気柱が天に向かって衝き上がる。

 

 大気中の気が乱れ、悟空に集約される。

 

「……ほう」

 

 鋭い目でビルスがつぶやき、ウイスも真剣な表情になる。

 

「これはーー凄まじい力ですね。ベジータさん。この力を、悟空さんは『教わった』と言いましたね?」

 

「はい、ウイス様。界王から強大な力を持ったサイヤ人が居るから見極めてほしいとの依頼をカカロットが受け、俺も一緒についていきました。見た目は下級戦士なのか、カカロットと同じ顔の男でしたが」

 

「界王様が危険視する訳ですね。この力は、放っておけば際限なく高まるーー。全てを破壊する力です。己の理性さえもね」

 

 その言葉にベジータが目を見開いた。

 

 ウイスは静かに続ける。

 

「しかし、ただのサイヤ人がこの力を使いこなしている。超サイヤ人ブルーとなった悟空さんや貴方ほど超サイヤ人を極めていれば、この姿になっても破壊衝動に理性を喰われるなどという問題はないでしょうが」

 

 ウイスの言葉にターニッブが何故、あれほどまでに己の力を忌み嫌っていたのかをベジータは何となく理解した。

 

 あれほど、闘いに対して純粋な想いを抱いている男だ。

 

 そいつにとって、自分の理性を喰らい、本能のままに破壊することを望む超サイヤ人など、邪道そのものだろう。

 

「ウイス、おしゃべりはそのくらいにしろ」

 

 ビルスは静かにそう告げると、超サイヤ人3のオーラと瞳を持った超サイヤ人。

 

 真・超サイヤ人となった悟空を見る。

 

「それで、お前はその破壊衝動とやらを感じているのか?」

 

 その問いに、悟空は真っ直ぐにビルスを見返す。

 

「いや? 確かに軽い興奮状態にはなってるがーー。何て言うのかな? 頭に血が上り切って逆に冷たくなるってえのか。ブルーのは冷静だが、今の俺は冷え切ってるような感じだ」 

 

 悟空とは思えないほどに低く冷たい声、鋭い瞳に強烈な殺気。

 

 紛れもなく破壊衝動に影響されている。

 

 しかし、悟空は理性を保っている。

 

 彼は、超サイヤ人の破壊衝動をそのまま高めながらも、孫悟空そのものだった。

 

「なるほど。ぶち切れ過ぎて逆に頭が冷え切ったような状態か」

 

「フフ、多分な?」

 

 不敵な笑みに対し、ビルスは静かに構える。

 

「…本気を出してやる。その姿で何処まで食らいつけるか、試してみろ」

 

「ああ! ありがとよ、ビルス様!!」

 

 ビルスは静かに紫色の闘気を身に纏う。

 

 静かに腰を落とし、両者がその場から弾けた。

 

 同時に中央でぶつかり合う拳と拳、蹴りと蹴り。

 

 一撃一撃に地面がひび割れ、徐々に断裂し、力によって巻き上げられる。

 

 空も地も関係ない、二人の闘場。

 

 星をも一撃で破壊するビルスの拳を冷静にーー否、冷徹ともいえる表情で見据えて、紙一重で避ける悟空。

 

 即座に返しの強烈な右の拳をビルスのボディに放つも、それはビルスの左手に受け止められている。

 

「……なるほど。こういうことか」

 

 徐々にパワーがビルスに近づいてきている。

 

 反応速度も、スピードも。

 

 打たれ強さにあっては桁が違う。

 

 痛みを感じていないようだ。

 

 相手の攻撃を喰らうことで、その相手のレベルにまで一気に気を高めて合わせている。

 

 戦いの権化とも言うべき姿だ。

 

 本気の右ストレートを右ストレートで打ち返される。

 

 互角の威力に、ビルスは口の端を凶暴に歪めて笑った。

 

「いいぞ、面白くなってきた!!」

 

「……そうか? 俺は面白くねえな」

 

 だが、対峙する悟空はつまらなそうに告げる。

 

「ん? 興醒めするようなことを言うじゃないか、悟空」

 

「悪ぃな、ビルス様。だけどよ、コイツはターニッブの言ってたとおりだ」

 

「ターニッブ……?」

 

 自分の掌を広げて見据える。

 

 無限に上昇する気を、悟空は不満気に自分の姿を見据えた。

 

「これは、自分の力って感じがしねえ。無理やり引き上げられてる感じだ。修行で積み重ねて得たもんでも、強敵と戦って変化しているような感じでもねえ……」

 

 冷徹な翡翠の瞳が己の拳を見据える。

 

「こんなもんは、ただの力だ。コイツでビルス様を超えたとしても、本当に俺の実力とは言えねえ」 

 

 この力を振るっていたターニッブを思い描いて、悟空も頷く。

 

「そのターニッブて奴とは、とことんやり合ったんだろ? なんで僕とはやり合えないんだ?」

 

「簡単だ。ビルス様との差が、殆ど無くなって来てるからだ」

 

「!? なんだと!? お前…、僕の底が分かったような口を……!!」

 

 不機嫌になるビルスを前に悟空は静かに、淡々と告げる。

 

「分かるさ。この力は、変身して突っ立ってるだけで気が上がる。その上昇が、アンタの力に迫ってるんだ」

 

「面白い、なら尚のこと。僕と戦ってもらおうか!!」

 

 今まで以上のスピード、そしてパワーを込めた右の拳。

 

 まともにガードすれば、超サイヤ人ブルーの状態でも一撃でKOされる程の。

 

 だが、鈍い音と共に真・超サイヤ人と化した悟空は、左手でその強烈な一撃を受け止めた。

 

「な!?」

 

 ビルスがハッキリと狼狽する。

 

 自分の本気の一撃は、ウイスを除けば同じ破壊神であるシャンパにしか止められたことが無かった。

 

 それを今の悟空は簡単に受け止めたのだ。

 

「お、お前……!!」

 

「悪ぃな、ビルス様。どうやら今の俺に出来ねえことは、何にもねぇらしい」

 

 不敵な笑みと共に、悟空はそれだけを告げる。

 

 ビルスは静かに驚いた表情から、真剣な顔になると悟空の顔に浮かんだ滝のような汗を見る。

 

 見れば息を切らしている訳ではない。

 

 だが、悟空の強靭な肉体から汗がここまで噴き出るのは異常だった。

 

 ウイスの修行を受けて、限界まで鍛えられた時のような汗の流れ方。

 

「その力、後どれだけ使えるんだ?」

 

「? さあな。ターニッブとやり合った時は、無我夢中だったかんなぁ」

 

 静かに目を細め、ビルスは悟空に左の拳を撃ち込んだ。

 

 それをあっさりと悟空は右手で受け止める。

 

「なんだよ、不意打ちか?」

 

「……フム。お前の力はどうやら、超サイヤ人ゴッドと同じように時間切れがあるようだね」

 

「! フフ、流石だな。そのとおりだ。俺自身も後どれだけ維持できるのかは知らねえがな」

 

 笑いながら言う悟空に、ビルスは静かに告げる。

 

「そのターニッブとの闘いは丸一日だったんだな? その間にお前はその姿でどれだけ戦った?」

 

「俺もターニッブも実際になっていられる時間は少なかったさ。ターニッブの奴は、変身して一時間くらいで変身が切れて、ただの超サイヤ人になっちまったからな。俺も似たようなもんじゃねえかな?」

 

「なるほどな。つまりーー時間切れだな」

 

 瞬間、悟空は自分の体に強烈な脱力感と倦怠感を覚える。

 

 同時に激しかった黄金のオーラは消え、通常の金色の超サイヤ人に戻ってしまった。

 

「し、しまった……! けど、なんで!? ターニッブの時は、一時間くれえはーー!!」

 

「おそらくだが、変身に体が慣れていないだけだろう。それにしても、確かに厄介だ。ソイツになられたら、早目にケリを付けないと、いずれは追いつかれるって訳か」

 

 顎に手をやりながらビルスはニヤリと笑う。

 

「よかったじゃないか、ウイス。これからは地道な修行は必要ないんじゃないか?」

 

「そうですね。無限に上昇するということは、私と戦えばビルス様の域を一気に超えてしまう可能性もありますからねえ……」

 

「おい……!!」

 

 微笑みながら言うウイスにビルスが嫌そうな顔になる。

 

 だが、これに悟空が首を横に振った。

 

「悪い、ウイスさん。オラ、この力は金輪際ビルス様やアンタとの組み手では使いたくねえ」

 

 その言葉にウイスが目を点にし、ビルスが目を見開いた。

 

 強くなることこそが、孫悟空の目的ではなかったのかと二人は思わず悟空を見る。

 

 彼は静かに言った。

 

「オラもベジータも相当修行してさ、超サイヤ人ブルーになれたんだ。なのによ、アンタやビルス様みてえな強い奴がまだまだ居てよ。フリーザなんか、たった一ヶ月でオラ達より強くなってた」 

 

 その言葉にベジータも腕を組んだ姿勢で静かに悟空を見据える。

 

「でもさ、修行で積み重ねて来た自分の基礎の力を無碍にはしたくねえ。ターニッブに出会って、オラはそう思ったんだ!!」

 

 ウイスがクスリと再び笑った。

 

「フフ、悟空さんも、少しだけ変わりましたね~。貴方をそうさせたターニッブというサイヤ人。私も興味が湧いて来ましたよ」

 

「フン、なんだ? ターニッブって奴がそんなに気に入ったのか?」

 

 ビルスの言葉に、悟空は超サイヤ人から通常の状態に戻ってコクリと頷いた。

 

「ああ! オラ、アイツとなら何度でも闘いてぇ!!」

 

「ふざけるな、カカロット! 今度は俺だ!!」

 

 また言い争いを始めた悟空とベジータを尻目に、ビルスはウイスを見据えた。

 

「なあ、ウイス? ソイツを僕達のチームに組み込めば優勝は間違いないんじゃないか?」

 

「…悟空さんとベジータさんの言いようを見るに、間違いなく戦力になるでしょうね」

 

 ビルスはウイスに邪悪な笑みを浮かべて見た後、悟空に問いかけた。

   

「悟空にベジータ。君たちに聞きたいんだけど。ターニッブという奴は、サイヤ人なんだよな? フリーザの攻撃から生き残ったのか?」

 

 コレにベジータが、背筋を伸ばして応えた。

 

「はっ! ターニッブは、惑星ベジータのサイヤ人ではありません。惑星サイヤのサイヤ人のようです!!」

 

「…惑星サイヤ? 第6宇宙で会ったキャベの故郷の名は、確かサダラだったね? サダラがこちらの宇宙ではサイヤという名前になったのかな?」

 

「ターニッブの説明では惑星サダラは最早人が住める惑星ではなく、最後まで其処に住んでいたサイヤ人達は惑星サイヤという別の星に移動したとのことです」

 

 細い目を見開き、ビルスはベジータを見据えた。

 

「その話、本当か?」

 

 コレにウイスが反応し、即座に杖を持って水晶の中に目を覗き見る。

 

「…ビルス様、ありますよ。地球によく似た青い惑星が」

 

「サイヤ人が原住民でありながら、荒廃していないだと? いったい、どんな惑星なんだ?」

 

 界王神界並みの強度で無ければ、サイヤ人の住む星に緑など残るはずもない。

 

 だが、ウイスは首を横に振った。

 

「…どうやら、惑星サイヤのサイヤ人は真面目で正義感の強い一族のようですね。惑星ベジータのサイヤ人とは正反対です」

 

 そのまま、杖についた水晶を覗き見て続ける。

 

「非戦闘タイプを排除するのではなく、街を造る文明人として活躍しているようですねー。素晴らしい!! 戦闘民族であるサイヤ人が、非戦闘タイプと共に過ごしているなんて!!」

 

「…そんな凄いことなのかい? 地球に住んでいる悟空とベジータを見る限り、そこまで過ごしにくい奴らには思えないんだがなー。ま、ベジータ王は確かに生意気だったし、惑星ベジータのサイヤ人どもは、品性のかけらもなかったけどね〜」

 

 地球の食べ物であるピザを出して一切れつまみ、ビルスは上機嫌になる。

 

 その細められた目を呆れた顔で見つめた後、ウイスは悟空の方を向いた。

 

「惑星サイヤのことは、何か存知ませんか?」

 

「すまねえ、ウイスさん。オラ、早く闘いたくてベジータの質問を切っちまったんだ」

 

「…なるほど。しかし、そのおかげで貴方は新しい超サイヤ人に目覚め、かつ油断というものをしなくなった。悪くありませんね〜」

 

「…アイツと闘うとさ。まだ知らねえ自分の中が広がるような、そんな感覚になるんだ」

 

 嬉しそうに語る悟空を見た後、ウイスは複雑な顔をしているベジータを見た。

 

「ベジータさん、貴方の意見は?」

 

「間違いなく、奴は俺やカカロットが強くなるのに必要です。奴とはカカロットのみが拳を交えましたが、見ているだけでも、サイヤ人の血が騒ぐような素晴らしい闘いでした」

 

「おっほほ! 貴方と悟空さんがそれほどまでに褒めちぎるサイヤ人。コレは見ないわけには行きませんね〜」

 

 微笑みながら、ウイスはビルスに告げた。

 

「少し、惑星サイヤを見てきます。ターニッブさんがそれほどならば、その星のサイヤ人達はどれほどのモノなのか。非常に興味深い」

 

 コレにビルスは手でウイスを追い払うようにして告げた。

 

「さっさと行け。僕はピザを食すのに忙しいんだ」

 

「はいはい。悟空さんとベジータさんは、如何されますか?」

 

 コレに悟空とベジータは一瞬だけ顔を合わせると、互いに頷き、ウイスに応えた。

 

「あいつの故郷か。いっぺん見てみてえな!!」

 

「俺もです。同族の住む新しい星を見てみたい」

 

 コレにウイスは微笑みながら、告げた。

 

「では、参りましょうか。しっかり掴まっていなさい」

 

 悟空とベジータは、それぞれウイスの右と左の肩に手をやる。

 

 ウイスが杖で地面を突くと、エネルギーの幕が発生してウイスを中心に包み、一気に飛んで行く。

 

 一人取り残されたビルスは、静かに不機嫌そうに言った。

 

「ふ、ふん! お前らなんか居なくて清々だ! ゆっくりピザを食い終えたら、寝てやるんだからな!!」

 

 そんなビルスに向かって近づいてくるのは、空飛ぶ小さな水槽に下半身をつけた不思議な魚。

 

「おーい、あんまり怒るなよー。八つ当たりで滅ぼされたら、星の住人はたまったもんじゃない」

 

「う、うるさいな。シャンパじゃなく、僕がそんな子どもみたいな真似をするものかよ!!」

 

「なら、良いんだ。ではなー」

 

 去って行った予言魚を見送り、ビルスは静かにため息を吐いた。

 

「久しぶりだな〜。静かな食事だ…」

 

 呟いた後、首を横に振る。

 

「ふ、ふざけるな! は、破壊神が、寂しがるもんか!」

 

 ちょっぴり意地を張ったのを後悔するビルスであった。

 

ーーーー

 

 亜空間を移動中、悟空はウイスに問いかけた。

 

「なあ、ウイスさん。ターニッブのヤツは、故郷に帰ってるんか?」

 

「さあ? ただ、ターニッブさんの産まれた星に興味がありましてね〜」

 

「なるほどなぁ。確かにアイツみてえなヤツは、はじめてだかんなー!」

 

 心底、嬉しそうな悟空にベジータも笑う。

 

「サイヤ人どころか、あんな奴は見たことがない」

 

「やっぱり、オメエもそう思うよな!?」

 

「ああ、だがな。今度は俺の番だからな?」

 

「分かってるって! オラもさ、もっと基礎をやり直して力を蓄えてから、もっかいやり合いたいんだ!!」

 

「意外だな。貴様のことだから、出会えば闘いを挑むかと思っていたぞ?」

 

「そりゃ、やり合いてえさ! けどよ、アイツとの勝負は今楽しむのは勿体ねえんだ!!」

 

「…フン。分からなくもないが。それなら、俺が奴とやり合う時は手出しするなよ?」

 

「分かってるって!」

 

 互いに告げ合いながら、ベジータは静かに惑星サイヤのことを思い返す。

 

(ターニッブの使っていた技は、惑星サイヤの王が使っていたという。あのターニッブが技を使うほどのサイヤ人か。非常に興味深い)

 

 願わくば、拳を交えてみたいものだ。

 

 ベジータの頭の中は、そんな言葉で締めくくられた。

 

 亜空間移動が、間も無く終わる。

 

 惑星サイヤとはどんな星か。

 

 そこに住むサイヤ人は、どんな連中か。

 

 どれだけ強いのか。

 

 悟空とベジータは、互いに不敵な笑みで笑い合う。

 

 亜空間移動が終わり、白い穴を通り抜けると。

 

 悟空とベジータ、ウイスは巨大な建物の屋上に立っていた。

 

 新たな強敵が、自分達を待っていると予感して。

 

 




 次回もお楽しみに(´ー`* ))))

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