ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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さあさあ、皆さま。

これより新章の始まりです。

楽しんでください(≧▽≦)


ナメックの帝王 その名はカタッツ

 強烈なサイヤ人の戦士ターニッブとの出会いで、孫悟飯は己のかつての力以上のものを手に入れることができた。

 

 そんな彼にターニッブは告げる。

 

「…悟飯。もし、お前が今より強くなりたいなら、死者の都という場所に来い。其処から、ナメック星に連れて行こう」

 

「…ナメック星? あの、ナメック星に何が?」

 

 問いかける悟飯にターニッブは静かに応える。

 

「…俺の宿敵(とも)が、其処に居る。ナメックの神、もしくは帝王と呼ばれる男が」

 

「ナメックの神。帝王…!!」

 

 ターニッブは頷くと、ピッコロを振り返り告げた。

 

「…お前もナメック星人か?」

 

「そうだ…。だが、さっきの真・超サイヤ人とやらと闘えるようなヤツが、ナメック星人に居るのか?」

 

「ああ。全力を賭してなお、勝てるとは言えない男だ」

 

 淡々と告げた言葉に、ピッコロは目を見開く。

 

「…悟飯が行かなくても俺が行く。案内してくれ」

 

「ピッコロさん!?」

 

 突然の師の言葉に、悟飯が目を見開く。

 

「見てみたい、それほどの強さを持つナメックの神を」

 

 真っ直ぐな瞳にターニッブも頷く。

 

 悟飯も少し考えた後、悟天に告げた。

 

「悟天、ビーデルさんに伝言を頼めるかな?」

 

「…うん! 僕も明日学校休みなら、行くんだけどなぁ」

 

 残念そうな弟の頭を撫でてやりながら、悟飯は笑う。

 

「またターニッブさんに頼んで連れて行って貰おう!」

 

「…絶対だよ、兄ちゃん! あ、お父さんやお祖父ちゃんも一緒に行こうね!!」

 

「はは。父さんとお祖父さんが来たら、ナメックの神様とどっちが先に戦うかって揉めそうだな」

 

 笑い合う兄弟をターニッブは穏やかに見据えた後、静かに告げる。

 

「…では、行こう」

 

 この言葉に、悟飯とピッコロがコクリと頷いた。

 

 こうしてターニッブの案内のもと、悟飯とピッコロはナメックの神と呼ばれる男に会いに行くのだった。

 

ーーーーーー

 

 不思議な空間だった。

 

 精神と時の部屋に似た時間の流れが曖昧な、幻想的な空と芝生や野草の生えた荒野。

 

 その荒野をターニッブの案内のもと、歩く。

 

 枝分かれした道の先には様々な階段があり、空に続いている。

 

 全ての階段は半ばのところで途切れていた。

 

「不思議な空間ですね、ピッコロさん」

 

「…ああ。あらゆる時間の流れが曖昧な空間だ」

 

 そんな二人にターニッブが先を歩みながら告げる。

 

「…此処は特異点と呼ばれる場所だ。あらゆる可能性が集うと言われている。かつては、惑星の意思と怨霊の住処だったが。今は、何もない場所だ」

 

 ターニッブの後を追いながら、悟飯は見たことのない風景が頭に浮かんできた。

 

 悟空そっくりの褐色の肌のサイヤ人。

 

 ピッコロ大魔王を凌駕する邪悪なナメック星人。

 

 フリーザによく似た長身の肉体を持つフリーザの兄と名乗る男。

 

 そして大暴れする伝説の超サイヤ人。

 

「…え? ブロリーさん?」

 

 歩みながら、悟飯は見る。

 

 最近になってブルマのカプセルコーポレーションに現れた居候のサイヤ人、ブロリーと自分達の闘いを。

 

「…ピッコロさん、これは」

 

「うむ。おそらくターニッブが言っていた可能性が、俺たちに見せているのだろう。俺たちに別次元の可能性をな」

 

「パラレルワールド。僕達ではない、僕達の物語。それをこうして、この目で見れるなんてーー。興味深い所だなぁ」

 

 嬉しそうな悟飯の反応は、自分の知らない事に興味を示す学者そのものだった。

 

 そんな悟飯とピッコロの前に、山吹色の道着を着た黒い短髪に顔に傷のある男が、知らぬ間に立っていた。

 

「…!! あれ、君は!?」

 

「悟飯、か…!!」

 

 悟飯とピッコロが目を見開く。

 

「会いたかったです、ピッコロさん。それに君は、別の未来の俺か」

 

 ピッコロに微笑んだ後、優しくもう一人の悟飯は悟飯に笑う。

 

「…君は学者になれたんだな。おめでとう」

 

「君は、トランクスさんの未来の僕か?」

 

「…ああ。こうして違う未来の自分と話せるなんて、夢にも思わなかったよ」

 

 笑いながら告げる別次元の悟飯に、悟飯は思わず笑いかける。

 

「僕もだよ。こんな貴重な体験ができるなんてね。本当に凄いな、死者の都か」

 

 ターニッブがこちらに振り返り、歩みながら問いかける。

 

「どうした? 何故、止まっているんだ?」

 

「ああ、ターニッブさん! 別の未来の僕がーー!」

 

 そう言って紹介しようとする悟飯に、ターニッブは首をかしげる。

 

「…誰もいないようだが?」

 

 思わず、悟飯とピッコロが目を見開く。

 

 同時に別次元の自分を見ると、彼の体は半透明になっている。

 

「…ご、悟飯…!!」

 

「どうして…!!」

 

 二人に向かって首を横に振り、凛々しい顔付きの悟飯は笑う。

 

「…仕方ないんだ。俺はもう、死んでる。この世界に満ちていた力は無くなり、ただ可能性が行き交うだけの世界になっているからね」

 

「……君は」

 

 流れて来る。

 

 隻腕となった彼の最後の記憶が。

 

 悟飯に、ピッコロに。

 

「俺は死なない! たとえ、この身が滅んでも。俺の意思を継ぐものが必ず現れ! お前達、人造人間を倒す!!」

 

 彼の死に様が脳裏に浮かぶ。

 

 思わず、ピッコロが手を伸ばした。

 

「…悟飯…!!」

 

 だが、抱きしめようとしたその手はすり抜ける。

 

 すり抜けた手を忌々しげに握り、ピッコロは未来の悟飯を見上げる。

 

 そんなピッコロに微笑んだ後、未来の悟飯は別次元の自分を見つめる。

 

 悟飯は静かに未来の悟飯に告げた。

 

「…闘ったんだね、君は。最後まで。凄いな、仲間も父さんも居ないのに。最後までーー!」

 

「君もさ。君は勝てた。凄いよ」

 

「…セルの時は、父さんに助けられただけだよ」

 

 話し合う二人に、ピッコロも真剣な表情で見つめる。

 

 そんな彼らをターニッブは静かに立ち止まって待つ。

 

「…別次元の可能性。彼らにもやはり、あったか。しかし惑星サイヤの力が無い状態で語れるとは。相当な意思を持っているようだな」

 

 悟飯は静かに、未来次元の悟飯を見つめ告げた。

 

「…君を生き返らせたい。どうすればいい?」

 

「ありがとう、別次元の俺。だけど、その気持ちだけで充分だよ」

 

「諦めるなよ! きっと、何か方法があるはずだ!! お祖父さんやブロリーさんだって生き返れたんだ!! 君だって!!」

 

 ターニッブが静かに、悟飯とピッコロの前に歩み寄る。

 

「俺には見えないが…悟飯。ピッコロ。お前達が話しているのは、別次元の悟飯なのか?」

 

 その問いかけに。

 

「…はい」

 

「ああ、間違いない。何か手はないのか? 悟飯をこの状態のまま、こんな訳の分からないところに放っておけん」

 

 悟飯とピッコロが頷く。

 

 ターニッブは静かに、悟飯を見つめた。

 

「…方法はある。別次元のお前をお前が取り込めばいい。悟空やベジータが一気に強くなったのも、その為だ」

 

「…取り込んだら、未来の僕はどうなるんです?」

 

「お前の一部になる。だが…その言い草だと、まるで別人の話をしているみたいだな。悟空やベジータは、自分自身だと認識していたから可能性を統一できたが。もしかしたら、お前の場合は違うかもしれん」

 

 そう言いながら、ターニッブは懐から翡翠色の勾玉を取り出した。

 

「…こいつを依り代にして、連れて行くことは可能だ。だが、魂を連れて行けても意味があるかは知らないぞ」

 

「…大丈夫です。いざとなれば、ドラゴンボールがありますから!」

 

「ドラゴンボール?」

 

 その言葉に首を傾げながら、ターニッブは悟飯に勾玉を手渡す。

 

 悟飯が受け取ると同時、勾玉が翡翠色の光を放ちながら、未来の悟飯を吸収した。

 

「…これは。どうなった?」

 

(分からない。だが、不安定だった自分の体が固定されたみたいだ)

 

 頭の中に直接聞こえる声に、悟飯はホッとする。

 

「…大丈夫みたいだね。よし、これで此処に用はないな」

 

「悟飯、後で勾玉を貸してくれ。俺も話したい」

 

「はい、分かりました。ピッコロさん」

 

 こうして別次元の悟飯の魂を連れて、悟飯とピッコロはターニッブの案内のもと、一つの階段を昇っていく。

 

ーーーー

 

 階段を昇った先は、ナメック星そのものだった。

 

 緑色の空に海、アジッサと呼ばれる木々がなる世界。

 

「…懐かしいな、ナメック星か」

 

 悟飯が思わずと言った感じで呟くと、その隣でピッコロが訝し気な顔をしている。

 

「? どうしました、ピッコロさん?」

 

「…いや、此処は俺やお前の知っているナメック星じゃない」

 

「……え?」

 

 ピッコロは訝し気な表情でありながらも確信しているようだった。

 

「どういうことかは分からんが、ムーリ長老たちの気が感じられない。俺達の知らないナメック星人が暮らしているようだ」

 

「……ナメック星であることは間違いないんですよね?」

 

「ああ。間違いなく、此処はナメック星だ。だが、これは一体…!!」

 

 目を見開くピッコロの隣で、ターニッブが静かに歩み出す。

 

「こっちだ」

 

 白いザックを肩に担ぎながら、ターニッブは前を向いていく。

 

 そんな彼の後を追いかけていくと、一つの集落に出る。

 

 小さな子ども達が、ターニッブを見つけてにこやかに笑いかけてきた。

 

「あ~! ターニッブ!!」

 

「また、負けに来たの!?」

 

「元気そうだな、エスカにルーゴ」

 

 やんちゃな少年たちに微笑みを返しながら、ターニッブは静かに白い石造りの塔を見上げる。

 

 その頂上に居る男を。

 

「感じるか、悟飯。この凄まじい気を」

 

「…はい。大き過ぎて大気と一体になる程のものを」

 

 巨大な影は、静かにその場から消えるとターニッブ達の目の前に現れる。

 

 余りにも強大過ぎて、気を感知する能力が巧く働かない。

 

「ターニッブ。そいつらは何だ?」

 

 身長は長身のピッコロを更に上回る程。

 

 3メートルを優に超えている。

 

 上半身は裸で、下半身は黒の道着のズボンと赤い帯を締め、ナメック星人特有の靴を履いている。

 

「カタッツよ、お前を訊ねてきた別世界のナメック星人とサイヤ人だ」

 

 その骨格はスマートなピッコロや他のナメック星人とは違い骨太で、筋肉の塊と言っていい肉体を持っている。

 

 一目でわかる。

 

 圧倒的な強さを持った男だと。

 

「…最長老様?」

 

 男の姿をピッコロは知らない。

 

 それでも、その男を一目見たときに一番近いのは、ネイルの記憶にある最長老しかいなかった。

 

 鋭い瞳に厳つい顔のナメック人は、温かくピッコロを見つめる。

 

「お前は? はじめて会うが、何処か懐かしい」

 

 これに言われたピッコロではなく、悟飯が反応した。

 

「…カタッツって。確かピッコロさんのお父さんの名前ですよ! 間違いありません、僕が子どもの頃に出会った最長老様がおっしゃってました!」

 

 これにカタッツは訝しげにピッコロと悟飯を見つめて口を開く。

 

「…俺の? 俺は龍族ではなく戦士タイプだ。子など産めん。だが、お前達が嘘をついているようにも見えん、か」

 

 そう言うと瞳を鋭くして光を発する。

 

 それだけだ。

 

 それだけで、カタッツは厳つい顔を納得したような表情に変えた。

 

「…なるほど。貴様らは別次元の人間か」

 

「え?」

 

 意味が分からず問い返す悟飯の横で、ピッコロが前に出る。

 

「待ってくれ! じゃあ、このナメック星は別次元の存在なのか!?」

 

 ピッコロの問いにカタッツは静かに頷いた。

 

「如何にも。此処は本来、お前達が来れるはずのないナメック星だ、別次元のナメックの子よ」

 

 鋭い瞳と重圧にピッコロの目も鋭くなる。

 

「最長老さまのような記憶を読む能力。それを相手に触れることなく、見ただけで出来るのか」

 

 カタッツはピッコロと悟飯を見つめて告げる。

 

「…それでナメック人の師とサイヤ人の弟子よ。揃って俺に何の用だ?」

 

 ギラギラと輝く黒い瞳は、凄まじい覇気を放っている。

 

 静かにピッコロはカタッツの前に立った。

 

「…知りたいんだ。ナメック星人の強さを! ナメックの神にして帝王と呼ばれるアンタの力を!! 俺が、サイヤ人の奴等に追い付く為に!!」

 

 その言葉にカタッツはターニッブに目をやる。

 

「…同じナメック星人のお前の実力を見せてやりたかった。それだけだ」

 

 言いながら、ターニッブは拳を握ってカタッツに構えを取る。

 

 対峙するカタッツはニヤリと笑う。

 

「…やるか」

 

「よし」

 

 ターニッブが告げれば、カタッツは一つ返事で答える。

 

 互いに構えると同時、ターニッブが黄金のオーラを身に纏う。

 

 髪は天に向かって逆立って黄金に燃え、瞳は翡翠に黒の瞳孔が現れたものになる。

 

「…悟空と違って、初めから全力か!」

 

「ターニッブさんの性格ですね。常に全力で闘い、相手に敬意を払おうとする。武道家として、理想的です!」

 

 悟飯が拳を握ってターニッブを見る。

 

 勾玉が翡翠色に輝き、未来の悟飯が呟く。

 

(…これは、父さんに似てるけど違う。一体、彼は)

 

 無限に上昇する黄金の戦士にカタッツはニヤリとすると組んでいた腕を腰にやり、気合いを込める。

 

「…こ、これが……! ナメックの神の力か!!」

 

「…なんて気の量だ。…大き過ぎて読み取れない!!」

 

 青みがかった白銀のオーラが、カタッツの身に纏う。

 

 見た目はナメック星人故に変わらないが、その気の桁が余りに違いすぎる。

 

 カタッツは悟飯とピッコロを尻目に、両の拳を顔の横にまで上げ、独特のステップでリズムを刻む。

 

 ターニッブはスタンスを広げ、左手を前に突き出し右拳を腰に置いて、ジリジリとすり足で構えながら近寄る。

 

 気弾を初めから使うつもりがない。

 

 空を飛ぶ気もない。

 

 地上で、その場で殴り合うつもりの二人の闘士に悟飯とピッコロは目を見張る。

 

 ある場所にターニッブが足を踏み入れた時。

 

 一気に場が動いた。

 

 強烈な風切り音を立てて、カタッツが丸太のように太く長い足を上段廻し蹴りで繰り出したのだ。

 

 乾いた音がすると同時、蹴りが弾かれる。

 

 顔の横に左拳を固めて置いたターニッブのブロッキングによって捌かれたのだ。

 

 悟飯とピッコロがあっと思う間に、次々と左右の連続上段廻し蹴りが放たれる。

 

 対するターニッブは両拳をガードに回し、ことごとくブロッキングする。

 

 竜巻のように激しいカタッツと、大木の如く揺らがないターニッブ。

 

「…す、凄いな。カタッツさんの蹴りは、一撃でKOできるほどのものだ。それを淡々と捌くなんて」

 

「いや、確かにターニッブの見切りは神がかっているが。カタッツも同じだ。アレだけ捌いているのに、あのターニッブが踏み込めていない」

 

(どちらも、互いの距離に入り切れてない。この攻防は、刹那の隙が命取りだ。なんなんだ、この人達は。俺なんかより、遥かに高みにいる)

 

 悟飯とピッコロ、未来の悟飯が呟く中、カタッツが叫ぶ。

 

「どうした、ターニッブ! 貴様が積み重ねた修練の成果は、こんなものではあるまい!!」

 

「…ならば俺の全力の拳、確かめてみろ!!」

 

 言うや否や、ターニッブは繰り出される右の廻し蹴りに左の肘鉄を合わせて受け止めると、一気に踏み込む。

 

 だが、踏み込むと同時にカウンターでカタッツの飛び膝蹴りがターニッブの腹を狙って放たれる。

 

 両腕を胸の前で折り畳み、鋭い膝を受ける。

 

 カタッツは膝蹴りで距離を詰めると同時に、右手に灼熱の炎を纏った拳を下から天に飛び上がりながら突き立てる。

 

「タイガァーーディストラクション!!」

 

 同時、ターニッブも青い雷光を纏う拳を、カタッツと同じフォームで飛び上がりながら突き上げる。

 

「真!! 昇ょぅお龍ゅうう拳ぇええん!!」

 

 天上にてぶつかり合う昇り龍と翼の虎。

 

 互いに世界を照らすほどに強烈な気が、飛び散る。

 

「フン、こうでなくてはな! ターニッブよ!!」

 

「ああ! この拳が、お前との約束の証だ!!」

 

 同時に距離を置いて着地し、ターニッブは両手を右腰にたわめて青い光の球を。

 

 カタッツは顔の横に置いた両の拳に赤い気を纏わせて。

 

「タイガァァアア!!」

 

「波動ぉお拳っ!!」

 

 両者は同時に相手に向かって異なるフォームで両手を突き出す。

 

 赤い光の球と青い光の球が互いの中央でぶつかり合い、爆発する。

 

 瞬間、互いに向かってダッシュし、無数の拳と蹴りをぶつけ合う。

 

 自分の頭ほどある拳をまともに喰らい、首を吹っ飛ばすターニッブ。

 

 強烈に重く鋭い拳をまともに腹に受け、前かがみになるカタッツ。

 

 どちらも全く退かない。

 

 互いに交互に弾かれる上半身だが、下半身はしっかりと大地に根を張るかのように微動だにしない。

 

「何という強さだ。どちらも第6宇宙のヒットと孫悟空の闘いを超えてやがる…!!」

 

「それだけじゃありません。ターニッブさんが無限に気を上げるように。カタッツさんの気は、量が多過ぎて全く分からない」

 

(無限のパワーと、極大の力。どっちも、凄すぎる!!)

 

 二人の悟飯とピッコロが目を見開く中、互いに口元に笑みを浮かべて殴り合うターニッブとカタッツ。

 

「…流石だ、カタッツ! お前の強さが、俺を前に進ませてくれる!!」

 

「よく言う。この帝王を此処まで追い詰めておきながら吐くセリフではないぞ!!」

 

 強烈なカタッツの膝とターニッブの拳がぶつかり合う。

 

 どちらも譲らない。

 

 正真正銘の真っ向勝負。

 

「…何という闘いだ。見ている俺の方が興奮を超えて感動している」

 

「…ええ。こんな闘いが、できる人達がいるなんて!!」

 

(多分、この人達は殺しあうためでも守るためでもなく。純粋に強さを求めて高めてるんだ。だから、彼等の戦いは純粋なんだ)

 

 未来の悟飯の言葉に悟飯も頷く。

 

「…そうだね。こんな強さ、僕も得てみたい。こんな純粋な強さを!!」

 

 ぶつけ合う二人の拳に、悟飯とピッコロは震える拳を握って前のめりに見守っていた。

 

 どれだけ、殴り合ったのだろう。

 

 どれだけ、ぶつかり合ったのだろう。

 

 互いに肩で息をし身体中に怪我を負いながら、ターニッブとカタッツは微塵も闘志を絶やさない。

 

 何度目かの拳と蹴りの交換で、仰け反って後方へ引きずられるように下がる両者。

 

 距離が開いて構える。

 

「…ふ、ふははは! はぁーっはっはっはっ!!」

 

 突如、カタッツが哄笑する。

 

 その姿は、さながら虎が天に向かって咆哮するかのような迫力だった。

 

「この帝王たるカタッツが、貴様の強さに震え。貴様の強さを楽しんでいる。フ…、ターニッブよ。次の渾身の一撃で貴様を葬ってやろう!!」

 

「望むところだ。この俺の一撃必殺、受けてみろ!!」

 

 右正拳突きの構えを取るターニッブと、ゆっくりと構えを取るカタッツ。

 

 奇しくも始まった時と同じ姿勢で、両者は固まる。

 

 息を飲んで悟飯達が見守る中、ターニッブとカタッツ。

 

 両者の目が見開かれ、互いに向かって疾駆する。

 

「タイガァァアアクラァッシュ!!」

 

「一撃必殺! 風の拳!!」

 

 カタッツの飛び膝蹴りと、ターニッブの右正拳突きがぶつかり合う。

 

 凄まじい轟音と共に気が爆発する中、ターニッブが後方に弾け飛び背中から壁に叩きつけられた。

 

 壁は見事に粉砕し、ターニッブの身体をめり込ませる。

 

「何というヤツだ。ターニッブを真っ向勝負で下しやがった!!」

 

 溢れんばかりの気はその身から消え、仁王立ちで立つカタッツにピッコロが思わず呟く中、ターニッブが黒髪に戻りながら、壁から這い出て笑う。

 

「見事にやられてしまったな」

 

「ふん、よく言う。この帝王の肉体にこれほどの一撃を放っておきながら」

 

 カタッツの分厚い胸板を見れば、強烈な拳の打撃痕が煙を吹いている。

 

「今回は、俺の勝ちだな。ターニッブよ!」

 

「ああ。いずれ、またやろう。カタッツ!」

 

 互いに爽やかに笑い合う。

 

 その後、カタッツは静かに悟飯達に振り向いた。

 

 瞬間だった。

 

 ピッコロが、カタッツの目の前に行き、土下座したのだ。

 

「! ピッコロさん!?」

 

「頼む! 俺を、弟子にしてくれ!! 俺は、もっと強くなりたい!! あんたとターニッブのように。孫悟空ともう一度、真っ向勝負をしたいんだ!!」

 

 必死のピッコロの言葉にカタッツは目を細めて告げる。

 

「なるほど。貴様にも宿敵(とも)が居るのだな。ナメックの子よ」

 

 そして愉快そうに笑う。

 

「しかし、不思議な師弟だ。師のナメック人は内に四人の人間が居るようだな。今、出ているのはその四人のうちの一人か。四人がそれぞれ、今の一人のレベルに引き上がればさらなる飛躍も可能だろう」

 

「四人だと! 一体、どういうことだ!?」

 

 問いかけるピッコロから目を悟飯に向ける。

 

「貴様は更に奇妙だ。勾玉から貴様と似て非なる気を感じる。異なる己を持っているようだな」

 

「…! 未来の僕のことですか? その事で、ナメック星人の貴方にお願いがあります!!」

 

「ドラゴンボールか? 別時空の自分を生き返らせたいのか」

 

「…はい!!」

 

 静かに、値踏みするように、カタッツはピッコロと悟飯を見据える。

 

「…よく鍛えている。それに真っ直ぐな心の持ち主だ。だが、だからこそ試さねばなるまい。気質や器は充分だが、力が伴わねば無意味!! 貴様らが、このカタッツに依頼するに相応しいか。その腕前を、この帝王に示すがいい!!」

 

 強烈な覇気を放ちながら、カタッツが構えを取った。

 




おっす、オラ悟空!

カタッツとターニッブの戦いは、ピッコロと二人の悟飯に覚悟を与えたみてえだ。

ワクワクすんぞ!

ピッコロも二人の悟飯も、めちゃくちゃ強くなりそうだかんなぁ!

次回、カタッツの修行。ピッコロと神と大魔王とネイル!

ぜってえ、見てくれよな!!

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