ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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本話からザマス編が交わっております。

楽しんでください(≧▽≦)


カタッツの試練 修行

 ピッコロは自らが身に纏っていた重りのマントとターバンを脱ぎ捨て、紫色の道着姿になる。

 

 黒を基調とした道着ズボンに赤い帯を巻き、上半身は裸の服装のカタッツはそれを面白そうに見やり、顎に手をやる。

 

「…ふ。中々、重そうなものを身に纏っているな。普段から鍛錬をしているのか」

 

「ああ。あんたには、生温いかもしれんがな」

 

「…そんなことはない。良い心がけだ。では、弟子入りのルールを説明してやろう」

 

 カタッツは自らの足元の地面に靴でラインを引き、その一歩前に立つ。

 

「俺をこのラインまで下がらせれば、お前達の勝ちだ。稽古をつけてやる。ただし、制限時間は三分間だ。それまでに俺を下がらせられなければ、修行は諦めろ」

 

 カタッツが説明する横で、悟飯も父・悟空と同じデザインの山吹色の道着を身に纏う。

 

 ただし、あちらが左胸と背中の○の中に「悟」の文字があるのに対し、こちらは無地だ。

 

 ピッコロに目を向けると、師は弟子を見ることなくカタッツを睨みつけて構える。

 

「……ピッコロさん」

 

「全力で行くぞ、悟飯!」

 

「はいーー!」

 

 二人揃って腰だめに拳を置いて気を纏う。

 

 悟飯は潜在能力開放状態での超サイヤ人に。

 

 ピッコロは神気と魔力の混じった光を開放した。

 

 対するカタッツは、構えを取りながら真・超サイヤ人と渡り合った白銀の光を身に纏う。

 

 その一切、加減をする気のない姿勢にピッコロが、不満気に告げた。

 

「おい、俺たちを相手に全力か? 少しは遠慮したらどうだ?」

 

 カタッツは淡々と厳つい顔を変えることなく告げる。

 

「…断る。俺は生半可な真似はせん。弟子にする見込みがなければ見限るだけだ」

 

「…へっ! このピッコロ様を舐めるなよ!!」

 

 ピッコロは、いつもの落ち着いた声音や態度でなく。

 

 まるで、孫悟空のライバルとして闘っていた時のような若々しい声を張り上げて、一気に距離を詰める。

 

 右にピッコロ、左に悟飯が現れ、師弟は見事なコンビネーションで同時に仕掛けた。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「…! 凄いな、ピッコロに悟飯か。どちらも予め打ち合わせた訳でもないのに、完璧な連携だ」

 

 二人の動きにターニッブが口の端を緩めながら、穏やかに見据えて告げる。

 

 対するカタッツは、表情を変えることなく顔の横に上げた両拳で、左右からの拳と蹴りの連撃を捌いていく。

 

「…く! 何という見切りだ!!」

 

「その場から動かずに、淡々と腕を動かすだけで攻撃を捌くなんて! 見切りに関しては、ターニッブさんといい勝負だ!!」

 

 連撃を放ちながらも、軽々と捌かれる事実に悟飯もピッコロも歯を食いしばる。

 

「…なるほど。攻撃も動きも鋭く、速いが脆い。お前達師弟に共通する弱点だな」

 

「ほざけ!!」

 

 悟飯の前に立ちピッコロが叫びながら、右の中段横廻し蹴りを繰り出すと同時、カタッツの右足が上がる。

 

 ピッコロは強烈な衝撃を右足の脛に感じると、吹き飛ばされる。

 

「…なんだと!?」

 

 まるで自分が体重のない紙のように飛ばされる。

 

 しっかりと構えた上で放ったこちらの打撃を真っ向から弾き返されるなど、そう記憶にない。

 

 目を見開き、呆然としながらも体は反応して着地する。

 

「…良い蹴りだ。下手なサイヤ人よりは、よほどマシだ」

 

 ピッコロの動きにカタッツはコクリと頷いた後、ニヤリとする。

 

「…鍛え甲斐はありそうだな」

 

 着地した姿勢のまま動かないピッコロの前に、悟飯が庇うようにカタッツに殴りかかる。

 

「うぉりゃあああ!!」

 

 気合いの声と同時に、真正面に立って左右の拳と蹴りを交互に繰り出す。

 

 両腕で全て捌かれるも、気にせず悟飯は烈火のような攻めを続ける。

 

 悟飯は拳に金色の気を纏わせ、カタッツの顔面に突き出すと同時、カタッツの左手が拳を右に流し、右の肘が悟飯の左頬に突き刺さっていた。

 

「…ぐあ!?」

 

 カタッツの肘鉄の威力に悟飯は空中で動きを止め、後方へバク宙しながら下がって構える。

 

「…強い。このままじゃ、ラチがあかない」

 

「悟飯」

 

 隣に来た師を見上げると、師は白色のオーラを身に纏っていた。

 

「奴は生半可な攻撃ではびくともしない」

 

 ピッコロの言葉に悟飯も目を鋭くしながら前を見る。

 

 泰然と揺るがぬ巨木の如く、カタッツはそこに立っていた。

 

「フルパワーで攻めるぞ!!」

 

「分かりました、やってみます!!」

 

 牙を剥き出しにして気を高めるピッコロに、悟飯も自らの気を高めていく。

 

「…フン、フルパワーで来るか。ならば、こちらも少し動くとしよう」

 

 ガードを高めた腕をそのままに、独特のリズムでステップを踏み始めるカタッツ。

 

「ぬぅおおお!!」

 

 瞬間、ピッコロが強烈なダッシュでカタッツの懐に入って右正拳を放つ。

 

 巨大なカタッツの体躯に放たれたその一撃は、見事に空を切った。

 

「!!」

 

 高速移動でカタッツがその場から消え、ピッコロの前に現れると蹴りを放つ。

 

 中段を狙った丸太のような脚の蹴り。

 

 当たれば細いピッコロの体躯は枯れ枝のように吹き飛ぶだろう。

 

 だがーー。

 

 カタッツの蹴りは、空を切る。

 

 ピッコロもまた高速移動でその場から消え、蹴りを完璧に避けた。

 

「…ほう」

 

「だりゃぁああ!!」

 

 その背後から超サイヤ人悟飯が跳び蹴りを繰り出していく。

 

 たくましい背中に当たるはずだったその一撃は、またしてもヒットする寸前に高速移動で躱される。

 

 同時に悟飯も背後に視線をやるとーー。

 

「なかなか、面白いぞ!!」

 

 ニヤリと笑いながら悟飯の上空に現れたカタッツは、巨大な拳を振り下ろしてくる。

 

 蹴りを放った姿勢のまま、高速移動でその場から消える悟飯。

 

 ギリギリの紙一重でかわされたカタッツの一撃は、地面をあっさりと打ち抜く。

 

 そこへ左右から悟飯とピッコロが同時に仕掛けた。

 

 カタッツも拳を握り、蹴りを返す。

 

 凄まじい乱打戦が二対一でありながらも行われる。

 

「何て鋭く、速い動きだーー! 悟飯とは拳を交えていたから、その実力は知っていたが。これが、悟空がライバルと認める男ーーピッコロか!!」

 

 その光景をターニッブが拳を握り締めながら、震える声で感心している。

 

 二人の動きを見て、カタッツは自分が線を引いた足場から動き出したのだ。

 

 誇り高い戦士としての彼の心を二人の熱い闘志が動かした。

 

 その熱気に当てられ、思わずターニッブも清々しい笑みを浮かべている。

 

「強いーー!」

 

 対峙するカタッツもまた、笑みを浮かべている。

 

 久しくない笑みだった。

 

 彼に戦いで笑みを刻ませることができるのは、その力を認められた者だけだ。

 

「フフ、フハハハハハ!! 楽しませてくれる!!!」

 

 強烈な拳と蹴りをぶつけ合いながら、カタッツは笑う。

 

 その強さに、ピッコロも悟飯も真っ向から立ち向かう。

 

「ぬぉおおおっ!!」

 

「でやぁああっ!!」

 

 火を吐くかのように叫ぶピッコロと悟飯。

 

 彼らの叫びに呼応するかのように、高まる気。

 

 二人の猛攻が更に勢いを増す。

 

 彼らのすさまじい連撃に、ついにカタッツは先までのように捌くのではなく、両腕を折り畳んでガードに専念し始めた。

 

 分厚い壁のように、まったく微動だにしないカタッツの巨躯。

 

 悟飯とピッコロの左右からの強烈な右ストレートを腕の上に炸裂させ、カタッツは表情を変えずに熱く告げる。

 

「どうした!? それで終いか!!」

 

 この言葉にピッコロは目を鋭く細めて拳を握る。

 

「俺達をあまり舐めるなよ、ナメックの帝王! 吠え面かかせてやるぜぇ!!」

 

「アンタをあの線より下げれば良いんだろ? 望み通り、ふっ飛ばしてやる!!」

 

 その横で金色の戦士となった悟飯がニヤリと告げる。

 

「やってみろ! 誇り高きナメックの子・ピッコロに、才気溢れしサイヤ人・孫悟飯よ!! この帝王に、目にもの見せてみるがいい!!!」

 

 牙を剝き出しにして虎が咆哮する。

 

 その咆哮に応えるように、ピッコロと悟飯の気が更に高まる。

 

「ぬぉおおおお!!」

 

「だりゃぁあああ!!」

 

 白銀のオーラと金色のオーラが、左右で立ち上がると強烈なラッシュを繰り出した後、肩から身体ごとぶつかってくるピッコロと悟飯。

 

「!!」

 

 左右からの強烈なタックルにカタッツの巨躯が後方に足を引きずられるように下がる。

 

 歯を食いしばるカタッツの両腕を、それぞれ左右から悟飯とピッコロが押さえつけてくる。

 

「貴様ら!!」

 

 目を見開くカタッツにピッコロと悟飯がニヤリと笑う。

 

 一歩一歩、同時に足を前に踏み出して後方へとカタッツの巨躯を追いやっていく。

 

「悟飯ーー!!」

 

「ピッコロさん!!」

 

 互いに呼び合い気を纏って更に押し込む力を高める師弟二人に対し、カタッツも蒼く輝く銀のオーラを身に纏って踏ん張る。

 

「舐めるなよ。その程度の歩みで、この帝王の肉体を退けることなどできん!!」

 

 動かなくなるカタッツを見て同時に、ピッコロと悟飯は不敵な笑みを浮かべた。

 

「これで終わりだ、カタッツ!!」

 

「かぁ~、めぇ~、はぁ~、めぇ~!!」

 

 カタッツの左右の腕をしっかりと抑えて突き出された師弟の両掌に、金色と蒼白の光が現れる。

 

「!! 貴様ら!!」

 

 目を見開くカタッツに強烈な光が至近距離で放たれる。

 

「激烈光弾!!!」

 

「波ぁぁあっ!!!」

 

 二つの光は一つの白い光線となってカタッツの巨躯を飲み込んで、遥か後方を撃ち抜いた。

 

 その威力に観戦していたターニッブも目を見開く。

 

「凄まじい破壊力だ。今の気功波。それぞれが単体で放つよりも掛け合わせることで倍以上の力を引き出している」

 

 肩で息をしながらも、カタッツを吹き飛ばした一撃を放った師弟を、ターニッブは掛け値なしに称賛する。

 

「素晴らしい一撃だった…!!」

 

 彼らから、その前方で立ち上る巨大な土煙を見る。

 

 先の光の一撃が生んだ爆発と煙だった。

 

 その土煙が晴れていくと同時、頑強な体躯を誇るナメックの帝王が姿を現す。

 

 カタッツは無傷でその場に仁王立ちしている。

 

「フフフ、はぁーっはっはっはっ!!!」

 

 哄笑するカタッツの足元は、自らが刻んだラインから下がっていた。

 

「見事だ、ピッコロ! そして悟飯よ!!」

 

 心からの称賛の声にピッコロはニヤリとし、悟飯は肩から力を抜いて超サイヤ人から黒髪に戻る。

 

「へっ! これで、俺もようやく強くなれそうだぜ」

 

「ええ。失った力を取り戻すだけじゃ足りない。皆を護るために!!」

 

 強い意志の宿った言葉にカタッツは口の端をニヤリとした。

 

「貴様らが、その志に相応しい程に強くなれるかは貴様ら次第よ!! せいぜい、強くなって俺を楽しませろ」

 

 どこか悪の匂いのする笑みを浮かべてナメックの神は笑う。

 

 こうしてーー時の流れから忘れられたナメック星にて、ピッコロと悟飯は修行を始めるのだった。

 

ーーーー

 

 其処は孫悟空達が住む第7宇宙とは違う宇宙。

 

 神々の中では第10宇宙と呼ばれる世界。

 

 その界王神界で、一人の若く緑の肌と白い髪をした付き人が、大木を前に静かに構えを取っている。

 

 界王神が住む御殿があるだけで、他は桃色の蓮の花を付けた巨木が一本。

 

 他は芝生が何処までも続く世界。

 

 巨木から舞い散る花びらが、穏やかな世界に満ちている。

 

 青年の閉じた灰色の瞳の向こうには、目に焼き付いた黄金の炎を纏ったサイヤ人という種族の戦士、二人の闘いがあった。

 

「…何故だ」

 

 静かにつぶやく。

 

「欲の塊であり、全てを食らい尽くすまで己の非を認めようともしない利己的な存在。それが、人間のはず。なのに何故。あれ程までの域に達せられたのだ」

 

 あれ程の力を振るいながら邪念はなく、ただ相手よりも一つ上にあろうとする純粋で強烈な意志だけがあった。

 

 第7宇宙の界王神達の友だと言うサイヤ人・孫悟空。

 

 瞳を鋭く細める青年に老人の声がかけられる。

 

「どうした、ザマス?」

 

「ゴワス様…!」

 

 振り返れば自らの師であり、自分を次期界王神にと付き人に選んでくれた第10宇宙の現界王神ーーゴワスがいた。

 

 彼は手押し車の台の上に紅茶のセットを載せて運んでいる。

 

 ゴワスは丘の上にある卓上に紅茶セットを置くと、カップを二つ並べていく。

 

「ズノー殿に聞いてきたのであろう? あの孫悟空というサイヤ人について」

 

 ザマスが歩み寄って茶を淹れようとするのを、ゴワスは手で制して静かに見据えてきた。

 

「……はい」

 

「どうだった?」

 

 優しい笑みを浮かべて穏やかに問いかける界王神・ゴワスに、ザマスは頭を下げながら告げる。

 

「分かりませんでした」

 

「? 分からない?」

 

「正確には、分からなくなりました。界王だった私が言うことではありませんが。私は人間など滅びれば良いと思っていました。同族同士で相争い、周囲の無関係なものを巻き込んで自滅することしかできない人間と言う種族は神が造った失敗だと。ずっと、そう考えてきたのです」

 

「……うん。続けなさい」

 

 頷きながら茶をカップに淹れて続きを促すゴワスに頭を下げ、ザマスは語る。

 

「しかし、あの孫悟空というサイヤ人は違いました。奴は確かに強い。そして強くなるためならばと、自分勝手な一面もあります。ですが自分の欲の為に他人を貶めようという心がない。私の見てきた人間は、口では綺麗事を語りながらも己が追い詰められれば直ぐに化けの皮が剥がれるようなものばかりでした。しかし、彼は他人の為に死ねる男だった…! ゴワス様、人間とはいったい何なのでしょう?」

 

「分かるか、ザマス。お前の言うとおり、人間とは欲の塊だ。だが、その中で彼らのように己ではなく他人の為に怒ること、死ぬことができる稀有な存在もある。人間は、とても面白いものだよ。己の弱さや醜さに悩み、もがき、苦しみながら生きる姿は、私にはとても尊いものに見える」

 

 そう言いながら、ゴワスは自分のイヤリングの片方ーー右に付けていたものをザマスに差し出した。

 

「? ゴワス様?」

 

 受け取りながら、訝し気に問いかけるザマスにゴワスは淡々と告げる。

 

「私が口で説明するよりも、お前はお前の目で見てきなさい。孫悟空というサイヤ人は様々な次元で、悪党どもから多くの人を救っている。私も興味があって調べてみた。その中でお前に見せるべきものは、彼の死んだ次元の話だ」

 

「? 孫悟空が、死んだ?」

 

 首を傾げるザマスにゴワスは箱を取り出す。

 

 そこには、銀色や緑色に輝く指輪が納められていた。

 

「ズノー殿に聞いてこなかったのか? 本来、孫悟空は心臓病で死んでいるのだ。それを未来から来た青年が薬を与え、生き残らせた。まあ、もっとも死因が違うだけで結局、その時期に孫悟空は死ぬのだがな。しかし、その違いが青年の生きる世界と今の次元とを決定的に変えたのだ」

 

 淡々と告げるゴワスにザマスが叫んだ。

 

「人間が時空を超えるのは罪です! それを、何故見逃すのですか。それに、私に何をさせたいのです!?」

 

「第7宇宙のことである、ということもあるが。青年ーートランクスの歩んだ世界が余りにも救いが無かったためだ」

 

「……救いが、ない?」

 

 ゴワスは静かに指輪をザマスに手渡す。

 

 ザマスは自分のオレンジ色のイヤリングを外すと、左耳に深緑の色をしたイヤリングを付けて、指輪を右手中指にはめる。

 

「見てきなさい。孫悟空というサイヤ人が、どれだけの人を救って希望となったのか。彼が死んだことで、どれだけの絶望が生まれたのかを」

 

「……はい」

 

 丁寧に一礼すると、ザマスはゴワスに勧められるままに席に座り紅茶を飲む。

 

(ザマス。今のお前ならば、見れるはずだ。神が何故、人間を見守るのかをーー)

 

 孫悟空というサイヤ人の戦いを見ることで、ザマスの心が動いたように。

 

 今のザマスならば、必ず神の役割を理解できるはずだとゴワスは信じていた。

 

ーーーー

 

 忘却されたナメック星。

 

 そこでピッコロは恐ろしい修行をカタッツから与えられていた。

 

 時は少し遡る。

 

「…傀儡人形?」

 

 二人の小さなナメックの少年が持ってきたのは、土偶と呼ばれるものだった。

 

 それぞれ二体ずつをカタッツ達の前に置く。

 

 理解できずにピッコロと悟飯はカタッツを見上げると、彼は右手をピッコロに。

 

 左手を悟飯にかざした後。

 

 左右の人差し指を傀儡人形に向けて、指先から光を放った。

 

「お前達が行う修行は、己自身との戦いだ。だが、ピッコロ。お前には少し厳しめで行く」

 

「どういうことだ?」

 

 光が爆発し、傀儡人形と呼ばれていた土偶が煙の中に消える。

 

 次に煙が晴れた時、ピッコロと悟飯は目を見開いた。

 

「うゎぁはっはっはっは! 久しぶりだな、我が息子よ!!」

 

 そのナメック星人はピッコロよりも更に大柄であり、着ているピッコロと同じ色とデザインの道着、胸元には巨大な文字で魔と書かれている。

 

「…大魔王!?」

 

 驚愕するピッコロの前に、大魔王の影から同じくらいの背丈の大魔王と瓜二つのナメック星人が現れる。

 

 大魔王と同じ道着を着ているが道着の上衣だけ白、胸元には神と書かれている長身の若い男。

 

「…ピッコロよ。更なる高みを求めるか」

 

「…お前は、神か?」

 

 若かりし頃の肉体を持った地球の神であったナメック星人が、大魔王の右隣に並び立つ。

 

 そして大魔王の左隣にピッコロと同じ背丈、瓜二つの顔を持った若々しいナメックの青年が立った。

 

「こうして、一戦士としてお前と再び相見えられようとはな。ナメックの神に感謝せねばなるまい」

 

「ネイル…!」

 

 目を見開くピッコロの前にカタッツが告げる。

 

「こやつらは、お前と同等の実力を持ったお前ではないお前自身。こやつらを打ち倒すことができれば、お前は高レベルの神の気を纏うことができるであろう」

 

「…自分と同等の実力を持った、神と大魔王とネイルが同時に相手だって言うのか?」

 

「そうだ」

 

 淡々と告げるカタッツに、ピッコロは不敵な笑みを浮かべた。

 

「上等だ…! 誰がナメック星人最強か、決めようぜ! 神! 父! ネイル!!」

 

 これに大魔王はニヤリと笑う。

 

「神などと同化し、孫悟空の息子と仲良くする愚か者め。ワシは神やネイルとは違う、貴様を打ち倒して同化してくれるわ!!」

 

 神は静かに穏やかな声で告げる。

 

「相変わらず勇ましいな、ピッコロよ。だが、手加減はせんぞ? お前がどれだけ腕を上げたのか、見せてもらう」

 

 ネイルは不敵な笑みを返して告げた。

 

「ピッコロよ。私もお前と闘って見たかった…!! 三対一でも遠慮はせんぞ!!」

 

 言うと同時、三人のナメック星人がピッコロに襲い掛かる。

 

「! ピッコロさん!!」

 

 悟飯が思わずピッコロに手を貸そうとするも、目の前に山吹色の道着を着た黒い短髪の青年が立ちはだかる。

 

「! 君は、もう一人の僕か!!」

 

「ああ。傀儡人形の肉体に、俺の魂が吸い込まれた。どうやら、君と戦えってことらしい」

 

 そう言うと、顔に傷のある未来次元の悟飯は超サイヤ人に変身した。

 

 これに悟飯が目を見開く。

 

「君…! その力は!!」

 

「ああ、これは俺の本来の力じゃない。これは、君の力だ。今の俺は、君と同等の力を持たされているみたいだな」

 

 ナメックの神・カタッツを見やりながら告げる未来悟飯に、現代悟飯も超サイヤ人になって構える。

 

「未来次元の自分との闘い、か」

 

「言っとくが、俺は加減しない。君の修行である以上、本気で立ち合ってもらうよ。でないと、意味がないからね」

 

「……君、ちょっとピッコロさんに似てるね」

 

「かもな!」

 

 互いに気迫は充分なナメック人とサイヤ人。

 

 そんな彼らにカタッツは告げた。

 

「傀儡人形が姿を保っていられる時間は五分だ。全力でぶつかり合え。その五分をどう使い切るかは、お前達次第だ。課題は己で考えろ、違う自分と戦うことでな!」

 

 カタッツの言葉の後。

 

 四人のナメック星人と二人の孫悟飯がぶつかり合った。

 

 ピッコロと孫悟飯。

 

 二人の修行は続くーー!

 

ーーーー

 

 未来時空。

 

 忘却のナメック星で修行するもう一人の孫悟飯の世界。

 

 其処は、正に地獄だった。

 

「ぐわあ!」

 

 復興していた街は再び絶望の炎に包まれる中、一人の剣士が吹き飛ばされる。

 

 血を吐きながら、地面に仰向けに倒れた紫の髪をした青年は、端正な顔立ちを険しいものに変えて炎を睨み上げる。 

 

 その中から黒い人間の影が浮き上がった。

 

「トランクス! 逃げなさい!!」

 

「母さん!!」

 

 白衣を着た青い髪の女性が、必死に青年ーートランクスに向かって叫んでいる。

 

「ーーあぐっ!?」

 

 彼女は炎の中から現れた腕に胸元を掴み上げられた。

 

「ーーここまでか、サイヤ人?」

 

 残忍で冷酷な声が、炎の中から聞こえてくる。

 

 その声の主に向かってトランクスは必死に告げた。

 

「やめろーー!」

 

 炎の中から男が静かに歩み出てくる。

 

 漆黒の髪を左右に伸ばした独特の髪型をした、鋭い目つきの男。

 

 灰色の道着の上衣を赤い帯で締め、漆黒の道着の下衣に白いブーツを履いて、左耳に緑色のイヤリングをしている。

 

 その男の顔はトランクスのよく知る戦士と同じ姿だった。

 

「やめてくれ。母さんを、助けてくれぇえええ!!」

 

 涙ながらに訴えかけるトランクスを、男はニヤリと見下して冷酷に告げる。

 

「愚かなサイヤ人よ。お前の母の罪を今から、私が救ってやろう…!」

 

 母を掴んだ男の左手が金色の光を放ち始める。

 

「やめろぉおおおおおおお!!」

 

「愚かな人間には、死こそが恵みーー!」

 

 手を伸ばすも間に合わない。

 

 光が母ーーブルマを包み込み、消し炭にしようとする。

 

 その時だった。

 

 青い光弾が、トランクスの立っている方向とは逆から男に向かって放たれた。

 

「なにーー!?」

 

 男は咄嗟にブルマを捉えていた左手を手放し、振り返って己の金色の光弾を放ち相殺する。

 

「何者だ?」

 

 男は目を鋭く細めて告げると、投げ捨てられたブルマを抱きとめる人物が居た。

 

 黒髪に左右に跳ねた独特の髪型。

 

「ーーえ? どうし、て?」

 

 顔を上げたブルマには理解できなかった。

 

 呆然と救われた母を見上げるトランクスにも。

 

 自分を投げ捨てた男と、自分を救ってくれた人物は同じ顔をしていたのだから。

 

 だが、そんなはずはない。

 

 自分達のよく知る彼は、二十年近く前に既に心臓病でーー。

 

「貴方ーー孫、くんなの?」

 

 記憶の中にある戦士よりも鋭い目つきの人物は静かにブルマを地面に下ろすと、男に向かい合った。

 

 黒のハイネックのインナーの上に足元まである赤い着物を、腰の辺りで明るい青の帯で締めた上衣。

 

 下衣は男と同じ漆黒の道着のズボン、裾をたっつき袴のように足首で帯と同じ色の布で締めくくり、黒の靴を履いている。

 

 そして男と同じ色とデザインのイヤリングを左耳に付けていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「貴様ーー。その肉体は私と同じ“孫悟空”か?」

 

 目を見開き、問いかける男に人物は応えた。

 

「…孫悟空・ゼノと名乗ろう。誤った審判を下す貴様を倒すために“この世界の彼の肉体と魂を得たお前”だ! ブラックよ!!」 

 

 その名乗りにブラックと呼ばれた男は静かに笑った。

 

「ゼノ(未知)? 愚かな、神である私に及ばぬ知識などない。たとえ、お前が“私”であったとしてもな」

 

 ブルマを助け起こし、トランクスが見守る中。

 

 二人の”孫悟空”の闘いが始まろうとしていた。

 

 




というわけで、次回から未来編に突入です。

よろしくお願いいたします(≧▽≦)
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