ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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ナメックの帝王ーーカタッツが与えた試練は、悟飯とピッコロの二人を鍛え上げる。

異なる己と出会った時、彼らの中に真の強さが息吹き始めるのだった。


カタッツの試練 異なる己

 燃え上がる絶望の炎。

 

 希望などない漆黒の雲が覆った空。

 

 廃墟となった都の真ん中で、二人の同じ顔をした戦士が睨み合っている。

 

「…どうなってんの? どうして、孫君と同じ顔をした奴がもう一人?」

 

 年のころは初老に入っているがそれでも美しさを保っている女ーーブルマが睨み合う二人の黒髪の戦士を見て呟く。

 

「母さん!!」

 

「トランクス!!」

 

 こちらに駆けよってくる息子ーートランクスの下に走り互いに抱きしめ合う。

 

 そんな母と息子を見下ろし、全身を黒に染めた道着を着た男ーーゴクウブラックが、目の前の男から視線をそらして睨み下ろす。

 

「愚かな…! 親子共々、散らせてやろう!!」

 

 右手をかざし黄色の光弾を練ると放つ。

 

 トランクスが気付き背中の剣を抜こうとするよりもはやく、高速移動でもう一人の男ーー悟空ゼノが現れる。

 

 ゼノは片手で光弾を弾き飛ばした。

 

 その動きとゼノの右手が青く輝く光を放っていることに、ブラックは目を細めた。

 

「…その技、認めたくないが。あくまで私の邪魔をするというのか? お前も、私でありながら…!!」

 

「ああ。お前のやり方を認める訳には行かない」

 

 淡々と告げるゼノに対し、忌々しそうにブラックは目を見開く。

 

「馬鹿な!! 人間などを護ると言うのか!? 人間は悪だ!! 滅ぼすべき邪悪なのだ!! 何故、それがわからん!!」

 

「…別の世界の私よ。お前は、お前の世界の孫悟空に出会って何を学んだのだ?」

 

 問いかけにブラックは拳を握りしめて告げた。

 

「知れたこと!! 人間の脅威と邪悪さだ!! 孫悟空は善悪の判断も付かず、ただ強くなることにしか興味のない未熟な精神と、その精神を原動力に鍛えて強靭な肉体を持ったーー神が創った人間の中で、最も罪深き駄作そのものだ!!」

 

「お前は、孫悟空の力しか見ていないのか? その心には、人を貶めようと言う欲望がない。確かに、奴は強くなるためならば他を差し置いてというところがあった。しかし、罪なき者が犠牲になる時、率先して怒りを持てる男でもあった。純粋に強くなると言う心があったからこそ、奴は神の域に至れた。我々が最も忌み嫌った人間とは正反対だと言うことが、分からなかったか?」

 

「なにをバカなことを!! 孫悟空こそ人間そのもの!! その存在が争いを引き起こし、美しい世界を滅ぼすのだ!!」

 

「……違う。孫悟空は人間だけではない。その力で、我々神等よりも多くの世界を救ってきた。何故なのだ、私よ。何故、孫悟空の肉体を手に入れてまで人間を滅ぼそうとするのだ!! その男は、多くの人々の希望だった。その名を、体を使ってまで。そうまでして何故。世界に絶望をまき散らす!?」

 

 ブラックは静かに目を細める。

 

 ゼノは静かに構えを取る。

 

「同じ私であり、同じ孫悟空の肉体を持ちながら。何故、こうも正反対になってしまったのか。残念だ、ゼノよ」

 

「私もだ、ブラック。孫悟空に出会いながら、お前は人間の悪の部分しか見れなかった。彼の優しさを理解できなかったとは……」

 

「黙れ!!」

 

 互いに拳を固めてぶつけ合う。

 

「ゼノ! 貴様は、孫悟空に負かされなかったようだな!? 私は無様にも敗北した!! 神である私が、たかが人間に手加減された上で負けたのだ!!」

 

「……哀れな。結局、貴様は己の負けから目を背けただけの敗者ではないか!!」

 

 漆黒のオーラと青白いオーラがぶつかり合う。

 

 黒と青の光が雲の下で激しく動いて軌跡を描き、あちこちで火花を散らしながらぶつかり合っている。

 

 その二つの光を見上げ、ブルマが訝し気に眉をしかめる。

 

「違う世界の私? 神? どういうことなの? 孫君の躰を使って、アイツ等いったい何をしようっていうの?」

 

「分かりません。でも、今は逃げることを第一にしましょう! 母さん!!」

 

 トランクスの言葉にブルマはもどかしげな表情になる。

 

「孫君の肉体を使って、こんなことをするような悪党を前に逃げなきゃいけないなんて…! 悔しいわ」

 

「母さん!!!」

 

 トランクスに連れられ、ブルマは地下シェルターの入口に入っていった。

 

 だが、その直前にブルマは懐から小さな豆粒のような丸い機械を地面に放り投げて転がせる。

 

「? 母さん、今のは?」

 

「盗聴器よ。何か、私たちにとって有益な情報を話すかもしれないわ」

 

 うす暗い地下シェルターへの狭路を避難移動しながらブルマは盗聴器を作動する。

 

 それを尻目にブラックとゼノの右拳がぶつかり合う。

 

「…フン。その程度の力では私を止めることはできんぞ。ゼノよ!!」

 

 ゼノが一方的に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 

「……っ!!」

 

 土煙を上げながら見上げるゼノを見下ろすブラック。

 

 見れば、ゼノは肉体のところどころを負傷していた。

 

 ニヤリと笑ってブラックは告げる。

 

「どうやら、今のお前は界王だった頃の私に毛が生えた程度の実力しかないようだな? この世界で既に亡骸と化した孫悟空の肉体と魂を得たと言っていたが。ドラゴンボールは既にない。まさか、貴様ーー自分の命を?」

 

「……ああ」

 

 その言葉にブラックが心底憐れむような表情に変わる。

 

「愚かな。心臓病で死んだ孫悟空など、元のお前にすら及ばないというのに。それを自らの命と肉体を犠牲にして、魂の器として復活させるとは」

 

 ゼノは静かに立ち上がりながらブラックを見上げる。

 

「確かに。ゴワス様に何も説明せず、時の指輪を戴いた上で勝手な真似をしたことは、いずれ謝らねばなるまい」

 

「チッ! ゴワス如きをまだ生かしているのか!!」

 

「…やはりそうか、ブラック。お前は、ゴワス様を殺したな」

 

「当たり前だ。神が無能であることを教えてくれたヤツだ。真っ先に殺してやったぞ。この世界のゴワスもな!!」

 

 その言葉にゼノは表情を歪める。

 

 これにブラックは心底愉快そうに笑った。

 

「何故、そんな顔をする? お前も私ならば喜べ! お前もゴワスの思想とは相容れなかったはずだ!!」

 

 凶暴で残忍な笑みを浮かべるブラックに、ゼノは静かな怒りを持って告げた。

 

「それほどまで、周りが見れなくなったか。ザマス!!」

 

「お前こそ、いい加減に目を覚ませ。ザマスよ」

 

 聞き分けの無い幼子を見るように、ブラックはゼノを見つめる。

 

「お前の中にある正義を為すために、私の手を取れ!!」

 

「…お前は、何故ゴワス様がお前を弟子にしようとしたかを考えたことがあるのか? 何故、私を次期界王神にしようとしたのかを。その方を殺してーー正義だと!?」

 

「ゴワスだけではない。私は全宇宙の神々を殺してやった」

 

「ーーな!?」

 

 目を見開くゼノに、ブラックは穏やかな表情で告げた。

 

「神は、この世に私だけ居れば良い!!」

 

 高らかに宣言するブラックにゼノは、ただ目を見開いていた。

 

ーーーー

 

 忘却のナメック星。

 

 四人のナメック星人の戦士が、しのぎを削っている。

 

「ずぇいっ!」

 

 気合と共にピッコロは、己より巨大な大魔王の拳を受ける。

 

 受けた腕が思わず痺れる程の剛拳。

 

「ぬぅ!?」

 

「ガハハハッ。どうした、息子よ! この程度の拳も受けられんのか!!」

 

「馬鹿力め! だがーー!」

 

 再び繰り出される拳を高速移動で避けるピッコロ。

 

「ぬ!? スピードは貴様が上か!!」

 

「そういうこった!」

 

 超スピードで動きながら拳を繰り出そうとして、目の前に大魔王と同じ姿をした神が現れる。

 

「!!」

 

「ーー甘いぞ、ピッコロよ」

 

 放った拳を左手で払われた後、強烈な掌底を顎先に見舞われて吹っ飛ぶ。

 

「ガハッ!!」

 

 後方宙返りして着地するピッコロだが、目の前に自分と瓜二つのナメック人・ネイルが居る。

 

 咄嗟に左右の拳と蹴りを連打して打撃の弾幕を張るピッコロ。

 

 これにネイルも拳を返していく。

 

 手数は五分、スピードはピッコロが上。

 

 だが、どちらも当たらない。

 

 ネイルの攻撃を紙一重で避けるピッコロ。

 

 ピッコロの攻撃を紙一重で弾くネイル。

 

「ーークッ! ネイル、貴様!!」

 

「どうした、五分しかないんだぞ? この程度の捌きを打ち破れずに、孫悟空やベジータの超サイヤ人ブルーに勝てると思うのか?」

 

「舐めるなよ!!」

 

 拳を握り、強列な右正拳の打撃を放つ。

 

 拳を合わせてネイルを体ごと後方に退かせるも、目の前に神と大魔王が左右から迫って来ていた。

 

「しまーーっ!!」

 

 強烈な左右のストレートにピッコロは後方へ吹っ飛ばされ、背中から叩きつけられる。

 

「お、おのれーー!」

 

 何とか足元をふらつかせながらも立ち上がるピッコロ。

 

 強烈な大魔王の拳と的確な神の拳が、それぞれ彼にダメージを深く与えていた。

 

 三人の自分の分身ともいえるナメック人を睨みつけ、ピッコロは口の端をゆがめた。

 

「面白いーー! 貴様らとやり合えるだけでも、此処に来た甲斐があったというものだ!!」

 

 更に気を高めるピッコロ。

 

 これに三人のナメック人達も笑みを浮かべて気を高める。

 

「どうした、息子よ! この程度では、孫悟空を倒すなど夢のまた夢ぞ!!」

 

「本気を出すのだ、ピッコロよ。確かに此処に居る限り、何度でも戦うことはできる。しかしーー!」

 

「回数を重ねることで勝利を得たとて、意味はない。神の見切り、大魔王のパワー、私の技の全てを真っ向からお前のスピードで打ち破ってみせろ!!」

 

 三人からの言葉に、ピッコロは不敵な笑みを浮かべて牙を剥き出しにして叫んだ。

 

「クク、孫悟空以外で。こんな楽しい戦いは、初めてだぜ!! 貴様らの全てを打ち破った上で、その全てを俺のモノにしてみせるぞ!!!」

 

 更に激しくぶつかり合う四人のナメック星人。

 

 これを満足げに見やり、カタッツは視線を彼らから、別の場所で戦う二人の山吹色の道着を着たサイヤ人に向ける。

 

 顔に傷のある精悍な顔立ちの超サイヤ人と、自信に満ち溢れた強気な顔立ちの超サイヤ人。

 

 同じ人物でありながら、彼らの様相も全く違う。

 

 左手を顔の横に上げ、右拳を握って腰に置いて構える。

 

「君の力を見せてもらうよ! 別の世界の俺!!」

 

「望むところだ、もう一人の僕!!」

 

 言い合うと同時、互いに地面を蹴って拳と蹴りをぶつけ合う。

 

 スピード、パワー、身体能力の全てにおいて、互角だった。

 

 打撃を交換しながら未来悟飯は悟飯に笑いかける。

 

「流石だね。父さんやピッコロさんと修行を重ねて来たのかい?」

 

「君こそ。誰からも教わらずにたった一人で、これだけの強さを持っているなんてーー!」

 

 両者の戦闘スタイルは微妙に違う。

 

 孫悟空の生きている世界の悟飯は、闘い方も孫悟空のそれを真似ている。

 

 対する未来時空の悟飯は、幼い頃に父や師と呼べる人物がいなくなったため、我流で技を磨いてきた。

 

 当然だが、未来悟飯の動きは現代悟飯に比べて粗削りな部分が多い。

 

 秒間数百の打撃を応酬しながら、互いに高速移動して相手の死角から攻撃を繰り出そうと動きを速める。

 

 烈火の如き激しさを持つ現代悟飯に対するは、氷のように冷静な観察力を持った未来悟飯。

 

 互角の戦いをしているが、その差は徐々に現れて来ていた。

 

「ーーなんて苛烈な攻めだ。攻撃の上から攻撃を重ねてくるかのようだ……!」

 

 圧倒的な手数に未来悟飯が徐々に押されている。

 

 これにニヤリと現代悟飯が笑いかけた。

 

「どうだい、もう一人の俺? 俺のラッシュも中々のものだろ?」

 

「確かにな。手数もそうだが、打撃の鋭さと正確さは俺にはないものだ」

 

 素直に称賛する未来悟飯に対し、現代悟飯が鼻の下を指でこする。

 

 だがーー。

 

「だが、だからこそーー。君の動きは読み易い……!」

 

「…! なんだって?」

 

「試してみるといい。君の動きは、見切った!」

 

 静かにーーだが絶対の確信を持って告げる未来悟飯に現代悟飯が瞳を鋭く細める。

 

 本来なら洗練された動きの現代悟飯の方が、優勢に進められるはずだ。

 

「ならーー行くぞ!!」

 

 これまで以上のスピードを載せ、手数を一気に増やす。

 

 あの悪の魔人ブウを相手に圧倒した全力のラッシューー現代悟飯は、それを繰り出した。

 

 だがーー。

 

「ぐあ!」

 

 苦悶の声を上げながら、現代悟飯が仰け反る。

 

 未来悟飯は、その前に疾駆しながら叫んだ。

 

「どうした!? 君の力は、こんなもんじゃないだろ!!」

 

「……くっ!!」

 

 攻め込んでくる未来悟飯に、現代悟飯は右の拳を合わせてカウンターを取ろうとする。

 

 しかし、未来悟飯はその場から僅かに首を傾けるだけで攻撃を躱す。

 

(見切られている!? どうして!!)

 

 スピードもパワーも互角だった。

 

 何故、自分の攻撃だけが見切られるのか。

 

 苦し紛れに現代悟飯が顔に向かって右ストレートを放つと、左に見切った未来悟飯は強烈な返しの右ボディで体を前のめりにさせ、左アッパーで顎を打ち貫いて体を立たせ、右の上段回し蹴りを横面に叩き込む。

 

「ぐあぁあ!!」

 

 強烈な三連撃にたたらを踏んで後退する現代悟飯。

 

 倒れこそしないものの相当効いたようで、肩で息をし始めている。

 

「どうして……!」

 

「君の動きは確かに鋭いし、正確だ。だが、だからこそ読み易い」

 

「!?」

 

 目を見開く現代悟飯に対し、未来悟飯は淡々と彼の欠点を告げる。

 

「君の戦い方は、自分より弱いものにしか通用しない。俺は常に自分より上の連中との戦いを強いられてきた。相手の動きを読んだり、攻撃をさせないようにしたり。勝負の駆け引きや小細工も覚えたよ」

 

 自嘲気味に笑う未来悟飯だが、現代悟飯には信じられない動きだった。

 

 未来悟飯の見切りや動きは、無駄がなく実戦的だった。

 

 まるでーー。

 

(これだけ、自分の方が優勢に進めているのに笑みひとつ浮かべていない。似てるーー! 戦いに集中した父さんに!!)

 

 悟飯の最大の弱点というか、課題は強すぎる己の力を戒める心だった。

 

 確かに悟飯は悟空やベジータをも上回る激しさを内面に持っている。

 

 しかし、普段の性格が災いしてそれを表に出すことが滅多にない。

 

 昂る己の心を律する能力。

 

 それが現代悟飯にはない。

 

 対する未来悟飯は、本来の自分よりも遥かに強大な力を振るいながら、現代悟飯のように振り回されるのではなく、使いこなしている。

 

「…すごいな、もう一人の俺。俺は、老界王神様に自分の力を開放してもらって。そのあまりの強さに調子に乗っちまったのに。君は、完全に使いこなしていて。尚且つ、油断してない。まるでーー父さんみたいだ」

 

 感嘆するような現代悟飯の声に未来悟飯は、口許だけを緩ませて笑う。

 

 その笑みは、やはり孫悟空を彷彿とさせる。

 

「油断なんてできないさ。俺は、ずっと自分よりも実力が上の奴らと闘って来た。俺が負けたら、もう後がなかったからね。君だってそうだろ? 別の世界の俺」

 

「…凄い責任感だ。俺は、分かった風でいただけで。本当の所は理解できてなかったのかもしれないな。だから油断して、敵に驚異的な力を取り込ませてしまった」

 

 悔しそうに俯いて現代悟飯は歯噛みする。

 

 それを未来悟飯は、静かに見据えている。

 

「君だったら、あの時の闘いに勝てたかもしれない。あの時、君だったらセルとの戦いで父さんを死なせることも。ブウとの戦いで悟天やトランクス君、ピッコロさんを吸収されるなんてこともなかったかもしれない…!!」

 

 血を吐くような現代悟飯の言葉を、静かに未来悟飯が遮る。

 

「…そんなに自分を責めるなよ。別の世界の俺」

 

「え?」

 

 呆然と前を見ると、彼は鋭い表情を穏やかなものに変えて笑っていた。

 

「君だったから、勝てたこともある。君だったから、父さんは託したんだ。結果がどうあれ、自分がその時に下した選択を間違いなんて思うなよ」

 

「……もう一人の俺」

 

「結果は確かに良い方がいいさ。俺だって人造人間との戦いに勝ちたかったよ。でもね、俺は後悔はないよ。後悔することは自分がその時、真剣に考えて悩んでしてきたことを裏切ることになるから。トランクスに全てを託すことになってすまないとは思ってる。だけど、俺は託したこと自体は間違ってないと思ってるよ」

 

 ニッと微笑む未来悟飯に現代悟飯は構えを解いて向き合う。

 

 その視界が歪んでいた。

 

 温かい腕に掻き抱かれ、現代悟飯は目を見開く。

 

「がんばったさ! 君は、君にできることを精一杯したさ!! だから、自分を責めるな」

 

 耳元で別の世界の自分が声をかけてくれる。

 

 父とよく似た優しさと強さを兼ね備えた声で。

 

「……う、うわぁああああああああっ!!!」

 

 もう一人の自分の腕の中で、現代悟飯は大声を上げて泣いた。

 

 まるで幼かった頃のように。

 

 泣き虫で臆病だった頃のように。

 

 ただひたすらに涙を流した。

 

 それを温かい腕が背中を叩いてくれながら、優しく声をかけてくれる。

 

「よく頑張った、悟飯!」

 

 逞しい未来悟飯の瞳からも一筋の涙が流れている。

 

 その泣き声に、ピッコロと三人のナメック星人も動きを止めて互いを見合う。

 

「…神、大魔王、ネイル。悪いが」

 

 皆まで言うなと神とネイルは微笑み、大魔王はそっぽを向いた。

 

 光が彼らの胸元から現れ、再び土偶へと変わっていく。

 

 それを見据えた後、ピッコロは二人の悟飯に目を移した。

 

「…久しぶりに聞いたな。お前の泣き声を」

 

 カタッツは静かにターニッブを見据える。

 

 ターニッブもまたカタッツを見上げてきた。

 

「…こやつら、強くなるぞ。貴様も腕を磨いておくことだ」

 

「ああ。俺も負けていられない!!」

 

 二人の神域に至った戦士達は、新たな強敵(とも)の誕生を確信して笑っていた。

 




カタッツとの修行もいよいよ、最後の段階に入る。

悟飯の相手はターニッブ。

ピッコロの相手はカタッツ。

はたして彼らは、ターニッブ達を相手に真の一撃を決められるのか?
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