ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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オリキャラ。

 オリ設定。

 様々な伏線を張る今回のお話( *´艸`)

 頭を空っぽにして夢を詰め込んでください(=゚ω゚)ノ


悟空とベジータ 対 惑星サイヤのサイヤ人

 

 悟空とベジータは、ウイスと共に街の中に降り立った。

 

 流石はサイヤ人の惑星というべきか、見た目は地球と変わらないが重力が地球と比べて十倍程度重い。

 

「おいおい、ベジータ。此処のサイヤ人達は尻尾が生えてねえぞ」

 

「…ああ。尻尾の無いサイヤ人は、産まれつき戦闘力が高いんだが。キャベ達のように退化したのかもな」

 

「こう見るとサイヤ人ってのも、髪と目が黒いだけで地球人と全然変わんねえな」

 

「戦闘力は100や200前後の連中が多いようだな。だが紛れもなくサイヤ人の純血だ。これ程の大人数で暮らしているとは思わなかったが」

 

 ベジータが、どこか感慨深げに告げる。

 

 露天の屋台市場が並び立つ姿は、何処かのパーティやお祭りのようだ。

 

 服や食べ物を売ったり、料理を提供している。

 

 そんな街の様子に柄にもなく感動しているベジータを盗み見て悟空は微かに笑った後、市場屋台の一つで買い物中のウイスを向いた。

 

「ほほう! 味は地球の方が好みですが、この惑星の果物(スイーツ)も悪くありませんね〜!!」

 

 嬉しそうなウイスに悟空が苦笑しながら告げる。

 

「ウイスさん、よくこの世界の金持ってんな?」

 

「ホホ、古今東西。宝石や金の類は文明を持った者には価値のあるモノなんですよ」

 

 微笑むウイスの言葉どおり、ウットリとした表情で宝石を見つめる屋台の女性。

 

 見た目は20代くらいに見えるが、サイヤ人は若い期間が長いので地球人の考える実年齢とはギャップがある。

 

 それはさておき。

 

「そんで、ウイスさん。これからどうすんだ?」

 

 その言葉にベジータもウイスに向き直る。

 

「ホホ、そうですね〜。惑星サイヤの王にお会いしてみようかと思っています」

 

「へえ、いきなり行って会わしてくれるんかなー?」

 

「問題ありませんよ、私も破壊神の付き人。はじめての惑星でも多少は顔が効くと自負しております」

 

「へえ〜?」

 

 屋台の女性から宮殿の場所を聞いた一行は、サイヤの王の下に向かった。

 

ーーーーーー

 

 サイヤ王の住むという宮殿は白い壁と黄金の屋根を持つアラビア風の佇まいだった。

 

「此処がターニッブが言ってた王様の住む城かー。ブルマん家といい勝負だな」

 

「ふん。流石は王族。悪くはない趣味だな」

 

 二人のサイヤ人がそう述べあう中、ウイスが前に出る。

 

 彼は門番のいる正門に向かって行った。

 

「ちょ、ウイスさん!」

 

「急げ、カカロット!」

 

 二人は慌ててウイスの後についていく。

 

「…失礼」

 

 ウイスが、二人の警備兵らしいサイヤ人に声をかけた。

 

 二人とも無駄のない引き締まった体をしている若い兵士だ。

 

 一人は眼鏡を、もう一人は頭巾をしている。

 

「あ、はい。どういった御用でしょうか?」

 

 サイヤ人の一人。

 

 眼鏡を付けた方が穏やかな物腰で問い返してきた。

 

 口調は丁寧だが、無駄のない洗練された所作だ。

 

「わたくしの名はウイス、と申します。実は惑星サイヤの王であるサイヤ殿に御目通り願いたいのですが」

 

「…申し訳ございません、王は多忙でして。アポイントは取られて居られますか?」

 

「フム、アポイントが必要なのですか。まあ、確かに。王に会うならば、普通はアポイントは必要でしょうがね〜」

 

 困った顔になる真面目そうな兵士にフムとウイスは頷き、こう告げた。

 

「では、王にご伝言をしていただけますか? 破壊神ビルスの付き人が面会を求めている、と」

 

 兵士二人が顔を見合わせると、オレンジ色の頭巾を頭に巻きつけた方がペコリと頭を下げてから宮殿の中へ入って行った。

 

「ウイスさん。ビルス様の名前を出してたけど、この惑星の王様が、ビルス様のことを知ってなくちゃダメなんじゃねえか?」

 

「普通は、この程度のことで王に告げることはないでしょうね。警備隊長あたりが来るのが関の山、でしょうか」

 

 悟空の懸念したとおり、ビルスの名前を知らなければ意味はない。

 

 だが、次に現れたのは悟空達が思ってもみない程に戦闘力の高いサイヤ人だった。

 

「よお! アンタ等が、サイヤ王に面会したいって連中でいいのかい?」

 

 悟空はパッと見、明るい口調で語る彼の顔が自分の兄ラディッツに似ていると思った。

 

「…ええ。サイヤ王に御目通り願いたく」

 

「よし、俺についてきな」

 

 ウイスの言葉を途中で切ると、青年はニッと笑いながら自分について来いと指でジェスチャーして歩く。

 

 ラディッツや隣にいるベジータと同じM型の額に後方に伸びる髪。

 

 だが、短く切り落とされている。

 

 ベジータの様に全体的に天を突いているのではなく、頭頂部から後頭部にかけては後ろに向かって伸びている。

 

 服装はハイネックの半袖の黒シャツに、下は紅い道着を着て、黒帯で締められている。

 

 ターニッブと同じ形のベージュ色のグローブに、同じ形と色の黒いブーツを履いている。

 

「アンタの顔を見ると懐かしい奴を思い出すな」

 

 歩く途中、ふと自分の顔を見て笑う彼に、悟空は問いかけた。

 

「なあ! あんた、もしかしてターニッブの知り合いなんか!?」

 

 コレにラディッツに瓜二つの顔の彼はニッと口の端を歪めて不敵に笑った。

 

「へえ、ターニッブの奴の知り合いか。俺の名はガーキン。惑星サイヤの近衛兵をしてる。ターニッブの同門でライバルさ!」

 

 青年ーーガーキンの明るい名乗りに悟空は一つ頷くと口を開いた。

 

「オラ、孫悟空! 地球育ちのサイヤ人だ!!」

 

「俺はサイヤ人の王子ベジータ。惑星ベジータの出身だ」

 

 二人の名乗りにガーキンは面白そうに目を細める。

 

「ふうん? 地球にベジータ、か。なるほど、サイヤ王が言ってたとおりだな」

 

「? あんた、オラ達のことを知ってんのか?」

 

「いや? 俺はただ、別の星から来たサイヤ人の二人組を案内する様に王から言われただけさ。サイヤ王・ジュードからな」

 

 その言葉にベジータが目を見開く。

 

「ジュード? それが惑星サイヤの王の名前か」

 

「ああ。サイヤなんて気取った名前を名乗ってやがるが、本名は大したことない、普通のサイヤ人さ」

 

 肩をすくめながら告げるガーキンに、ベジータは目を細める。

 

「あんたはサイヤ王の側近なんだろ? そんな口を利いていいのか?」

 

「ああ、気にすんなよ。俺とターニッブ、そしてサイヤ王・ジュードは師匠が同じ兄弟弟子なんだ」

 

 何ということはない様に告げられた言葉に悟空が反応した。

 

「いっ!? 師匠も王族なんか?」

 

「ああ。……まあ、そうだな」

 

 歯切れの悪くなったガーキンに構わず、悟空は嬉しそうな顔になる。

 

「強ぇえんだろうなー。会ってみてえ!!」

 

「悪いが、師匠は俺たちがガキの頃に死んじまってな。今は、会えねえんだ」

 

「! そりゃ、悪りぃコト言っちまったな。すまねぇ」

 

「気にすんな。十年も前の話だよ。未だに引きずってるのは王様とターニッブくらいだ」

 

 肩をすくめて笑うガーキンに悟空は一瞬だけ、真剣な表情になった後、ニッと笑って告げた。

 

「オメエ、オラの兄貴に似てんなぁ。性格は全然違げぇけんどな」

 

「お! 俺に似てるんなら、さぞや男前だろうな! そいつには会えるのかい?」

 

「あ、そういや。オラの兄貴は死んでんだった! 嫌な兄貴だったから、あんまり思い出すことなくてよ! でも今思えば懐かしいや〜」

 

「……なんだよ、そのドライな関係は」

 

 思わず半目になるガーキンに悟空は、笑いながら言う。

 

「だってよぉ。いきなり百人の人間殺せ、とか言って来るし。できねえってオラが言うと、オラの子どもを攫って殺そうとするしよ」

 

「…思い出し笑いしながら言う内容じゃねえ。つーか、そんなロクデナシに似てるとか言われても、俺は嬉しかねえよ!!」

 

「いやぁ、でも似てんだよ。性格は全然違うけどな!」

 

「その話、やめようぜ。俺にとって良いことねえからな」

 

「? ああ、分かった!」

 

 やや嫌そうにガーキンが言うと、悟空は笑顔で頷いて話題をやめる。

 

 ベジータとウイスが目を前に向けると、一際大きな部屋の前に着いた。

 

 ガーキンは、悟空達三人に向かって告げる。

 

「玉座の間に着いたぜ」

 

 三人はコクリと頷き返し、ガーキンに連れられるまま玉座の間に彼らは入った。

 

ーーーーーー

 

 広がる光景にベジータが思わず懐かしげに目を細める。

 

 左右に並び立つエリート戦士達。

 

 階段の上から見下ろす様に玉座がある。

 

 その高い背もたれに悠然と座る一人のサイヤ人。

 

「…この覇気、すげえな」

 

「確かに。普段からこれ程のモノを身に纏うとはな」

 

 悟空とベジータは玉座の間に入ってから肌がピリつくような感触があった。

 

 理由は目の前のサイヤ王だ。

 

 逆光になっていて顔は分別できないが、マントを羽織り玉座から見下ろす姿が絵になっている。

 

「高いところから失礼する。破壊神ビルス殿の付き人に、他の惑星のサイヤ人だな」

 

 コレにウイスが応えた。

 

「これはご丁寧に。わたしはただの付き人故、そのように改まらなくても構いませんよ。突然の訪問にも応えてくださる貴方の器、非常に広く感じております」

 

「…ほう、ただの付き人か。破壊神殿の師匠であらせられるのにか?」

 

 その言葉に悟空とベジータが目を見開いて、サイヤ王を見上げる。

 

 ウイスは平然とした表情のまま、告げた。

 

「このような辺境の星を、これ程までに豊かなモノへと導いた貴方の器からすれば驚くには足りませんが。お聞かせください。何故、わたしがビルス様の師匠だと?」

 

 サイヤ王は楽しげに口の端を酷薄に歪めて笑った。

 

「ただの勘、と言うと信じるのか?」

 

 問いかけにウイスは微笑みで応えた。

 

 コレにサイヤ王は笑みを返す。

 

「種明かしをすれば知っていたのは俺ではない。神殿に仕える巫女がお前達が来ることを言い当てていたのだ」

 

 逆光の中で光る目はまるで相手の心を射抜くように鋭く、口の端は歪みながらも油断はしていない。

 

「…巫女殿が、なるほど。相当、予知能力の高い巫女殿のようですね〜。わたし、興味が湧いてきました」

 

 ベジータがサイヤ王を見上げながら、訝しげに問いかける。

 

「戦闘民族サイヤ人が、神を祀るのか?」

 

「他惑星のサイヤ王家の者か。お前の所には特異点はなかったか?」

 

「特異点? なんだそれは?」

 

「…この世界は多岐にわたる選択肢からなる。俺たちの世界とは似て非なる世界がな。その選択肢から外された消えるに消えれぬ魂が集まる場所。それが我が神殿の地下にある」

 

 サイヤ王の説明を受け、悟空は目が回っている。

 

 反対にベジータは、静かに頭の中を整理させて告げた。

 

「つまり、死んだサイヤ人の魂や怨念が集まる場所ということか?」

 

「…まあ、そんな所だ。俺たちは、その場所を“死者の都”と呼んでいる」

 

 玉座からサイヤ王は立ち上がり、階段を降りて悟空とベジータの前にやってきた。

 

 その顔を見て、悟空とベジータは目を見開く。

 

「…驚れぇたな。ターニッブはオラに。ガーキンはラディッツにそっくりだったから。王様のあんたもオラ達の知ってるサイヤ人にそっくりなんかとは、思ってたがよ」

 

「ああ。全く、何の因果だ?」

 

 サイヤ王・ジュードの顔は、悟空とベジータの合体。

 

 ベジットそのものだった。

 

 身長はオリジナルのベジットよりも高く、180センチを上回っている。

 

「…身長はベジータ王と同じくらいか。チッ」

 

 ベジータが自身の父である王の身長を思い返しながら舌打ちをしていた。

 

「ふふ、巫女の言ったとおりだな。俺の顔を見るとお前達は複雑な顔をすると言っていた。中々、興味深い」

 

 笑いながらサイヤ王は悟空とベジータを見た後、その後ろに向かって声をかけた。

 

「…巫女よ。この三人に相違ないか?」

 

 全員が振り返ると、黒髪に黒目をしたロングストレートの美女が、巫女服と思われる神秘的な着物を着て立っていた。

 

「はい…サイヤ王。惑星ベジータの同族の仇を見事に取った孫悟空さんにベジータさん。そして第7宇宙の破壊神ビルス様の付き人ウイス殿です」

 

 悟空がコレに感心したような声を上げた。

 

「すっげぇな、アンタ! オラ達のことを知ってんか!?」

 

「…はい。特に孫悟空さん、貴方のことは」

 

「…? オラのことを?」

 

 目をまん丸にして問いかける悟空に巫女は笑いかける。

 

「…クスクス。本当にお顔はターニッブに似てるけれど、彼とは全然違いますのね。孫悟空さん」

 

 可愛いらしく笑う美女に悟空は目をキョトンとさせる。

 

「…えっと? アンタもターニッブの知り合いなんか?」

 

「はい…。ベジータさんが名付けた“真・超サイヤ人”について、そしてターニッブについて。悟空さん、貴方にはお話したいのです。ターニッブは唯一、貴方の前では忌み嫌っていた自分の力、超サイヤ人を解放した。貴方なら、ターニッブを」

 

 真剣な表情の巫女に、悟空もまん丸にしていた目を鋭くして真剣な顔になる。

 

「巫女よ、先に名を名乗りなさい」

 

「はい、失礼しました。悟空さんにベジータさん、ウイス殿。私はサイヤの神殿に仕える巫女、プリカと申します。よろしくお願いしますわね」

 

 サイヤ王に促され、見事な所作で礼をするプリカに悟空は片手を上げ、ベジータは首を頷かせて応えた。

 

「よく言うぜ。お前も悟空達に名乗ってないだろが」

 

 横から告げるサイヤ王に側近のガーキンが揶揄する口調で告げた。

 

 これにサイヤ王が口の端を歪めたシニカルな笑みを浮かべる。

 

「俺の名は、お喋りなお前が教えてるんだろ?」

 

 これに悟空がすぐさま応える。

 

「ああ! オラ、聞いてんぞ! あんた本当はジュードって言うんだろ?」

 

 周りのエリート兵がざわめく中、サイヤ王はニヤリと苦虫を噛み潰したようなガーキンに笑ったあと、ウイスに顔を向けた。

 

「そのとおりだ。ウイス殿、悟空にベジータ。まずは食事でもどうだろうか? この惑星サイヤの飯をあるだけ用意しよう」

 

 悟空に応えながら、サイヤ王は告げるとメイド達が現れて瞬く間に広間に机と椅子を並べ、食事を用意させた。

 

 悟空がコレに喜びながら告げる。

 

「ありがてえ! サンキューな、王様!!」

 

「ジュードで構わん。お前やベジータは、俺の民ではない。俺のことを王と呼ぶ必要はない」

 

 コレにベジータが反応する。

 

「まるで王族の誇りがないようなことを言うな? 王ならば、いつ如何なる時も王足らんとするべきだ」

 

「確かにな。だが、ベジータよ。俺は王の前に一人のサイヤ人として、お前達を見ている。これは個人的なものだが、お前達とは対等でありたいと願っている」

 

 ベジータは静かにジュードの目を見据える。

 

 対峙するジュードも静かにベジータを見返してきた。

 

「先に拳を交えるか? ベジータよ」

 

「…願ってもない。これ程の惑星を作り上げ、束ねる王の力を見せてもらう!!」

 

 ベジータはニヤリと笑いながら告げるが、ウイスが静かに席に着いた。

 

「では、わたしは先に食事を頂きましょうかね。悟空さんはどうします?」

 

「? オラか? オラは、そうだな。飯ぃ食いながら、巫女さんにターニッブのことを聞きてえかな。いや、待てよ。サイヤ王と側近のヤツの実力も見てえし…! うぅ〜ん」

 

 悩み出した悟空を置いてベジータはジュードに告げる。

 

「惑星ベジータの王子ベジータが相手をする!!」

 

「惑星サイヤの王が受けて立つ!!」

 

 ジュードについていくベジータを見て、悟空はニヤリとするとウイスに告げた。

 

「悪い、ウイスさん! オラも組み手してくっぜ!! 先に食べててくれ〜!!」

 

 走りながら去っていく悟空を見送り、ウイスはため息を吐いた後、目の前に出された料理の数々に目をキラキラとさせていた。

 

 それを巫女・プリカが微笑みながら見ている。

 

「ところで、プリカさん。この街の地下には変わった空間があるようですね? これが“死者の都”でよろしいですか?」

 

「……はい。ウイス殿には、どの程度お分かりになりますか?」

 

「そうですねぇ。多次元宇宙に散ったサイヤ人達の魂、そして悪人の魂が漂う空間といったところでしょうか? 平たく言ってしまえば“何が起こってもおかしくはない空間”ですね。死人が現れるのはもちろん、他次元の存在なども。それが具現化してこちら側に来ることも起こり得る」

 

 ウイスは静かにフォークを手に取ると、切り取られた肉を取り口に入れる。

 

 その味にフムと満足気に頷き、彼はつづけた。

 

「貴女やサイヤ王だけでは、到底抑えきれない程の力のうねりです。アレを抑えているのは、悟空さんがビルス様と手合わせした時に見せた“真・超サイヤ人”ですね? 誰かは存じませんが、真・超サイヤ人に変身し続けた末に理性を失くし“ただ闘う為に生きる生命体”に変わり果てた者が、“死者の都”で具現化する魂と常に戦っている」

 

「そう。真・超サイヤ人と死者の都は、わたくし達にとって諸刃の剣。わたくし達の生活が穏やかに送る上で何よりも大切な。けれど、どちらかのバランスが崩れれば一気にこちら側に被害が起こる場所。真・超サイヤ人ーーいいえ、伝説の超サイヤ人そのものになってしまった彼を止めるために、ターニッブは拳を鍛えてきました」

 

 プリカの言葉を真剣な表情で聞くウイス。

 

「超サイヤ人が死者の都を滅ぼせば、間違いなくこちら側に来て全てを滅ぼそうとする。逆に超サイヤ人が具現化した魂たちに敗れた時。この世界は瞬く間に“死者の世界”が広がり、惑星その物が地獄と化します」

 

「両者が拮抗しているからこそ、この世界は成り立っている。両者のバランスを拮抗させるために貴女とサイヤ王は存在する。そういうことですね」

 

「……はい」

 

 悲しそうな表情で語るプリカにウイスは問いかける。

 

「何故、悟空さんに頼ろうと? 彼がターニッブさんや“死者の都”に居るという超サイヤ人と同じ力に目覚めたからですか?」

 

「それもあります。ですが、この惑星のことはこの惑星に住むわたくし達が解決しなければなりません。悟空さんにお願いしたいのは、神殿に来て頂きたいだけです。彼は、多次元に渡る宇宙でサイヤ人や悪人を次々と倒しています。彼に縁のある魂たちを呼び寄せることができればーー」

 

「それほどまでに強力な魂を具現化しなければ、抑えきれない程に超サイヤ人は力を増している、と?」

 

 これに無言でプリカは頷く。

 

 ウイスはその表情を見た後、静かに瞳を閉じた。

 

「悟空さんがーーいいえ。他の次元の悟空さん達が倒してきた悪党は、かなりの数に昇ります。その中にはサイヤ人など比べ物にならない極悪人もいるのです。それを理解したうえでのことですか? もし仮に超サイヤ人が、それで抑え込めたとしても、無限に上昇する戦闘力なのですから。最悪、悟空さんが倒してきた者たちを打ち倒して更なる戦闘力を手に入れる可能性がある」

 

「分かっています、これは賭けです。上手く行かなければ、銀河系にまで影響してしまうでしょう」

 

「そのための悟空さんですか」

 

 眉を人差し指でつまみ上げながらウイスが言うと、プリカも静かに彼を見返した。

 

「ターニッブがあれ程までに苦労して制御できた“真の超サイヤ人”に悟空さんはあっさりとなりました。しかも破壊衝動さえも抑え込んで。最悪、彼ならばターニッブと超サイヤ人の因縁を終わらせることができるかもしれないと思っています」

 

 ため息を一つ吐いて、ウイスはジッと巫女を見る。

 

 その思いつめた表情を静かに見据えた後、手を叩いて告げた。

 

「とりあえず、今は食事にしましょう? プリカさん」

 

「はい。存分にお召し上がりくださいな、ウイス殿」 

 

 二人は笑顔で向き合うと、今は食事に専念するのだった。

 

ーーーーーー

 

 サイヤ王が案内したのは、城の中にある訓練場だった。

 

 天下一武道会の武舞台がスッポリ収まる程に広い。

 

 サイヤ王は上半身を裸にして、白い道着のズボンと黒のブーツを履いて黒帯を腹の前で締め、赤いグローブを両手につけた質素な出で立ちでベジータの前に現れた。

 

 隣には真紅の炎のような赤い道着のズボンを履いた青年・ガーキンが立っている。

 

「ふん。いきなり王自らの出撃か?」

 

 ベジータの揶揄するような声に対し、ジュードは笑う。

 

「王の相手をするのは王でなければならん。違うか?」

 

「ふん。心意気は買うが、それだけで俺は倒せん」

 

 不敵に告げるベジータにジュードもニヤリとする。

 

 静かに向かい合う二人の横に、悟空とガーキンが向き合っていた。

 

「ターニッブのライバルなら、遠慮はいらねえかな?」

 

「ま、確かめてみろよ? アンタの拳でな!!」

 

 四人が互いに構え合う。

 

「二対二か。いい勝負になりそうだな、ベジータ!」

 

「ふん、いくぞカカロット! 足を引っ張るなよ!!」

 

 悟空とベジータが互いに告げ合うと二対二の闘いが始まろうとしていた。

 

 ベジータが左構え、悟空が右構えになる。

 

 ガーキンがそんな二人に向かって一気に駆けた。

 

「! ベジータ!!」

 

「早い!?」

 

 紅蓮の焔を身に纏わせ、一気に二人の間に踏み込んでくるガーキン。

 

 斧の様に鈍い風切り音を立てながら、ガーキンの下段回し蹴りが悟空とベジータの足を掻っ攫う。

 

 一瞬、宙に弾き飛ばされるも体勢を立て直そうとする二人だが、ガーキンの背後に来ていたサイヤ王・ジュードが右足を掲げてその場にいる。

 

「でぃやぁああっ!!」

 

 気合いの掛け声と共にその場で回転しながら蹴りを繰り出すジュード。

 

 回転は空気を乱し、竜巻となって悟空とベジータに無数の蹴りを叩き込む。

 

「な!?」

 

「ちぃ!!」

 

 先手を取られた悟空とベジータは、蹴りをガードしながら弾き飛ばされる。

 

 背中から地面に叩きつけられながらも、即座に立ち上がる二人にガーキンが腰だめに両手を右脇に置いて構え、両掌を上下に合わせて青白い光を放ってきた。

 

「セイヤぁああああっ!!」

 

 コレにベジータが合わせる。

 

 両手を左腰に置いて、右手を曲げ、甲を左手に押しつける様にして右足を曲げて構える。

 

 掌には紫の光が溜まっている。

 

「舐めるなよ! ギャリック砲!!」

 

 突き出される両手から光線が放たれる。

 

 中央でぶつかり合う二つの光。

 

「カカロットのかめはめ波擬きに、この俺のギャリック砲が負けるかぁあああっ!!」

 

「へえ? 俺の波動拳を甘く見てると痛い目見るぜ!!」

 

 睨み合う二人に悟空がベジータを援護しようと拳を構える。

 

 しかし、目の前にジュードが迫っていた。

 

「…くっ!?」

 

 ぶつけられた右拳を左手でつかみ止める悟空。

 

「ターニッブを本気にさせたサイヤ人。正直に言ってお前は気に入らん」

 

「ああ? なんだよ、そりゃ」

 

 訝し気に問いかける悟空にジュードは告げた。

 

「何ーー。ただの嫉妬だ!!」

 

 鈍い音と共に悟空の腹に思い切り右の飛び膝が入る。

 

「がぁっ!」

 

 顎を下げた悟空に跳び上がりながらのアッパーカットが決まった。

 

「くあぁああああっ!!」

 

 天高く舞い上げられる悟空と天頂に届けとばかりに突き上げられたサイヤ王の拳。

 

 王はくるりと身を一つ翻して、静かに着地する。

 

 そして右腰に両手をたわめると紫電を纏った青白い光の球を作り出す。

 

 背中から地面に叩きつけられ、顎を拭いながらフラフラと立ち上がる悟空に向かって、ジュードは右手を上に、左手を下にして掌に気を凝縮し、前方に突き出して青い気功波を放った。

 

「ーー電刃・波動拳!!」

 

 咄嗟に両腕をクロスしてガードする悟空だがーー。

 

「……がぁつ!? なんだ、これはーー!!」

 

 衝撃がガードしている腕を無視して悟空の体に伝わる。

 

 目の前にジュードは現れ、先の右の飛び膝蹴りを放ってきた。

 

(同じ手は、オラには通じねえ!!)

 

 右手を開いて捌こうとしたが、体が棒立ちになっている。

 

(バカな!? なんで動かねえ!!?)

 

 ノーガードの状態でまともに鳩尾に膝が入る。

 

「ぐぁああああっ!!」

 

 うめき声と共に溜まっていた息が吐き出される。

 

 同時に顎をさらに膝で蹴り上げられ、のけ反った悟空に回転しながらジュードは回し蹴りを放った。

 

「竜巻旋風脚!!」

 

 まともに全身を蹴り抜かれ、悟空は後方へ弾き飛ばされる。

 

 背中から叩きつけられ、悟空はダメージに眩暈を起こしながら、片足で立つジュードを見据えた。

 

「! 何をやってる、カカロット!?」

 

 ベジータがガーキンとの乱打戦に打ち勝ち、左の拳に右フックのカウンターを合わせてのけ反ったところを蹴り飛ばす。

 

 同時に悟空とジュードの前に割り込んだ。

 

 ジュードは静かに笑うと再び、かめはめ波ーー否、波動拳の構えを取る。

 

「ベジータ、そいつを食らうな!!」

 

「分かっている、黙って見てろ!!」

 

 ギャリック砲の構えを取って打ち返さんとするベジータにジュードは笑う。

 

「面白い! 行くぞ、惑星ベジータの王子よ!!」

 

「来い! 惑星サイヤの王!!」

 

 同時に突き出される光と光。

 

 まともに押し合う二人だがーー。

 

「! バカな、この俺のギャリック砲が押されているだと!?」

 

 ベジータが目を見開きながら、自身に迫りくる青い光を見据える。

 

 対するジュードは余裕の表情だった。

 

「俺もまた、サイヤ人の“王”だ。舐めてもらっては困るな!!」

 

 押し返され、まともに光線を浴びる。

 

「チィっ!!」

 

 気を纏い、両腕でしっかりとガードするベジータ。

 

 だがーー今回も同じだった。

 

(なにぃ!? 体が、動かん!!)

 

 目を見開くベジータの前にジュードが笑って現れた。

 

 紅の炎を全身に纏い、飛び膝蹴りをがら空きの鳩尾と顎に決められる。

 

「がはぁっ!!」

 

 後方へ弾き飛ばされようとするベジータを、慣性の法則を無視した跳び上がりながらその場で回転する右のアッパーカットが巻き込んでいく。

 

「神武・烈風迅雷!!」

 

 まるでベルトコンベヤーにモノが巻き込まれるように、螺旋を描いて回るジュードに巻き込まれ、肉体の内側で気が爆ぜていくベジータ。

 

「ぐぉおおおおおっ!!」

 

 最後に顎に拳が入ると、引力が消えたように後方へ弾き飛ばされる。

 

 強烈な一撃に、大ダメージは免れなかった。

 

「ベジータ!! の野郎ぉお!!」

 

 叩きつけられたベジータを見て、悟空が激昂して立ち上がりながら、一気にジュードの前に現れようとする。

 

 しかし、それよりも早く目の前にガーキンが横から現れた。

 

「しまーーーっ!!」

 

「二対二ってのを忘れてもらっちゃ困るぜ?」

 

 炎を纏ったガーキンは左の下段回し蹴りで踏み込もうと前に出した悟空の左足を蹴り払い、体勢を崩した悟空の胴に中段回し蹴りを放ちながら回転していく。

 

 直撃を食らって紅蓮の炎が炸裂しながら、悟空は目を見開く。

 

(こいつらーー! 強い!!)

 

 上段回し蹴りを食らって後方へ退ける悟空の鳩尾に膝蹴りが入り、空中へとそのまま運ばれる。

 

「いくぜ、疾風迅雷脚ぅうう!!」

 

 回転しながらの連続飛び回し蹴りに、悟空は派手にきりもみしながら地面に叩きつけられた。

 

 即座に立ち上がろうと首を地面につけたまま、下半身を起こして跳ね上がった。

 

「喰らえ、波動バースト!!」

 

 その前に先ほどまでとは比べ物にならないほどにデカい波動拳が迫っている。

 

「ぐぅっ!!」

 

 両腕で押さえながらも抑えきれず、そのまま後ろの壁まで運ばれて爆発。

 

 磔にされた。

 

「どうした、どうした!? ターニッブの野郎を超サイヤ人にした男の実力は、こんなもんかい?」

 

 ゆっくりと悟空は立ち上がる。

 

 口元に笑みを浮かべて。

 

「へへっ! …強ぇえな、オメエら」

 

 その隣でベジータも血を地べたに吐き捨てながら告げる。

 

「少しは、できるようだな?」

 

 それをサイヤ王・ジュードは両腕を組んで見つめ、ガーキンは不敵に笑う。

 

 悟空がニヤリと笑いながら隣のベジータを見据える。

 

「やるか、ベジータ!」

 

「いいだろう……!」

 

 同時に金色のオーラを身に纏う。

 

 二人の髪は金色に染まり、瞳は翡翠に変わる。

 

 悟空に至っては髪が逆立ち、目つきが鋭くなっている。

 

「……やっと出したか。超サイヤ人」

 

「やれやれ。こりゃ、シャレにならねえパワーアップだな」

 

 にやりと笑うジュードと肩を竦めるガーキン。

 

 二人に向かって悟空は笑った。

 

「さあ、第二ラウンド始めっか!!」

 




 次回もお楽しみに( *´艸`)

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