ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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ベビー対ブラック。

そして、DBZ三大悪役のフリーザ達対ブラックの戦いも始まります。

楽しんでください( *´艸`)


邂逅 真・超ターレスと超ロゼ・ゴクウブラック

 ぶつかり合う力と力。

 

 苛烈な光は世界の全てを焼き尽くし、白い闇へと塗り潰していく。

 

「我らツフルの怨念の塊、貴様如きに破れるものか!!」

 

 三人のベビーから強烈な気が放たれ、黒い球を更に巨大にしていく。

 

 ブラックの放った薄紅色の光線を押し返さんと。

 

「…怨念だと? 笑わせる。俺のお前達、人間に対する底なしの怒りの前には無力!! 神の力を思い知れ!!」

 

 しかしブラックの放った薄紅色の光線は、更に巨大になってアッサリと黒い球を打ち砕いた。

 

「「「なんだと!?」」」

 

 目を見開いて驚くベビー達を光が飲み込んだ。

 

 薄紅色の光線は一気に大気圏を打ち抜き、宇宙の彼方へと消える。

 

 ブラックは圧倒的なパワーに満ち溢れた己の肉体を見下ろして笑う。

 

「…く、ククク。素晴らしい! コレが、超サイヤ人ゴッドを超えた孫悟空の力!! この俺の力か!!」

 

 高笑うブラックの前には、一人に戻ったスーパーベビーの姿があった。

 

「…ふん。咄嗟に分身どもを吸収して耐えたか。健気なことだな」

 

 スーパーベビーは、交差させて受けた両の腕を下ろしニヤリと笑う。

 

「…なるほど。偽者とは言え、流石は孫悟空の肉体だ。多次元の俺を消し飛ばすとはな。だがーー!」

 

 下ろした腕を腰に置いて拳を握る。

 

 灰色と黒のオーラを身に纏い、スーパーベビーが一気に気を高める。

 

 超サイヤ人ロゼのブラックも思わず目を細めた。

 

(…これは。先のハッチヒャックやジャネンバという分身どもを取り込んだのは、俺のかめはめ波を防ぐ為だけではなかったということか。奴め、二人の分身の力をその身に吸収している)

 

 灰色の瞳を鋭く細めるブラックにニヤリとベビーは笑いかける。

 

 全身から禍々しい凶気を放ちながら、ベビーはブラックに告げた。

 

「さあ、続きを始めようか? コレが多次元の可能性を取り込む惑星の意思の力と、この世界に漂う魂ーー凶気を纏うことで一気に力が跳ね上がる、サイヤ人への怨霊の力だ!!」

 

 力が先程の数倍以上に跳ね上がるベビーを、ブラックは静かに見据える。

 

「…薄汚い色の気だ。神の目を。この世界をいつまで汚すつもりだ、人間」

 

 不愉快げに告げるブラックにベビーもニヤリと笑う。

 

「言いたいことは、終わりか? 忌々しいサイヤ人の肉体を持つ神よ」

 

「…フン。妄執に囚われた哀れな王だ」

 

 左手を顔の横に構え、右拳を腰に置いて構えるブラックと、両腕を腰に置いて構えるベビー。

 

 同時に地を蹴り、目にも写らぬ高速移動で大地と空を所狭しと駆け抜けながら、ぶつかり合う。

 

 秒間、数百は下らない打撃の交換は、共に譲らぬ真っ向勝負。

 

 ベビーは、自身の頭蓋骨にも匹敵する大きさの拳でブラックの腹を打ち抜けば。

 

「く、ぉお! …おのれぇ!!」

 

 ブラックは強烈な薄紅の気を纏う拳でベビーの顔面をまともに打ち抜く。

 

「ガハァ、貴様ぁああ!!」

 

 打ちつ、打たれつ。

 

 互いの打撃が互いの動きを一瞬止め、反撃を繰り出す。

 

 惑星の力を使って気を高め続けるベビーと。

 

 相手の攻撃を食らうたびに気を高めるブラック。

 

 両者は、無限に気を高めていくように見えた。…が。

 

「……ぐ、お!」

 

 強烈なボディブローを食らい、ブラックが三歩ほど後ずさる。

 

 対するベビーはニヤリと笑いながら、後退するブラックを見ている。

 

「…き、貴様。何故、スタミナが減らない!?」

 

「ようやく気づいたか、神よ。俺は怨霊の塊がベビーという存在を再現したもの。惑星の意思にダメージを与えぬ限り、俺は永遠に再生し強くなる!!」

 

「…な、なんだと?」

 

 目を見開くブラックにニヤリと笑むベビー。

 

「怨霊が集合し、固体化したのが俺だ。お前がどれだけダメージを受けて力を上げても、俺を倒すことはできん。肉体(そとがわ)にしかダメージを与えられない、お前の拳ではな! 何より、この世界はお前に殺された魂どもで満ち溢れている。そいつらを怨霊に落として俺のエネルギーに代えることなど造作もない!!」

 

「……先程、俺が真に至っていないとほざいていたな? 真・超サイヤ人とやらでなければ、神の気を纏う今の俺でも貴様を倒せないというのか?」

 

 ニヤリと笑うベビー。

 

 その絶対の自信と態度にブラックもまた、冷たい笑みを深める。

 

「要するに。お前の肉体は薄汚い人間どもの魂を強大な気に変え、固体化して再現された仮初めのモノ、ということだろう? ならば、簡単だ」

 

 ブラックは両手足に強大な気を纏わせる。

 

 自分の最大のパワーを開放した状態で拳に、足に纏わせて高める。

 

「行くぞ、薄汚い亡者の王よ!!」

 

 宣言すると同時に、ブラックがベビーの懐に入り強烈な拳を浴びせる。

 

「ぐぉ!?」

 

 仰け反るベビーには、先までの笑みがない。

 

 コレにブラックは狙い通りだと笑みを深める。

 

「貴様! 俺にダメージを!?」

 

「…簡単な原理だ。お前が怨霊の気を固めて実体を為すのであれば、こちらも気を具現化させるほど高め魂(うちがわ)からダメージを与えてやろう!!」

 

「…舐めるんじゃねえ!!」

 

 気は強固な盾となり、鋭い牙と化す。

 

 強烈な打撃の交換は、先まで余裕のあったベビーを削り始める。

 

 打撃を食らうたびに足が揺れ始めたのだ。

 

「…ぐ、お!?」

 

 ブラックは強烈なボディでベビーの顎を下げ、右足で顎先を蹴り上げる。

 

 仰け反りながら吹き飛ぶベビーの背後に高速移動で現れ、ブラックはとどめの肘を背中に打ち下ろした。

 

「はぁあ!!」

 

 強烈な一撃にベビーは目を見開く。

 

「ぐわぁああ!!」

 

 悲鳴を上げながら、地面に叩きつけられるベビー。

 

 それをブラックは空から見下ろす。

 

「カラクリさえ分かれば、造作もない相手だ。所詮、神に人間が敵うはずがないのだ」

 

 余裕の表情で笑うブラックだが肩で息をし、全身から汗をかいている。

 

「…くく、流石にやるな。だが、そんなハイペースで気を出し尽くして、この程度のダメージでは俺を倒せるのは何年先かな?」

 

「……なるほど。極大に気を高めて叩きつけて、やっとダメージが通るのか。確かに厄介だ」

 

 今のブラックとベビーの実力はほとんど互角。

 

 ベビーは怨霊から気をもらって高め、ブラックは相手からのダメージで気が上がる。

 

 しかし、スタミナに差が出始めていた。

 

 気を高めて纏わせ、殴る。

 

 このブラックの試みは、確かに的を射ていたが、怨霊の集合体であるベビーを倒すには、このペースでは間に合わない。

 

 ガス欠になるのはブラックの方だ。

 

「…よろこぶがいい、神よ! 貴様を倒し、その肉体と魂を怨霊どもに食らわせてやろう!! そして、俺は更に強くなるのだ!!」

 

 高笑うベビーの背中を、突如光が襲った。

 

「…来たか、真・超サイヤ人」

 

 ニヤリと笑いながらベビーは振り返る。

 

 ブラックが訝しげに、光が放たれた方を見れば。

 

「…久し振りだな、ベビー。今度こそ、この俺がお前を取り込んでやるぞ! 惑星の意思よ!!」

 

 マントを翻しながら、変身前のブラックと同じ顔の褐色の肌をしたサイヤ人がいた。

 

 ベビーはそのサイヤ人を忌々しそうに見据える。

 

「…後少しで、孫悟空の完全な肉体が手に入ったものを。まあ、良い。孫悟空とベジータ、ターニッブにブロリー。そしてバーダックにリューベ。真に至ったサイヤ人達の中でターレスよ、貴様は最弱。奴等への復讐のためにも貴様を先に取り込んで、真の力を手にするのも悪くはない…! この孫悟空の肉体を得てからな!!」

 

 灰色の怨霊の気を纏いながら、パワーを引き上げるベビーを見た後、ターレスは漆黒の道着を着た薄紅色の髪を持つ超サイヤ人を見据える。

 

「…孫悟空だと? カカロット、なのか。貴様?」

 

「貴様こそ。孫悟空ではないのか?」

 

 薄紅色の超サイヤ人ーーブラックは値踏みするように、灰色の瞳をターレスに見据えてくる。

 

 互いに見合う。

 

 ターレスは微かに黒の瞳を細め、笑った。

 

「フン、どういう訳かは知らんが。カカロットよ、随分と人間を殺してきたみたいだな? 俺の中にある亡者共が、お前を見て騒いでいる…!」

 

 これに不快気にブラックは眉根をしかめる。

 

「…貴様もベビーとやらと同じように亡者の念の集合体か」

 

「おいおい、一緒にするなよ。俺の名はターレス。そのベビーって野郎は、俺の力をかすめ取って蘇った怨霊の集合体に過ぎない。俺達の方は、そいつの力を基に復活した完全な肉体さ」

 

 ターレスの言葉にブラックは、彼が引き連れている三人の存在を見据える。

 

「フリーザにセル、そして魔人ブウまでも…! 貴様、そいつらを復活させて一体何をするつもりだ?」

 

 瞳を鋭く細めて問いかけるブラックにターレスは冷徹な笑みを浮かべ右手をかざし、告げた。

 

「俺は面白おかしく生きられりゃ、文句はねえ。好きな時に美味い物を食い、美味い酒に酔い、好きな惑星を手に入れ、美しい女を掻き抱く。その為に全宇宙を手に入れてやるさ。歯向かう奴はーー叩き潰す!!」

 

 掌を上に向けて力強く握ると、ターレスは拳をブラックに突き出した。

 

「カカロット、前のお前ならば俺について来ることはなかったが。今のお前なら、仲間にしてやってもいいぜ?」

 

 これにフリーザが心底、不快気に告げる。

 

「ふざけるな。これ以上、孫悟空の姿に似た仲間が増えるなんて御免だよ。君とギニュー隊長で充分さ」

 

「まあ、そう邪険にするなよフリーザ様。俺達は逸れ者。仲良くできるなら、した方が良いだろ? ベビーを潰すまでは、な」

 

「…彼が他人の話を聞くようなヤツには、僕には見えないけどね」

 

 呆れたような表情で、フリーザはブラックを見据える。

 

 ターレスも静かにブラックを見やると、彼は肩を揺らして笑い始めていた。

 

「ククク。本当に度し難い存在だな、人間…! この神に向かって、己の欲の深さを堂々と並べ立てるとは!!」

 

 薄紅色の気を再び纏い、尽きかけていた気を補充する。

 

 先の会話の時間でブラックは、ある程度気を回復させていたのだった。

 

「…チ、中身は変わっても所詮は石頭のカカロットか!」

 

「いいや、本物の孫悟空ならば一時的という条件で手を組んだだろう。奴は、状況にもよるが、その手の合理的な話には抵抗なく頷く。やはり、考え方からして孫悟空とは根本的に違うようだ」

 

 冷静なセルの言葉に、ターレスは左腕に抱きついているザンギャを後ろに下げて、ブラックを見据え構える。

 

「…どの道、勧誘が失敗したなら奴が本物のカカロットでも偽物でも関係ない。叩き潰すのみだ!!」

 

 コレにセルもニヤリと酷薄に笑う。

 

「同感だーー!」

 

 そんな彼らを見て邪悪に笑うのは、ベビーだった。

 

「く、はははは! 残念だったな、ターレス!! 確かにそこのブラックとやらと組めば俺を倒せただろうが、そうは行かなかったようだ!! こいつは、いいぞ!!」

 

 高笑うベビーをターレスは忌々しげに見据える。

 

「何を笑ってやがる? 確かに、コイツの勧誘には失敗したが。だからって貴様が、ブラックを味方にできた訳でもないだろうが!!」

 

「…こういうことだ」

 

 ターレスの言葉にベビーはほくそ笑むと、肉体を黒い霧に変えて霧散させた。

 

「…な、何!?」

 

 焦るターレスを前に霧になったベビーは笑う。

 

ーー すでに肉体が定着したお前達と。惑星の意思にして怨霊の性質を持つ俺では使える能力にも差があるのだ。野蛮な猿同士! せいぜい、仲良く潰し合え!! ーー

 

 霧となって肉体を消し、ベビーの声がエコーのように木霊する中、ターレスは天を見上げて叫んだ。

 

「おのれ! この俺から逃げられると思うのか、ベビー!!」

 

ーー やってみろ。そこで殺気まいたブラックを無視して俺を追いかけられるならな ーー

 

 歯軋りするターレスの横で、静かにセルが組んでいた腕を解いて告げる。

 

「…やれやれ、コレではターレスを連れて来た意味が無いな。下がっていろ」

 

「…な、なんだと!?」

 

 無碍に扱われ、目を見開くターレスの横で、ブウが含み笑いながらセルに告げる。

 

「クク、セル。流石にその扱いは可哀想だろう。コイツなりに考えて話したさ。相手が聞く耳を持たんだけでな」

 

「…努力は認めるが、真・超サイヤ人を使う機会がなければ意味はない。あまり甘やかすな、ブウ」

 

 楽しげに笑うブウにセルが淡々と釘を刺す。

 

「…甘やかす? とても馬鹿にされた笑いだが。というかな、セル。貴様の受け答えもあって余計に馬鹿にされた気がするんだが?」

 

 イライラとした表情で告げるターレスに、セルもブウもニヤリとする。

 

「「…おっと、すまない。そんなつもりはないのだが」」

 

「…何処までも、人を小馬鹿にしやがって」

 

 プルプルと、拳を握りしめながら告げるターレスに、ブラックが静かに笑みながら告げる。

 

「…仲間との別れの言葉は終わりか? ならばーー速やかに散るがいい!!」

 

「…できるものなら、やってみろ」

 

 一気に突っ込んでくる超サイヤ人ロゼを相手に、セルが金色に青いスパークを纏わせたオーラを放って迎え撃つ。

 

 その時にはブウもターレスも目付きを鋭くし、対応していた。

 

 ブラックの右ストレートを左にいなし、セルは右の拳を顎に放つ。

 

「…フン」

 

 アッサリとブラックの左手で掴み止められるも、セルは不敵な笑みを絶やさない。

 

 セルの視線の先にはブウが高速移動でブラックの背後を取っていた。

 

「貰ったぞ!!」

 

 その場でコマのように回転しながら右足を伸ばして、廻し蹴りを放つ。

 

 ブラックは咄嗟にストレートを放った右手を引き戻し、顔の横に拳を構える。

 

 間髪入れず、右のガードの上にブウの蹴りが刺さった。

 

 蹴りを受け止めて発生した衝撃波が、ブラックのガード越しに反対側の空間を撫でる。

 

「「今だ、フリーザ!!」」

 

「…なんだと?」

 

 両腕が塞がった状態のブラックは訝しげに目を細めると力の波動を感じ、上空を見る。

 

 其処には強大な赤いエネルギーを右掌に集約させた金色のフリーザが居た。

 

「…コレで、くたばれぇええ!!」

 

 MAXパワーのエネルギー波を上空からブラック目掛け、打ち下ろす。

 

 かめはめ波にも匹敵する強烈な真紅の光線をフリーザは片手で放った。

 

 セルが咄嗟にブウを掴み、瞬間移動する。

 

 残された超サイヤ人ロゼは為す術もなく、直撃した。

 

 爆発。

 

 強烈な衝撃波が発生し、光が、音が爆ぜる。

 

 大地には強大な穴が発生していた。

 

「…フン。僕達のコンビネーションも冴えて来ましたね。修行の成果と、言っておきましょうか」

 

 ニヤリと笑うフリーザの横にセルがブウを連れ、瞬間移動で現れる。

 

「…これくらいは当然だ。私達の修行を思えば、な」

 

「むしろ、今までの敵では我々が組む必要もなかった。今回は、良い経験だ」

 

 三人はニヤリと笑いながら、爆心地を見据える。

 

 その中心地には、人一人が立つほどの足場だけを残してブラックが居た。

 

「…中々のものだ。フリーザはともかく、セルとブウがこれほどまでに力を上げていたとはな」

 

 コレに二人はニヤリと笑う。

 

「私達とて、修行をサボる訳には行かなくてな」

 

「お前のように、アッサリと俺たちの上を行く奴も現れるしな」

 

 言うと、セルは金色に緑がかったオーラを纏う。

 

 同時、ブウもブラックよりも濃い薄紅色のオーラを纏った。

 

 二人の放つオーラは、ゴールデンフリーザや超サイヤ人ブルー、ロゼの形に酷似している。

 

「…そうか。貴様らも神の域に達していたか。コレはいい。貴様らの強さが、俺を更なる高みへと昇らせる!!」

 

 両手を広げて笑うブラックにフリーザとセル、ブウが目を細める。

 

「…気づいてますね、お二人とも?」

 

「ああ。奴め、真・超サイヤ人ではないようだが、我々の攻撃を食らって戦闘力を上げている」

 

「ダメージをそのままパワーに変えているな。体力もダメージを受けて下がったと思えば、戦闘中に回復している。いかにサイヤ人が優れた回復力とパワーアップを行う超回復能力があるとは言え、戦闘中の短時間でこうも簡単に行えるとは。超サイヤ人ロゼはサイヤ人の持つ肉体の特性を限界まで高めた存在のようだ。スタミナが回復し、時間切れもないと来れば、真・超サイヤ人より厄介だぞ」

 

 三人からの言葉に、超サイヤ人ロゼは上機嫌に拍手する。

 

「素晴らしい。人間とは言え、流石に知性を持つ生物は言うことが違う。確かに、今の俺は無敵の存在だ。さあ、俺を崇め讃えるがいい!!」

 

「…な、何か変なスイッチを押しましたね。ブウさん」

 

 嬉しそうに笑みながら、手を広げて目を閉じながら陶酔するブラックにフリーザが表情を引攣らせる。

 

「…ふむ。隙を作るにはヤツのナルシストな性格を狙えば良いが。一撃でダウンさせることが出来なければ気を高めるだけか。まあ、真ほどパワーアップが絶対ではないようだから狙い目ではあるが」

 

「かと言ってこのまま持久戦でチマチマとやり合う内に力を上げられても面倒だ。やはり、フルパワーで一気にカタをつける短期決戦の方が、超サイヤ人ロゼとやらを相手にするには良いだろう」

 

 ブウの独白にセルが淡々と返す。

 

 どちらも知性という点では他の追随を許さない。

 

 冷たい紅に黒の瞳孔が現れた瞳と、ピンク色に黒の瞳孔が現れた瞳が、ブラックを見据える。

 

 その表情からブラックも彼らの意図を読み取った。

 

「フルパワーで来るか。面白い!! 貴様らの強さで我が身を傷付け、更なる力を手に入れるとしよう!!」

 

 高笑うブラックの前にセルが超スピードで現れる。

 

 互いに笑みを浮かべて拳をぶつける。

 

 神の次元に到達した両者の一撃は、それだけで世界を震わせる。

 

「見事だ、セル。さすがは、孫悟空を負かせた上で殺した唯一の存在」

 

「フン、不思議なものだ。孫悟空ならばともかく、貴様に褒められても嬉しくも何ともないものだな!」

 

「この肉体は孫悟空のものだがなぁ!!」

 

 繰り出しあう拳と蹴り、互いに高速で移動しながらぶつかり合う。

 

 両者の一撃は、大地を穿ち海を割り、天をも断つ。

 

 それだけの技を繰り出しあいながら、淡々とした表情でセルはブラックを静かに見据えた。

 

(孫悟空の肉体だけあって、奴の技を使った方がやはり強い。しかし、他の技も侮れんか)

 

 右手刀から赤紫色の光刃を抜き放って剣とすると、ブラックは上段から斬りかかってくる。

 

「はぁ!!」

 

「ぬん!!」

 

 これをセルは両手で白刃取りして見せた。

 

 そのまま、強烈な蹴りをボディに叩き込み、後方へ吹き飛ばす。

 

「これで終わりだーー! 星ごと消えてなくなれ!!」

 

 圧倒的なパワーを両手を腰に置いてたわめ、気を凝縮して青白い光の球へと変化させる。

 

 同時、ブラックも目を覚まして立ち上がる。

 

「貴様ーー!!」

 

「先程のベビーではないが、避ければ地球が吹っ飛ぶ! 世界を護るのならば、受けざるを得んぞーー!!」

 

「ーーチッ!!」

 

 ブラックは舌打ちすると同時に、かつて孫悟空がやったように上空へと高く跳び上がった。

 

「やはり、上に逃げるか。ならば、行くぞ!! かめはめ波ぁああああああ!!!」

 

 セルは躊躇なく、両手を上空のブラックに突き出して青白く野太い光線を放つ。

 

 光の向こうへ消えるブラック。

 

 同時、セルは後方に振り返る。

 

「そこだぁ!!」

 

 背後に瞬間移動で現れ、串刺しにしようと繰り出されたブラックの右手刀を左腕で脇に反らして顎を蹴り上げる。

 

 後方へ弾け飛ぶブラック。

 

 その上空にフリーザとブウが構えている。

 

「…!!」

 

 先程の赤いエネルギー波を、右手を突き出すと同時に放つ金色のフリーザ。

 

 先程のセルと同じ構えを取り、極太の青白い光線を放つ究極魔人ブウ。

 

「吹っ飛べーー!!」

 

「終わりだーー!!」

 

 二つの光が、ブラックに迫る。 

 

 だが、ブラックは自分の肉体を空で静止させると同時、気を開放した。

 

「舐めるなぁ!!」

 

 薄紅色の炎が二つの光の間に挟まり、燃え上がる。

 

 炎はブラックを護る盾となって光を阻んでいる。

 

「無駄な足掻きをぉおお!!」

 

「消えてろ、ブラックゥウ!!」

 

 赤と青ーー二つの光は炎を押し返して、中心点にいるブラックを吹き飛ばそうとする。

 

 やがて、三つの力は拮抗して爆発した。

 

 二つの光は飛び散り、ターレスの目の前にも降り注ぐ。

 

「フィールドオープン!!」

 

 それをセルが瞬間移動でターレス達の前に現れて、自らを中心に球体のバリアを張って防いでやった。

 

 宙に生まれた爆炎の中心から、吹っ飛ぶブラック。

 

 背中から地面に叩きつけられる。

 

「…超サイヤ人ロゼとなった俺を、ここまで追い詰めると言うのか!! おのれ、人間風情が!!」

 

 立ち上がりながらも肩でブラックは息をし始めている。

 

 フリーザ、セル、ブウの三人の実力は、一対一ならばブラックが有利だ。

 

 しかし、実力差は圧倒的と言うほどではない。

 

 あくまで、有利だと言うだけだ。

 

 つまり、この三人はブラックに近しい実力を誇っている。

 

 そんな敵にコンビネーションを繰り出されれば、流石のブラックも防ぎきれない。

 

 ジリ貧であることは間違いない。

 

 だが、追い詰められればられる程にブラックには一つ気になる点があった。

 

(あのサイヤ人。何故、攻撃に参加してこない? コイツ等だけで俺を倒すのは充分だと言いたいのか? いや、それだけではない。先程のセルの言葉ーー! それに、奴を庇った行為。もしや、この男!!)

 

 ザンギャの隣に居るターレスは静かにこちらを見据えている。

 

 ブラックはニィッと口の端を歪め、ターレスとザンギャに向けて薄紅色の光弾を放った。

 

「ターレス!!」

 

 セルの焦った表情にブラックはニヤリとする。

 

「やはり、コイツが貴様らの弱点か!!」

 

 その言葉どおり、あれほどまで完璧にコンビネーションを繰り出してきたフリーザ達が動きを止めたのだ。

 

「ターレスさん!!」

 

「ターレス、避けろ!!」

 

 フリーザとブウも焦った表情のまま、ターレスを見て告げる。

 

 迫りくる光を前にザンギャは呆然とした表情で居た。

 

(な、何て力なの…! 勝てっこない。フリーザやセル達は、こんな化け物と!?)

 

 そんなザンギャの目を庇う様に、黒いマントが光を遮断する。

 

 前に一歩出たのは、ターレスだった。

 

「た、ターレス!?」

 

 静かに笑みを浮かべてターレスは笑う。

 

 何を焦っているのだと、言わんばかりに。

 

 そのまま、光はターレス達を飲み込んで爆発した。

 

「ハハハハハ! 貴様らがあれだけ庇うのだ! 何かあるのだろ、あのサイヤ人!?」

 

 笑うブラックを前にフリーザ達三人は呆然とした表情で光が爆発して発生した炎を見据える。

 

 三人は表情を消したまま、ブラックに向き直った。

 

「安心しろ。貴様らもすぐに同じところに送ってやる…! 慈悲深き、神の手によってな!!」

 

 勝ち誇るブラックに対し、静かにフリーザ達は口の端を歪めた。

 

「…やれやれ。ま、今回は仕方ない」

 

「そうだな。不可抗力という奴だ」

 

「楽しみだ。どれだけ力が上がったかな?」

 

 余裕の笑みすら浮かべるフリーザ達に、ブラックも笑みを返す。

 

「強がりを言いおって。仲間をやられて動揺しているのが、見え見えだ…!!」  

 

 その言葉にフリーザは肩を竦める。

 

「それはそれは。貴方の目が節穴だってだけでしょ?」

 

「神と言うのも、大したものではないな」

 

 セルが静かにフリーザの後を告げる。

 

 金色のフリーザを真ん中に左にセル、右にブウが並び立つ。

 

「なんだと? …っ!!!」

 

 強大な黄金の炎が気柱となって漆黒の曇天に立ち上る。

 

 圧倒的な気を前にブラックをして目を見張る。

 

「な、なんだと!? 神の気を纏わずに、一体なぜこれほどの力を!!?」

 

 爆炎を割いた黄金の炎は、ゆっくりとターレスの身に纏わる程度のサイズに収まる。

 

 天に向かって逆立ち靡く黄金の髪。

 

 翡翠に燃える瞳の中には黒の瞳孔が現れている。

 

 漆黒のマントを翻し、左腕の中にザンギャを納めたターレスは冷酷な笑みを浮かべた。

 

 これにブラックが忌々しそうな表情に変わる。

 

「おのれ、フリーザ達の焦りは芝居か!! 俺と同じようにダメージを負うごとにパワーを上げるというのか!!」

 

 一気に戦闘力が神の域にまで来たターレスのパワーにブラックが悔しそうに告げると、静かにターレスは笑う。

 

「…どうした、神さま? さっきまでの余裕の笑みは何処に消えた? ククク…!!」

 

「貴様のその姿、超サイヤ人ブルーとは違う。サイヤ人にはまだ、可能性があるようだな…!」

 

「そうさ。これが、俺にとって最強の姿。千年に一人とも言われる超サイヤ人の真の姿ーー真・超サイヤ人だ。この姿ならば、どんな奴とも殴り合える。どれだけ力に差があろうと関係ねえ…!!」

 

 言うと同時、ターレスはこちらに見惚れているザンギャを離すと、腰に両拳を置いて気を高める。

 

 黄金の炎が一気に噴き上がり、ターレスの力を一気に倍以上に引き上げた。

 

「こ、この尋常ではない気の膨れ上がり方は…!! げ、限界がないのか!!」

 

 ブラックが目を見開きながら問いかけると静かに、ターレスは笑う。

 

「…さあ、始めようぜ? 超サイヤ人の真の力と、貴様の神の力。どちらが上かな? …ククク」

 

 絶望の世界。

 

 漆黒の空と廃墟の街が広がる未来時空で、真・超サイヤ人がついに現れたのだった。

 

 




次回もお楽しみに!(^^)!
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