ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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ついに真の超サイヤ人と化したターレス。

はたして無限の戦闘力を誇るターレスは、超サイヤ人神の力を超えたゴクウブラックに通じるのだろうか?


激突! ターレス 対 ゴクウブラック

「…た、ターレス」

 

 心配そうな表情で黄金となったサイヤ人の背に、ザンギャが話しかける。

 

 彼女の頭の中では、自分に組み敷かれる非力なサイヤ人のイメージが拭えていないのだ。

 

 そんなザンギャをいつもの黒瞳とは違う、黒の瞳孔が現れた翡翠眼でターレスは振り返った。

 

「安心しろ、ザンギャ」

 

「…ターレス」

 

「今のーー真・超サイヤ人となったこの俺に、敵うヤツが居ると思うのか?」

 

 不敵にして冷酷な笑みを浮かべ、ターレスは黄金の気を高める。

 

 その余りの輝きの強さにザンギャは、眩しそうに目を細めた。

 

「…だけど、嫌な予感がするのよ。アイツは、普通じゃないわ」

 

 何を無力な小娘のようなことを、今のターレスに勝てるものなどいないではないかと、冷静な自分が頭に告げる。

 

 だが、そんなプライドを投げ捨て、ザンギャはターレスを見上げた。

 

 そんな彼女の目を真っ直ぐに翡翠に黒の瞳孔が現れた瞳が見つめてきた。

 

「分かっている。だが、その上でーー」

 

 ターレスは、ニヤリとザンギャに笑った。

 

「俺が、勝つ」

 

 目を見開き、頬を染めるザンギャを尻目にターレスはブラックに向かって構えた。

 

「…待たせたな、カカロット。いや、ブラックーーだったか?」

 

「構わんさ。最期の時を憂う哀れな人間。その懺悔の時間くらい待ってやろう」

 

 ブラックはニヤリと笑みを返す。

 

 ターレスの予想外の力に最初は焦ったが、向かい合う頃には余裕を取り戻している。

「バカめ、その余裕のツラ、すぐに恐怖に歪めてやろう……!」

 

 言うと同時、ブラックに殴りかかろうとするターレスの前にフリーザ達が空から降りてきた。

 

「待ちなよ、ターレスさん。僕達が、何故キミに戦わせようとしなかったのか。分かってるよね?」

 

 セルとブウはブラックを向いて腕を組み、フリーザはターレスを見つめる。

 

「…ヤツが、真に至る可能性があるというんだろ?」

 

「正解だ。今の状況でも、僕とセルさん達が組めばブラックを倒せる。君が戦うことでブラックを真・超サイヤ人に目覚めさせるリスクを考えれば、どうすべきかは言うまでもないことだよね?」

 

「確実に勝てるとは言えんだろ? 持久戦になれば不利なのは俺たちだ。違うか?」

 

「確かにね。短期決戦を仕掛けるならーーいいよ。フォローはしてやるさ」

 

 笑うフリーザにターレスも気を纏う。

 

「すまんな、フリーザ様。どうにも、あのブラックとやらを見ていると腹が立つんだ。俺の女を目の前で攻撃したこともそうだが。何より、あのカカロットの見た目だからなぁ!!」

 

 言いながらターレスは、マントとその留め具となっている両の肩当てを外してバトルジャケットをノースリーブのベルトタイプに代え、黒の半袖インナーが露わになる。

 

 白の道着タイプのズボンの膝をゆっくりと曲げてブラックに正対し、構える。

 

「…同感だ。孫悟空の肉体を得た神、なんてふざけた奴はブチのめすに限る」

 

 フリーザも静かに両手を左右に広げ、足を揃えた構えを取る。

 

「珍しく話がまとまったな」

 

「…フフ、フリーザもターレスも。なんだかんだ言いながら、孫悟空を認めているのだろう」

 

「…ブウ。揉めるから、本人たちの前では言うなよ」

 

 セルもブウも気を纏い、構える。

 

 四人の神次元の力を持つ戦士達を前に、ブラックはニヤリと笑う。

 

「四人か。相手に取って不足ない」

 

「勘違いするな、貴様をブチのめすのは俺だ」

 

 瞬間、ターレスが黄金の炎を纏って突っ込む。

 

「…何!? 速いっ!!」

 

 ブラックが目を見開くほどのスピードで懐に来ると、ターレスは即座に右拳を握り、顔にストレートを放つ。

 

 ブラックは左腕で拳を脇に払いながら、踏み込んでからの右ボディを放つも、ターレスの左肘が見事に拳を受ける。

 

 互いに四つに組んだ姿勢で止まり睨み合う。

 

「…ほう? フリーザ達が酷評する割には、良い動きだ。中々のものではないか!」

 

「その鬱陶しい笑い、俺が止めてやろう……!」

 

「…フフ、神に刃向かう不届き者め。出来るものなら、やってみるがいい!!」

 

「…ほざいたな?」

 

 ロゼの薄紅色の神の気とターレスの黄金の炎が混ざり合い、天に向かって猛り狂う。

 

「ぬ?」

 

 一気にターレスの気が倍になり、ブラックを気合いで吹き飛ばす。

 

 後方に下がったブラックの目の前にターレスが高速移動で現れる。

 

 凄まじい拳と蹴りの連打をブラックは捌くも、しかし勢いに押されて後方へ退けられる。

 

(なんだと? 奴め、攻撃を繰り出すごとに動きが鋭く、気が更に高まっている!!?)

 

 ブラックの攻撃やガードが間に合わなくなるほどに、ターレスの攻めは勢いを増している。

 

 ガード越しにターレスの左右のストレートを受けて超サイヤ人ロゼの顔が跳ね上がり、後方に仰け反り始める。

 

 跳ね上がったブラックの顔に向かって上段廻し蹴りが放たれる。

 両腕をガードに回し顔の横で蹴りを受けるも、そのまま薙ぎ倒される。

 

 倒れたブラックに間髪入れず、ターレスは左手を突き出して紫色の気功波を放った。

 

「…ぬう、コイツ。最下級戦士と言えど、伊達に戦闘民族サイヤ人ではないということか!!」

 

 間一髪、瞬間移動で難を逃れたブラックの目の前にターレスが高速移動で迫る。

 

「貴様、俺の動きを!?」

 

「カカロットと違って、貴様の動きは見え見えなんだよ。神様ーー!」

 

 ぶつかり合う右の肘と肘。

 

 繰り出される打撃の交換は、徐々にブラックの方が後ろに下げられていく。

 

 ターレスの攻めは時間が経つごとに一気にパワーが、気が、動きが増している。

 

(この男ーー先程より更に動きが鋭く、パワーも増している。これが、真・超サイヤ人かーー!)

 

 後方に弾き飛ばされ、転がるブラックは冷ややかな笑みを浮かべて片膝立ちになり、両手を腰だめにたわめて薄紅色の気を練る。

 

「な、何て力なの…! ターレス!!」

 

 ザンギャが思わず名を叫ぶも、彼はこちらに見向きもせずにブラックを睨みつけている。

 

「…肉弾戦は申し分ない。ならば、気功波はどうかな」

 

 薄紅色の光を両手を突き出して放つ。

 

「かめはめ波ぁあっ!!」

 

 瞬間、ターレスの瞳が見開かれて両手を頭上に掲げると赤いリングを持つ光の球を作り出し、前方に突き出す。

 

「これで、終わりだぁあああ!!」

 

 放たれた赤い光線カラミティ・キルドライバーはブラックの薄紅色のかめはめ波を弾き飛ばして一気にブラックに迫る。

 

「おお!? なんだと、このパワーは!! 先程までの倍率を遥かに上回るだとぉっ!?」

 

 押し合いにすらならない事実に、ブラックが目を見開きながら光を見据える。

 

 その表情は驚くと言うより、笑っているように見える。

 

 その時だった。

 

 ターレスの放った赤い光がブラックを飲み込む前に、彼の下に天から金色の光が降り注いだ。

 

「なんだと!?」

 

 手応えがないことに、ターレスは目を見開きながら光の先を見据える。

 

 放った赤い光は、一瞬で大気圏外にまで突き進んで爆発した。

 

 ブラックをさらった金の光の向こうから現れたのは、銀色の髪に緑の肌を持つ人型の存在。

 

 その後ろにはブラックが片膝をついた姿勢で、肩で息をしている。

 

 緑の肌をした男は、ブラックと同じ緑の耳飾りを左耳にしている。

 

「そこまでです。まったく、戦闘民族の肉体のせいか? 真っ向勝負をするなど」

 

 呆れたような緑の肌をした男に対し、ブラックは興奮したように笑っている。

 

「すまないな。だが、見たか? 純粋に気を高めるだけでロゼになった俺をも上回る技を放ったぞ! 先ほどのベビーの話ではアレで最弱だというのだぞ? あの力、是非手に入れねばなるまい……!」

 

「…やれやれ」

 

 必死に平静を装うとしているが、こぼれる笑みは興奮を隠そうともしていない。

 

 これに緑色の肌をした男は呆れたような表情になる。

 

「しかし、僅か10数分程度の攻防だったが、彼の方はもうガス欠のようだ…」

 

 二人が見つめる視線の先には、黒髪に戻ったターレスが全身から汗を掻いて肩で息をしている。

 

 ブラックもそちらを見据えて笑みを深める。

「フフ、奴は変身前の元の戦闘力が大したことが無い。だから、この程度の時間で息切れしてしまうのだろう」

 

 そのまま、拳を握りしめて高笑う。

 

「だが、俺は違う。俺の肉体は、神の次元にまで鍛えたサイヤ人のモノ。そして、この崇高なる神の魂が更なる高みへと俺を昇らせるのだ」

 

 笑みを浮かべて宣言するブラックに、フリーザが淡々とした表情で気を纏う。

 

「…フン。借り物の肉体で、偉そうにほざくんじゃありませんよ」

 

 言いながら、ターレスの前に出る。

 

「フ、フリーザ…!」

 

「下がってなさい。ザンギャさん、ターレスさんを頼みましたよ」

 

 ザンギャに告げながら、ゆっくりと拳を構えるゴールデンフリーザ。

 

「わ、分かったわ。気を付けて…」

 

「誰に向かって言ってるんです? 僕は全宇宙の帝王ーーフリーザですよ。余計な心配は無用です」

 

 素っ気なく告げながらも、きちんとターレスとザンギャの盾になるように移動するフリーザ。

 

 その左右にセルとブウも並び立った。

 

「さて、第二ラウンドと行こうか? 三対二だがーーそちらの男も神か」

 

「俺達のコンビネーションで、完封してやろう超サイヤ人ロゼ!!」

 

 笑みを浮かべる彼らに向かってブラックは笑う。

 

「フン、お前達のような雑魚に用はない。ターレスとやら、先ほどの真・超サイヤ人とやらにもう一度なってもらおう…。俺が、更なる高みに昇るためにな……」

 

これにフリーザが笑う。

 

「残念だったね。ターレスさんは、しばらくの間は超サイヤ人に変身できないよ。あの力を全開で振るうには、今の器じゃあれが限界なんだよ」

 

「ならば、もう一度振るえるようにするためにも、時間を置かねば。お前達を皆殺しにすれば、奴も少しはやる気になるか?」

「できるものならやってみろ。似非・超サイヤ人」

 

 言うと同時、フリーザが真っ向からブラックに殴りかかる。

 

「ザマス! 他の二人は任せる!!」

 

 ブラックは、自分の相方である緑肌の青年に言うと、自身もフリーザに向かって行った。

 

 強烈な右ストレートが互いの顔を後方に吹き飛ばし、フリーザは目を見開いて睨みつけ。

 

 ブラックは笑みを強めてーー両者、さらに気を高めて連撃を放ち合う。

 

「やれやれ…」

 

 二人のハイペースな攻防を肩を竦めながら見た後、ザマスという男はセルとブウに向き合った。

 

 同時、蒼紫色の神の気を纏う。

 

「…セル。この男、かなりのモノだ」

 

「ああ…。ブラックよりは劣るが、それでも」

 

 桃色の雷と気を纏いながらブウが、金色の混じった緑の気を纏ったセルが構える。

 

 ザマスという男の力は、セル達と同じかそれよりも僅かに下くらいだ。

 

「純粋な戦闘力では、あなた方の方が上のようですがーー。神には神の闘い方があるのですよ」

 

 静かに小首を傾げながら告げるザマスに対し、セルがニヤリと笑った。

 

「面白い。では、神の闘い方とやらを見せてもらおう」

 

 強烈な気を纏い、セルが拳を繰り出す。

 

 同時、ザマスも右手に蒼紫の光を纏って手刀を繰り出す。

 

 ぶつかり合う両者の打撃と斬撃。

 

 そのまま、互いに向かって連撃を繰り出し合う。

 

 セルの鋭くも速い一撃に対し、ザマスの斬撃は無駄がなく的確だった。

 

 一瞬の隙が、そのまま互いの生命線を断たれるであろう攻防。

 だがーー。

 

「中々、やりますね。ではーー」

 

 言うとザマスはいきなり、右の手刀を大上段に構えて袈裟懸けに放ってきた。

 

 突然の大振りの一撃に何かあるのかと思いながらもセルは、左腕をザマスの手首の部分に当てて簡単に斬撃を受けた後、顎先をつま先で強烈に蹴り上げる。

 

「悪く思うな。二対一だとは、最初に分かっていたはずだ」

 

 天高く舞うザマスに向かって上空に待機していたブウが、無慈悲な笑みと共にかめはめ波を無防備な彼に放った。

 

 成す術もなく、青白い光線に飲み込まれるザマス。

 

 その青白い光の柱を真っ直ぐに見据えながら、セルは瞳を細める。

 

「なんのつもりだ? あれほどの腕を持ちながら、何故ああも隙だらけな動きをーー?」

 

 すぐにその疑問は晴れる。

 

 光の向こうからゆっくりと、ザマスが姿を現したのだ。

 

「ブウの全力のかめはめ波を食らってダメージがないだと?」

 

「セル、どうやら奴は俺やお前と同じ能力を持っているのかもしれん。いわゆる、再生というやつだ」

 

「…再生してダメージを回復したと言うのか。それならば、貴様に近いな」

 

 だが、とセルは呟く。

 

 そしてブウも頷く。

 

「そうだ…かめはめ波を喰らったら、どんなに軽傷でも体の一部が欠損しているはず。だが、奴はかめはめ波を食らいながら悠然と五体満足で現れた…」

 

「手応えは?」

 

「残像拳の類ではないよ。そんなものに惑わされるほど鈍くはないさ」

 

「となれば、奴にもカラクリがあるのか」

 

 二人は同時にザマスを睨みつける。

 

 彼は静かに笑むと、右手をセルに向けた。

「…」

 

 訝しげにセルの眼が鋭く細まる。

 

「はっ」

 

「ーー!?」

 

 強烈な目に見えない衝撃を受けた後、セルの動きが止まる。

 

「セル、どうした?」

 

「な、なんだと、このセルが動けん!? 念力の類ではない! 無効化できないだと……っ」

 

 目を見開くセルに対し、ザマスは次にブウに向かって右手をかざした。

 

「次は、貴方の番だ」

 

「ーーっ!?」

 

 ブウにも先の見えない衝撃が来る。

 

「かぁあああっ」

 

 が、同時にブウも目を見開いて、見えない壁のようなモノを作って耐えてみせた。

 

「…神の力を無効化するとは。何者だ」

 

「フン。セルが無効化できないわけだ。今のは界王神どもの技だな。貴様ら、本当に神なのか…」

 

「この技を界王神のものだと知っているとはな」

 

「俺の中に居る界王神達が教えてくれるのさ。南の界王神と大界王神がな」

 

「……ほう」

 

 ザマスは静かに笑みを浮かべて笑う。

 

「神の身で人間如きに無様に吸収されるとは、所詮は第7宇宙の界王神か?」

 

「…貴様、第10宇宙の界王神の付き人・ザマスか。かつて俺に吸収された大界王神が教えてくれたぞ」

 

「ええ、そうですよ。それが何か?」

 

「神の身でありながら、全ての人間を殺そうとするとはな。バカな男だ」

 

 侮蔑したような、達観したようなブウの表情とセリフにザマスがニヤリと返す。

 

「魔人如きに吸収された大界王神殿には分かるまい。人間の愚かさはな」

 

 気を高めて笑うザマスに対し構えながら、ブウが動けないセルに告げる。

 

「…セル。コイツは俺に譲ってくれ。俺の中の界王神どもが煩くて敵わん」

 

「いいだろう。その代わり、負けたらさっさとこの金縛りを解いて交代してくれ」

 

「クク、分かった」

 

 セルが見守る中、構え合う魔人ブウとザマス。

 

 同時に踏み出し、拳と手刀を繰り出し合う。

 

 ザマスは右手に光の刃を創り出して斬り付け、ブウは腕を伸ばしたり、足を鞭のようにしならせて攻撃する。

 

 ザマスの手刀がブウの伸びた腕を切り落とせば、ブウの掌からの光弾がザマスの上半身を文字通りに吹き飛ばす。

 

 だが、ブウが切り落とされた腕をくっつけて再生する中。

 

 確かに上半身を吹き飛ばされたザマスが煙が晴れると同時に元通りに戻っている。

 

(跡形もなく気によって消し飛ばされた部分を、まるでビデオの逆再生のように戻しただと? どういうことだ…)

 

 究極の魔人であるブウにすらも、こんな真似はできない。

 

 跡形もなく消された場合は、その部分を新たに細胞分裂させて作り直さなければならないのだ。

 

 それを簡単にザマスは意識することなくやってみせている。

 

 加えて攻撃を食らってもダメージを負っていないようだった。

 

「貴様、まさか不死身か」

 

「ククク、本当に頭の切れる男だな。それとも魔人ブウよ、なまじ私と似た力を持つから分かってしまったか?」

 

 ブウの頬に冷汗が流れている。

 

 攻撃を食らっても即座に回復する純粋の魔人ブウと同等以上の再生能力を、今のザマスは持っている。

 

 それは最早、不死身としか言いようがない。

 

「いかに神とて、不死身ではなかった。貴様、何をした?」

 

「ドラゴンボールを知っているな? 私は、それに願ったのだよ。不死身の肉体が欲しいとな!!」

 

「馬鹿な。それで純粋の魔人ブウをも上回る再生能力を得たと言うのか!? デタラメを言うな! 俺の肉体には元地球の神も存在する! そんなことができるはずがない!!」

 

「地球のドラゴンボールではない。私が願ったのは、超ドラゴンボールだ!」

 

 目を見開くブウにザマスは冷ややかに告げた。

 

 星のように大きなドラゴンボールが、この宇宙には存在すること。

 

 そして、七つを集めれば龍神ザラマが現れ、本当にどんな願いも叶えてしまうという。

 

「ナメック星人どもが創ったドラゴンボールは、所詮願い玉の欠片から作られた贋作というわけだ」

 

「…そこまでして、人間を滅ぼしたいか。一種の狂信だな」

 

「正義を為すためならば、如何なる手段もいとわない。これぞ、絶対の正義なりーー!」

 

 不死身にして神通力を操る神ーーザマス。

 

 強大にしてダメージを受けるごとにパワーが上がる戦士ーーゴクウブラック。

 

 どちらも、今のフリーザ達には手に余るレベルであった。

 

(セルが動けないのが痛い。いざとなれば、瞬間移動で逃げる算段だったが。真っ先に封じられたか。俺の魔術で金縛りを解こうにも、ザマスに隙がない。どうする?)

 

 冷や汗を流しながらも冷静に考えを巡らせる。

 

 そんなブウの真横にフリーザが弾け飛んできた。

 

「フリーザーー!」

 

「お、おのれ…! また戦闘力が上がりやがった!!」

 

 ブウが呼びかけると同時、立ち上がるフリーザ。

 金色になったフリーザは、金の混じった紅色のオーラを身に纏いながら構える。

 

 その前には悠然と薄紅と紫の混じったオーラを身に纏った超サイヤ人ロゼ・ゴクウブラックが、笑みを浮かべて立っていた。

 

「良い闘いだ…! 貴様の力が俺をより高みへと至らせる。真・超サイヤ人とやらにもう少しで至る予感があるぞ…

…」

 

「…真・超サイヤ人を認識しただけで至れるというのか。厄介ですね、サイヤ人というのは」

 

 叫びながら拳を握るフリーザに、ニヤリと笑みを浮かべるブラック。

 

 このままでは、やられる。

 

 静かにブウはそう判断した。

 

 ならば、事態が動くのを待つしかない。

 

 そこであることに気付いた。

 

 自分たちが、未来の世界に来た時に最初に出会った二人のことを。

 

「終わりだな、人間共」

 

「さらばだーー」

 

 そのことにブウが気付いて目を見開くと同時、正面から斬りかかってきたザマスの背後に真紅の道着を着たМ字の額を持つ超サイヤ人が現れる。

 

「ガーキン!!」

 

「なに!?」

 

 目を見開き、ザマスが背後を振り返ると、強烈な真紅の炎を纏った上段鎌払い蹴りがザマスの顔をぶち抜く。

 

「グハっ」

 

「行くぜーー疾風迅雷脚!!!」

 

 仰け反るザマスに立て続けに中段蹴り、下段蹴り、稲妻かかと落とし、そしてコマのように自身を回転させて宙を舞う竜巻旋風脚が叩き込まれる。

 

「ぐぉおおおお!?」

 

 炎の竜巻と化したガーキンに飲み込まれ、天高く弾き飛ばされるザマス。

 

「ザマス!!」

 

 ブラックがそちらを向いたとき、目の前に山吹色の道着を着た真・超サイヤ人が現れた。

「な!? 孫、悟空ーー!?」

 

「ーー違う!」

 

 強烈なボディが叩き込まれ、ブラックは目を見開く。

 

「ぐぅお!?」

 

 その強烈な一撃に思わず硬直するブラックだが、目の前の孫悟空に瓜二つの真・超サイヤ人は一切加減をせずに左フックを顔に叩きつけ、右のアッパー、 左の上段後ろ回し蹴りを立て続けに浴びせてくる。

 

 たまらずに下がるブラックを、真・超サイヤ人は追いかけるようにダッシュしながら、右のアッパーカットで上空に跳ね上げる。

 

 苛烈ーー。

 

 その言葉がよく似合う、炎のような二人の連撃。

 

 同じ地点に吹き飛ばされたブラックとザマスの目の前には、紫色の道着を着たナメック星人が、両手を胸の前に構えて黄金の光の球を練り上げている。

 

「き、貴様は、ピッコローー!?」

 

 ブラックが目を見開いたとき、ピッコロは何の感慨も持たない表情で両手を突き出した。

 

「くたばれーー!」

 

 激烈光弾。

 

 かつて、セルに放った時とは比べ物にならない威力の光が、ブラックとザマスを飲み込んだ。

 

 強烈な光のドームが生まれ、爆風が地平線から放たれる。

 

 それらが晴れ、巨大なクレーターを生んだ一撃の中心から、ブラックとザマスが起き上がってくる。

 

「馬鹿な。ピッコロ、貴様ーーこれほどまで、腕を上げていたと言うのか!?」

 

「孫悟空の偽物が。気安く俺の名を呼ぶな!!」

 牙を剥き出しにして叫ぶピッコロ。

 

 その隣に、凄みのある静かな真・超サイヤ人が並び立つ。

 

 孫悟空にそっくりの男は、静かにブラックを見下ろしている。

 

「父さんの肉体だと言っていたな。どういうことか、説明してもらおうか……」

 

「…なに、父さんだと!?」

 

 訝しげに目を見開くブラックに対し、真・超サイヤ人ーー孫悟飯が叫んだ。

 

 その肉体はまるで二つの人影が重なって見え、その声にはエコーがかかっている様に聞こえた。

 

「俺(僕)の父さんに、何をしたぁ!!?」

 

 卑劣な神の策略に、最も烈しい気性を持つ真・超サイヤ人の怒りが爆発したのだった。

 




次回もお楽しみに!(^^)!
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