ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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亡者が現代の地球にまでも溢れようと現れる。

その侵攻を食い止める二人のサイヤ人。

彼らをサポートするため、助っ人が現れる……!



亡者の侵攻 迎え撃つ超戦士達

 現代の地球・荒野。

 

 バーダックは、ターニッブと共に肩を並べて、時の階段から現れる無数の亡者を相手に拳を振るっていた。

 

 亡者は一様に漆黒の鎧に身を包み、フルフェイスの兜を被っている。

 

 まるで虫の群れのように個性がなく、気味の悪い敵を相手にバーダックは果敢に殴りかかる。

 

 彼の拳が振るわれる度に、無数の亡者が塵と化していく。

 

「ケッ、数がいくら居ても同じだってんだよ!!」

 

「…悪いが、此処を通すわけには行かない。この拳、受けてみろ!!」

 

 ターニッブも負けじとその横で青白い波動を纏う拳と蹴りを繰り出し、亡者が光の粒子になって消えていく。

 

「…凄まじいものだな。超サイヤ人とやらに変化せずとも既にこの二人はーー!」

 

「ええ。破壊神の領域に足を踏み入れてます。彼ら二人で無ければ、とっくに地球は多量の亡者に進攻され、常世の霧に包まれているでしょう」

 

 ゴワスとシンの言うとおり、既に死者の都と化してもおかしくないほどの瘴気が空間に満ちている。

 

 それでも常世の真理が未だ地球を覆わないのは、バーダックとターニッブの二人が進撃を止めているからだ。

 

 だが、それにも限界はある。

 

「……どれだけ湧いてきやがる?」

 

「分からん。もし仮にゴワス様が言った通り全宇宙の死者の魂が亡者となったというのなら、その数の分だけ来るだろう。数億年ーー星の意思が溜め込んだ死霊の数など比べ物にならない」

 

「カカロット達を手助けする暇がねえ…!!」

 

「ああ。このままでは、守るだけで手詰まりだ。死者の魂を怨霊へと変える力の流れを絶たなければ…!」

 

 このまま地球に留まり、悟空達がザマスやブラックに怨霊の意思を倒すまで耐えきるか。

 

 時空の狭間に打って出て、力の湧き所を消す以外には手がない。

 

「どっちにしろ…! 今は身動きできねえ…!!」

 

「ならば、耐えきって見せる。これも修行と思えば、やれる!!」

 

 二人の黒髪のサイヤ人は不敵な笑みと共に無数の怨霊に向かって更に拳を繰り出した。

 

ーー 無駄な足掻きを。受け入れよ。滅びを ーー

 

 男とも女とも、子どもとも老人とも把握しづらい声が聞こえる。

 

 その声が響いた後、一気に次元の階段に繋がっていた光の穴が広がる。

 

 そこから噴き出るのは死者の霧。

 

 亡者や怨霊の怨嗟の気。

 

「やらせん…!! 波動ぉおおおお拳ぇんんっ!!」

 

 ターニッブは腰だめに構えて青白い波動を練り、前方に両手を突き出して放つ。

 

 光の穴に直撃した青白い光弾は、湧き出てくる亡者ごと霧を蹴散らす。

 

「へっ! ふっ飛ばしてやらぁ…!!」

 

 右拳を握り、そこに青い光の塊を創り出してバーダックは笑う。

 

 青白い光を放つ自身の拳を見下ろして、次元の裂け目から出てくる漆黒の鎧を着た亡者の群れに向かって身体ごと突っ込むと、拳を振りかぶって放った。

 

「くたばれぇえええ!!」

 

 バーダックの背後に幻影のような大猿が現れて、バーダックと同じフォームで拳を放つ。

 

 青白い光の渦が発生し、渦巻きに飲み込まれる沈没船のように光へと飲まれる亡者達。

 

「むぅ! 何という強さ! 孫悟空殿やターニッブ殿だけでなく、これほどまでの戦士がまだ居たのか!!」

 

「これが、バーダックさん。悟空さんの父親…!!」

 

「末恐ろしいサイヤ人達ですな。しかし、今は何と頼もしい」

 

 ゴワス、シン、キビトの三名が語るように圧倒的な力を振るって、バーダックとターニッブは地球を亡者の世界に変えまいと闘っている。

 

 キビトが静かにゴワスとシンに向かって告げた。

 

「我々が此処に居ては彼らの足手まといです。早急に未来時空へ向かうべきかと!」

 

「ええ、分かっています。ですがーー」

 

 シンが表情を曇らせながらターニッブを見る。

 

 あの美しい神武不殺の拳とは対極にして、同じ力の存在。

 

 万物必滅の拳ーー。

 

 バーダックの放った気功波で消される亡者とは対照的に、ターニッブの放った波動の光に当てられた亡者は光の粒子となってこの世界に還っていく。

 

「界王神様。俺は、この拳のままで勝って見せる!! 俺の前に何が立ちはだかろうとも…! それが、この拳に誓ったことだ!!」

 

 呆然と浄化された魂たちの輝きに見惚れるシンに向かい、黒髪黒目のサイヤ人は真っ直ぐに告げた。

 

 これに隣のバーダックが上機嫌で笑みを浮かべる。

 

「それでこそ、テメエだ! ターニッブよぉ!!」 

 

「行こう、バーダック。地球には一歩も踏み込ませてはならない」

 

「分ぁってる! この俺に、任かしとけ!!」

 

 金色の混じった白色の気を纏うバーダックと、青白い波動という気の流れを纏うターニッブ。

 

 そんな二人とは全く違う方向から金色の光が放たれた。

 

「気功砲!!」

 

 強烈な一撃は、再び亡者で満ちようとしていた時空の狭間に叩き込まれて吹き飛ばす。

 

 ターニッブが目を見開き、バーダックがニヤリと笑ってそちらを振り返れば、五人の人影が其処にあった。

 

「…彼らは?」

 

「来やがったか…! カカロットの仲間ども!!」

 

 バーダックの言葉に、緑色の袈裟懸けの道着を着たスキンヘッドの三つ目の男がニヤリと笑う。

 

 その隣には悟空と同じ亀仙流の山吹色の道着を着た、顔に傷のある黒髪の男。

 

 更に隣には、男達の鳩尾くらいまでしかない身長の、坊主頭で山吹色の道着を着た男。

 

 三つ目の男の隣には、白い肌をした少年のような見た目のモノが宙に浮かんでいる。

 

「地球の危機だと言うのに水臭いぞ、バーダック!」

 

「全くだぜ! これぐらいの奴らなら俺達でも役に立つだろ!?」

 

「何でも自分だけで解決しようって。そういうとこ、ホント悟空とそっくりなんだから。親父さん!」

 

「力、貸す! みんなで、やっつけよう!!」

 

 彼らの登場に、一瞬だけバーダックはかつての仲間を思い出す。

 

 冷静で熱くなりやすい自分を止めてくれた男、トーマ。

 

 紅一点だが、そこらの男よりははるかに強い妹のような女、セリパ。

 

 寡黙で大食漢だが、無益な争いを好まない大柄な男、トテッポ。

 

 一味で一番調子がよく、だけど居なければ始まらなかった太った男、パンブーキン。

 

「…俺も歳か。テメエらを思い出させる熱い奴らだぜ」

 

 ニヤリと笑った後、バーダックは叫んだ。

 

「テメエら、来た限りは馬車馬のようにこき使ってやっから覚悟しやがれ!!」

 

 熱く燃え滾るように、バーダックは孫悟空の仲間の名を呼んだ。

 

「天津飯! ヤムチャ! クリリン! チャオズ!!」

 

 全員、何も言わずにニッと笑う。

 

 その彼らの後ろから、細身のスキンヘッドの老人が姿を見せる。

 

「間に合ったようですな。バーダックさん」

 

「あ、アンタ…! 亀仙人の爺さん!!」

 

 目を見開くバーダックに好々爺の笑みを見せる、サングラスをかけて亀の甲羅を背負った老人。

 

「ワシ等とて、悟空に助けられてばかりではありませんぞ。共に闘いましょう!!」

 

「…ったく。爺さん、無理だけはすんなよ?」

 

「若い者には、まだまだ負けませんよ!! ぬぅうううん!!!」

 

 細身の老人が一気に大柄の大男に変わる。

 

「者ども、ワシに続けぃ!! かめはめ波じゃぁあああ!!!」

 

「「「「波ぁあああああああっ!!」」」」

 

 五人の男が同時に腰だめに青い光をたわめて両手を突き出し、放つ。

 

 五本の光は見事に次元の裂け目に命中し、躍り出ようとしていた亡者や霧を蹴散らした。

 

「…! やるじゃねえか、爺さん!!」

 

「ああ。これなら、行ける!!」

 

 不敵な笑みと共に、バーダックとターニッブの二人は金色のオーラを纏う。

 

 同じ顔をしたサイヤ人は共に髪を天に逆立たせて、翡翠の瞳と金色の髪に変身した。

 

「! 超サイヤ人か、相変わらず圧倒的な力だ…!!」

 

「まったくだぜ…! でも、俺達も負けてられないだろ!!」

 

「そうですよ! ヤムチャさんの言うとおり!!」

 

「やれること、精一杯やる! 今は敵、倒す!!」

 

 超サイヤ人となった自分たちを見て更に気を高める地球の戦士達に、バーダックはニヤリとする。

 

「嬉しくなってくるじゃねえか…! 今の俺達を見て、戦意喪失するやつが誰も居ねえなんてよ!!」

 

「味方である、と言うのが一つ。もう一つは、そんな程度で怯えるようでは孫悟空の仲間は出来んわい」

 

「…なるほど。確かにな!!」

 

 超サイヤ人二人の間にゆっくりと歩いて来る老人の言葉に、ターニッブもフッと笑う。

 

 亀仙流と鶴仙流の門下達は、拳を握って果敢に亡者の群れに飛び込んだ。

 

「行くぞ! どどん波ぁっ!!」

 

「久しぶりに見せてやるぜ! 狼牙風風拳っ!!」

 

「切り裂け、気円斬っ!!」 

 

「敵の動き! 止める!!」

 

 天津飯の指先から気弾が放たれ、着弾した敵をまとめて吹き飛ばせば、その空いた足場にヤムチャがすかさず跳び込んで貫手の連撃を放っていく。

 

 別の場所ではチャオズが怨霊の動きを止め、それをクリリンの放った気円の刃が切り裂いていく。

 

「おい、ターニッブ! 俺達も負けてらんねえぞ!!」

 

「ああ。俺もそう思っていた…!!」

 

 一気に気を噴き上がらせて超サイヤ人の状態で神の領域ーー超サイヤ人ブルーよりも少し上の力を引き出す二人のサイヤ人。 

 

 彼らの金色の気を纏った拳が三度、迫り来る怨霊と霧を薙ぎ払う。

 

 その力を前に怨霊が叫んだ。

 

ーー 何故だ。サイヤ人の貴様らはともかく。サイヤ人でもない連中に。何故、我らが負ける? ーー

 

 焦った様子の惑星の意思ーー怨霊の声にバーダックは笑った。

 

「へっ、怨霊共! 運がなかったな!!」

 

 静かにターニッブは真っ直ぐな燃える翡翠の瞳を向けて拳を握る。

 

「この星には、お前に食われるほど弱い奴はいない…!!」

 

 二人の超サイヤ人を囲むようにZ戦士が集結していた。

 

ーー 構わぬ。我は、不滅となるーー! リューベ亡き今、我を脅かすものは無し。いずれ ーー

 

 怨霊の声にターニッブが目を鋭く細める。

 

 バーダックが静かに口の端を歪める。

 

「そうやって一生、奴から逃げてろよ。負け犬がぁ!!」

 

 金色の光を噴き立たせ、神の域に来た超サイヤ人・バーダックは笑う。

 

 ターニッブも静かに拳を構えた。

 

「これで、決着だ!!」

 

 金色のオーラを纏うターニッブの拳から青白い雷の波動が放たれる。

 

 その光は神々しく、見る者に超サイヤ人ブルーのオーラを思い起こさせた。

 

ーーーー

 

 未来の界王神界にて。

 

 怨霊を次々と作り出して支配下に置いていくザマスの肉体を手に入れた惑星の意思は笑った。

 

「素晴らしい…! まだ、我に刃向かえる者が居たか。時空をも越える我が力に…!!」

 

 その両耳には深緑色のポタラが付けられており、白銀の髪は天を突く超サイヤ人と同じものになっている。

 

 彼の前には、漆黒の道着を赤い帯で締め、白いブーツを履いた孫悟空ーーブラックが地面に片膝を突いて肩で息をしている。

 

「お、おのれ…! 何という力だ…!!」

 

 忌々しそうに見上げるブラックに向かって“ブラックと合体した姿を取っているザマス”は笑う。

 

「どうした、喜べ我が半身よ。お前とザマスが合体した我は時空をも超越する力を手に入れるのだ…! 我は、お前達のような愚行はせぬ。不死身のザマスと生身のブラックが合体すれば不死身は不完全なモノになってしまう。それを少し作り変えさせてもらった」

 

「…愚かな。人類を全て滅ぼすという計画を忘れた神等、俺は認めんぞ!!」

 

「人間だけを滅ぼす等、無意味。何故ならば、人間を滅ぼしたところでやがて世界は人間を生むのだ。真の意味で人間を生みたくなければ、我によって世界は喰い尽くされるべきだ。そうーー! 世界を喰らい尽くすことこそ我が悲願なり!!」

 

 その言葉に目を見開くブラック。

 

 ザマスの肉体を乗っ取った惑星の意思は笑う。

 

「気付いていなかったのか? 人間もまた世界が生み出したものだということを…! 神などは、所詮生み出された命を見守ることしか出来ぬ無能よ…!!」

 

「…なんだと? それでは、この美しい世界が。あの醜い人間を望み、生み出したというのか!?」

 

 目を見開くブラックに向かって、惑星の意思はニヤリと笑った。

 

「純粋な男だーー! 人間を滅ぼせば世界は救われると信じて疑わぬ、無垢で稚拙な正義ーー! 嫌いではないぞ。滑稽ゆえに笑える…!!」

 

「星の意志よ、応えよ!! 人間は、人間は神が生み出した駄作ではないのか!?」

 

「星々を生み出すのは界王神だ。だが、その星が望んで生み出すモノの中に人間が含まれるのだよ。何故か分かるか? 人間という存在は、生命体が進化する過程で必ず存在せねばならんものだからだ」

 

 自分が愛した世界ーー惑星。

 

 その意思を名乗る目の前の怨霊は、正にブラックが抱えていた疑問を晴らそうとしている。

 

「生きる者は生きるために欲を持つ。その欲が知恵となり、人となる。その変化こそが魂であり、生きる者。だから神は人間に干渉せず見守るのだ。生きる者が、どのように変わるかを期待してな。お前のしていることは、世界を救うのでも守るのでもない。ただの癇癪だ」

 

「…黙れ。ザマスの声で、顔で言うな」

 

「世界が望んだか? いいや、望んではいない。お前が勝手に考えて行動したに過ぎない。世界を護れるなどと考えてな」

 

「黙れェ!」

 

 やめはしない。

 

 怨霊の集合体はザマスの口から、己の言葉を紡いでいく。

 

 ザマスの声で。

 

 ザマスの顔で。

 

「稚拙な正義を振りかざし、自己を正当化し神を皆殺しにして未来の己をたぶらかし、得たものはーー紛い物の超サイヤ人の力か。哀れなものだな」

 

「黙れェえええええええっ!!」

 

 薄紅色の炎が噴き上がり、一気にブラックの気が上昇し、片膝を突いた姿勢から立ち上がる。

 

 右手刀の形に変えるとブラックは光の刃を具現化させ、自らの左掌に突き立てる。

 

「ーー!」

 

 鋭く灰色に黒の瞳孔が現れた瞳を細める怨霊ザマスに対し、ブラックは刃をゆっくりと左掌に納めると右拳を握って抜き放った。

 

 薄紅色の光を放つ大鎌がブラックの右手に握られている。

 

「…真・超サイヤ人ではないが中々、面白い芸をするな。ブラック」

 

 静かにブラックは不敵な笑みを浮かべている。

 

「許さんぞ…! よくも怨霊の分際で、この俺の心を乱してくれた…!! 八つ裂きにしてくれる!!」

 

「ククク、自分の都合の悪いことは無視して必死に自己の正当化を望むか。哀れだな、界王よ。その肉体を手に入れれば貴様に用はない。安らかな静寂と共に果てるがいい…!!」

 

「死ぬのはーー貴様だぁああっ!!!」

 

 ブラックの薄紅色の大鎌が振り下ろされ、それを怨霊ザマスが左手を上にかざして受け止める。

 

 強烈な光と光がぶつかり合い、薄紅色のオーラを両者が纏う。

 

「ぐ、ぬぅううう!!」

 

「そんなものか?」

 

 睨み合う灰色の瞳と瞳。

 

「ぐぅおおおお!?」

 

 弾き飛ばされたのは、鎌を振り下ろしたブラックだった。

 

「…ん?」

 

 これに怨霊ザマスが目を軽く見開いた。

 

 吹き飛ばした拍子にブラックの鎌が怨霊ザマスの脇の空間を切り裂いたのだ。

 

 その裂け目から薄紅色の炎のような空間が見えている。

 

 ブラックは宙で態勢を整えると、目の前に裂け目から現れた霧によって具現する数多の自身の分身を見た。

 

「こ、これは…!! く、ククク、見たか!! これぞ、神の力だ!!」

 

 一瞬、呆けた後にニヤリと笑い、ブラックは勝ち誇った笑みを浮かべた。

 

「あの裂け目。見えてくるのは別の宇宙か?  遥か未来か、過去か?  あるいは俺が抱え込んだ底なしの怒りかもしれん…!!」

 

 ニヤリとするブラックを前に、怨霊ザマスもまた冷酷な笑みを浮かべた。

 

「面白い、見せてみろブラック」

 

 両手を広げて笑うザマスに向かって、ブラックが薄紅色の炎をその身に纏い叫ぶ。

 

「神の力、その目に焼き付けて逝け!!」

 

 その場から瞬間移動してザマスの目の前にブラックは分身と共に現れ、同時に拳を腹に叩きつける。

 

 同時、無数のブラックの分身達がザマスの全身に全力の右ストレートを同時に叩き込んでいく。

 

 その様は、獲物を前にして狩りを行う狼の群れのようだった。

 

 十人の分身が腹を打って霧となって散り、直後に十人の分身が同時に右ストレートで顎をかちあげて霧となって散り、最後に上空の天頂高く舞い上がったザマスの真上に十人の分身が扇状に現れて、拳を全身に叩きつけて地面に叩きつける。

 

 そして本物のブラックは残忍な笑みを浮かべながら腰だめに薄紅色の光をたわめ、地面に叩きつけると同時に霧となって消えた分身を的にするように、ザマスに向かって光線を放った。

 

「かめはめ波ぁああああっ!!」

 

 仰向けに倒れ伏した姿勢のまま、ザマスは直撃する。

 

 薄紅色の炎が天に向かって噴き上がり、ニヤリと笑うブラック。

 

 強大な一撃は軽々と界王神界の地表を打ち貫き、角度によってはマントルに届かせてしまうほどのものだった。

 

「神の力を思い知ったか…! 怨霊共!」

 

 自分の得た力と分身の完璧なコンビネーションにブラックは高笑う。

 

「ククク、ハハハハハ!」

 

 煙が噴き上がり、全てを覆い尽くしてしまう。

 

 その煙がゆっくりと晴れていくと、ブラックの声は静まっていく。

 

「…な、なんだと?」

 

 全くの無傷で。

 

 まるでブラックからの攻撃など最初からなかったのだと言わんばかりに、服すらも乱さずに怨霊ザマスが立っている。

 

「中々、興味深い攻撃だった。分身どもの力もお前の七割程度のようだし、そこそこ役に立つ能力で在ろう。我以外にならな…!」

 

「…く! 貴様ぁああ!!」

 

 もう一度、分身を召喚して攻撃を繰り出そうとするブラックに対し、ザマスは静かに両手を天に向かって広げた。

 

「裁きの刃!!」

 

 まるで何かを宣告するように告げると、宙に無数の赤く細い光の針が浮かび上がり、ブラックの分身に次々と突き刺さって爆発する。

 

「…な!?」

 

「所詮、半身に過ぎぬお前の力など我に通じると思ったか? だが、これでハッキリとした」

 

 穏やかで冷酷な笑みを浮かべて、怨霊ザマスが笑った。

 

「ブラックーー貴様は、真・超サイヤ人にはなれない」

 

「な、なんだと!?」

 

「貴様の肉体の中にはサイヤの魂がない。界王の魂であるザマスしかないのだ。サイヤ人の心(魂)と肉体と技がなければ、真・超サイヤ人にはなれない」

 

 目を見開くブラックにザマスは笑う。

 

「孫悟空を殺したことで、真の力を使えなくなるとは。何とも因果なモノじゃないか、ブラック」

 

「……フン。神たる私が、人間の魂(心)と融合などできるものか!! そんなことをしなければ手に入らぬ力など願い下げよ!!」

 

「愚かな。肉体を手に入れた時点で、その論理は効かぬと判らぬか…! やはり、幼い」

 

「黙れと言っている!!」

 

 パワーを引き上げるブラックに向かって、ザマスはニヤリと笑った。

 

「まあ、それでもいざという時の保険にはなるか。生かしておいてやろう…! ブラックよ」

 

「な!? ま、待て!! 俺の半身を返せ!!!」

 

 ニヤリと笑いながらザマスを乗っ取った惑星の意思は瞬間移動で、その場から消えて行った。

 

 残されたのは、ボロボロにされたブラックのみだ。

 

「お、おのれ…!! あの圧倒的な力に加えて不死身だと?」

 

 忌々しそうに拳を握り、ブラックは静かに考える。

 

「サイヤ人の魂がなければ、真には至れない。ならば…!」

 

 ブラックは左耳のポタラを触ると静かに思い至る。

 

「サイヤ人の魂と融合した愚かな身ではあるが、アレもまた私の半身。ク、ククク、惑星の意思め! 待っているがいい!!」

 

 何もない界王神界で、ブラックの高笑いだけが静かに響いていた。

 

ーーーー

 

 未来世界の地球。

 

 北の都と呼ばれる場所に時の階段を昇って、巫女プリカと三人のサイヤ人の戦士が現れる。

 

 孫悟空、ベジータ、ブロリーであった。

 

「…こりゃ、酷でぇな」

 

「クソッタレ…!」

 

「……っ!!」

 

 この三人をして絶句するほどに、生々しくも執拗な攻撃。

 

 建物のほとんどを壊さずに人間だけを狙って殺そうとしているのが分かる。

 

「皆さん。とりあえずガーキンと合流したいのですが、よろしいですか?」

 

 冷静なプリカの声に瓦礫を睨みつけていた悟空は我に返り、振り返る。

 

「! ああ。オラの瞬間移動を使えば、一瞬だ」

 

「トランクス達の気は感じられん。おそらく、ブラックへの対策の為だろう」

 

「…急いだ方がいいかもしれん。こいつは、まともじゃない」

 

 三人がそれぞれ口にしながら悟空の肩に捕まる。

 

 その時だった。

 

ーー ようこそ。未来世界に、歓迎するぞ。孫悟空にベジータ、ブロリー ーー

 

 響き渡る声に天を四人がふり仰げば、そこには先程まで界王神界で激戦を繰り広げていた緑色の肌をした界王ザマスが居た。

 

 漆黒の服に赤い帯を締め、超サイヤ人の悟空と同じ髪型をしている。

 

「お、オメエ…! その恰好は、界王神様か?」

 

「コイツが、ザマスか!!」

 

「…なんだ、コイツの気は? 超サイヤ人の気も感じるぞ!?」

 

 三人の言葉に、惑星の意思に乗っ取られたザマスは笑う。

 

「忌々しい真・超サイヤ人ども。この世界こそが、お前達の死に場所だ。その鍛え抜かれた肉体と技と魂を、我に捧げるがいい!!」

 

 絶望を象ったかのような薄紅色の炎がザマスの全身を覆い立ち上る。

 

 いきなりの惑星の意思の襲撃。

 

 悟空達は、このピンチをしのぎ切れるのか? 

 

 

 




次回もお楽しみに( *´艸`)
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