ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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怨霊の集合体が乗っ取り覚醒した合体ザマス。

これに対峙するのは、地球育ちのサイヤ人。

張り切っていきましょう(^◇^)

最強のサイヤ人 その名は 孫 悟空


最強の戦士 その名は 孫悟空!!

 暗雲立ち込める空。

 

 廃墟と化した北の都に、七色の光と共に緑の肌をした神々しい人の形をした存在が浮いている。

 

 それを大地から見上げるのは、三人の鍛え抜かれたサイヤ人。

 

 孫悟空、ベジータ、ブロリーである。

 

「…オメエが、ザマスか? この星をメチャクチャにしやがって…!!」

 

「…如何にも。直接手を下したのは、この私ではないがな。孫悟空よ、我が手に入れし肉体こそがザマスなり。そして、汝を取り込むことで我は至高に至る」

 

 ニヤリと笑う怨霊の声がかかったザマスに、悟空の目が鋭く細まる。

 

「オラを、取り込むだと?」

 

「フン、貴様のような輩がカカロットを取り込もうなど。大人しく取り込まれるような奴かどうかくらい分かりそうなもんだ」

 

「…オラの肉体を手に入れたブラックと狙いは同じっちゅうことか?」

 

 ベジータの揶揄を余所に、悟空は鋭い瞳で問いかけると、ザマスの姿をした惑星の意思は冷たく告げた。

 

「…ブラック。あの出来損ないか」

 

「…? オメエ等、仲間じゃねえんか? それとも、惑星の意思にザマスが乗っ取られちまってんのか?」

 

 怨霊の力を噴き立たせ、ブラックの超サイヤ人ロゼのオーラを纏いながら、ザマスは笑う。

 

「ええ、確かに我は惑星の意思でもある。しかし、同時に私はザマスでもあるのですよ」

 

「…何だって?」

 

 目を見開く悟空の隣でベジータが、訝しげに瞳を細め、ブロリーが淡々とした表情で非戦闘員のプリカを後ろに庇う。

 

「…話で解決できるとは、貴方も思っていないでしょう? 貴方の肉体を手に入れれば、次は我を倒したベジータと、我にとどめを刺したブロリーの肉体を貰いましょうか」

 

 これに悟空はニヤリと口の端を歪めて笑う。

 

「…なるほど。オラはベジータ達の前菜っちゅう訳か? 舐めんなよ」

 

 両の拳を腰に置いて気を高める。

 

「ベジータ、ブロリー! 先にやらしてもらうぜ!!」

 

 言うや青白い炎の鱗粉を纏い、悟空は超サイヤ人ブルーに変身して宙を飛ぶ。

 

 逆立つ水銀の髪。

 

 鋭くなった翡翠の瞳をザマスと対峙するように、身を浮かばせて向ける。

 

「…戦闘民族最強と呼ばれる君の力。ベジットで対峙した時と比べてどれだけ上がったのか、見せてもらいましょうか」

 

「ああ、見せてやらぁ。超サイヤ人ブルーになったオラのスピードに、ついて来れっか!?」

 

 余裕の笑みで構えるザマスに悟空も不敵な笑みを浮かべたまま、突っ込んだ。

 

 目の前に現れた悟空にザマスが目を見開く。

 

 予測よりも遥かに速い。

 

 左の拳がまともに腹を穿ち、前のめりになったザマスの顎を右のアッパーカットが刈り取って後方へ弾き飛ばす。

 

 その背後に悟空は瞬間移動で先回りし、強烈な右の後ろ上段回し蹴りで吹っ飛んできたザマスを上空に蹴り上げる。真上に瞬間移動して両手を組んで自分の頭上に掲げ、吹き飛ばされてきたザマスの背中に振り下ろして、地面に叩きつける。

 

 強烈な爆音と共に地面にクレーターを作り、衝撃で巨大な土煙を巻き上げる。

 

 それを超サイヤ人ブルーの悟空は見下ろしている。

 

「…やはり、あの第7宇宙の破壊神ビルスが認める訳だ。純粋な戦闘力ならば、ビルスを僅かに上回るか」

 

 自分の背後から声をかけてきたザマスに、悟空は背を向けたまま、視線だけを後方にやりながら述べる。

 

「…オメエ。ビルス様の本気を知ってんのか?」

 

「…君のおかげですよ。超サイヤ人ブルー、超サイヤ人4、そして真・超サイヤ人。君はビルスに自分の力がどれだけ通じるかを知りたかった。そして、ビルスも真っ向から応えてみせた。自分の全力が、我に判明するとも知らずに」

 

 勝ち誇るかのような惑星の意思に振り返って向かい、悟空は静かに左手を顔の横に置いて前に出し、右拳を握って腰に引いて構える。

 

「ビルス様の全力は、あんなもんじゃねえ。あん時はオラに合わせて真っ向勝負してくれただけだ」

 

「…フ、変わりませんね孫悟空。かつてベジットの姿で貴方と対峙した時と」

 

 同時、ザマスが薄紅色のオーラを纏い、悟空の背後に現れる。

 

 振り下ろされる拳を、悟空は振り返りもせずに裏拳を繰り出して止める。

 

「…そうか? 今のオラはベジットの時とは、一味違うぜ。分かんだろ?」

 

 ニヤリと笑う悟空にザマスも笑みを強める。

 

「…強さは、そのようだ」

 

「悪りぃが、惑星サイヤの意思。オメエに構ってる暇はねえ。ブラックっちゅうオラの偽者をぶっ倒さなきゃなんねんだ。超サイヤ人ブルーのままで、圧倒してやる!!」

 

 言うと同時、悟空の肉体を水銀の炎が纏うと、薄紅色の炎を纏いザマスも笑う。

 

「…この肉体のポテンシャルは、超サイヤ人ブルーのベジットに匹敵するもの。何処まで食らいつける?」

 

「忘れたんか? 今のオラは惑星サイヤで会った未来のオラに力ぁ貰ってんだぜ! オメエみてえな奴に負けねえ為になぁ!!」

 

 瞬間、高速移動で両者は動き、空中に衝撃波を弾かせながら強烈な拳と蹴りを打ち合う。

 

 螺旋の軌跡を描きながら漆黒の空に蒼と紅の光が、幾度もぶつかり合っては離れる。

 

ーーーー

 

 地下シェルターにて。

 

 戦いを終え、帰ってきたトランクスとゼノは、新たな仲間となった孫悟飯、ピッコロ、ガーキンの三名を皆に紹介していた。

 

「いきなりブラックと戦える人が増えるなんて…! これって奇跡か何かなのかな?」

 

「さあな。だが、これで何とかなりそうだ…!!」

 

 頷き合うレジスタンスの中、ゼノは静かに彼らから距離を置く。

 

 ゼノ自身が気を遣っているのもそうだが、やはりブラックと似ている自分を恐れ、警戒する者。

 

 ブラックに身内を目の前で殺された者にとっては、彼の姿や雰囲気は否応なく思い出させてしまう。

 

 トランクスはそれを見て悲し気にゼノを目で追うが、ブルマやマイに止められてしまう。

 

「まだ、無理よ。ゼノ君がこちらに歩み寄ろうとしない限りは、こっちから行くべきじゃないわ」

 

「焦るんじゃないよ、トランクス」

 

 二人の女性に向かってトランクスは頭を下げる。

 

「そうですね。でもーー」

 

 深刻な表情で悩むトランクスの肩を悟飯が叩いてきた。

 

 顔を向けると彼はニコリと笑って告げる。

 

「そこまで気にする必要はないと思いますよ。ほら」

 

「え? …あ」

 

 悟飯の指差した方向には座っているゼノに向かって、二人の幼い兄妹が缶詰を手に持って近づこうとしている。

 

 壁に背中を預け、腰を下ろしているゼノは二人の様子に気付き、顔をそちらに向けた。

 

「…あ。あの…! お兄ちゃん、何も食べてないってマキが言ってたから」

 

「……よ、よかったら、これ…!!」

 

 マキと呼ばれた少女は震えながら、両手に持った缶詰を差し出してくる。

 

 ゼノは呆けたような表情で幼い兄と妹を見て固まった後、ぎこちなくソッと妹から缶詰を受け取る。

 

 これにマキとその兄は嬉しそうに笑う。

 

「…な、何故…?」

 

 思わずそんな声を上げるゼノにマキは頬を紅潮させながら、詰まり詰まりになって言葉を紡ぐ。

 

「お兄ちゃんは、違うんだよね。知ってるもん! トランクスもマイさんもブルマさんも、違うって言ってたもん!!」

 

 目を見開くゼノにマキは必死に告げる。

 

「皆をブラックから護ってくれるって! だからーー!!」

 

 その声にゼノは震えながら顔を俯かせる。

 

「? どうしたの? お兄ちゃん?」

 

「あ、あの! 何か別の物が…!!」

 

 マキとその兄が慌てる中、ゼノは黙って首を横に振る。

 

 そのまま、缶詰を大事そうに懐に入れると二人の兄妹の頭を左右の手で撫でた。

 

「……ありがとう」

 

 顔を俯かせて震える声を上げながら、それでも優しくゼノは彼らの頭を撫でた。

 

 この光景に、警戒していたレジスタンスの一部の者。

 

 ゼノを見る度に恐怖に顔を引きつらせていた者の表情が変わっていく。

 

「……ゼノさん」

 

「ね? 言った通りでしょ」

 

「はい、悟飯さん!」

 

 ホッとした表情のトランクスに向かって、悟飯が穏やかな表情で告げる。

 

 その横からガーキンが真剣な表情で言ってきた。

 

「俺はブラックて野郎をそんなに知らねえが、ゼノの奴苦労してんだな」

 

「だが、その道を選んだのも奴だ。このくらいで折れるのは許さん」

 

「…キツイな、お前」

 

 淡々と横から告げるピッコロにガーキンが口元を引きつらせて告げた。

 

 そんな彼らが同時に目を見開き、北の都の方を見る。

 

「おいおい! コイツは…!!」

 

「ああ。神の気を纏った超サイヤ人…!!」

 

「父さん……!!」

 

 ガーキンとピッコロ、悟飯が目を見開いて告げる中、トランクスは訳が分からず左右を見回す。

 

「皆さん? 一体、何を? ゼノさん?」

 

 俯いていたゼノも唐突に顔を上げ、ピッコロたちと同じ方向を見る。

 

「この気…! 孫、悟空…!? 闘っているのは?」

 

 呆然と呟くゼノの口から出た言葉に、ブルマが不敵な笑みを浮かべた。

 

「やっと来てくれたのね! 孫君!!」

 

ーーーー 

 

「つぅおりゃあぁあ!!」

 

「…っ!!」

 

 一際、強烈な拳を繰り出し合い、互いの中央でぶつかって止まる。

 

「…この強さ。やはり君たちサイヤ人は別格ですね」

 

「…オメエもだ。本気で圧倒するつもりだったんだが、全くの互角なんてよ。驚れぇたぜ」

 

 鋭い瞳のまま笑う悟空にザマスもニヤリとする。

 

「…ベジットに匹敵すると言ったでしょう? まあもっとも、ザマスとブラックではこの姿のポテンシャルを100パーセント出し切れなかったようですが」

 

 嘆かわしいと笑うザマスに、悟空は目を細める。

 

「…オメエがベジットの時にも言ったがよ。オラは無駄な戦いはしたくねえ。人間や世界を滅ぼすなんてバカな真似は止せ」

 

「ベジットの姿の時にも言ったが。人間はお前ほどお人好しでもなければ、無害でもない!!」

 

 繰り出される拒絶の拳を、悟空は真っ向から掴み止める。

 

「…どうしてもか?」

 

「孫悟空。ベジータに、ブロリーよ。君たちは、正しい」

 

 惑星の意思ザマスは穏やかな笑みで告げる。

 

「だが、人間は君たちほど強くはない。疑い、恐れ、争い。そして滅ぼすのも人間だ」

 

 これにベジータが静かに頷く。

 

「…確かにな。だが、俺やブロリーのように変わる者もいるだろうが!!」

 

 ベジータは前に一歩出て惑星の意思ザマスを見上げる。

 

「身内の恥を晒すが、俺の親父はブロリーとその父親を殺そうとした! 圧倒的な力を誇るコイツの力に王家の血が変わるのを恐れた為だ!! 誇り高き戦闘民族サイヤ人ならば、力で決めれば良いものをわざわざ、謀殺しやがった!!」

 

「…俺は憎んだ。俺をゴミのように捨てたベジータ王を。そして、その息子を。俺の隣で寝かされていたカカロットの泣き声もな!!」

 

 ブロリーが淡々とした表情で告げてくるのを、悟空が微妙な表情で見下ろしてくる。

 

「…赤ん坊の頃なら、泣くだろ。そりゃあよ」

 

「お前の泣き声は止まないし、うるさかったからな。他のヤツはそうでもないが、お前は起きたら泣き喚いていた」

 

「………赤ん坊の頃の記憶って、そんな鮮明にあるもんなんか?」

 

「…俺はあった。満足に眠ることもできなかった」

 

 結構な恨みのこもった声に悟空は冷や汗を流す。

 

「…悪かったよ、覚えてねえけど」

 

「……まあ、とにかく。星々を破壊し尽くしていた俺が、今はコイツ等とは友人と言ってもいい関係だ。そんな風に変わっていくのも人間というものなのだろう…」

 

「…悪くない気分だろう?」

 

 笑いかけるベジータに、ブロリーは「フン」とだけ笑って応える。

 

 これにザマスは笑う。

 

「…希少種だよ、君たちは。だからこそ、有象無象のように喰らうのではなく我が一部として取り込むに値すると言うものだ。人間の身でそれだけの美しさを持っているのだからな」

 

 悟空の翡翠の目は再び鋭く細められる。

 

「やっぱ、ぶっ倒さなきゃなんねえみてえだな…!!」

 

「そういうことだ…!」

 

 ゆっくりとザマスは左手を悟空にかざす。

 

「…!」

 

 悟空は咄嗟にその場から横っ飛びで回避する。

 

 これにニコリとザマスは笑った。

 

「素晴らしい。流石は神の気を読む超サイヤ人ブルー。我が金縛りを見切りましたか」

 

 ザマスは拍手をしながらゆっくりと両手を天に掲げる。

 

「では次です。裁きの刃ーー」

 

 無数の赤い針が宙に浮かび上がり、無差別に雨のように降ってくる。

 

 悟空はこれを網の目を縫うようにジグザグに高速移動しながら針と針の間をすり抜けつつ、ザマスに接近する。

 

「ブロリー、ベジータ! そいつは着弾点で爆発すっから、何とかしてくれ!!」

 

「カカロットのヤツ。いつも、こんなギリギリで言いやがって…!!」

 

 そんな声を上げながらザマスに殴りかかる悟空を恨めし気に見上げて、ベジータは愚痴る。

 

 瞬間、プリカを庇う様に前に立っていたブロリーが、ベジータも後ろに下がらせて気を高める。

 

「ぬぅぁああああっ!!」

 

 3メートルを越える巨大な筋肉の塊の超サイヤ人が出来上がった。

 

 白目となったブロリーは、金色のオーラを緑色のバリアに変えると、プリカとベジータを包みながら爆発に備える。

 

 地面に瞬く間に刺さった赤い光の針は、まるで針山地獄のように辺り一面を変えていく。

 

 そしてーー赤い光が膨れ上がって爆発した。

 

 一瞬で廃墟のビル街が、何もない荒野へと変化する。

 

 その荒野の中で、圧倒的な光を放つ緑色のバリアーの中にブロリー達は居た。

 

「あ、ありがとうございます、ブロリーさん」

 

「…フン。流石は、伝説の超サイヤ人さんだ」

 

「フハハ! この程度か? 神よ!!」

 

 頭を下げるプリカと口の端を吊り上げるベジータの前で、伝説の超サイヤ人は高らかに神に向かって笑う。

 

 その力の強さは、超サイヤ人ブルーとなっている孫悟空に勝るとも劣らないほどの気だった。

 

「…真・超サイヤ人の力に飲み込まれないために、基本を鍛えたとは言え。これほどか…!!」

 

 悟空の攻撃を捌きながらザマスは、伝説の超サイヤ人ブロリーを見下ろして思う。

 

 姿は変わっていないが、神の気を纏う超サイヤ人に匹敵していると。

 

「真・超サイヤ人に目覚めたオラ達は、ひたすらに修行した。どうすれば、無限に戦闘力が上がる真・超サイヤ人の力に頼らないで済むのかを考えた…! 簡単だ」

 

 強烈な拳を敢えて受け止めさせ、悟空はザマスに不敵に笑いかける。

 

「真・超サイヤ人は超サイヤ人に最も近い姿…! ターニッブを見りゃ分かる。オラ達のような変身のバリエーションこそ少ねえが、奴は超サイヤ人の状態でブルーの領域にまで力を引き上げやがった。ソイツを真似たのさ」

 

 ひたすらに、超サイヤ人の状態で他の形態の力を引き出せるように、修行を積み重ねた。

 

 気が遠くなるような気のコントロールから始まり、あらゆる手段で自己を鍛え上げていった。

 

 超サイヤ人2や3と言った無駄に気を消費する変身をするのではなく、ひたすらに超サイヤ人を極めていく。

 

 愚直なまでに僅かずつしか進まない、その修行が孫悟空を更に引き上げた。

 

「今のオラは、超サイヤ人の状態で超サイヤ人ブルーくらいの気を引き出すことも出来んだ。真・超サイヤ人に目覚めた感覚のおかげでなぁ!!」

 

「…くっ!!」

 

 強烈な右ストレートに後方へ弾かれるザマスを静かに悟空は見据える。

 

「もっとも、純粋な超サイヤ人の気を高めていく状態だから、そっから神の気を纏うブルーにはなれねえけど。それでもよ、超サイヤ人4を失ったオラに取っちゃ御の字さ!!」

 

 強烈な蹴りがザマスを更に後方へ吹き飛ばす。

 

「ただただ、真っ当に修行をしてパワーを上げたというのか。超サイヤ人の状態で2や3の力を引き出せるように…! そして、更にその先の限界を引き延ばすために!」

 

 ニヤリと悟空は笑う。

 

「そういうこった。真・超サイヤ人は、あくまでオラじゃねえオラの力だ。限界を極めて超えるための目標でしかねえ。どうすりゃその力に辿り着けんのかを考えながら、ずっと修行して来たって訳だ」

 

 超サイヤ人2や3、超サイヤ人ブルー。

 

 この変身は孫悟空にとって切り札でしかなかった。

 

 強敵が現れる度に、この変身があることを前提に戦った。

 

 だが、今は違う。

 

 真・超サイヤ人に目覚めた悟空は、その力を自分が得たモノとは考えていない。

 

 あくまで自分が目指すべきモノだと捉えていた。

 

 そう。

 

 誰よりも真・超サイヤ人に向き合い、闘った二人のサイヤ人ーー。

 

 ターニッブとリューベのように。

 

「限界に辿り着いても、その先に真・超サイヤ人は居る。どんだけ強くなっても、強くなった分だけオラの先に真・超サイヤ人は限界を超えて強くなっていく。ターニッブの気持ちが、ようやく分かったぜ…!」

 

 果てはない。

 

 何処までも果てしない強さへの道。

 

 超サイヤ人の極みへ。

 

「真・超サイヤ人を目指すべき姿とし、辿り着けぬと知りながら基本を鍛えてその場所に立つ。それを繰り返すと言うのか…!! 貴様が強くなればなるほどに、真・超サイヤ人は更に力を広げるというのに…!!」

 

 惑星の意思と融合したザマスをして目を見開く。

 

 これほどまでに純粋な意思の塊を知らない。

 

「拳が道を切り開くってのは、こういう事なんかもな? オラには、それを競い合える仲間が居る。ならよ、何処までも突き進むだけだ…!!」

 

 全ての超サイヤ人を極めて、今日の真・超サイヤ人を超えていく。

 

 明日になれば、更なる境地に踏み入った真・超サイヤ人が自分の胸の中に居る。

 

 それを目指して更に極める。

 

 今の孫悟空の瞳に映っているのは、ザマスと言う目先の敵ではない。

 

 ザマスを通してーー己自身と闘っているのだ。

 

「さて、どうする惑星サイヤの意思よ? 今のカカロットは、手が付けられんほどに強いぞ」

 

「…戦う意志を見せないのであれば、大人しく降参することだ。そうすれば、痛い目に遭わずに済むぞ」

 

 ニヤリと告げてくる黒髪のサイヤ人の王子と金髪の伝説の超サイヤ人。

 

 両者は倍近い身長差で並びながら、両腕を組んで笑っている。

 

「…なるほど。痛みを感じぬ不死身の私を倒すのならば、確かに心を折るほうが効果的だ…! 今のあなた方と闘っても勝ち目はなさそうですね」

 

 そう、孫悟空は超サイヤ人ブルー状態で自分を追い詰めている。

 

 たとえ神の気が尽きたとしても、通常の超サイヤ人でブルーと同等の力を引き出せると言っていたのはハッタリではあるまい。

 

 このまま闘っても勝ち目はない。

 

「オメエが逃げようとすんのは分かってる。瞬間移動だな? 界王神様やキビトのおっちゃんの技は、ブルーのオラなら妨害できる。もちろん、オラの瞬間移動なら予備動作で分かっから逃がさねえ。さあ、どうする?」

 

 不敵な笑みを浮かべる悟空にザマスは笑う。

 

「どちらも使いませんよ。神の力もヤードラッドの技も不要です。何故ならば、我は惑星の意思」

 

 瞬間、ザマスの肉体が半透明になって消えて行く。

 

「!? なんだと!?」

 

「この肉体は生身のザマスをベースにしてはいますが、本来はザマスとブラックの合体なのです。ブラックの分を惑星の意思ーー怨霊の力で複製したに過ぎない。つまり、半分は霊体です」

 

 驚く悟空に笑いかけながら、ザマスは告げる。

 

「良い経験をしましたよ、孫悟空。超サイヤ人ブルーに匹敵する力を超サイヤ人で引き出せるとは。その情報は此処で貴方と戦わなければ分からなかった…! なまじ神の力を透視できる分、油断してしまいましたね」

 

「半分霊体だって言ったな? なら、まだ手はあんぜ!!」

 

 瞬間、悟空は黄金の炎を身に纏う。

 

 逆立つ水銀の髪が黄金に変化し、翡翠の瞳に黒の瞳孔が現れる。

 

「? 真・超サイヤ人? 何故、今頃…!? 半霊体になった私には触れることはできませんよ。いかにパワーを引き上げようとね」

 

 真・超サイヤ人になった孫悟空は静かに瞳を閉じ、右の拳を握り締める。

 

 その拳から、蒼い炎の鱗粉が飛び散り始める。

 

「…そ、その気はまさかーー超サイヤ人ブルー!?」

 

 静かに瞳を開け、悟空はザマスを見据える。

 

「未完成の技だ…! 真・超サイヤ人の状態で超サイヤ人ブルーの力を引き出すのはな」

 

「ま、まさか…! 超サイヤ人の状態で力を引き出せるように修行しているのは、真・超サイヤ人になったときに他のベクトルの超サイヤ人の力を使うためか!?」

 

 蒼い火の粉が悟空の両の拳から溢れ、炎が発生する。

 

 黄金の炎のような気を纏う悟空の拳から、蒼銀の炎が浮かび上がる。

 

「だが、ターニッブは風の拳を使って見せた。真・超サイヤ人の力とは無関係なあの力を。ならーー俺も負けていられねえ!!」

 

 蒼銀の炎は右の拳に宿り、蒼銀の眼をした黄金の龍がゆっくりと拳に宿る。

 

「霊体ごと粉みじんにしてやる…! これが俺の、龍ぅうううう拳ぇえええええんっ!!!」

 

 放たれた右ストレートは全てを撃ち抜く黄金の龍と化し、半霊体であるザマスを飲み込んで行く。

 

「こ、こんな…! 孫悟空、貴様に限界はないのか……!?」

 

「オメエの、負けだぁあああああ!!!」

 

 巨大な顎が半透明になったザマスを襲った。

 

 龍の牙が閉じられたとき、巨大な爆発と共に漆黒の雲が撃ち抜かれ、曇天は黄金の火の粉に焼かれて青空が広がり、天から太陽の陽が降り注ぐ。

 

 真・超サイヤ人になった孫悟空は己の手を見下ろし、静かに呟いた。

 

「手応えがなかった。既(すんで)の所で瞬間移動を使われたか…!?」

 

 舌打ちする悟空を地面からプリカが見上げて告げてくる。

 

「…おそらく、時空の狭間に逃げたのだと思います。惑星の意思は、自由に空間を行き来できますから」

 

「ちくしょう。今の勝負で決着をつけたかったぜ…!」

 

「ええ。ですが、それでも流石ですわ。孫悟空さん」

 

 悔やむ悟空を穏やかな笑顔で見上げるプリカ。

 

「惑星の意思と不死身の神の融合した存在を、貴方は一方的に打ち負かした。さすが、ビルス様を相手に真っ向から打ち勝った超サイヤ人です」

 

「……サンキュー、プリカ」

 

 彼女のなけなしの励ましの言葉に悟空はクールな表情から一転、穏やかな笑顔を見せてくれた。

 

 ベジータはブロリーと顔を見合わせている。

 

「先程の惑星の意思の動き、どう見る?」

 

「…力押しで勝てそうにはないな。ターニッブ以外なら、お前やカカロットのブルーが適任だと思うぞ」

 

「……真・超サイヤ人の状態でブルーの力を引き出す、か。カカロットの野郎、ぶっつけ本番で成功しやがった」

 

 悔しそうにベジータはプリカの傍らに降りて黒髪に戻ったサイヤ人・孫悟空を見据えていた。

 

 




次回もお楽しみに( *´艸`)

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