ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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心優しく、穏やかでありながら強き相手を追い求める好戦的な一面を持つ男。

男は、武道を通じて敵と戦い、仲間を得ていった。

今、この時もーー!


目覚めろ! 真・超サイヤ人 孫悟空・ゼノ

 二人の孫悟空は、拳を互いにぶつけた姿勢で静かに互いを睨み合う。

 

 熱く燃えるような美しい翡翠の瞳が、お互いの目に注がれている。

 

「…くっ!」

 

 片方ーー赤い羽織を腰のあたりで明るい水色の帯で締め、その下に黒の道着を着た孫悟空・ゼノが目を見開く。

 

(押し返せねぇ…!!)

 

 対する山吹色の道着を着た孫悟空はニヤリと不敵に笑う。

 

「どうしたよ? オメエの力、こんなもんじゃねえんだろ? 本気ぃ、見してくれよ!!」

 

「……孫、悟空ぅううううっ!!」

 

 ニヤリとする悟空に、ゼノが目を見開きながら拳を繰り出してくる。

 

「そうこなきゃな!」

 

 悟空も拳を握り、繰り出してくる。

 

 ゼノの左ストレートを右に見切り、悟空の左のフックが顎先に放たれる。

 

 交差する拳の先、アゴ先に右掌を構えてゼノは悟空の拳を受け止める。

 

「ぐ、同じ超サイヤ人なのに。桁が違う…!!」

 

 その重みに思わずゼノが呻く中、悟空は不敵な笑みを浮かべる。

 

 まるで本気を出していない。

 

 どころか、赤子と大人ほどの差を見せられている。

 

「まあな。今のオラは、超サイヤ人の状態でブルーの時よりちょっと上の力まで引き上げられんだ」

 

「超サイヤ人ブルー。神の気を纏う超サイヤ人ゴッドの力と超サイヤ人の力を同時に出した姿か! アレよりも上だと言うのか…!?」

 

 互いに膝蹴りを放ち合い、バク転しながら離れて距離を取る。

 

 構えを取る両者だが、ゼノの方は既に肩で息をし始めている。

 

「…折角だ。オメエも見とけ!」

 

 言うと悟空はブルーよりも引き上げた超サイヤ人を解除して、黒髪に戻る。

 

「…何のつもりだ?」

 

 静かに悟空は黒髪の状態からもう一度、超サイヤ人に変身する。

 

「これがオメエが今なってる超サイヤ人だ…! 力の引き上げも何もしてねえ状態のな」

 

「……その時点で、既に俺とは桁が違うようだな」

 

 これに悟空はニヤリと笑う。

 

「ちょっと、ズルしてっけどな。本来ならまだ、此処までの戦闘力にはなれねえ。ちょっと事情があってよ、オラは未来のオラに鍛えてもらったんだ」

 

 拳を握ったり開いたりしながら笑う悟空に、ゼノは目を見開く。

 

「……未来の俺?」

 

「ああ! オメエとは違う未来のオラさ。そいつのおかげで、神の気を纏わずにオラは普通の状態で魔人ブウともやり合えるほどになった」

 

「魔人ブウ…! フリーザや人造人間以外に、そんな連中が現れたのか…!!」

 

 瞳を細めるゼノに向かってニッと笑った後、悟空は更に気を高める。

 

「!?」

 

 目を見開くゼノの前で超サイヤ人の悟空の前髪が少なくなり、更に頭髪が天を突いている。

 

 金色のオーラには青いスパークが走る。

 

「そ、その姿は…!?」

 

「これが、超サイヤ人を超えた超サイヤ人。…超サイヤ人2だ!」

 

 その激しいオーラと見た目に惑わされることなく、ゼノは静かに翡翠の瞳を細めて問いかける。

 

「超サイヤ人2…! 確かに凄ぇ気だが。さっきのブルーよりも上の力を引き出したとか言っていた超サイヤ人よりは遥かに劣るんじゃねえか?」

 

「まあな。コイツは、超サイヤ人のバリエーションの一つだと覚えておきゃいい。気の消費を代償に超サイヤ人の状態の力を更に倍に引き上げてくれる…!」

 

 そう言った後、更にーーと前置きをしてから、一気に気を引き上げる。

 

「…!!」

 

 前髪は一房だけを垂らしたものになって後ろ髪が腰のあたりまで伸び、眼窩上隆起が起きて眉は縮毛し、翡翠の瞳に黒の瞳孔が現れている。

 

「コイツが、超サイヤ人を超えた超サイヤ人を更に超えた超サイヤ人…! 超サイヤ人3だ!!」

 

 金色のオーラは黄金と呼ぶほどに光輝き、先程よりも圧倒的なスパークを放っている。

 

「なるほど。コイツもすげえ…!」

 

「だろ? …此処までが、オラが自分だけの力で得た変身だ。此処までなら、オメエも成れたかもしれねえ」

 

 素直に称賛の言葉を漏らすゼノに悟空はニヤリと笑う。

 

「…なるほどな。じゃあ、これからお前が俺に見せんのが?」

 

「そう…! オラだけじゃ辿りつけねえ領域だ!!」

 

 言うと悟空は気を一瞬消して、元の黒髪の状態に戻った後ーー青い炎の鱗粉を身に纏いはじめる。

 

「……なるほどな。この澄んだ透明な力。界王ザマスの記憶にもあるが、圧倒的な重圧だな。この次元の孫悟空では今のお前の気を感じられなかった…! ザマスと融合しているから気を感じられるが、これが神の気か」

 

 蒼い炎を纏った水銀の髪の超サイヤ人を見て、ゼノは静かに目を細める。

 

 これに悟空はニッとした後、告げる。

 

「コイツが、超サイヤ人ゴッドの力を持ったサイヤ人の超サイヤ人。超サイヤ人ブルーだ。神の域に来ていない者は神の気を探れねえ…!」

 

「なるほどな。コイツは確かにすげえや…!」

 

 圧倒的な力の差を見せつけられているのに、ゼノは淡々としている。

 

 冷静に悟空の翡翠の瞳を見返してくる。

 

「…へへっ、ワクワクすっだろ? まだまだ、超サイヤ人には先があんだぜ」

 

「超サイヤ人ブルー。そいつよりもさっきの超サイヤ人は強かった。そういうことか…!」

 

「ああ。超サイヤ人をただ極めるだけで、ブルー以上の力を引き出せるようになる…! けど、そいつは一朝一夕には行かねえ。まずは、超サイヤ人の真の姿にならねえとな」

 

「……まだ、あんのか?」

 

「ああ。これで、最後だ…! ホントは超サイヤ人4ってのもあんだが、今のオラには成れねえかんな。けどよ、この変身はオラに取っちゃ禁じ手みたいなモンだ」

 

 先までよりも低い声で告げる悟空に、ゼノも目を細める。

 

「…禁じ手だって?」

 

「ああ。これから見せる変身は、なってるだけで力がどんどん引き上がっていく。ソイツをコントロールするためにオラ、そうとう苦労した。オメエも見とけーー! これが今のオラにとっての最強の姿だ…!!」

 

 気を高めるーー。

 

 水銀の炎を纏った超サイヤ人の足元から黄金の炎が噴き上がり、水銀の髪が先の超サイヤ人3のように黄金へと変化する。

 

 同時に翡翠の瞳にも黒の瞳孔が現れ、超サイヤ人ブルーの状態から一回り高い黄金の気を放っている。

 

「……こいつは、全王様の御前試合でターニッブと変身した…!!」

 

「そう…! これが俺の真・超サイヤ人だ…!! さっきの超サイヤ人ブルーより上の力を引き出した普通の超サイヤ人の状態から気が無限に上がっていく…!!」

 

「!! 無限だって!?」 

 

 言いながら気を感じてみれば、圧倒的な力は更に更に高まっていく。

 

 ゼノが思わず目を見張るほどに、孫悟空の力は先の比ではなかった。

 

「どうだ、ゼノ? オメエの超サイヤ人は、俺の真を自覚したぜ…! この力、引き出してみろよ」

 

 不敵な笑みと共に告げられた言葉に、ゼノは瞳を細める。

 

「…そんな簡単にできるのか?」

 

「モノは試しだ。やってみな」

 

「…分かった」

 

 拳を握り、気を巡らせる。

 

 すると微かだが、黄金の火の粉がゼノの周りを飛び始めた。

 

「…! コイツは…!!」

 

「な? 出来ねえことは無さそうだろ? コイツは超サイヤ人にさえ目覚めてりゃ、そこまで難しい変身じゃねえ。もっとも、使いこなすにはブルー以上の修行が必要だがな…!!」

 

 常世の理が満ちた地球で真・超サイヤ人と化した悟空はニヤリとした後、プリカに問いかける。

 

「なあ、プリカ? 今の地球は惑星サイヤと同じ条件なんか?」

 

「…え? ええ。常世の理に覆われていますから…!」

 

「ならよ、あらゆる可能性が交わる特異点にもなってんのかな?」

 

 悟空の質問の意味が分からず、プリカは訝し気にしながらもコクリと頷く。

 

 その頷きに悟空はニヤリと笑ってゼノを見る。

 

 ゼノは静かに、圧倒的な力の差のある孫悟空に構えを取った。

 

「! ゼノさん、無茶です!!」

 

 トランクスが声を張り上げる中、ゼノに対し悟空もゆっくりと構えを取る。

 

「おい、カカロット! 力の差を考えろ!! 真・超サイヤ人のままやるつもりか!? そいつはブルマの恩人なんだぞ!!」

 

「…アイツめ、どういうつもりだ? カカロットもゼノも互いの力の差が分からん阿呆ではあるまい」

 

 ベジータとブロリーの二人を見た後、プリカはジッと孫悟空とゼノを見直す。

 

「…真に目覚めた悟空さんが、その可能性をゼノさんに見せようとしているのです」

 

「可能性だと? まさか…! カカロットが、この地球は特異点かと聞いていたのは!?」

 

 ベジータが思わず目を見開く。

 

 悟空とはじめてバーダックが惑星サイヤで闘った時、バーダックは超サイヤ人2と3に闘いながら目覚めた。

 

 アレは悟空と戦うことで多次元の己の可能性を引きずり出したからだ。

 

「…特異点だった惑星サイヤで戦えば、俺達は他の次元の様々な俺達の可能性を引き出せるようになった。もしもカカロットが、それをゼノにしようとしているのなら」

 

「正気か…! 一歩、間違えたらゼノを殺しちまうぞ…!!」

 

 ブロリーとベジータの会話をよそに孫悟空は静かにゼノに向かって一つ、打ってこいと手招きした。

 

 これにゼノは頷く代わりに一歩、前に踏み込んでくる。

 

「ゼノさん! 悟空さん!!」

 

 ゼノの拳が悟空の胸に突き出される。

 

 悟空はそれを左手を胸の前に出して軽く握り、突き出された右ストレートに対して自分の甲の部分を相手の拳の付け根に当てると左に払う。

 

 同時、右の拳がゼノの顔に突き出される。

 

 その拳が振り下ろされれば自分は消えてなくなるだろう。

 

(…これで良い。私は、界王でありながら、やってはならないことをしてきた。これで…!!)

 

ーー ちくしょう…! ーー

 

 目に映るのは、孫悟空の姿。

 

 真・超サイヤ人ではない、普通の超サイヤ人の孫悟空の姿。

 

ーー ちくしょう、死んでたまるかぁあああ!! 俺は、まだチチを! ブルマを! 皆を護れてねえ!! ーー

 

(良いのだ、孫悟空よ。君は充分戦った。無理に私が現世に蘇らせたのだ…! 後は、過去から現れたもう一人の君に任せよう)

 

 ザマスは静かに笑う。

 

(強いな、君の別次元の可能性は。アレだけの強さならば、ブラックなど問題ではあるまい。君の名は護られる。私の最後の力で、肉体の死滅後は必ず君を天国へと戻してみせる。安心するんだ…)

 

ーー 死ねねぇ!! 俺は、まだ死ねねぇ!! ーー 

 

 どれだけ力の差があろうとも諦めることを知らない。

 

 退くことを知らないサイヤ人。

 

ーー こんな強ぇ奴が居んのに、死んでたまるか!! 皆を護れてねえのに、死んでたまるか!! ーー

 

(孫、悟空…! 君は…!!)

 

 足掻いている。

 

 諦めようとする冷めた自分とは正反対の、炎のような心が燃えている。

 

(…なんだ?)

 

 その時だった。

 

 ゼノの肉体の中にある二つの心に一つの風景が見えてきた。

 

 パオズ山だと気付くのには、時間がかからなかった。

 

 農作業をしている悟空の姿がある。

 

 その光景は、この悟空もザマスも知らない。

 

 しばらくすると、悟空のよく知る女性が走ってきた。

 

 自分の記憶よりも歳が老けているが、間違いないチチだ。

 

 その隣には、自分とそっくりの悟飯とは違う子どもがいる。

 

(これは、孫悟空の別次元の可能性か…! 長閑なものだ…!!)

 

ーー チチ…! それに、俺の子ども…? ーー

 

 超サイヤ人の悟空はその手を伸ばそうとする。

 

 その時だった、作業着を着た悟空の姿が白い光と共に変わりザマスへと変化したのだ。

 

ーー な!? ーー

 

(私だと!?)

 

 呆然とする悟空とザマス。

 

 映像の作業着を着たザマスは、自分を指差して必死に言う。

 

『オラ、悟空だ! ホントのホントに悟空だよ!!』

 

『なして、そったら姿になっただ!?』

 

 チチが驚きながら告げるも、その背後から声がかかる。

 

『彼は、孫悟空に間違いありません。姿は違いますがね』

 

 振り返れば、残忍な顔で笑う孫悟空の顔をしたザマスの服を着た男が居る。

 

(ま、まさか…! この映像は…!?)

 

ーー 何を、するつもりだ…? 貴様…!! ーー

 

 ザマスの躰になった孫悟空は混乱したように、目の前に現れた自分の肉体を持つ者に声をかけた。

 

『お、オメエ。何で、オラの顔をしてんだ…!?』

 

 これに悟空の顔をした男はニヤリと笑って紫色に輝く気を右手に纏わせる。

 

ーー チチと子どもを連れて逃げろ! 俺!! ーー

 

 そう叫ぶ超サイヤ人の悟空だが、映像の肉体を入れ替えられた孫悟空は呆然とした表情のまま、刃で胸を貫かれて倒れた。

 

 それを恐ろし気に、悲し気に見るチチと悟天。

 

 ゆっくりと振り返る孫悟空の肉体を持った男。

 

『ククク、次はお前達だ』

 

ーー やめろぉおおおおおおおっ!!! ーー

 

 光の刃がチチと名も知らない自分の子を襲う光景。

 

 自分の妻と子の断末魔の悲鳴が響く中。

 

 超サイヤ人の悟空は怒りに身を震わせる。

 

ーー ゆ、許さん…!! 許さんぞ…!! よくも、よくも…!! ーー

 

(この光景は、ブラックの誕生した次元の可能性か…!! 孫悟空はやはり、殺されていたか…!!)

 

 瞳を細めるザマスの前で、超サイヤ人・孫悟空は目を見開いた。

 

「……!! だぁああああああっ!!!」

 

 目の前に迫る黄金の炎を纏った拳は、同じ炎を纏った右手に止められている。

 

「……今のが、ブラックか」

 

 真・超サイヤ人の悟空は拳を繰り出したまま、静かにゼノに問いかける。

 

 彼の瞳にも光景が見えていたようだった。

 

「ああ、そうだ…! 奴が、別次元の俺を殺した私だ…!!」

 

 ゼノの口調が安定していない。

 

 いや、孫悟空の気の色が強烈になり過ぎていて、ザマスの気が隠れつつある。

 

「…感謝するぜ、別次元の俺よ。この力が、この姿があれば俺は、あのクズ野郎を叩き潰せる……!!」

 

 翡翠に黒の瞳孔が現れた瞳。

 

 ゼノは、真・超サイヤ人に目覚めたようだった。

 

 だが、悟空は静かに首を横に振る。

 

「やめとけ。今のオメエじゃ、無理だ」

 

「なんだと? どういうことだ?」

 

 冷徹な悟空の言葉に、ゼノの冷めた怒りの瞳が向けられる。

 

「どうもこうもねぇ。今のオメエは、真・超サイヤ人の力に振り回されてるだけだ。どうしようもねえ怒りに身を任せて、全てをぶっ壊しちまいかねねぇ」

 

「…それが、どうした!? 貴様は何も感じないのか!? チチと子どもを殺されてんだぞ!? 何でそんなに冷静なんだ? 何で怒らねえ! あんなクズ野郎に体を乗っ取られちまった挙句に目の前で殺されてんだぞ!!」 

 

 怒り狂うゼノを孫悟空は強烈な睨みで黙らせる。

 

 その瞳の奥に確かにある怒りは、今のゼノに勝るとも劣らない。

 

「チチと悟天を殺されて。……俺が、怒らねえと思うか?」

 

「なら、なんで止めた…? 俺の理性が、ちょっとでも残ってる内に言ってみろ!!」

 

 激しいゼノの怒りに悟空も静かに構える。

 

「言っても聞かねえだろ、今のオメエは…! そんな顔してんぞ」

 

「…あくまで、俺の邪魔をするっていうのか?」

 

「ああ…! 今の怒りに呑まれたオメエじゃ、誰にも勝てねえ…!!」

 

 瞬間、ゼノが地を蹴って悟空の目の前に現れる。

 

 繰り出される拳をまともに受け止める孫悟空。

 

 強烈な一撃は、悟空の後ろの地面を軒並み割って地盤をひび割れさせると廃墟のビルを崩れさせる。

 

 だが、孫悟空は微動だにしない。

 

「…っ!?」

 

「ちょっと、頭ぁ冷やせ!!」

 

 止めた拳を突き放して後方へ吹き飛ばす。

 

 それだけでゼノは紙切れのように飛んだ。

 

「…なるほどな。コイツはすげぇ…! こんな圧倒的な力の差だってのに、一気にパワーが上がりやがった」

 

 自分の両手を見下ろして、怒りに目を見開き、狂ったように笑うゼノを、孫悟空は静かに見据える。

 

「今のオメエ相手に真・超サイヤ人で闘っても、意味はなさそうだな」

 

 そう言って悟空は静かに黄金の炎を水銀の炎に変える。

 

 全体的な力が一回り下がり、無限に上昇していた気が落ち着いた。

 

 超サイヤ人ブルーになったのだ。

 

「何のつもりだ? 俺相手なら、真・超サイヤ人になるまでもないってのか?」

 

「ごちゃごちゃ、うるせえぞ!! さっさと、かかって来い!! 今のオメエの状態がどんだけヤベエもんか、直接体に叩き込んでやる!!」

 

「あっそ。なら、教えてもらおうじゃねぇか…!!」

 

 その言葉にゼノは静かに構えを取り直す。

 

 ブルーになった悟空も同じくだ。

 

 大地を蹴り、一気に突っ込んでくるゼノに今まで迎え撃っていた悟空も突っ込む。

 

 黄金と水銀の炎が互いに燃え盛り、ぶつかる。

 

「? ……貴様、なんで加減してやがる?」

 

「確かに力は押さえてっけど。ソイツが加減に見えんなら、オメエはその程度だ」

 

「ほざけぇえええ!!」

 

 激しい乱打戦を繰り広げる両者。

 

 ゼノの黄金の炎を纏った拳が、情け容赦なく急所に突き立てられようとすれば、悟空はそれを的確に見切って拳を返していく。

 

 パワーとスピードはゼノの方が上だが、悟空はまるで攻撃が何処に来るのかが分かっているかのように捌いていく。

 

 右のローキックから左のハイキックに繋ぎ、踏み込んで右ストレートから右ひざ、左フック、右アッパーから右のハイキックを繰り出すゼノ。

 

 悟空は右のローを左足を一歩退いて躱し、左のハイは両腕でガード。

 

 右ストレートを首を左に倒して躱し、自分の左ボディに右手を構えて受け、左フックを下に前かがみになって避け、目の前に来た右のアッパーを体を起こしながら上体を背に反らして躱す。

 

 伸びきった悟空の顔に向かって放たれる右のハイキック。

 

 乾いた音が響く。

 

 放たれた蹴り足の脛を、悟空は顔の左横に置いた右掌で受けて止めると、その場で一回転しながらの上段後ろ回し蹴りを放つ。

 

「ぐぅお!?」

 

 まともに横面に入り、きりもみに吹き飛ばされるゼノ。

 

 ビルの中に叩き込まれるのを蹴り脚を軸足に戻しながら悟空は見据える。

 

「頭は、ちぃっと冷えたか?」

 

「…フ、流石に強えな。ならよ…!!」

 

 一気にゼノの気が倍に膨れ上がり、両手を腰だめにたわめて青い光の球を練り上げる。

 

 無限に気を高めていける状態でかめはめ波を練れば、下手をすると地球が崩壊しかねない。

 

「そこをどけ…! 俺は、ブラックを倒す!!」

 

「…撃てるんか? そのかめはめ波を」

 

 静かに見合う両者。

 

 トランクスが思わずゼノと悟空に向かって叫ぶ。

 

「もう、やめてください!! どうして、ゼノさんと悟空さんが争うんですか!! 新しい超サイヤ人に成れたのなら、もういいじゃないですか!! 一緒にブラックを倒しましょう!!!」

 

 トランクスの言葉などそっちのけで二人の孫悟空は睨み合っている。

 

 やがて、ゼノの方が溜め息を一つ吐いてかめはめ波を解除した。

 

「…なんで分かった?」

 

「殺気がなかったからだ、止めると分かっていた。それにーーそんなモンをぶっ放したらホントに地球がぶっ壊れちまう。使えるとすれば瞬間移動だが、オラにその手は通じねえってとこまではお互い読んでたろ?」

 

 冷静な翡翠の瞳で見つめられ、大量の汗を全身にかいたゼノはニヤリと笑う。

 

「なるほど。おまけに俺の時間切れまでお見通しって訳だ」

 

「ああ、そういうこった」

 

 ニッと笑う悟空にゼノは静かに気を納める。

 

 黒髪黒目の状態に戻りながら、悟空に告げた。

 

「だけどよ、オラは絶対に奴を許さねえ…!!」

 

 それだけを最後に、孫悟空の色が強く出ていたゼノの気がザマスのモノに変わる。

 

「…ああ。オラもだ」

 

 その言葉にゼノは静かに微笑む。

 

「君の怒りはすさまじいな。冷静になろうとしたが、できなかった」

 

「まあな。真・超サイヤ人になったばかりってのもあんだろうけどな…!」

 

 超サイヤ人ブルーから元の黒髪に戻りながら、悟空はゼノに告げた。

 

「オメエ、まだ完全にお互いの心が融合し切れてねえな。ソイツを何とかして真・超サイヤ人の力を使いこなさねえと、ブラックには勝てねえぞ」

 

「…ええ。分かっています。ご指導ありがとうございました」

 

「水臭えこと言うなよ。アンタもオラなんだからよ!」

 

 ウインクする悟空にゼノは思わず苦笑を返した。

 

 ザマスの自分が何をしたのかを知った上で、孫悟空は穏やかに話をしてくれる。

 

 それを心の中で感謝しながら。

 

 




次回もお楽しみに!(^^)!
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