ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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己の作り出す世界に不要な存在。

己にとって目障りな力を持った存在を。

絶対の神は世界より弾き飛ばす。

しかし、それで諦めるような戦士達ではない……!


運命(滅び)にあらがう者 不断の求道者

 現代の地球。

 

 黄金の戦士ーー真・超サイヤ人が二人、亡者を薙ぎ倒す中、異変が起こった。

 

 突如、場に黄金の戦士が増えたのだ。

 

 クリリンが困惑する中、山吹色の道着を着たサイヤ人とモノトーンのベルトタイプのジャケットを着たサイヤ人が黄金のオーラを滾らせている。

 

「だりゃああっ!!」

 

「ぬぅあああっ!!」

 

 ターニッブとバーダック、二人の超サイヤ人が同時に振り返った先には、孫悟空とターレスが拳をぶつけていた。

 

「…あん? カカロットにターレス。王子に、フリーザだと!?」

 

 クリリンが、バーダックの横から悟空達に向けて叫ぶ。

 

「おーい、悟空!! ベジータ、皆!!」

 

 ピタッと止まる両陣営の戦士達。

 

 ジャネンバの蹴りを受け止めた伝説のサイヤ人ブロリーが、訝しげにターニッブ達を白目で見やる。

 

「…ターニッブ? まさか、此処は!?」

 

「お祖父さんにクリリンさん。じゃあ!!」

 

 隣で魔人ブウに拳を止められた姿勢の悟飯も、目を見開いている。

 

「…どうなってやがる。此処は、俺たちの地球か!?」

 

「飛ばされたって言うのか? 未来世界から?」

 

 ベジータの言葉にフリーザも瞳を細めて、互いに拳を引っ込める。

 

「…一時休戦だな。ピッコロよ」

 

「チッ!」

 

 蹴りを互いに放ち合っていたセルの言葉に、忌々しげにピッコロは吐き捨て構えを解く。

 

 突如、現れたフリーザやセル、魔人ブウにクリリンやヤムチャ達は震え上がっていた。

 

 自分達を殺した相手だ、怯えない訳がない。

 

 そんな彼らを置いて、悟空が周りを見回す。

 

「…ゼノと、ガーキンが居ねえぞ!!」

 

「なんだと? ザンギャ! ヤジロベーもか!!」

 

 ターレスも居なくなった仲間二人の名を呼ぶ。

 

 バーダックが静かに肩を竦めて、息子に話しかけた。

 

「おいおい。何が、どうなってんだ? カカロット」

 

 だが、悟空はいつものような陽気な返事を返してこない。

 

 訝しげにバーダックが悟空を見上げると、心底悔しそうにしている息子の姿があった。

 

「ブラックの野郎!!」

 

「…バーダック、クリリン。状況を説明するから、少し待ってくれ」

 

 ベジータが静かに、己を落ち着けるように息を吐きながら話す。

 

 ブロリーはそんな二人を見た後、伝説のサイヤ人に変身したまま、気を高めて時の階段に溢れる亡者を吹き飛ばした。

 

 これにターニッブがブロリーを見る。

 

「…ブロリー」

 

「ターニッブ、こいつらは俺にやらせろ。事情はカカロット達から聞いてくれ」

 

「…分かった」

 

 言うとブロリーは気を更に高めて、緑がかった丸いバリアを己の周囲に貼りながら、亡者の群れに突進した。

 

「…どうしたよ、カカロット」

 

 静かに問いかけるバーダックに、真・超サイヤ人のまま悟空は叫んだ。

 

「あのクズ野郎、俺だけじゃなくチチと悟天まで殺してやがった!!」

 

「…なんだとぉ!?」

 

 悟空の怒りが飛び火したのか、バーダックも眦が釣り上がる。

 

「おい、ターニッブ! 殴り込みに行くぞ!!」

 

「…俺もだ。ヤツ等だきゃあ、許さねえ!!」

 

 いきり立つ親子に悟飯が声を上げた。

 

「待ってください、父さん。お祖父さん」

 

 悟飯は静かにブロリーを指差す。

 

 彼は見えない壁があるように時の階段に入ることができず、そこから溢れる亡者を吹き飛ばしていた。

 

「…ブロリーでも、時の階段を使うのは無理なんか!?」

 

「いや、おかしい。俺やターニッブは、さっき時の階段を降りられたぞ。どうなってる!?」

 

 悟空とバーダックの言葉に悟飯が静かに告げた。

 

「…推測ですが、俺たちは未来世界からザマスの力によって現代に飛ばされた。その際に、時の階段を使って時空の狭間には入れないようにされているのではないかと。未来世界には時空の狭間からしか行けませんから」

 

「…惑星サイヤの意思と融合したザマスか。奴なら出来るかもしれんな」

 

 ベジータが忌々しげに告げる中で、フリーザが声を上げた。

 

「…惑星サイヤの力の事かい? 僕やセルさんを復活させたアレが、ベビーってヤツに変わったのは知ってたんだけど。それが、ザマスってヤツに乗り移ったと」

 

「…ああ。神の肉体を得た惑星の力で俺たちは、トランクスの世界から弾き飛ばされた」

 

 ピッコロが頷く。

 

 クリリンが思わず問いかけた。

 

「あ、あのさ、悟空。ピッコロ、フリーザ達はその。味方なのか?」

 

「「そんなわけ、ないだろう!!!」」

 

 ピッコロ、ベジータ、フリーザが声を揃えて告げる。

 

 思わず、後ろに一歩下がって謝るクリリンである。

 

 そんな彼らを置いて悟空は、静かに冷徹な低い声音で告げた。

 

「…今は、そんな細けえ事を言ってる場合じゃねえだろ。問題は、あのクズ野郎なんだからよ!!」

 

「……確かにな。クソ! 時の階段を使えないなら、未来に行くには界王神共の指輪しかない! しかし奴等が居ないから、トランクスの世界に行けん!!」

 

 怒りに震える悟空にベジータも頷く。

 

 冷静な悟飯が手を上げた。

 

「父さん! タイムマシンなら!?」

 

「! そうか、その手がある!!」

 

 盛り上がる悟空と悟飯、ベジータやピッコロに対し、ターレスやフリーザは訝しげになる。

 

「タイムマシンか。私の時代でトランクスから奪ったアレが役に立ちそうだな」

 

「薮蛇というのを知ってるか? セル」

 

 セルの肩に手を置きながらブウが告げると、横から鋭い瞳でベジータが告げてきた。

 

「…そういや、貴様には息子を殺された借りがあったな」

 

「今は、それどころではないのだろ? ベジータ」

 

 落ち着き払ったセルの言葉に、苛立ちながらベジータも舌打ちして、超サイヤ人ブルーから黒髪に戻る。

 

「ブルマに力を借りねばならんな」

 

「…ザンギャ、無事でいろよ」

 

 真・超サイヤ人から黒髪に戻りながらターレスも呟く。

 

 ブロリーが場に溢れた全ての亡者を一旦、消し飛ばした後。

 

 ブウが邪悪な魂の塊であるジャネンバを召喚し、セルがセルジュニアを七体産んで階段の入り口に配置して番をさせ、一行はZ戦士達やターニッブとバーダックに未来世界の出来事を説明しながら、西の都に移動を始めた。

 

ーーーーーー

 

 未来世界の界王神界にて。

 

 ザマスはブラックを抱えながら、ゆっくりと神殿のある丘に歩み寄る。

 

 其処には、既に殺したはずの三人の人物がいた。

 

「…過去の世界から来られたか。ゴワス様に、第7宇宙の界王神様とキビト殿ですね」

 

 ゆっくりと卓の席に意識を失ったブラックを座らせながら、ザマスは穏やかに笑って三人の神々に一礼する。

 

 今のザマスは付き人の服を着ているが、黒を基調としており、赤の帯を腰に巻いていた。

 

「…ゴワス様、お気をつけください」

 

「うむ。すまんな、シン殿」

 

 シンに一つ頷き、ゴワスはザマスと正対した。

 

「…ザマスよ、変わったな。変わり果てて、とても私の弟子のゼノと同じ存在とは思えん」

 

「ふふ。貴方からすれば、そうなのでしょうね。ですが、私は昔から変わって等おりませんよ」

 

「嘘をつくな、ザマス! 何故なのだ!? 何故、このような恐ろしい真似をした!! 其処のブラックとなったお前が原因なのか!?」

 

 詰問するゴワスの迫力にシンが竦み上がる。

 

 キビトも厳しい表情でザマスを見つめている。

 

「…そうですね。私は貴方の弟子であり、貴方の教えを受ける身でした。神のあり方、界王神とは何か、貴方からは色んなことを教わった。その教えの中、納得できぬものがあった。それが、人間です」

 

「…何を納得できないと言うのだ?」

 

「愚かな人間の生き様を見届けること、です」

 

 静かなザマスの言葉にゴワスが目を細める。

 

「…何百、何千と、気が遠くなるほどに貴方の下で私は人間を見てきました。己の利益のために平然と同族を殺し、その行為自体を喜ぶ。一方で愛を語りながら、一皮剥けば欲の面が姿を見せる。ウンザリしていました。そんな連中をただ、見届けることが」

 

 微笑むザマスにゴワスやシン、キビトは厳しい表情を崩さない。

 

「獣は食う為に殺す事はあっても、人間のように娯楽の為に殺すことはしない。何故ですか、ゴワス様。何故、神から知性を与えられながら、人間は罪深い真似を平然とするのです。時に肉親でさえ殺し得る。そんな存在を何故、見続けなければならないのでしょう?」

 

「…神たる者の務めだ。人が、どのように生きて死ぬか。ザマスよ、人の一面にお前はこだわり過ぎる。全ての人間が悪ではないのだ」

 

「…いいえ、ゴワス様。全ての人間に等しく善と悪が存在するのです。そして人間は、簡単に悪に傾く存在」

 

「…だから、人間だけを皆殺しにしたのか。それを良しとせぬ神々を滅ぼしてから!!」

 

 怒りに震えるゴワスに向かい、ザマスは微笑しながら椅子に座らされたブラックを見据えた。

 

「…実際に手を下したのは、そちらの私ですがね。それでゴワス様、本題に移りましょう。何故、こちらに来たのですか?」

 

「……ザマス。全王様にお詫びに行こう」

 

 真剣な表情で告げるゴワスにシンとキビトが目を見開いて彼を見る。

 

 対峙するザマスは、微笑しながら紅茶を作ってゴワス達の前にカップを並べ、席を勧めた。

 

「別の世界とはいえ、お前もまた私の弟子。私も共に謝る。だから、ブラックとなったお前と共に全王様にーー!」

 

 必死に告げるゴワスを黙殺して、ザマスは茶を淹れる。

 

 ゴワス、シン、キビトの順に。

 

「…あなたに茶を淹れるのも久しぶりですね。ゴワス様、毒など入っておりません。飲んでみては?」

 

 自分の分の茶をカップに淹れ、ゆっくりと飲むザマスを前にゴワスも頷いた。

 

「……いただこう」

 

 シンとキビトが目を見開く中、ザマスの意図を感じたゴワスは黙って席に座り、茶を飲む。

 

「…いかがです? 茶の味は」

 

 微笑むザマスを真っ向から見つめ、ゴワスは悲しそうに顔を歪めた。

 

「…ザマス、お前…!! 雑念や迷いが、一切ないと。そういうのか。これほどの大罪を犯してなお、何の罪も感じていないと!?」

 

「…罪、ですか。では、身内殺しや獣の密漁をする人間をそのままにしておく神に罪はないと?」

 

 これに横からシンが声を張り上げた。

 

「いい加減にしなさい、ザマス!! 貴方のしていることは正義などではない!! あなた独りのーー独善そのものだ!!!」

 

「…ザマス君。いや、ザマス。神や人間の罪を問うのであらば、お前のした罪は誰が問う?」

 

 厳しい顔つきのキビトの追従にザマスは微笑む。

 

「私が、いや。別の世界の私がしたことを、私は間違いとは思っていない。こうして惑星の力と記憶を得たが故に余計にそう思う」

 

 それは真実、己の言葉に嘘のない語りである。

 

 迷いはなく、偽りはなく、故に狂っているとシンとキビトにはハッキリと見える。

 

「…だが、人間の中にも美しい存在はいた。それを取り込むのは、やぶさかではない。残りの地球に生きる人間ども全てを生かしたまま取り込むのも、悪くはない」

 

 歌うような調子で告げるザマスに心底、シンとキビトは怖気が走った。

 

 生き物を食らう神など、もはや怪異の存在だ。

 

「…取り込んだ人間を常世に引きずり込み、住人とさせるというのか。お前の箱庭の中で、永遠に自我さえも奪われて老いることも朽ちることもなく、ただ生かすだけの存在にしようと!!」

 

「何を怒る? 滅びの対象でしかなかった人間を見直した結果だ。何も心変わらずに殺害と破壊、略取を重ねるだけの存在を無害にしてやる。これぞ、神の務めだ」

 

 怒りに震えるシンに対し、ザマスは淡々と告げた後、向かいの席に座るゴワスを見つめた。

 

「…いかがです、ゴワス様。貴方も私の作る世界を見たくはありませんか? 私ならば、人間同士の争いを終わらせ、永遠不変に管理することができますよ。貴方が私を次期界王神にと見込んでくれたのですから、そのくらいの恩はお返ししましょう」

 

 力無く項垂れたゴワスに向かってザマスは微笑む。

 

「…何をふざけた事を言っているのだ、ザマスよ」

 

「おや、起きたか。ザマスーーいや、ブラック」

 

 穏やかな表情で迎えるザマスの前には、生々しい傷を全身に負ったブラックが睨みつけている。

 

「人間を我らの楽園に加えるなどと。それにゴワスなどといつまで話している。さっさと殺せば良いものを」

 

「……お前が、全ての元凶か。ゼノに似ているが、正反対とも言える。ブラック、と言ったな」

 

 睨みつけるゴワスに、ブラックは静かに微笑み返す。

 

 残忍かつ冷酷な笑みだ。

 

「…そうだ、ゴワス。私は貴様を二度、殺してやった。はじめは、私の世界の貴様を。二度目は、この世界の貴様。まさか、三度目が来るとは思わなかったぞ!!」

 

 椅子から震えながら立ち上がろうとするブラックだが、傷が深いのか肉体を思うように動かせないようだ。

 

 忌々しげに隣のザマスを睨む。

 

「…おい、何故さっさと回復しない!?」

 

「回復したら、ゴワス様達を殺すのだろう?」

 

「当たり前だ。こいつらを生かしておいて、何の得がある!? 私達の邪魔をするだけだぞ!!」

 

「この美しい界王神界を血で汚すと言うのか? それこそ無粋だ。その気になれば、いつでも殺せる」

 

 ブラックに凄まじい剣幕を向けられても、ザマスは淡々と茶を飲んでいる。

 

「お前も飲んだらどうだ? 今はな」

 

「……フン」

 

 ザマスにたしなめられ、ブラックは大人しく紅茶を飲み始めた。

 

「折角です。こちらの私に質問はありませんか? ゴワス様」

 

 優雅なザマスの言葉にゴワスは一瞬、呆然とした後で気を取り直す。

 

「…む? う、うむ。ザマスーーいや、ブラックよ。お前は何故、このような恐ろしい真似を始めたのだ」

 

 ゴワスの問いかけにザマスは、ゴワスから顔を背けていたブラックを見つめる。

 

 ブラックはザマスを見返した後、ゴワスに顔を向けて邪悪に笑った。

 

「…人間が滅ぼすべき悪だと悟ったからだ」

 

「では、何故。人間の肉体を得たのだ!?」

 

「…知れたこと。孫悟空は、神に匹敵する程に強大な力を持つ。だが、その力に反比例して幼い精神の人間。神々が産んだ最悪の罪の象徴だ。その罪と神たる私が一つになることで世界は浄化される。神の手によってな!!」

 

 堂々と宣言するブラックにゴワス、シン、キビトが呆然とする中、静かにザマスは微笑んでいる。

 

ーーーーーー

 

 レジスタンスのアジトにて。

 

 辛くもブラックに勝利したゼノだが、深手を負っており床に横に寝かされている。

 

「ゼノ兄ちゃん、大丈夫?」

 

「ひどい怪我…!!」

 

 その傍らには幼い兄妹が手を握り話しかけている。

 

 そんな幼い兄妹にゼノはニッと笑うと告げた。

 

「…ブラックの方は、私よりもボロボロにしてやった」

 

「……兄ちゃん」

 

「見てろよハル、マキ。次は、必ずブラックを倒してやる…!」

 

 そんな彼らの側では、作業する小太りな侍と深緑の肌をした美女がいた。

 

「違うんでしょ〜! その葉は潰すんでねぐ、刻むんだぎゃあ!!」

 

「うるさいわね! したことないんだから、しょうがないじゃない!!」

 

「カリン様の薬草も数があるんだど!! 雑に使わず、節約だぎゃあ!!」

 

 ヤジロベーの隣では、必死にザンギャが薬草をすり潰している。

 

 彼の作る薬は、レジスタンスの者には欠かせない存在になっていた。

 

「…あのヤジロベーっての、中々やるなぁ!」

 

「はい。流石、悟空さん達の仲間ですね」

 

 ガーキンの言葉にトランクスも頷く。

 

 そんな彼らの隣で、プリカは静かに瞑想を辞めて目の前にいるブルマとマイを見る。

 

「…プリカさん、孫君たちが居なくなった状況は分かるの? ベジータ達は?」

 

「命に別状はありません。悟空さん達は、どうやら元の時空に強制的に帰されたようです。かつて惑星の意思はリューベを別次元に飛ばしたことがあります。アレと同じことを悟空さん達にしたようですね」

 

 静かに告げるプリカにブルマは目を細める。

 

「惑星の意思。そいつが、ベジータや孫君達をこの世界から飛ばした」

 

「…シャレにならねえぜ。惑星の意思は、悟空達をナメてねえ。それどころか、めちゃくちゃ危険視してやがる。リューベと同じ処置をするなんてよ」

 

「ガーキン、孫君達はこっちに来れないの?」

 

「…簡単に結論言うと、来れねぇ。時空の通り道に網を張られちまったんだ。ザマスが厄介だと思うほどに戦闘力の高い連中は軒並み網の目に引っかかる。勾玉があるから俺やプリカ様は平気だがーー」

 

 告げるガーキンの横からプリカが首を縦に振る。

 

「ザマスが拒んだ別次元の者は、この世界から飛ばされてしまうようですね。そして、二度とこの世界に来れない。ザマスは、摂理を編んでいます。過去から来れる方は、今回参加しなかった者か。時の指輪を持つ者」

 

「その条件なら、片方は界王神様でなければならないんですね。でも、父さんや悟空さん達以外の人を連れてくるって言ってもーー!」

 

「それは大丈夫です。悟空さんは、きちんと事態を想定して強力な戦士を二人、現代に残しています。それに悟飯さんーーこの世界の悟飯さんの魂を持ち、勾玉を持っている彼なら、可能性はあります」

 

 トランクスの言葉に返事をするプリカに、皆の表情が明るくなる。

 

 悟空達に匹敵する戦士が悟飯を入れて三人。

 

 しかも、ゼノはブラックを一度倒している。

 

 まだまだ、絶望するには早いとブルマは頷く。

 

「…問題は、時空の狭間にいる亡者だ。惑星サイヤの死者の都の時とは桁が違う数がいる。時空の狭間を使えなきゃ、階段を降りても同じだぜ」

 

「…方法はあるはずです。タイムマシンがありますから」

 

「? タイムマシン?」

 

 ガーキンが首をかしげる中、ブルマがトランクスに告げる。

 

「タイムマシンは、燃料が足りないわ。片道しか使えないわよ」

 

「…ええ。それにブラックに施設を破壊されて、まともには動きません。だけど、あちらの世界にはもう一つのタイムマシンがあります」

 

「…セルって化け物が、別の未来のアンタを殺して手に入れたタイムマシンね。だけど、そのタイムマシンで未来に行けても、私達の世界には来れないわ」

 

 静かに告げるブルマにトランクスは返す。

 

「こちらの時間軸座標が分かれば、来れるはずだよ」

 

「理論ではね。でも、どうやって時間座標を捻出するの? それに分かっても、現代の孫君達に伝えられなきゃ意味ないわ」

 

「……っ!!」

 

 考え込むトランクスの肩をブルマは叩く。

 

「でも、悪くない案よ。要は、時間座標と伝達手段があればいいんだから」

 

「…方法はあります。魂鎮めの勾玉を悟飯さんは持っていました。この世界の悟飯さんの魂が、アレには宿っています。ですから、悟飯さんを同行できれば」

 

「タイムマシンは、この世界に来れるって訳ね。上出来よ。後は、悟飯君が必要なことを伝えられるかって話よね」

 

 更に考え込むブルマにガーキンが手を挙げた。

 

「なら大丈夫だな、向こうには惑星サイヤ出身のヤツがいる。魂鎮めの勾玉についてもアイツなら分かるはずだ」

 

 絶対の信頼を込めた声に、プリカも温かな笑みを浮かべる。

 

「ターニッブなら、必ず!!」

 

 力強い二人の言葉に頷き、トランクス達は現状をどうするかについて話し合いを始めた。

 

 ブラックとザマスに対しての処置を考えるならば、ゼノとガーキンがいる分、これまでよりはマシにはなる。

 

 トランクスとしては彼らと共に戦いたいが、正直に言って今の自分のレベルでは神次元の戦いに太刀打ちできないと理解し、足手まといになると判断している。

 

「…ゼノさんとガーキンさんをサポートするのが、今の俺の役割だ」

 

「…そうね。さ、希望の火を消さないために粘るわよ。みんな!!」

 

 ブルマの力強い声に皆が声を上げた。

 

 地下の薄暗い世界で、希望の火が彼らに点いていた。




次回もお楽しみに!(^^)!
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