ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

59 / 116
さあさあ、始めてまいりましょう(´ー`* ))))



ブラックの正義 ザマスの見解

 未来世界の界王神界にて。

 

 黒衣の道着を着た孫悟空ーーブラックの発言に第7宇宙の界王神シンと付き人のキビトが呆気に取られる中、第10宇宙の前・界王神ゴワスが口を開いた。

 

「…人間を悪だと決めつけているのは、ザマスと変わらんようだが。ザマスの感情が嫌悪ならば、お前のは憎悪のようだな。ブラックよ」

 

「クク、分かるのか? この崇高な私の感情が、お前如き老いぼれ界王神に?」

 

 冷酷な笑みを浮かべるブラックにゴワスは静かに瞳を向ける。

 

「なるほど。確かにお前は、ザマスのようだな。それもお前の一面か。ゼノから聞いた時は半信半疑であったが、こうして相まみえて理解した」

 

 静かに語るゴワスを見据えてブラックは、浮かべていた笑みを引っ込めて静かにゴワスを見る。

 

「人間などと同化した奴と私を比べるのか…!!」

 

 苛立ったようなブラックを静かにゴワスは見据える。

 

「お前は、ゼノを自分だと認識しておるであろう。だから、ゼノに拘っておる」

 

 ゴワスの発言に彼の方を興味深そうに見つめるザマスをそのままにして、彼はブラックに話を続けていく。

 

「孫悟空を神が創った罪だと、お前は言った。だが、ザマスよ。お前は元々、人に近い心を持っておったではないか。人間に近い心を持つ神であったからこそ、私はお前を後継にしたかった。人間を導くものとして、人間を誰よりも理解し、学ぼうとするお前の姿勢に私は期待したのだ。それが、何故なんだ!!?」

 

 静かだったゴワスの表情は、徐々に悲し気に歪んで慟哭を上げる。

 

 対するブラックの表情は、微動だにしない。

 

「…人間は、悪だ。それを私は理解した。孫悟空に出会ったことでな」

 

「何故、悪だと決めつけるのだ!! 孫悟空は、世界を悪党から幾度となく守り抜いた英雄だ! そんな男を前にして、お前は何故人間を悪だと決めつけたのだ!? 目を覚ましてくれ、ザマスよ!!」

 

「目を覚ます? クク、笑わせるな。私の目ならとっくに覚めている。貴様を二度も殺した身だぞ? 今更、貴様の語る戯言に興味があると思うのか、ゴワス?」

 

 邪悪にして冷酷な笑みを浮かべるブラックの姿は、とても元界王とは思えないほどに醜悪でもある。

 

 心優しい孫悟空が浮かべるはずのない、他人を虫けらのようにしか見ていない。

 

 そんな無感情で、無関心な冷たい敵意。

 

「悟空さんが邪悪だと? ふざけるな、ザマス!!」

 

「…ん? これはこれは。第7宇宙の界王神殿か。礼を言わねばな。この世界の貴方がバビディとかいうケチな魔法使いと相打ちになってくれたおかげで、この世界を手に入れられた。貴方が無能なおかげでね」

 

 嘲りや侮蔑の笑みを浮かべて笑うブラック。

 

 その言葉にシンは一瞬だけ言葉を詰まらせるも、すぐに眦を吊り上げて叫び返した。

 

「…! 孫悟空は、彼は誰よりも他人の為に怒りを持てる人だった!! 闘いを好むが、卑怯な真似をすることを嫌う正しい心の持ち主だった!! それを邪悪だと決めつけるお前の心が、私には邪悪にしか見えない!!!」

 

「……クク。孫悟空、奴こそは最も許されざる悪ーーその象徴だと言ってもいい。強大な力を持ちながら、幼い精神を持ってしまった駄作サイヤ人だ。そうだな、一つの例として挙げるならば。セルという人造人間との闘いでも既にその片鱗を見せている。息子の命よりも自分の価値観ーー闘いとは正々堂々である、という信念を優先させた。それだけではない、地球人を皆殺しにされて怒っているようだが。ドラゴンボールがこの地球にあれば、簡単に地球人を見殺しにする。魔人ブウの時に奴はそれを行った。魔人を倒すための時間稼ぎと称してな」

 

 笑うブラックを静かにシンとキビトは睨みつける。

 

「もっと言えば自分の力で魔人ブウを殺せたものを、殺さずに敢えて見逃した。自分の子ども達に倒させるためにな。その為に誰が死のうが、誰が泣こうが平然としていた…! 孫悟空が他人の為に怒れる? 怒る資格などあるものか!! 孫悟空は、ただの偽善者だ!! そして、人間は偽善を平気で行うのだ!!!」

 

 眦をつりあげ、漆黒の瞳を憎悪にゆがめてブラックは告げる。

 

「一見、正しい行動にも裏がある。身内の為に怒るーーそのために他を平然と犠牲にできる。そんな狂った存在こそが人間だ!! 愛などと一方では語り、自分の赤子を抱き上げたその手で平然と他人を犠牲にして殺す。直接殺すか、見殺しにするかの違いしかない!!!」

 

「ザマス! あの時、悟空さんは自分の取った行動の責任を考えていた!! 悟空さんは確かに超サイヤ人3でブウを倒せた。だが、其処で死人として一日だけ蘇った悟空さんが倒してしまっては、また同じような危機が地球を襲うかもしれない。そこまで考えた上で、死んだ人間が生きている人々の運命を変えることなど出来ないと悟ったのだ!! その場の危機さえ乗り越えれば良いなどと。短絡的な物の考え方しかできない、目先のことだけしか見ないお前と一緒にするな!!!」

 

 ハッキリと告げるシンにブラックは笑う。

 

「ドラゴンボール在りきでな? ドラゴンボールという願い玉の欠片があったから、天才と感じた二人のサイヤ人の子どもがいたから、地球人が皆殺しにされるのを見殺しにできたのだろ? 恐怖に震えて助けを求めながら殺されていく者達を”気の毒だ”と口先で言いながら、な? なんと、罪深い」

 

「お前がーーお前が言うな!!! 今、正にーー全宇宙の人間を! 神々を殺したお前が言うな、ブラック!!」

 

 激高するシンをキビトが肩を掴んで抑える。

 

 そんな様を冷ややかに笑いながらブラックは続ける。

 

「これは的外れなことを。私を批判するのであれば、孫悟空のしたことをまず批判するのだな。否、トランクスという人間についてもか。奴もまた罪深いーー」

 

 瞳を閉じ、静かにブラックは語り出す。

 

「ブルマとトランクスは、己の与えられた運命を受け入れることができずに歴史を変えるという大罪を犯した。平和な未来を手に入れたいなどと、己の独善と主観に満ちた願いでな!!」

 

 ニヤリと笑いながら告げるブラックをゴワスは瞳を細めて見つめる。

 

「…自分の行いを棚に上げ、平然と他人を批判するか。神であれば許され、人間であれば罪となるか。そして人間を野放しにすることが神々の罪だ、と?」

 

 シンが怒りのあまり拳を震わせる横で、淡々と問いかけるゴワスに、ブラックも笑みを引っ込めて頷いた。

 

「そのとおりだ。老いぼれの貴様にしては、納得するのが早いではないか」

 

「納得してはおらん。ただお前の考えを理解しただけのことだ、ブラック。私の弟子のザマスもかつて潔癖とも言える正義を持っていた。薬は過ぎれば時として毒となる。私の弟子のザマスも孫悟空という人間と融合しゼノとなることで、ようやく理解出来てきたようだ。だが力に囚われたお前では、それを理解できまい」

 

「…私が、ゼノに理解出来たものを出来ない、だと? そもそも神たる私が、人間を理解する必要がどこにある? 我が正義は世の真理であり、世界の秩序の象徴なのだ」

 

 侮蔑の笑みを浮かべた後、ブラックはゴワスを見据える。

 

「…ゴワスよ。人間が時を越えることは大罪ではないか? そして見過ごす神もな。そんな連中の内情など、理解する必要が何処にある?」

 

「歴史を変えること。死者を蘇らせること。確かに罪であろう。だが、それを欲だと何故言える?」

 

「…なんだと?」

 

 ゴワスは悲しげだった表情を真剣なそれに変え、ブラックを見つめる。

 

 その黒い瞳は、ただ静かだった。

 

「…トランクスやブルマという人間が、希望の世界を孫悟空に託すこと。それが己の欲だと? それは願いだ、ブラック」

 

「……何を下らんことを」

 

「命を持つ者は、踏みにじられることを望んではいない。人造人間によって、多くの人は殺された。ささやかな幸せを望んでいた者たちもだ。ブラックよ、彼らには理不尽な悪に逆らう力がなかったのだ。

 トランクスには、その理不尽に抗う可能性があった。だから彼は足掻き、ブルマはタイムマシンを息子に託したのだ。いや、なんとしても生き延びて欲しいと願うのは人間だけではない。子を持つ親ならば当たり前のことだ。

 それを罪だというならば何故、助けてやらなんだ? トランクスがそこまで追い詰められるまでに助けることをせずに見過ごすことは、罪ではないのか!?

 神ならば。

 そこまでトランクスを責めるのならば。

 人造人間の殺戮を見過ごした己の罪は、どう贖うというのだ!?」

 

 問いかけるゴワスにブラックは笑う。

 

「……話にならんな。そもそも、私は第10宇宙の界王神見習いだった。いちいち、他の宇宙のことまで知るものか」

 

「だが、お前は現に問うているではないか。第7宇宙の人間の罪を!!」

 

 ゴワスの言葉にブラックは笑う。

 

「ククク、そこまで人間を庇うのか。だが、贖罪ならば済んでいる。人間に頼るしか能の無い第7宇宙の界王神どもは既に死んでいる。そして、罪深い人間を庇う神々を殺してやったではないか。私の、世界へのせめてもの償いとしてな。この世界を選んだのも、最も罪深い母と息子を私の手で断罪するためだ」

 

 ニヤリと笑うブラックにゴワスは静かに告げる。

 

「この世界では第7宇宙の破壊神ビルス様が死んでいるからであろう? 孫悟空殿をはじめとした戦士達もおらん。本音を明かさずに、建前だけで話すとは。よくそれで神を名乗れるものだ。ブラックよ」

 

 溜め息を吐いたゴワスの表情は、完全に呆れている。

 

「…情けない。このような神になるまでに、別の世界の私はお前を止められなかったか」

 

「…フン。人間の罪や行いから目を背ける貴様らと一緒にされては困る!!」

 

「……全王様を前にしても、同じことを言えるのか。ブラック!!」

 

 瞳を閉じて笑うブラックを前に、ゴワスが怒鳴りつける。

 

「…全王様に私達のことを告げるつもりか? ハッタリはよせ。別の世界のお前が、全王様の前に行けば間違いなく消される」

 

「それが、どうした? このままでもお前達は私を殺すのであろう。ならば、全王様に真実を話した上で消されるのも同じことではないか。あの方を前にして、嘘や偽りは通じぬ!!」

 

 平然と告げるゴワスに、シンが驚いたように慌てる。

 

「…ゴ、ゴワス様!?」

 

「…このために、ゼノに界王神を譲ったのだ。あやつならば、立派な界王神になってくれよう。シン殿、キビト殿。後は頼みましたぞ」

 

 これにブラックが拳を握り、気を高めようと立ち上がるのを、隣のザマスが目をブラックに向けて金縛りにした。

 

「…ぐっ!? ザマス、貴様!?」

 

「座れ、ブラック。界王神界を血で汚すなど私は許さん」

 

「…愚かな! ゴワスを見逃すつもりか!?」

 

 椅子に縛り付けられたように動けないブラックを見つめた後、ザマスはゴワスとシン達を見つめる。

 

「一つ、聞かせていただきたい。貴方は、何故私を界王神にしようとされたのだ?」

 

「…人間に近い心を、お前が持っていた為だ。神としての役割を正しく理解し、人間が己によく似た存在であると理解出来ておれば、お前もゼノのようになれたであろうに」

 

「…フフ、やはりゼノは私に無いものを持っているのですね。そして、それは孫悟空と融合すると決めた奴の答えでもある、か」

 

 愉快げに笑うザマスにゴワスは目を見開く。

 

「…ザマス。お前は、自分の行いをーーブラックの殺戮を罪とは思うておらぬのだろう?」

 

「ええ。彼のしたことは正しい。少なくとも、神は人間を贔屓にし過ぎた。そのツケをブラックが支払ったに過ぎない。ただ…、貴方の言う人間の願いもまた美しいと。今の私は感じていますよ、ゴワス様」

 

 微笑むザマスにゴワスが目を見開いた。

 

「ならば、ザマス! 共に全王様の所へ!!」

 

「全王などに興味はありません。私に用があるなら奴が来いという話だ」

 

「…ザマス!? お前、全王様をーー!?」

 

 この発言にゴワスやシン達だけでなく、ブラックも目を見開いている。

 

「正気か、ザマス!? 相手は全王様だぞ!!」

 

「…お前も、いつまで怯えている? あの程度の無能に」

 

 ハッキリと侮蔑の表情を浮かべて、ザマスはブラックに告げた。

 

「…ザマス、お前」

 

 ゴワス達もブラックも、呆然と茶を飲むザマスを見つめている。

 

「…ゴワス様。もし、本当に全王に会いに行かれるのでしたら、あの無能に伝えてください」

 

「…な、何を言っておるのだ。ザマス…!?」

 

 震え上がるゴワスを他所にザマスは微笑みながら告げた。

 

「貴方を伝言役にするのも失礼ではあるが。全宇宙の秩序たる我に話があるならば、お前自らが直接会いに来い、とね」

 

 その発言に、ゴワス達やブラックは皆凍り付いていた。

 

ーーーーーー

 

 未来世界の西の都。

 

 廃墟となった街の地下にあるレジスタンスのアジトで。

 

 幼い兄妹はジッと眠るゼノを見つめている。

 

「お兄ちゃん。ゼノお兄ちゃん、傷だらけだね」

 

「…うん。ホントにボロボロだ」

 

「…お兄ちゃん。私ね、ゼノお兄ちゃんが怖かったの」

 

 ジッとゼノの手を握る兄を見つめながら、幼い少女ーーマキは続ける。

 

 兄がこちらを振り返るのを笑って見返しながら、マキは話す。

 

「ブラックと似てたから。同じだと、思ったから。悟空お兄ちゃんは、一目で違うって思ったけど。ゼノお兄ちゃんはーー」

 

「…うん。俺も、怖かった。父さん達を笑いながら殺したアイツーーブラックと、ゼノ兄ちゃんは似てたから。でも今は違うよ」

 

 そう言って強くゼノの手を握る兄にマキも頷いた。

 

「…うん、怖くないよ。だって、こんなになるまでブラックと闘ってくれたんだもん。私達のために」

 

 少女は悲しげにゼノの傷を見ている。

 

 ヤジロベーの作った薬草が効いているようで今は穏やかに寝ているが、トランクス達に運ばれてきた時は今にも死ぬのではないかという傷だった。

 

 よく見れば、彼の肉体には全身に生々しい傷が植えられている。

 

 そんな幼い兄妹の頭を、真紅の道着を着たM型の額をしたサイヤ人が撫でつけて来た。

 

「おいこら。子どもが、そんな険しい顏するもんじゃねえ。お前らがそんな顔してたら、あんなになるまで傷ついたゼノの奴が浮かばれねえよ」

 

「ガーキン兄ちゃん…」

 

 見上げる兄の横で妹は必死の表情でガーキンを見上げて来た。

 

「でも私達! 守られてばかりで!! トランクスお兄ちゃんや、ゼノお兄ちゃんだけじゃない! 皆ーー皆、ブラックと戦ってるのに!! 子どもだからって!! そんな理由で、私達ーー!!」

 

 ガーキンは真剣な表情で片膝を付いてジッとマキと視線を合わせる。

 

「そうだなぁ? コイツは俺達のーー大人のワガママなんだろうな。でもよぉ、それでも子どもには見せたくねえし関わらせたくねえんだよ。殺し合いなんて、な」

 

「……ガーキンお兄ちゃん」

 

「悪りぃな。…上手く言えねえが、分かってくれや」

 

 真剣な表情で見上げてくる兄妹にガーキンは頷いてやると立ち上がった。

 

 トランクスとマイがガーキンを見やる。

 

「ガーキンさん」

 

「トランクスよぉ、俺は今の今になるまで理解してなかったぜ。ブラックとかザマスって野郎が何をしやがったのかーーな」

 

 その表情は怒りに震えている。

 

 その迫力は、悟空やベジータにも引けを取らないほどだった。

 

「子どもにーーあんな面させやがって。絶対、許さねえ…!!」

 

 そう言い捨てるとトランクス達の間を歩いて通り過ぎていく。

 

 先にはプリカがいた。

 

「ガーキン」

 

「分かってますよ。此処で俺がブチ切れても、何にもならねえ。溜めときます。爆発させんのは、奴らに出会った時だ…!!」

 

 自分の怒りを必死に押さえて、子どもや周りの人間に不安を与えないように配慮する。

 

 そんな真紅の炎のような青年にプリカは優しく微笑んだ。

 

「貴方のそんなところ、私は好きですよ。ガーキン」

 

「……どうも」  

 

 純粋なプリカの笑みに、思わず頬を赤くするガーキンであった。

 

 そんな彼らを微笑みながら見たブルマが、水を汲んでゼノに与えようとすると、若い女性が手伝ってくれた。

 

「あら?」

 

「…手伝います」

 

 それを皮切りに、今までゼノから遠ざかっていた人々が、次々と協力の言葉を口に出し始める。

 

 これにトランクスとマイが嬉しそうに微笑んだ。

 

「皆ーー!」

 

「分かってくれたんだね」

 

 そんな二人にブルマが頷きながら、眠りにつくゼノを見る。

 

「ゼノ君、いいえザマス様。貴方のしたことは罪滅ぼしなんかじゃないわ。貴方はーー多くの人を救ってるのよ。それをどうか、忘れないで」

 

 そんな彼らから離れたところでヤジロベーが頷く。

 

「ようやっと、打ち解けて来たって感ぁんじでしょ~!」

 

「興味ないわよ、地球人共がどうなろうとね。それよりもターレスってば、いつになったら私を迎えに来るのかしら?」

 

「落ち着いて待ってりゃ、そのうち会いに来るでしょ~!」

 

「…そんな簡単なものなのかしら?」

 

 急きも慌てもしないヤジロベーを横目に見やりながら、はぁと溜め息を吐くザンギャ。

 

(ターレスったら。私のいない間に他の女に手を出してたら………!!)

 

 数秒後、彼女の手に持っていた鉄製の鍋が砕け、ヤジロベーが騒いでいた。

 

ーーーー

 

 現代世界の地球。

 

 西の都にあるカプセルコーポレーションに、サイヤ人達とZ戦士にフリーザ達が揃っていた。

 

 彼らの到着にブルマが目を見開いた。

 

「あら、孫君にベジータに皆ーー! って、フリーザ達まで居るじゃない!? 何がどうなってんのよ!!?」

 

「ママ、俺の後ろに隠れて!!」

 

 これに幼いトランクスが拳を握って構えるも、ヤムチャとクリリンが両手で制する。

 

「待て待て! トランクス!!」

 

「今の所、フリーザ達も敵対するつもりはないみたいだから!!」

 

 続いて天津飯が頷く。

 

「気持ちは分かるが、今は未来の世界を救うために協力するべきだ」

 

「ブルマ、力貸してほしい」

 

 チャオズにも言われ、ブルマは表情を改めて孫悟空とベジータを見る。

 

「…未来世界って、トランクスの世界のことよね? 何があったの」

 

 静かな言葉に小さいトランクスはキョトンとした表情でブルマを見上げる。

 

「…俺?」

 

 ベジータが一つ頷いてから、ブルマに視線を合わせて状況を説明した。

 

「…そんな状況なのね。ブラックにザマスに惑星の意思、か。大きいトランクスの世界ばかり厄介なことが起こるわね。ベジータや孫君、ブロリーは時空の狭間って所に行くこと自体が出来なくされてしまった。おまけに時空の狭間にはブラック達が殺した人々のーー亡者の魂があるって言うんでしょ?」

 

「ああ。そこでお前に力を借りたいんだ」

 

「タイムマシンね? でも、セルが来た世界時空のタイムマシンだから、ベジータ達が行ったブラックのいる世界には行けないわよ」

 

「な!? なんだと!?」

 

 目を見開くベジータの横で、悟空も驚愕に口を横に開いている。

 

「ど、どういうことなんだよ、ブルマ!?」

 

「簡単に言うとね。セルのタイムマシンはセルの世界にしか行けないのよ。トランクスの乗って来たタイムマシンがあれば、トランクスの世界には行けるけど。それに燃料とかもないしね。時間座標軸さえ分かればセルのタイムマシンでも行けるかもしれないけれど」

 

 疑問符を浮かべている悟空の横から、悟飯が目を見開く。

 

「それじゃ。トランクスさんの世界に行くには、時間の座標軸が無いと行けない?」

 

「そう言う事よ。パラレルワールドって言えば分かるかしら? 未来世界は様々な分岐によって成り立っているのよ。それこそ無限の可能性ーー。そんな多次元に渡る世界の中からブラックの居る世界を引き当てるなんて、宇宙に浮かぶ星の中でガムシャラに突っ込んでナメック星を当てるようなものよ」

 

「どうすれば、いいんだ…!!」

 

 歯を食いしばる悟飯の雰囲気がいつもとは違うとブルマは訝しげに思いながらも、周りを見渡す。

 

「ブルマさん。タイムマシンは直せるのか?」

 

 これに白い道着を着た孫悟空と同じ顔のサイヤ人ーーターニッブが問いかけて来た。

 

「ええ。二日もあればできるとは思うけど?」

 

「そうか。なら、問題は時間座標軸の特定だな。そちらも方法がある。悟飯とターレス、お前達ならば行けるはずだ」

 

 名指しで呼ばれた二人は目を見開く。

 

「悟飯には未来世界の悟飯の魂が勾玉の中に居るし、ターレスは惑星の意思の力を取り込んでいる。二人ならばタイムマシンで時空の狭間に入れば、ブラックが居る世界を見つけられるだろう」

 

「…悟飯とターレスは行けるってことか。なら後はーー!」

 

 バーダックが静かに告げるとブルマが声を上げた。

 

「ちょっと待って! タイムマシンは元々一人用なのよ! そんなに何人もいけないわよ!! ギリギリで四人から五人が限度よ!?」

 

 これにブウが声を上げた。

 

「問題ない。私の魔術でメンバーを私の体内に取り込んでから現地に向かい、その場で外に出せばよい」

 

「おい。誰が貴様に吸収されたがる奴がいる?」

 

「しかし、これが一番手っ取り早いぞ」

 

 ピッコロの言葉に返すブウの横から、ターニッブが声を上げる。

 

「いや、ダメだ。ターレスには惑星の意思の力があるし、悟飯には未来世界の魂があるから行けるが。それ以外の人間は惑星の意思によって拒絶されている。たとえタイムマシンに乗り込んでも、時空の狭間にある障壁にぶち当たって放り出される」

 

「…ってぇことは。ホントにオラ達は行けねえんか!?」

 

 驚愕の表情になる悟空にターニッブが頷く。

 

 これに心底、悔しそうになる悟空とベジータ。

 

「そっか。なら仕方ねえーー! ベジータ!!」

 

「分かっている…! おい、ターレス!!」

 

 瞬間だった。

 

 悟空とベジータは同時にターレスを振り返る。

 

「…フン、丁度いいぜ。俺の真・超サイヤ人を貴様らの力で引き上げてやる」

 

 これにターレスはニヤリと笑って腕を組んだ。

 

「二日しかねえんだ。時間が勿体ねえ。精神と時の部屋に行くぞ!!」

 

「徹底的に鍛え上げてやる! 覚悟しろ!!」

 

 悟空とベジータがそう言いながらターレスの肩に手を置き、瞬間移動でカプセルコーポレーションから消えた。

 

 これをZ戦士達は静かに見やる。

 

「未来世界、かーー!」

 

「トランクスの世界。何としても守ってやりたいのう」

 

 見上げるクリリンの隣では、亀仙人が静かに呟いていた。

 

 苦笑しながら、バーダックは告げた。

 

「やれやれ、俺たちは置いてけぼりか? なあ、悟飯にターニッブ?」

 

 ニヤリと笑うバーダックに悟飯は頷き、ターニッブも拳を握る。

 

「行きましょう、俺たちも神殿に!!」

 

「…よし!! 一本行くか!!」

 

 コレにピッコロが頷いた。

 

「よし、俺様も参加してやる。組み手相手は多いに越したことはない。フリーザ、セル」

 

 名指しで呼ばれたフリーザとセルは、互いに肩を竦めている。

 

「…ふん。あなたに指図される言われはありませんが。まあ、良いでしょう。孫悟空さんを直々に殺す絶好の機会です」

 

 コレにバーダックが睨みつける。

 

「…カカロットを殺す? この俺の前でよく言えたな、フリーザ!!」

 

「…ふん。お前などにカカロットが負けるものか」

 

 横からブロリーが淡々と告げ、フリーザのこめかみに血管が浮き上がる。

 

「…いい度胸だ、猿ども!!」

 

 その横ではセルも楽しげに告げる。

 

「良いだろう。退屈しのぎには、なりそうだ。ブウ、貴様はどうする?」

 

 セルがブウに問いかけると、彼はニッと笑った。

 

「私は、会いたい奴がいる。今回はそちらを優先するよ」

 

「…そうか。では二日後にな!!」

 

 セルの言葉を最後に悟飯とピッコロを先頭にして、戦士達が神殿に向かった。

 

「…二日後って。セル! アンタは残んなさいよ!! タイムマシンに乗ったことがあるの、アンタだけなんだからぁぁあああっ!!!」

 

 ブルマがセルに向かって叫ぶも時既に遅し。

 

 遥か彼方に飛んで行ってしまった。

 

「…なんで、サイヤ人どもだけじゃなく。アンタ達まで戦いたがってんのよぉお! フリーザ、セルゥウウ!!」

 

 こうして、未来世界の援軍を鍛え上げる特訓が始まるのだった。

 

 




 次回もお楽しみに(´ー`* ))))

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。