神が作り出した摂理を超える為、戦士達は足掻いていた。
白い空と大地。
真っ白な世界で構えるのは、黄金の炎を纏う二人の超サイヤ人と白銀の光を纏うナメック人。
「これが真の超サイヤ人の力だ! くたばれ、フリーザ!!」
「大人しく倒されていれば痛い目に遭わずに済むものをーー!!」
「ベジータ! フリーザは俺に譲れ!!」
対するは、灼金色に輝く異星人と、緑と桃の二匹の異形。
「調子に乗るのも、それぐらいにしておきなさい!!」
「痛い目? パーフェクトな私が貴様ごときに遭わされる、と?」
「おいおい、ピッコロ。フリーザばかりでなく私の相手をしてくれても良いじゃないか?」
最高のバトルを全王の前で広げる現代世界の戦士達。
精神と時の部屋で、ベジータ達とフリーザ達が己の限界を超えた闘いを繰り広げていた。
ベジータチームにはピッコロとブロリーが。
フリーザ達にはセルとブウがそれぞれ参加している。
三対三のチームバトルを見ながら、全王がワクワクしてデンデに話しかけた。
「どっちも凄いのね! ベジータ君たち、凄いね! 悟空、デンデ!!」
はしゃいでいる全王に向かって戸惑った笑みを返すデンデ。
「え? ええ…っ!」
正直、目の前のレベルがあまりにも高過ぎて何が何か分かっていない。
こんなバトルを繰り広げている一人は自分と同じナメック星人だと言うのだから、信じられない。
全王の隣には付き人が二人、過酷な環境にある精神と時の部屋の影響を主人に及ぼすまいと、バリアを張っている。
「どっちも流石に強ぇえな」
不敵な笑みを浮かべながら語るのは、山吹色の道着を身に纏う最強のサイヤ人・孫悟空。
自分と同レベルにまで力を引き上げるベジータとブロリー、ピッコロ。
対するフリーザとセル、ブウも桁違いに力を上げている。
フリーザとぶつかり合うベジータにピッコロが横からフリーザの側頭を狙って廻し蹴りを繰り出せば、魔人ブウが右腕を伸ばして掌でピッコロの蹴りを受け止める。
動きが止まったピッコロを狙ってセルが右手の人差し指を立てて光を放とうとすると、その腕を下から蹴り上げるブロリー。
更に激しく打ち合う戦士たちを見つめながら、悟空は全王に問いかけた。
「なあ、全ちゃん?」
「? なぁに?」
無邪気に首をかしげる全王に悟空が聞いた問いかけは、付き人をして絶句する内容だった。
「オラ達は、ホントに向こうの世界に行けねぇんか?」
人間が時空を越えるのは罪だと説明されていた。
それでも孫悟空というサイヤ人は全王に気負いなく話しかける。
孫悟空が暗愚でないのは先程までのやり取りで理解しているが、正直傍に居る自分たちの方が疲れると無口な付き人は言いたかった。
「ん〜、でもね。ザマスの編んだ摂理は強力な壁なんだ。抜けるには真・超サイヤ人しか無いけど。壁を抜けても向こうに着いた途端に息切れしてると思うよ」
「オラ達には、仙豆って便利なもんがあんだ。そいつなら何とかなると思うんだけんど?」
「それ、いくつもあるの? 体力が尽きる前に食べないと変身が切れたら弾かれちゃうよ?」
「……だよなぁ。仙豆も無限にある訳じゃねえし。参ったなぁ。ホントに待ってるしかねぇんか」
悔しそうにする悟空に、全王はクスリと笑った。
「誰かを守れないのが悔しいの?」
「? ああ。トランクス達や悟飯、父ちゃん、ターニッブが戦ってんのに。オラが指咥えてなきゃなんねぇなんて」
微笑んだ後、全王は口元に指を当てて考えこむように上を見上げた後、告げる。
「じゃあ、専門家に聞いてみよう。死者の都のことは墓守君に聞いたら早いよ」
「? 全ちゃん、墓守って…! まさか!!」
目を見開く悟空の前で全王は大きく息を吸って呼んだ。
「墓守君〜!!」
子どもが友人を呼ぶように無邪気な声が響いていく。
その声が空間に木霊し、響き終わると。
一気に白い世界が変わっていく。
「!? この尋常じゃない気の膨れ上がり方。まさか!」
ベジータが真っ先に気付き、続いてブロリーがピッコロの肩を掴んで動きを止める。
「なんだ、ブロリー? っ! この殺気は!?」
「……やはり、生きていたか。鬼め」
オーロラが見えていた白い空に漆黒の雲が浮かび、赤い稲妻を纏っている。
「……なるほど。惑星サイヤの王が来ましたか。セルさん、ブウさん」
金色のフリーザが仲間に警戒を呼びかければ、セルとブウも即座に答える。
「相変わらずの、殺意だな。私に向けられている訳ではないのに、凄まじい重圧を感じるぞ」
「さて、奴め。私達に用でもあるのかな? 初代サイヤ王・リューベよ!!」
魔人ブウの呼び声に応えるように、ベジータ達とフリーザ達の真ん中の地点に血のように紅い稲妻が降り注いだ。
衝撃に誰もが目を細める中、稲光の向こうからゆっくりと濃紺色の道着を身に纏い、黄金に燃える髪を天に逆立てた、氷のような冷たい翡翠に黒の瞳孔が現れた瞳の漢が現れる。
「り、リューベ!?」
悟空が目を見開きながら、現れた鬼の漢の名を呼んだ。
鬼は雷鳴のように低く轟く声で告げた。
「……強者(つわもの)の猛り、我が耳に届けり。うぬ等か?」
ベジータが構えながら告げる。
「久し振りだな。初代サイヤ王にして、破壊神ビルスが認めた鬼神よ!! 生きていたなら話は早い! 俺と勝負しろ!!」
「…待て、ベジータ。ヤツは俺にやらせろ」
隣でブロリーも黄金の気を滾らせながら、告げる。
フリーザがそれに待ったをかけた。
「待ちなさい、お二人さん。私達も、そこの鬼さんには借りがあるんですよ。ぶっ倒すのは、俺達に譲れ!!」
「そういうことだ、リューベ。貴様は、是非私の手で殺したかった」
「お前ほどの実力ならば、吸収するのも吝かではないぞ。リューベよ」
唯一、この中で面識のないピッコロは、リューベを冷静に観察する。
「…見ているだけで身震いするような殺気だ。コイツがカタッツの言っていた真の超サイヤ人か」
ゆっくりとリューベは構えを取る。
真・超ベジータ、真・超ブロリー、究極ピッコロ。
ゴールデンフリーザ、パーフェクトセル、アルティメットブウ。
錚々たる顔ぶれに向かって構えを取って見せたのだ。
「リューベ、ま、まさか。アイツ、一人であの面子とやり合う気なんか!?」
悟空が目を見開いて震える中、リューベの道着が血のように赤い稲妻を吸収して濃紺から明るい紫色に変化していく。
ベジータが身を震わせながら呟いた。
「相変わらず、とんでもない野郎だ。だがーー!!」
「ああ。勝てない相手じゃない。俺達ならば!!」
ブロリーも呟きながら、二人は真のフルパワーを開放して一気に気を増幅させる。
「俺も、本気でやろう。自分の全力を試したくなった」
二人の超サイヤ人に対抗するようにピッコロも白銀の光を身に纏い、フルパワーを開放した。
「聞く耳を持たない人達ですね。引っ込んでろ!!」
負けじとゴールデンフリーザ、パーフェクトセル、アルティメットブウもフルパワーを開放する。
「早い者勝ち、ということかな?」
「やれやれ。ゆっくり戦わせてはくれないのだな? ケチなサイヤ人どもとナメック星人だ」
全員が一対一を望む中、誰もが譲らない。
ならば、どうするか?
早い者勝ちである。
「みんな、来るぞ!!?」
悟空の叫びがこだまする中、鬼が轟音と共に踏み込んで来た。
いち早く反応したのはブロリーとベジータ。
二人は右拳をリューベの正拳突きに合わせて突き出す。
真っ向からぶつかる互いの拳。
白い地面がひび割れ、クレーターとなって掘り起こされる中、ベジータとブロリーの目が見開かれる。
「な、何ぃ〜!?」
「なんだと!?」
二人は同時に後方へ弾き飛ばされた。
「ば、バカな? あの二人が、気の無限上昇で負けただって!?」
ベジータ達と同じ実力の悟空だからこそ、今のリューベがどれだけとんでもないか、理解できる。
二人の全力を真っ向から吹き飛ばした。
「だが! 流石に動きが止まっているぞ!!」
ピッコロが叫びながら高速でリューベの前に移動する。
だが、リューベの瞳は正確にピッコロの瞳を射抜いている。
(こ、コイツ!? 俺の全速力のスピードを簡単に見切りやがるのか!?)
恐怖を飲み込み、ピッコロは拳を繰り出す。
秒間、百を超える高速打撃の打ち合いだ。
ピッコロのスピードはあまりにも速く、まるで四人のピッコロが同時に攻撃を仕掛けているように見える。
しかし、それをリューベは的確に捌いて返していく。
「パワーだけの化け物かと思ったが、何という武術だ。柄にもねえが、見惚れちまうぜ!!」
ピッコロは攻撃をかわしながら、思わずと言った感じで呟く。
だが、リューベはその場から膝すら動かさずに高速移動してみせた。
「な、何だと? 動きが見切れん!?」
超光速で動くピッコロにあっさりと追いついてきたリューベ。
「気ぃ付けろ、ピッコロ! ソイツは阿修羅閃空だ! 実体を捉えんのは至難だぞ!!」
悟空の言葉と目の前の存在の合致に焦りを感じ、咄嗟に拳を繰り出すピッコロだが、やはり実体が捉えられない。
(まるで、幻に打ち込んでいるようだ。第6宇宙のヒットの時飛ばしとも違う!!)
攻撃を放ったことで生じた隙に踏み込まれ、まともに強烈な拳を腹に受ける。
「ピッコロぉ!!」
悟空の悲鳴が響く中、ピッコロはあまりの拳打の威力に目を見開いた。
「ぐはぁ!? 何という重い一撃。冷たい殺意のこもった拳だ。桁が違う!!」
続きの左フックをまともに受け、ピッコロは後方に吹き飛ばされる。
が、リューベの眼前にはセルとブウの二人が左右から迫っていた。
「もらったぞ。リューベ!」
「覚悟はいいか!!」
左右から同時に連撃を繰り出す人造人間と魔人。
攻撃を打ち終わってすぐには、さしもの鬼神も阿修羅閃空を使えない。
見事なコンビネーションで二人は完全にリューベの動きを抑えている。
だがーーリューベは顔を仰け反りすらしない。
「流石だな。これだけ攻めこんでいるのに、まるで隙がないとはーー!」
「だが! 私達を相手にいつまで、その捌きを続けられる!?」
恐るべきことに、リューベはセルとブウの二人を相手にクリーンヒットを許していない。
打撃が当たる瞬間に捌いて当たらないようにしているのだ。
「な、何て野郎だ! ターニッブと互角。いや、それ以上の見切りだ!!」
悟空をしてターニッブよりも上だと言い切らせるーーそれが、リューベ。
魔人ブウの額に皺が寄り、怒りの表情に変わる。
「いい加減に! 当たれェええ!!」
大振りの右ストレート。
それをリューベは見事に左に受け流すと同時。
「! ブウ!!」
セルの悲鳴のような声が響く。
ーー天魔朱裂刀。
ブウの攻撃を止めたリューベの姿は残像に変わり、いつの間にか背後へ移動していた実体がブウの背中を手刀で袈裟懸けに斬り捨てた。
「! ぐゎああああっ!!」
通常の攻撃ならば痛みすら感じずに再生する魔人ブウが、苦痛に悲鳴を上げる。
純粋な殺意のこもった拳は、強力な心の力となって魂にダメージを刻んでくるのだ。
斬り捨てられたブウは、そのまま前のめりに崩れていく。
「!! おのれ!!!」
セルが怒りの形相に変わり、リューベの顔に目掛けて右ストレートを打ち込むも。
リューベは見事にその拳の下をかいくぐって強烈な右正拳突きをセルの腹に打ち込んで動きを止めた後、空中でコマのように回転しながら連続で旋風脚を放つ。
ーー竜巻斬空脚。
瞬く間にセルは全身を蹴りたぐられた。
「ブルァアアアッ!!」
後方に吹き飛ぶセルと倒れ伏したブウを見て、金色のフリーザが怒りの形相に変わった。
「貴様、調子に乗るのもいい加減にしやがれ!! この、サル野郎ぉおおっ!!!」
右手に強烈な気を纏わせて前方に突き出す。
紅の光線が放たれる。
その一撃は、全力のかめはめ波にも匹敵する強烈な光。
フリーザのとっておきの一つだ。
「吹っ飛べ!!」
笑みを浮かべて告げるフリーザの目の前に、片足立ちで放たれた光線をすり抜けて来たリューベと眼が合う。
「ーーな!?」
真紅の雷を身に纏い、黄金の炎が噴き上がる。
「一瞬千撃!!」
掴まれた瞬間に凄まじい気の爆発が起こる。
ーー瞬獄殺。
爆心地に居るフリーザは一瞬で無数の打撃を叩き込まれていた。
「ぐわぁああああっ!!!」
後方に弾き飛ばされながら、悲鳴を上げるフリーザ。
それを仁王立ちで見下ろすのは黄金の炎を纏う真・超サイヤ人。
「つ、強ぇえ……!!」
孫悟空をして、それしか言えない。
それほどの強さをリューベは誇っている。
だが、その鬼を前にして立ち上がるのは三人の戦士。
黄金に燃える髪を天に向かって逆立てるベジータとブロリー。
白銀の光を身に纏うピッコロ。
「俺はーー俺は、戦闘民族サイヤ人!! 惑星ベジータの王子だぁあああ!!」
誇りを懸けて、孫悟空の最大のライバルが魂の咆哮を上げる。
「ベジィイイタァアアアアア!!!!」
悟空の叫びに応えるように、ベジータは一気にリューベと言う鬼に打ち込む。
今度はリューベも捌かずに真っ向から拳を受け、そして返した。
「うぉおおっ!!」
叫びながら、打ち合う。
足を止め、ガードもフットワークもかなぐり捨てて。
真正面から打ち合うベジータ。
だがーーベジータの渾身の右ストレートを右に見切ってリューベは踏み込み、右の正拳突きを腹に打ち込んだ。
「うぐぁ!?」
衝撃が背中を突き抜け、ベジータの目が見開かれる。
その目を静かにリューベの鬼眼が見据えてくる。
「ーー誇り高きサイヤの王子よ。己が限界(かぎり)を、超えてみよっ!!」
見開かれた瞳に向けて静かに告げられた言葉。
そのまま、両手を前方に突き出して至近距離で青い光線を放つ。
ーー豪波動拳。
後方に吹き飛び、うつ伏せに倒れ伏すベジータの背後からブロリーが、黄金の炎をまき散らしながら右ストレートを繰り出す。
「うぉおおおぁああああっ!!!」
強烈な一撃を真っ向から頬で受け止めるリューベ。
微かに後方へ仰け反るも、耐える。
「喰らえぇえええ!!」
此処だと言わんばかりに、ブロリーは左右の拳をリューベのボディへ全力で交互に叩き続ける。
轟音が響く中、後方へリューベの体躯が引きずられていく。
しかし、強烈な左ストレートがリューベのボディに突き刺さると同時、リューベの右正拳突きがブロリーの腹に突き刺さっている。
2メートルを越える偉丈夫のブロリーの突進が、たった一撃で止まる。
ーー鬼哭突き。
歯を食いしばり、目を見開いてリューベの顔を睨みつけるブロリーにリューベは語った。
「有り余る才を持って生まれた闘士よ。うぬが拳、磨き上げてみぃ!!」
構わずに拳を繰り出そうとしたブロリーの肉体は横に流れ、そのまま崩れ落ちる。
「!! ブロリィイイイイッ!!!」
悟空の咆哮が響く中、ピッコロがリューベの後方に回り込んで現れ、長い脚を使った廻し蹴りを放つ。
強烈な轟音を上げてピッコロの蹴りが鬼の右腕に止められている。
「チィッ!」
舌打ちしながら高速で移動するピッコロに対し、リューベもその場から消えるような速度で動く。
激しい轟音を立て、光の波紋をどこまでも広がる空間にいくつも響かせる。
後方に仰け反った姿勢でピッコロが空に現れた。
「ぐぅ! 何て野郎だ!! パワーもスピードもとんでもないのに技が段違いに強い!!」
目の前に現れた真・超サイヤ人に向かって、ピッコロは更に構える。
「うぬが技のキレ、カタッツに及ばぬ…!」
「なんだと? お前、カタッツを知っているのか?」
思わず問いかけたピッコロに、リューベは更に続ける。
「うぬの父親の拳は正に鬼神が如し。うぬが奴の血を継ぐと言うのならば、その拳も受け継いでみせい!!」
その言葉にピッコロは全身に纏う白銀の光を更に輝かせて告げた。
「なら試してみやがれ!! 俺の拳が父に届くか、否か!!」
強烈な拳と蹴りをぶつけ合いながら、両者は譲らない。
ピッコロは動きを更に速く、鋭くしていく。
リューベの殺意の拳に対抗するために。
(一つ打たれたら、三つ返せ! 勝つのは、俺だ!!)
手数を常に上回ることで、リューベに反撃の糸口を与えないようにする。
それがピッコロが選んだ選択だ。
前に突き進むピッコロにリューベは静かに告げた。
「我求めるは、うぬの真なる一撃のみ!!」
見事な右上段廻し蹴りを下に屈んで避け、真下から右の拳を突き上げてリューベは跳び上がる。
「滅殺! 豪昇龍!!」
真上に吹き飛ばされるピッコロに、連続でリューベの昇龍拳が放たれた。
紫炎に包まれて吹き飛ばされるピッコロは仰向けに倒れた。
「ピッコロ! ピッコロォオオオオ!!!」
六人居た戦士達は、誰もが立ち上がれずに倒れ込んでいる。
歯を食いしばる悟空に、リューベが静かに向き直った。
「…ベジータやフリーザ達でも歯が立たねえとはな。流石だ、リューベ」
リューベは何も語らずに拳を握り、孫悟空に構える。
悟空は静かにデンデや全王から離れると、リューベに構えを取った。
「未来世界にオラ達が行く方法。オメエは知ってるんか、リューベ?」
「………」
「黙ってるっちゅうことは知ってるって事で良いんか? オメエの場合、よく分かんねぇけんどな」
そう言いながら悟空は気を高めていく。
黄金の炎が渦を巻いて悟空の足下から噴き上がり、真・超サイヤ人に変身する。
「…俺は超サイヤ人、孫悟空だ!!」
鋭くなる目つき、翡翠に黒の瞳孔が現れた瞳をリューベに向ける。
「未来世界へ俺達が行く方法! 是が非でも教えてもらうぜ、リューベ!!」
「………滅!!」
両者は同時に相手に向かって拳を握り、駆け寄るとお互いに突き出した。
互いに纏う黄金のオーラが猛り狂い、両者が押し合う拳を中心にクレーターが発生。
地面を深く掘り下げていく。
高速移動で姿を消す両者。
次に現れたのは、真上の空。
「………ぐ、う」
二人の真・超サイヤ人の衝撃にベジータが目を覚まして、見上げる。
「カカロットーー!」
身を起こしたベジータに気付き、デンデがそちらに駆け寄ろうとするも、ベジータに目で制された。
「! ベジータさん?」
「あのサイヤ人に感謝するのだな」
「え?」
全王の右側に立つ付き人が、声を上げた。
「我々の結界から外に出れば、間違いなく二人の超サイヤ人が生む力の余波で消し飛んでいる。言っておくが、あの場に立つこと自体が既に選ばれた戦士ということだ」
「ーー!」
目を見開くデンデの前で、孫悟空とリューベの戦いが展開されている。
秒間数百は下らない打撃の応酬だが、悟空がリューベの攻撃を食らって後方に首を仰け反らせるのに対し、悟空の攻撃は一度たりともリューベにヒットしていない。
(パワーもスピードも手数も! 俺やベジータ達とそこまで変わらねえ。なのに、コイツーー!!)
徐々に悟空の攻撃が見切られ始めている。
動きは変わらないが、技術に差があり過ぎるのだ。
「ターニッブ! オメエは、こんな奴を相手に一人で勝ったんか………!!」
互いに拳をぶつけ合い、肘打ちを相殺したところで、強烈な右の上段回し蹴りを食らい、悟空は後方へ弾き飛ばされるも身を丸めて、クルクルと縦に回転しながら空で体勢を整える。
「ーーこりゃ、とんでもねえな」
明らかに押されていると言うのに、孫悟空の瞳は冷徹に光り、口許には不敵な笑みが刻まれていた。
「ワクワクして来たぜ…! うぉおりゃぁあああああっ!!!」
サイヤ人の本能を全開にして孫悟空は、咆哮を上げながらリューベに向かって駆けていった。
ーーーー
未来世界。
地球よりも遥かに離れた遠き地で、白い空手着に金色のオーラを纏った超サイヤ人・ターニッブは現れた。
「? 此処は?」
周りを見渡せば、蓮に似た花が巨大な大木から花びらを散らせている。
周囲は緑一面の丘。
「………また、妙なところに飛ばされたな」
淡々とした表情でターニッブは超サイヤ人に変身したまま周りを見渡すと、こちらに向かって必死の形相で手を振る人物たちを確認した。
「あれは、界王神様?」
そう第7宇宙の界王神・シンと付き人のキビトに、第10宇宙の界王神ゴワスがこちらを見ている。
「ターニッブさん!! 何故、あなたが此処に!?」
「ターニッブ殿! もしや界王神様、これは!!」
界王神に向けてキビトが疑問の声を上げようとして、ゴワスが静かにザマスを見据え、口を開いた。
「ザマス、何のつもりだ?」
その問いかけに金髪のロングヘアーをサラサラと風になびかせながら、超17号が冷酷に笑みを浮かべて口を開く。
「なんなら、俺が相手をしようか? 目の前でヤツの拳を見たいんだろ、ザマス?」
圧倒的な強さを誇った超一星龍をも下した映像を確認したうえで、超17号は笑っている。
自分の勝利を微塵も疑っていない。
そんな超17号を手で制し、ゆっくりとザマスはターニッブに向かって立った。
「………」
ターニッブも静かに翡翠の瞳をザマスに向ける。
ザマスは穏やかな笑みを浮かべてターニッブに名乗った。
「はじめまして、リューベを倒した超サイヤ人。我はこの世界を統治する絶対の神ーーザマス」
「………お前が、惑星サイヤから逃れた死者の意思と融合した存在か」
「如何にも。我は死人の意思にして惑星サイヤの意思、そして“この”世界の意思でもある」
ザマスは静かに銀色に黒の瞳孔が現れた瞳をターニッブに据え置く。
「惑星サイヤの意思としてならーーベジットの姿の時以来だな、ターニッブよ」
微笑みかけるザマスにターニッブは何も言わずに構えを取る。
二人の界王神と付き人、究極の人造人間が黙って見つめる中で、ザマスが口を開いた。
「あの時。お前がリューベを下す等、思ってもみなかった。知っていたならば、是が非でもお前の肉体を手に入れたものを」
微笑みながら世界の意思と一つになったザマスは告げる。
「だがーー今は、感謝しているぞ。お前達がリューベを倒し、常世の意思をターレスが解き放ったことで、我はザマスという至高の神となれた。このことはお前達、人間ーーサイヤ人に感謝せねばなるまい」
薄紅色の超サイヤ人ロゼのオーラを身に纏い、片目を隠すほどに長い前髪と天に向かって逆立つ超サイヤ人の髪型を併せ持った合体ザマスに変身し、不敵な笑みを浮かべてターニッブに構えを取った。
「来るがいいーー。リューベを倒した“真なるサイヤ人”よ、お前の力を私が見極めてやろう」
「………受けて立とう!!」
同時、ターニッブも金色のオーラを身に纏って突っ込む。
ただの超サイヤ人にして、神の域に至る気を放つターニッブ。
対するは、可能性を取り込むことで変異した絶対の神ザマス。
両者の戦いは、ターニッブの全力の右正拳突きをザマスが左掌で掴み止めたところから、始まった。
鈍い音が響き、両者の触れ合った場所を中心に円を描いてクレーターが掘り起こされる。
「………!」
「ーー」
互いに無言で睨み合うも一瞬、ターニッブが目を見開き次々と拳と蹴りを繰り出していく。
ザマスも攻撃を躱しながら次々と拳と蹴りを返していく。
互いに顔を後方へ仰け反らせながらも、手をまるで緩めずに殴り合う。
ターニッブの左正拳突きを右に見切り、左のフックをカウンターで決めるザマス。
仰け反るターニッブに追撃を放とうと拳を握るも、腹の前にはターニッブの膝蹴りが鳩尾を穿つように置かれている。
互いに譲らぬ打撃の応酬。
その場での打ち合いは互角ーーならば、とザマスは高速移動で姿を消す。
「! そこか!」
ターニッブもすぐさま、足に気を溜めて放出し、高速移動で姿を消して追いかける。
次々と地面が掘り起こされ、空には光の波紋と衝撃波。
幾筋もの金色と薄紅の光が世界に線を描いていく。
「……なるほど。一星龍と戦ったことで今のターニッブの気は一時的にだが、一星龍と同等のモノになっている。これがサイヤ人の可能性か。だが、いくら気が大きくなったとて本来ならば使いこなせずに自爆する。それを簡単に使いこなして見せるとは、これがターニッブか」
超17号がアイスブルーの瞳を煌かせながらターニッブの実力に頷くと、ザマスを見据える。
ターニッブの攻撃を寸前で捌きながら拳を返していく見切りは、正に神技。
「だがザマスは元々、界王としては異端の武の才を持つ男だった。そいつが世界の意思と一つとなって得た様々な可能性や合体した己の姿を変身として気軽に使えるのは、正に奴の器。人間如きに打ち破れるかな? 天賦の才と世界そのものとも言える絶対の神を相手に!!」
殴り合いを行いながらターニッブは己の肉体を見下ろす。
一方的に傷つけられている。
対するザマスは、ターニッブの攻撃を徐々に捌き切るようになって来ている。
「この見切りに技の鋭さ。これが、世界の意思と融合した神・ザマスか」
拳を握り、呼吸を整え、ターニッブはザマスを見つめて構える。
「悟空。お前は、こんな奴を一人で押し返したんだな………!」
改めて拳を交えた強敵(とも)の名を呼び、ターニッブは笑った。
「! 来るぞ、ザマス!!」
超17号の叫び声と同時。
ターニッブの足下から青き光の風が渦を巻いて立ち昇り、彼の身に纏わる金色のオーラが黄金の炎のように激しいものに変化する。
「お前の全力、見てみたくなった。そして、この拳を確かめてみろ!!」
逆立つ黄金の髪に翡翠に黒の瞳孔が現れた瞳を持つ超サイヤ人は、絶対の神に向かって己の全力の拳をぶつけんがために愚直に前に歩を進めた。
「来い、ターニッブ! 人のみが持つ光を、我にーー神に見せてみろ!!!」
同時、ザマスも拳を握ってターニッブに突進する。
神々の神域で両者の一撃は、互いの中央でぶつかる。
強大な黄金の炎と絶対の神気が爆発した。
次回は、明日の午前7時です。
よろしくお願いいたします(≧▽≦)