ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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人間を悪だと断定し、全ての神と人を滅ぼそうとする一人の界王。

ゴクウブラックと化したその神は、滅びにあらがう人々を愚かだとしか思わなかった。

だが、その罪深いとした人間たちの中に強さがあると知ったとき。

本当の強さが、彼の裡に目覚めるのだ……。


正義と邪悪

 人間を滅ぼした事を誤ちだとはブラックーー否、孫悟空の肉体を乗っ取ったザマスは考えない。

 

 たとえ、孫悟空の魂と融合して人間の考えや価値観、正義や愛を理解したとしても。

 

 己が手をかけた人間達にも善と呼ばれた存在があったとしても。

 

 人間は滅びるべきだと思っている。

 

 人間の語る正義や愛という言葉の中身には、犠牲が付きまとうからだ。

 

 人間以外の存在に感謝することを忘れ、命が繋がる理由を忘れて当たり前のように日々を怠惰に過ごす。

 

 腹が減ったと叫べば必要以上に魚を取り、腐らせてしまえばゴミとして処分する。

 

 他人が得たものを横から奪い取り、その者の命すら奪うことを辞さない。

 

 愛や正義を語りながら、平然と汚れた真似も行う。

 

 略奪や殺人を他人が行えば悪だが、己が行えば正義だと主張する。

 

 ザマスーー否、ブラックの見てきた人間とは度し難い存在であった。

 

 人間ゼロ計画を始めたきっかけはたしかに、ババリ星人と呼ばれた知能の低い亜人達だ。

 

 どれだけの時を重ねても争いを辞めず、むしろ組織を企て、長年の進化で得た知恵を己が欲望を満たすためだけに使う。

 

 仮にゴワスが言っていたような、ババリ星人にも長老が居り、争いを諌め管理する者の存在を知ったとてザマスは考えを変えなかったであろう。

 

 ババリ星人は、それだけの殺戮を同族同士で行なっていたのだから。

 

 全ての人間の根幹に、ババリ星人と同じ醜い本質があるとザマスは悟ったのだから。

 

 現に孫悟空の記憶にある地球の神も言っていた。

 

 人の希望となるように生み出したドラゴンボールだが。

 

 己の欲望を満たす為の道具として奪い合う愚かな人間しか居なかった、と。

 

 孫悟空が現れなければ、ドラゴンボールを消していたのだと。

 

(……人間に正義など、あってはならない。人間は、悪だ。悪でなければならない。人間として生まれたこと、それ自体が罪なのだ)

 

ーー何故なのだ、私よ。何故、孫悟空の肉体を手に入れてまで人間を滅ぼそうとするのだ!! その男は、多くの人々の希望だった。その名を、体を使ってまで。そうまでして何故。世界に絶望をまき散らす!?

 

 かつてのゼノの言葉がブラックの頭の中に響く。

 

ーー何故、人間を悪だと決めつけるのだ!! 孫悟空は、世界を悪党から幾度となく守り抜いた英雄だ! そんな男を前にして、お前は何故人間を悪だと決めつけたのだ!? 目を覚ましてくれ、ザマスよ!!

 

 別の世界のゴワスの言葉がブラックの胸の内を叩いた。

 

ーー神様ならよ、許すことも覚えてくれよ。ブラック

 

 そして、この肉体と精神に取り込まれたサイヤ人の言葉が耳に届く。

 

「貴様らの言葉などで、私を惑わせられると思うのか?」

 

 ブラックは誰にともなく、静かに呟いた。

 

ーーーー

 

 互いの斬撃を幾度か、ぶつけ合った後にブラックの大鎌とジャネンバの剣は両者の手元から崩れ落ちていった。

 

「ふん。神の刃を受け入れぬとは、不届き者めが!」

 

「神の扱う刃が邪念の剣と対等とは、笑える話だな?」

 

「クク、愚かだなぁ? 世界を傷付けぬために敢えて力を制御した私の刃と世の邪念を全て固めた貴様の、精一杯の斬撃が互角と言うことに気付けぬとはな」

 

「減らず口を叩きやがって!!」

 

 額に皺を寄せながら怒りを露わにするジャネンバベビーに対し、ブラックは冷酷な笑みを強めた。

 

「三人がかりで私に敵わなかった赤子が。パワーアップしたからと言って一人で私に敵うと何故思ったのか。理解に苦しむ話だ」

 

 肩を揺らしながら口許に手を添えて上品に笑うブラックに、ジャネンバベビーは牙をむき出しにして歯軋りした後に漆黒の気を纏う。

 

「どこまでも、ふざけた野郎だ。ツフル王である、この俺に向かって。戦闘民族の猿の肉体に頼るような無様で無力な神無勢が」

 

「他人の肉体に頼るのは、貴様とて同じだろう。だが私は特別だ、神なのだからな。神である私が行えば善となる行為も、貴様ら人間が行えば悪となり、罪となるのだ。それが神と人間の差だーー」

 

 ブラックは己の右手中指に嵌めた時の指輪を眺めた後、拳を握り灰色の瞳が薄紅色に輝かせる。

 

「フン、身分の違いを吠えたいのか? 神など天上で覗き見るだけの無能に過ぎぬ。世界を支配するのは、人間の欲望。それらを管理し統治する王ーーつまり、この俺だ」

 

 拳を握りしめて、漆黒のオーラを身に纏いジャネンバベビーは気を高める。

 

「人間のやりたいようにやらせるだけの無能な神々は、俺の手で滅ぼした。それが神たる私の務め。人間の身で世界を支配できるなどと考える増上慢が。懺悔の言葉は聞かぬぞ!!」

 

 両者、拳を握りしめて互いに向かって駆ける。

 

 左拳を繰り出すジャネンバベビーに対し、顔の横に置いた右掌で掴み止めるブラック。

 

 衝撃の波紋が世界に響く中、神と王の誇りをかけた戦いが始まった。

 

ーーーー

 

 赤い体毛の生えた剥き出しの上半身。

 

 逞しい胸板に二の腕を持つ孫悟空ゼノは、超サイヤ人ターレスの隣に並び立った。

 

「…手を貸すぜ」

 

 冷徹な声を放つゼノに、ターレスは笑みを強めながら応えた。

 

「ククッ、これで形勢は有利だーー。カカロットの超サイヤ人4を取り込むとは。やるじゃねえか、ゼノ」

 

 今のゼノのパワーは、真・超サイヤ人の基本戦闘力を引き出したターレスに優るとも劣らない。

 

 否、単純な反応速度や身体能力はターレスを上回る。

 

 そんな二人の超パワーを前に、一星球を額から生やした龍人は真紅の瞳を鋭く細めて笑った。

 

「…くだらん。猿が一匹、赤猿になったからどうしたというのだ? お前達ごとき俺の相手になるものかよ!!」

 

 言うと同時、青黒の雷を纏ったオーラを吹き立たせる邪悪龍。

 

 そのパワーは、七つのドラゴンボールを胸から生やしていた時よりも上だった。

 

「…どうなっている? パワーダウンどころか、力が増しているだと?」

 

「ターニッブと戦(や)り合ったからだ。ヤツの中に眠る潜在能力が、ターニッブの心の力によって引き上げられた」

 

 ターレスの疑問にゼノが応えながら、構えを取る。

 

 今のゼノには、惑星サイヤでターニッブと戦った記憶があった。

 

 超サイヤ人4の境地にまで達した未来の悟空が、過去から来た悟空と融合したためにいま共有できている記憶だ。

 

 ザマスの時に観客席から観た視点とは、まるで違う。

 

 正真正銘、真向勝負の世界がゼノの目にも流れていた。

 

「一星龍。それがターニッブと闘って引き出された貴様自身の力ってわけか」

 

 紅の混じった金色のオーラを全身から吹き立たせ、ゼノは金色の瞳で睨みつけた。

 

「…そうか、孫悟空。貴様もターニッブと闘っていたんだったな。 なるほど、コイツは面白くなりそうだ」

 

 孫悟空ゼノから、過去の世界から来た真・超サイヤ人の孫悟空やターニッブと同じ「心の力」を感じて一星龍は身構えた。

 

 ターレス一人を相手にする時とは決定的に違う。

 

 超サイヤ人4となった悟空やベジータにさえも構えを取らなかった邪悪龍の長が、全力でゼノを叩き潰そうとしている。

 

「心の力、だと? 俺たち超サイヤ人が真の力を引き出すことでようやく振るえるようになる拳をサイヤ人でもない化け物が使えるっていうのか?」

 

「…ああ。心の力にサイヤ人だとか地球人とか関係ねえ。圧倒的な力をも超える心の強さ。それを持つヤツが勝つ!!」

 

 ターレスの言葉にゼノが応えると同時に構える。

 

 目の前には一星龍が迫っていた。

 

 一星龍は、同じ顔をした二人のサイヤ人のうちターレスの懐に入りこむ。

 

「チッ!」

 

 舌打ちしながら、右ストレートを繰り出すターレスだが一星龍の顔の横に構えた右腕に軽く受け流され、強烈な返しの左ボディを打ち込まれる。

 

「グハァッ!?」

 

( なんだと!? 俺の防御力に関係なくダメージが芯に刻まれる、この硬い拳は!?)

 

 パワーとスピードを上回ってなお、自分にダメージを与えてきた二人のサイヤ人ーー孫悟空とベジータ。

 

 打ち込まれたことで確信した。

 

 一星龍の拳は間違いなく、あの二人が自分に放って来た拳と同質である。

 

 そして、ターニッブの振るう拳とも。

 

 打たれたボディを庇いながら退がるターレスに向かって更に右ストレートを顔目掛けて放ってくる一星龍。

 

 咄嗟に左腕でガードするも、腕が痺れる。

 

「どうやら、ゼノの言葉が正しいようだな」

 

 瞬間、ターレスの翡翠の瞳に黒の瞳孔が現れた。

 

「貴様が心の力を使うのなら、不足はない。このターレスの真の力で叩き潰してやる…!!」

 

 瞬間、悟空やベジータよりもふた回り程巨大な黄金の炎を身に纏い、ターレスが右ストレートを放つ。

 

 今度は一星龍が、両腕を上げてガードした。

 

 炸裂音と共に後方へ引き下がる巨体。

 

 痺れる両腕を見下ろし、一星龍はニヤリとする。

 

「なるほど。貴様も使えたのだったな、真・超サイヤ人」

 

「……そういうことだ」

 

 冷酷な笑みを返すターレスの横に真紅の体毛を持つ黒髪金眼の超サイヤ人ーー悟空ゼノが並ぶ。

 

「超サイヤ人4になった今のオレなら、貴様の援護くらいは出来る。二対一はフェアじゃねえが、一緒に闘(や)らして貰うぜ」

 

「……フン。確実に勝つためにも此処は手を組むとするか」

 

 ゼノの言葉にターレスも頷きながら、一星龍を睨みつける。

 

 二人の超サイヤ人を前に一星龍は笑った。

 

「この力。コレが俺のーー俺だけの力、か。ククク、なんとも愉快な気分だ。他の邪悪龍達の力抜きでも、これ程までに戦闘力を高められるとはな」

 

 心底、愉快げに笑う一星龍の前に超サイヤ人4と真・超サイヤ人が拳を構える。

 

「さあ、とことん闘(や)ろうぜ。一星龍!!」

 

「この俺に、跪いて詫びるがいい! 邪悪龍っ!!」

 

 灼金と黄金の気を纏う二人の超サイヤ人に邪悪龍の長は己の纏う青雷のオーラを更に吹き上がらせる。

 

「ターニッブとの決戦に向けて、貴様ら二人を踏み台にしてくれるわぁああっ!!」

 

 三人の戦士は、再び拳を繰り出し合って激突した。

 

ーーーー

 

 強烈な炸裂音と共に後方へ仰け反るジャネンバベビー。

 

「お、おのれ…! この俺が、こうも簡単に抑え込まれるだと!?」

 

「…言ったであろう? 汚らわしい邪念の塊が私に勝つ事などあり得ない、とな」

 

 肩で息をしながらボロボロにされた肉体を見下ろし、舌打ちするベビーに超サイヤ人ロゼはニヤリと笑みを返す。

 

「ベビーよ、ベジータの肉体や邪念の塊などと言う中途半端なモノを手に入れて満足している貴様と。最強のサイヤ人の肉体と魂を得た私とでは勝負にならないのが、当たり前なのだ。そもそも、人間ごときに神の相手が務まるはずがあるまい」

 

 勝ち誇るブラックにベビーは牙を剥き出しにして、ひきつった笑みを浮かべた。

 

「フン、神か。しかし、人間ゼロ計画を立ち上げながら人間の肉体と魂を乗っ取るとは。随分とお粗末な神も居たものだ。おまけに、地球人を庇うようになるとはな」

 

「…何をおろかな。私が人間を庇うだと?」

 

 失笑するブラックにベビーは訝しむ表情に変わる。

 

(……惚けている訳ではないようだ。まさかコイツ、本気で気づいていないのか?)

 

 ベビーは静かにブラックを睨みつけながら考える。

 

 先程からの斬撃の応酬。

 

 ブラックは、世界を傷つけない為に斬撃の威力を弱めていると語っていた。

 

 しかし、世界は既に常世に変わっている。

 

 斬撃で傷つけられようが、元どおりの姿に再生しているのだ。

 

 世界を傷付けることを嫌うなどという感傷は、ブラックの斬撃を弱める理由にはならないはずだ。

 

 それよりもある程度、周囲に被害が出るのを承知で本気の斬撃を放つ方が、ベビーを仕留めるだけならば有効だ。

 

「試してみるかーー!」

 

「ん?」

 

 ポツリと呟いてベビーが、ジグソーパズルのように空中で肉体を分解させながら消える。

 

 ジャネンバの空間転移能力だ。

 

 この能力は、空間を繋げて自分の肉体を移動させることは勿論、拳蹴打や気弾を繋げた空間から多方向に放つことができる。

 

 消えた時にベビーの気も消えるため、気配を読むのは不可能。

 

 だが、孫悟空の肉体と記憶を手に入れたザマスーー否、ブラックは余裕の表情でクルリと背後を振り返って掌を顔の前に出す。

 

 その掌に吸い込まれるようにベビーの拳が激しい音を立てて突き刺さった。

 

「き、貴様…!?」

 

「いつまでも小手先の技が通じると思っているのか? 気配が読めずとも貴様の性格や思考と能力が分かれば、次の手など簡単に読める」

 

 超サイヤ人ブルーの孫悟空は、気を穏やかに落ち着け上がった洞察力で神がかりのような予測ができる。

 

 同じ変身である超サイヤ人ロゼにも理屈で言えば可能なのだが、ブラックはロゼに変身すると超サイヤ人の興奮状態が抑えきれず口調が変化してしまっていた。

 

 それでもブルーの動きを上回れたのは神としての能力だろう。

 

 だが今は、口調が変化する事はない。

 

 ブルーを使いこなす孫悟空の肉体と魂を手に入れたブラックは、神がかった予測と反則的なセンスで敵の動きを完全に予測している。

 

 右を止められたと悟ったベビーは左の拳を振り上げようとして、まともに脇腹へブラックの左膝蹴りを食らう。

 

「グハァッ!?」

 

 息を吐いて顔を上げるベビーの顔面に寸分違わず、打拳が決まる。

 

 すかさずブラックは、両手足からなる打撃を刹那の拍子に連撃で叩き込んだ。

 

 首を後方へ仰け反らせながら、後ずさるベビーにブラックは残忍な笑みを浮かべて踏み込む。

 

「…ブラック。味方なのは良いけど、アレが敵に回ると思うとゾッとするわね。孫くんの強さに冷酷さが加わると、こんなにも残酷なモノになるのね」

 

「力は、ただの力ですから。それを振るう者の心が、善悪を決めてしまうのです」

 

 悪党とは言え、自分の放った攻撃に血を流しながら傷つくベビーをみて笑うブラック。

 

 ブルマは、静かに呟いた。

 

「トランクス、アンタが正しいと思うわ。コイツは、ゼノ君のような良い人にはならない。他人が傷つく姿を見て笑うなんて、孫くんなら絶対にしなかったものーー!」

 

「……ブルマ、さん」

 

 心底、悔しそうなブルマの声にプリカは悲しそうに彼女を見る。

 

「ぐぉおおっ!?」

 

 血を吐き散らしながら悲鳴を上げて後方に仰け反った後、膝をつくベビーに向かい、ブラックは嗜虐的な笑みを浮かべて見下ろす。

 

「苦しかろう? そろそろ、楽になるがいい!!」

 

 右手刀を顔の前に構えロゼのオーラが光の刃に変わる。

 

 切っ先を眼前に突きつけられても、ベビーは肩で息をするのがやっとなのか睨み上げるだけで動かない。

 

 その反応にブラックはニヤリと笑みを強めて刃を振り上げた。

 

「……終わりだ!!」

 

「まだだ!!」

 

 瞬間、ベビーが地面に手をついて体を支えた姿勢のまま、気を爆発させた。

 

 土煙が煙幕となり、ベビーの姿が消える。

 

「実に愚かだな。神である私から逃げられる訳があるまいーー!!」

 

 掌を縦から横にして光刃の角度を変え、一閃。

 

 斬撃の衝撃で煙が吹き飛ぶ。

 

 開けた視界の先には距離を置いて立ちながら、人差し指をこちらにかざすジャネンバベビーが立っている。

 

「ぬ?」

 

 かざした人差し指からは揺らめく光が放たれており、ベビーはゆっくりと横一線に空を撫でる。

 

 瞬間、空間が無数に切り裂かれ極細の光が連続でブラックに放たれる。

 

 ブラックはガードを上げることすらせずに、左右に体を反らすだけで無数の光を避けていく。

 

 ジャネンバベビーは、避けるブラックの左に空間転移しながら紅の剣を抜き放った。

 

「死ねぇ!!」

 

 振り上げる剣を前にブラックが侮蔑の笑みを浮かべて告げる。

 

「見えているぞ、ベビー!!」

 

 右手刀で唐竹に振り下ろされた斬撃を脇に流し、返す刀でベビーの首に一閃しようと放つ。

 

 観戦していたブルマ達には、宙を舞う鬼の首が見えた程だ。

 

 だが、完璧なタイミングで放たれたブラックの手刀は実際にはベビーが首に触れる寸前で止まっていた。

 

「ぐ……!?」

 

 ブラックが手を止めたことにブルマが訝しむ中、プリカが叫ぶ。

 

「ハルくん、マキちゃん!!」

 

「え?」

 

 プリカの言葉に愕然とした表情になりながら、ブルマはベビーを見直す。

 

 ベビーの腕の中にいる二人の小さな兄妹を。

 

「…何のつもりだ?」

 

 無表情で問いかけるブラックにニィと笑ってベビーは告げた。

 

「どうした、ブラック? 刃を振り切らんのかな? 俺はピンピンしているぞ」

 

 鬼は牙をむき出しにしながら笑う。

 

 幼い兄妹は、目の前に迫る死(ブラック)の光刃に目を見開き震えている。

 

「人間の味方などしないのだろ? このガキ共の身体ごと切り捨てたらどうだ?」

 

 笑うベビーと睨み付けるブラック。

 

「な、なんてことーー!」

 

 思わずブルマが、絶望したような声を上げる。

 

 隣でプリカがゼノとターレスを向いて叫んだ。

 

「ゼノさん、ターレスさん!!」

 

「「!!」」

 

 二人が振り返り、状況を把握する。

 

 一星龍も構えていた拳を下ろし、真紅の瞳を細めて呟いた。

 

「……下らん真似だ」

 

「おいおい。形振り構わずにガキを盾にする程、余裕が無いのかよ。品の無い野郎だーー人質を取るならもっと見ている側を楽しませろ」

 

 肩を竦めながら、呆れた風にターレスがため息を吐く。

 

 その横で、炎のような赤と金の混ざった気が爆ぜた。

 

「ハル、マキ!!」

 

「ゼノお兄ちゃん、助けてーー!!」

 

「ベビー、貴様ぁあああっ!!!」

 

 涙を浮かべたマキの顔を見てゼノが、ベビーに今にも殴りかからんとする。

 

 そんな怒り狂うゼノの肩をターレスが制した。

 

「怒るのはいいが、焦るなマヌケ。一星龍(コイツ)を相手に無防備に背を向けてみろーー死ぬぞ」

 

 脅しでなく事実を淡々と述べるーーそんな口調だからか、ターレスの言葉には説得力があった。

 

 ゼノが金の瞳でターレスの向こうに見える一星龍を睨み付ける。

 

「ソイツに感謝するんだな、孫悟空。そのまま背を向けていたら、後ろからズドンーーだったぞ」

 

 邪悪な笑みを浮かべて告げる一星龍にゼノが睨みつけた。

 

「マヌケめーー。少しは気にしていない、というような演技くらいできんのか」

 

 あからさまな挑発に乗りやがって、と吐き捨てるターレスに一星龍は笑う。

 

「孫悟空は、身近な人間を殺されそうになると冷静さが無くなる所があるからな。どの世界でも、誰と融合しようとも甘い男だーー!」

 

「……」

 

 ターレスは静かにゼノを庇う様に一歩、一星龍に向かって踏み出しながら、ゼノに向かって問いかけた。

 

「一つだけ聞いておく。ブラックから感じるカカロットの気ーー貴様と同じか?」

 

「ーーああ」

 

 ターレスの言葉にゼノが静かに頷いた。

 

「フンーー」

 

 黄金の炎のようなオーラを身に纏い、ターレスが一星龍を睨みつける。

 

「お前一人で俺を止められると思っているのか?」

 

「確かめてみろよーー」

 

 瞬間、両者の拳が真っ向からぶつかり合い、周囲のものを吹き飛ばしていく。

 

 二人の戦士は互いの顔に目掛けて拳と蹴りを次々と繰り出しあい、ぶつけ合う。

 

 どちらの躰からも気が高まり、溢れていく。

 

 ターレスが一星龍を止めている間に超サイヤ人4となったゼノが、ハル達を救おうと瞬間移動をしようとする。

 

 しかし、動作を途中でやめてその場から上体を反らすゼノ。

 

 目の前を赤い光弾が通り過ぎていった。

 

「甘いぞ、孫悟空!!」

 

 一星龍はターレスとの打ち合いを止めることなく、ゼノの瞬間移動を妨害してみせたのだ。

 

「ーーやはり、一星龍を先に倒さねえとダメか」

 

 ゼノが気を纏って一星龍に向き直った。

 

 拳を握り、一気に一星龍の前に出る。

 

 三人の戦士による二対一の激闘が始まった。

 

ーーーー

 

 激しい肉弾戦がゼノ、ターレス、一星龍の間で繰り広げられる中、ブラックはベビーに刃を向けたまま、笑いかけた。

 

「人間の子どもを盾に取った程度で、私が攻撃の手を緩めると思うのか?」

 

 無慈悲で冷たい笑みと口調で言い放つブラックに対し、ベビーも卑劣な笑みを浮かべる。

 

「なら、なぜ剣を止めた? このガキどもが盾にならないと言うならーー今からでも斬り捨ててみたらどうだ? ブラック」

 

「ーーフッ」

 

 ベビーの挑発にニヤリと返し、刃を振り上げるブラック。

 

 迷いのない動きにブルマがゼノに叫んだ。

 

「ゼノ君! 急いで!」

 

 声にゼノが気付き、刃を振り上げるブラックを愕然と見つめる。

 

 ブルマが更に叫ぶ。

 

「ブラックがハル君たちを殺す前に!」

 

 無表情ではあるが、頰から一筋の汗が流れるのを見るにゼノにも余裕がない。

 

 ターレスが代弁するように告げた。

 

「おいおい。地球人の女、なかなか無茶なこと言うじゃねえか」

 

「…まったくだ。この俺を前に、背を向けろと言うのだからな」

 

 ターレスに間髪いれずに続いたのは敵対する一星龍。

 

「……ターレス。数秒でいい、ヤツを退けられるか?」

 

 ゼノの言葉にターレスは肩を竦めながら告げる。

 

「まぬけなカカロットがいない方が俺もやりやすい。とっとと行け」

 

「すまん。恩に着るぜ」

 

 応えながらゼノが気をまとい、離れようとする前にベビーから声がする。

 

「おっと。下手な動きをせんほうがいいぞ? 俺はジャネンバの能力を持ったベビー。これがどういうことかわかるか?」

 

 ニヤニヤと子どもを左腕に抱えたまま、刃を振り上げるブラックから目を離し、ベビーはニヤリとゼノに笑いかける。

 

「お前等がおかしな行動をとれば、即座にこのガキどもの命を奪うことができる。仮に瞬間移動したところで、貴様の瞬間移動先の空間をゆがめて別の場所に飛ばしてやるわ。孫悟空」

 

 ジャネンバの能力はゼノもターレスも知っている。

 

 たしかにジャネンバならば、出来るだろう。

 

「チッ、カカロットの瞬間移動を封じられただと…。となると、さきに一星龍を倒すしかないってわけか」

 

「……そのようだな」

 

 ゼノは、ベビーと幼い兄妹、ブラックを順に見つめてから一星龍に振り返って構えた。

 

「フン。さっさとかかってこい、猿ども。どのみち全員、地獄に行くのに変わりはない」

 

 気をまとい、一星龍のパワーが引き上がる。

 

「ほざけぇ!」

 

 これにターレスが呼応するように自らのパワーを引き上げる。

 

「やるしかねえ!」

 

 ゼノも気を高めながら拳を握る。

 

 三人は同時に拳をぶつけると、次々と打撃を繰り出しぶつけ合う。

 

 彼らの動きから、とてもではないがゼノがハルやマキを助ける余裕などないと分かる。

 

ーーーー

 

 その光景を見てブルマが絶望した声を上げた。

 

「なんてことなの……! ゼノ君がハル君とマキちゃんを助けられない。このままじゃ……!」

 

「ーーっ! ブラック様!」

 

 プリカが声を張り上げるとブラックは静かに灰色の瞳をプリカに向ける。

 

「なんだサイヤの巫女。まさか私に”子ども達を助けろ”などと言うのではあるまいな?」

 

 呆れた表情で告げた後、ブラックはベビーに抱かれた二人の兄妹を見下した。

 

「どのみち、汚れた人間は我が手によって浄化する運命(さだめ)なのだ。此処で、神の為に死ねるのだから本望であろう?」

 

 冷酷で残忍な笑みを浮かべるブラックにマキが震えあがった。

 

「おにいちゃん…っ!」

 

「く、ぅぅ…………っ」

 

 ハルも何も言えずに妹を見た後、ブラックを見上げる。

 

 そんな兄妹の反応を見てベビーは冷や汗を流しながらも、笑みをこぼして告げた。

 

「ハッタリを言いやがって………!」

 

「本当にそう思うのか? 愚かな人間よ」

 

「なら、さっさとガキ諸共に俺を殺してみろ。ブラック!」

 

 ベビーの頭の中には孫悟空の魂がブラックに吸収されていることがある。

 

 ブラックから感じる気に以前は無かった孫悟空の気が混じっているのだ。

 

(ばかめ、ブラックよ。貴様の誤算を教えてやる。貴様が得た魂は強い反面、情に脆い。無抵抗な善人や弱者の命を取ることが、その男には出来ないということだ)

 

 目を見開いて笑うベビーに向かい、ブラックは冷たい笑みを浮かべたまま薄紅色の刃を貫手に構えた。

 

「フン。バカめ! 死ぬがいいっ!!」

 

 突き出そうとするブラックに向かい、プリカが咄嗟に声を上げる。

 

「悟空さん!!」

 

 その声に応えるようにブラックの動きが止まる。 

 

「なにっ?! こ、これは……っ」

 

 目を見開いてブラックは己の肉体を見下ろす。

 

(バカな。孫悟空の魂は私に吸収されたはず。なのに何故、肉体が動かないのだ………?)

 

 灰色の瞳を細めて思考するブラックに向かって、幼い兄が声を上げた。

 

「ブラック。妹を助けてくれ」

 

「にいちゃん?」

 

 その年齢にも状況にも合わない静かで落ち着いた声にマキが不安そうに兄を見上げる。

 

「代わりに僕の命を上げる! だから、妹を助けて!!」

 

 光刃を構えたブラックの目から逸らさずにハルは必死に告げた。

 

 その漆黒の瞳と強い意思にブラックの瞳が細まる。

 

「はったりを言うな、小僧。それ以上よけいなことを言えば、首をへし折るぞ」

 

 対してベビーは、焦ったような表情でハルの首を絞め上げようとする。

 

 だが、ハルは構わなかった。

 

「………グッ。どのみち、このままじゃみんな死んじゃう! だったら……!!」

 

 首が絞まり泣き顔になりながらも、必死にハルはブラックに向けて叫ぶ。

 

「な、なにをっ?! なにを言ってるのよハル君!」

 

「ハル君! もう少し、待って!! ゼノ様!!!」

 

 ブルマとプリカがハルを止めながら、ゼノに向かって助けを求める。

 

 ゼノも分かっているとばかりに表情を歪めるも、一星龍はいっさい攻撃の手を緩めずにターレスとゼノ二人に襲い掛かってくる。

 

 二人がかりで、やっと互角の状況では下手に動けない。

 

「でも! ゼノにいちゃんが動けないんだよ! だから……だからっ!!」

 

 そんな子どもでも分かる事でも、ブルマにもプリカにも受け入れがたい事実。

 

 ハルが命を捨てなければならない、などと。

 

 そんな彼女らの心を無視するようにブラックが嬉し気に微笑んだ。

 

「殊勝な心がけだな、人間の子どもよ。神のためにその身を捧げるというのか」

 

 その表情とは明らかに正反対の殺気と悪意にベビーが目を見開く。 

 

「き、きさまっ……! 孫悟空だろう!? 貴様に、貴様に子どもが刺せるはずがーー!?」 

 

「孫悟空は私に吸収されたのだ。自分の経験と知識の全てを私に託すためにな」

 

 ニヤリと笑いながらブラックは冷酷な光を帯びた灰色の瞳で見下ろす。

 

「私こそは絶対の神、正義のために汚れた人間を滅ぼす者だ。せめてもの慈悲だ、子どもよ。頭を串刺しにして終わらせてやる」

 

 ブラックの気が高まるのを感じ、ゼノが目を見開く。

 

「ハル! どけええええええ! 一星龍!!」

 

 紅が混じった金色のオーラを吹き上がらせてゼノが強烈な打撃音を響かせながら一星龍の顔面を殴りつける。

 

 頑強な一星龍の首が仰け反り、すかさずゼノは左ボディと右のハイキックを叩き込む。

 

 更にとばかりに拳を振りかぶって前に出るゼノ。

 

 しかしーー強烈な右ボディが踏み込んだゼノの腹に叩き込まれていた。

 

「グハァ!?」

 

「フン! 後ろに気を取られた状態で、俺に勝てると思うのか!?」

 

 動きが止まったゼノの横顔を殴りつける一星龍。

 

「くっそぉおお!」

 

 首をねじ切らんばかりに吹き飛ばしながらも耐え、元の位置に戻してゼノが殴り返す。

 

 凄まじい打撃音を響かせながら、両者は譲らない激しい肉弾戦を繰り広げる。

 

 その後方でブラックが光刃を纏った貫手突きを構える。

 

「死ねえ!」

 

 その動作には一切の迷いが無い。

 

ーーこいつ本気だ!

 

 ベビーは咄嗟に、そう判断すると同時。

 

「邪魔だ! この役立たずども!!」

 

 盾にならないと判断したハルとマキをブラックに向かって投げつけた。

 

 瞬間、ブラックは構えていた刃を消してハルの襟首を右手で掴み、マキを左腕で抱き止める。

 

 その行動に一同が思わず硬直する中、ブラックはベビーにニヤリと笑みを浮かべた。

 

「フン。子どもを盾にしたと思い、少し脅してやれば簡単に人質を捨てるか。大した王だな? 実に醜い」

 

「くっ……! やはり、ハッタリだったか!!」

 

 忌々しそうに睨みつけるベビーに笑みを返した後、ブラックは後方に居るブルマとプリカに叫んだ。

 

「ブルマ! 巫女! 子どもを受け取れ!!」

 

 そう言うや否や、ものすごいスピードで兄妹がブラックから投げ捨てられる。

 

「え……わ、わわわわ!」

 

「きゃぁああああっ!」

 

 悲鳴を上げながら、こちらに飛んでくる兄妹にブルマがヤジロベーに叫んだ。

 

「ヤジロベエ! 頼んだわよ!!」

 

「お、おおおお、俺だきゃかあ!?」

 

「私にあんな速いもの、取れるわけないじゃない!!」

 

 戸惑っている場合ではないと悟ったヤジロベーが全力でハルとマキの落下する地点に走り込んで構える。

 

「ふんぎゃああああ! やけくそだわぁあああ!!!」

 

 ヤジロベーが構えた一瞬後、兄妹が地点に叩き込まれて土煙を上げた。

 

「う、うう……」

 

「ん、んぅ……」

 

 煙が晴れていくと、ヤジロベーの躰をクッションにしてうめき声を上げている幼い兄妹が居る。 

 

「ハル君、マキちゃん、大丈夫ですか?」

 

「な、なんとか……」

 

「生きてるみたい……」

 

 プリカが助け起こしながら問いかけると、ハルとマキが揃って声を上げる。

 

「二人とも、無事でよかったわ………!」

 

 心底、安心したようにブルマが告げると、そんな彼らの下からーー。

 

「下敷きにされた俺の心配はねえんかぁ?」

 

 憮然とした表情でヤジロベーは呟いた。

 

 無事にハルとマキがブルマ達と合流したのを眼下で確認してから、ブラックは冷酷な笑みを浮かべてベビーを睨みつけた。

 

「さて。そろそろ終わりにするか、ベビー」

 

 その灰色の瞳は怒りに燃えていた。

 

「神に対し姑息な手を使ったこと、貴様の肉体と魂の滅びをもって償うがいい!!」

 

 鬼の姿をしたベビーは睨み返しながら拳を握り、気を纏って叫ぶ。

 

「フン。調子にのるんじゃねーー!!」

 

 前に出て殴りかかるジャネンバベビーのボディにブラックの右拳が入った。

 

「くあっ!?」

 

 動きが止まるベビーに向かってニィと笑いかけ、ブラックは左アッパーで後方へ吹き飛ばすと両手を右腰に置いて体をひねって薄紅色の光の球を作り上げた。

 

「終わりだーー!」

 

 ブラックはそのまま両手を前方へ突き出し、薄紅色のかめはめ波を放った。

 

 これに後方へ宙返りしながら着地したジャネンバベビーは咄嗟に口を開いて光線を放つ。

 

 ぶつかり合う二つの光線は、あっさりとブラックの光線がベビーの光線を打ち砕いて吹き飛ばす。 

 

「ぐあああ……! こ、この俺がああああ!」

 

 光の中に消えて行くベビーの断末魔を聞きながら、ブラックはニヤリと笑った。

 

「フフフ。神の力の前には人間の奸計など無意味! さらばだ、愚かな王よ」

 

 薄紅色の緩やかなオーラを身に纏い、ブラックはゼノ達の方に向き直った。

 

「………さて。残るは薄汚い人間の欲が生み出した、汚らわしい邪悪龍ーーか」

 

 顛末を見ていたターレスがニヤリと笑みを浮かべる。

 

「ほお。うまい具合にやりやがった」

 

 そう言いながら、翡翠に黒の瞳孔が現れた瞳を一星龍に向けて笑いかける。

 

「まあともあれ、これで一気に三対一だな」

 

「フン。余計な足手まといがなくなって、俺も清々するというものだ」

 

 首を鳴らしながら鼻で笑う一星龍にターレスがニヤリと続ける。

 

「そろそろ貴様も援軍を呼んだほうがいいんじゃないか? 一星龍」

 

「お前ら如きを葬り去るのに、援軍など不要だ」

 

 邪悪な笑みを浮かべ合う両者から少し離れたゼノの下にブラックが舞空術で並んでくる。

 

「ブラック、ハルとマキを……」

 

 告げようとするゼノの言葉を途中で打ち切りながらブラックが声をかける。

 

「何か言いたそうだが、ゼノ。いま貴様と話すことはないぞ」

 

「………そうか」

 

 隣に並んだ超サイヤ人ロゼのブラックと超サイヤ人4のゼノは、一星龍に向かって構えた。

 

 その二人を見比べて一星龍は笑う。

 

「面白いものだ……。同じ顔、同じサイヤ人の肉体を持つ神。元は同じ存在が、こうも違うか」

 

 一瞬の睨み合いの後、真・超サイヤ人のターレスが吠える。

 

「はぁあああっ!」

 

 高速移動で姿を消して一星龍の懐に跳び込むと拳を握って打ち込む。

 

 一星龍も即座に拳を返していく。

 

 再び始まった高速打撃の撃ち合いの中から、ターレスの右ストレートを上半身を後ろに反らせるスウェーバックで鼻先で見切る一星龍。

 

 上体が伸びきったところを超サイヤ人4のゼノが左から襲い掛かる。

 

 強烈な打撃を交換しながら、防ぎ合う両者。

 

 そのゼノの背後から超サイヤ人ロゼのブラックが拳を打ちおろしてきた。

 

 三者三葉の攻撃を真っ向から打ち返しながら一星龍は笑う。

 

「とても仲良く行動できるような奴らではないというのに、戦いとなれば見事なコンビネーションだ。流石は戦闘民族というだけのことはある」

 

 ブラックの右ストレートを右肘で受け、ゼノの右ハイキックを頭突きで返し、ターレスの右ストレートを左ストレートで相殺する。

 

 三人の超サイヤ人は一旦、距離を置くようにバックステップして空中で構える。

 

 そんな三人に向かって一星龍は笑った。

 

「貴様等三匹、まとめて叩き潰せば俺は更なる強さを手に入れられるというわけだな!」

 

「フン。俺たちを踏み台にしてターニッブに挑もうってのか? よっぽどご執心じゃねえか、一星龍」

 

 ターレスがニヤリと笑いながら告げる。

 

 これに一星龍も笑う。

 

 ターレスと同じ顔をした真・超サイヤ人を重ねながら。

 

「当然だ。貴様等など最初から眼中にない!!」

 

 言い切る一星龍に対し、薄紅色のオーラを纏ってブラックが構える。

 

「フン。たしかにターニッブの強さはすさまじい。だが、神である私を踏み台と言い切るとは、身の程を知れよ。邪悪龍!!」

 

 その隣で紅に金の混じったオーラを纏った紅い体毛の生えたゼノが告げる。

 

「一星龍。貴様には、元の世界で借りがあったな」

 

 真紅の瞳を鋭く細めて一星龍が孫悟空ゼノを睨みつける。

 

「今度こそ、オレが勝たせてもらうぜ!!」

 

 金色に黒の瞳孔が現れた瞳を見開いて、ゼノが叫んだ。

 

 




次回は、明日の午前7時です。

よろしくお願いいたします(≧▽≦)
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