ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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現代の世界から参戦したベジットのおかげで、希望はまだ繋がっている。

世界から見放され、全王から滅ぼされようとした人々の希望。

それを守るように、戦闘民族サイヤ人は抗うのだ。


戦闘民族サイヤ人

 界王神界ーー

 

 神々が住む神域で、強烈な二つの力が互いに見合っている。

 

 そのうちの一人は、黄金の炎のような激しいオーラを纏った紺色の道着の究極合体戦士。

 

 名をベジット。

 

 孫悟空とベジータ、最強のサイヤ人二人が合体した姿だ。

 

 そんな彼を見上げ、片膝をついたターニッブの下にキビトとシン、ゴワスが来る。

 

「キビト。ターニッブさんの体力を回復して下さい!」

 

「分かりました。さ、ターニッブ殿!」

 

「何者なのだ。あの凄まじい力を放つ戦士は。それにあの耳についているのは…ポタラ?」

 

 ゴワスの言葉を拾うように、ターニッブがベジットに向かって問いかけた。

 

「何故、ベジットが此処に?」

 

 キビトの回復の光をターニッブが浴びていることを確認し、ニヤリと笑みを浮かべてベジットは答えた。

 

「「俺は過去の世界でリューベと出会い、此処に来る方法を教えてもらったのさ」」

 

「!! リューベは、生きていたのか」

 

 驚くターニッブに温かな笑みを返し、ベジットはザマスに向かい合うと語り始めた。

 

「「トランクス達やオメエだけに任せらんねぇ。俺達だって闘いてえ。そう、全ちゃんに頼んでみたらリューベに聞けって言われてよ」」

 

 ベジットは静かに、自身が此処に来た経緯を話し始めた。

 

ーーーー

 

 現代・精神と時の部屋。

 

 リューベを見事に打ち倒した孫悟空達はデンデによって回復され、立ち上がる。

 

「すまねえ。デンデ」

 

「助かったぞ」

 

 悟空とピッコロから言われてニコリと笑顔を返すデンデの後ろで、ベジータとブロリーがジッと立ち上がって来たリューベを見据えている。

 

「ーーそれで。俺たちはどうすれば、未来世界に行ける?」

 

「ここまでやって何も出来ないなどと言ってみろ。ただじゃ置かぬ」

 

 ブロリーの黒い眼は、冗談でも脅しでもないと言わんばかりに見開かれている。

 

 これにピッコロがニヤリと笑みを浮かべた後、ブロリーの横に立つとリューベに拳を鳴らしながら言った。

 

「そういうことだ。未来世界を救う方法を教えろ」

 

 リューベは静かに並び立つ戦士達を見返した後、告げた。

 

「ーー時の流れを越える力。うぬらの真の力ならば時空の理は越えれよう。されど、異界にて現界するには時が足りぬ」

 

「分かっている!! だからーー!!」

 

「なれば、究極の肉体となって征くしかあるまい」

 

 ベジータの声を遮って告げられた言葉に、悟空が反応した。

 

「究極の肉体? なんだ、そりゃ? オメエみてえに生きてっか死んでっかの狭間の状態になれってことか?」

 

「どうやってなれってんだ?」

 

 ブロリーが苦虫を噛み潰したような表情でリューベに問いかける。

 

 するとリューベは静かに彼らに背を向けた。

 

「おい!!」

 

 ベジータの制止の声を無視して、リューベは静かに背を向けたまま告げた。

 

「時を管理する神に逢え。全なる王よーー」

 

 その言葉に全王がニコリと笑った。

 

「そうだね! 時の界王神なら出来るね!」

 

「ーーーー」

 

 その声を聴くと同時、リューベは白い世界に向かって歩き出し、やがて静かに姿を消していった。

 

「ど、どういうことだ? 時の界王神?」

 

 ベジータの問いかけにピッコロが応えた。

 

「神の記憶に微かにある。確か、全ての時空を管理する界王神様がおられると」

 

 これに、大界王神と南の界王神の記憶を持つブウが補足する。

 

「そうだ。だが、その界王神は他の東西南北を統べる界王神や全宇宙にそれぞれ居る界王神とは訳が違う。文字通り無限とも思える「全ての時と宇宙の歴史(ゼノバース)」を管理する者だ」

 

 セルとフリーザが静かに頭を振る。

 

「スケールが大きすぎる。ついていけんな」

 

「全くですね。要は、その時の界王神とやらに頼んで時空を越えさせてもらえばよい、と言うことですか?」

 

 フリーザの言葉に、全王の左右の付き人が応えるように全王に屈んで告げる。

 

「恐れながら! ただの人間が時の界王神に時を越えさせるなど、あってはなりません」

 

「全王様、お考え直しください。いかに一つの時空世界の危機とは言え。時の界王神の力を人間に貸し与えるなど」

 

 すると、全王の口許から笑みが消え、無表情になって付き人達に告げた。

 

「うるさい。すこし黙ってて」

 

 その迫力と気に、この場に居る全てのものの動きが止まった。

 

 一言だけで紛れもなく、この者は全てを管理する王だと理解させられ、誰もが逆らえない。

 

 付き人が黙り込んだのを確認すると全王は表情を柔らかなものに戻し、大きく息を吸い込んだ。

 

「クロノアーー!!」

 

 その言葉に応えるように、黄金の光が縦長の繭のように現れる。

 

 それが精神と時の部屋に出来た裂け目だと理解できたのは、その中から一人の界王神が現れたからだ。

 

 先ほど説明された大任を担う人材には思えぬほど小柄で、幼い外見と雰囲気。

 

 髪型はオレンジ色の外巻きショートボブで、やや広めのおでこ。

 

 ピンク色の肌にエルフ耳と、亜人的な印象の身体的特徴は他の界王神に共通している。

 

「こ、この子どもみてえなんがーー?」

 

「時の、界王神ですって?」

 

 悟空とフリーザが揃って、表情をひくつかせながら言う。

 

 他の者も言葉にこそ出さないが、同じような表情であった。

 

 そんな中、クロノアと呼ばれた時の界王神は全王の前に行くと、いきなり土下座した。

 

「「「「「!!!?」」」」」

 

 周りの空気が固まる中、時の界王神の口が開かれる。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!! なんだか分からないけど、消さないでください!! 申し訳ございません!!!」

 

 恐怖で混乱しパニックを起こしているようだった。

 

 これにセルがブウを見つめ、見つめられたブウは「そんな目で見られても」と肩をすくめる。

 

「クロノア。話、聞いてたのね?」

 

「ごめんなさいごめんなさい! リューベが此処に来たがったからなんだろうと思って覗き見てごめんなさい!! でも一応、時の管理者だから時空の流れから外れたモノを監視するのは仕事なんです~!!」

 

 もはやガン泣きである。

 

 だが全王はクロノアの表情など興味はないようで、さっさと本題に入ってしまう。

 

「クロノア。この人達を僕が指定する未来の時空に連れて行ってほしいのね」

 

「ごめんなさいごめんなさい。なんでもしますから消さないで~!!」

 

 聞こえていないような感じの時の界王神の少女に向かって、全王は静かに笑みを消し始める。

 

 これに悟空が二人の間に割って入るように走った。

 

「待った待った、全ちゃん!!」

 

 ピッコロとデンデがすかさず、時の界王神の前に立って向き合う。

 

「落ち着いてください、界王神様。全王様はあなたを消すために呼んだわけではありません」

 

「大丈夫ですから。実は、お頼みしたいことがあったのです」

 

 そんな三人のフォローがあってか、とりあえず時の界王神は表情を落ち着かせてグルグルと廻っていた目の焦点が合う。

 

「え? そうなの?」

 

 その問いかけに全員がコクリと頷いた。

 

「な、な~んだ。た、助かった~!」

 

 本気で安心している威厳のかけらもない少女に、皆が溜め息を一つ吐いた。

 

 ピッコロが要点をかいつまんで、此処までの状況を話すと時の界王神は愛らしい顔を思案気に歪める。

 

「なるほどね。確かに一つの歴史の流れが大きく歪んでしまって修正できなくなっている世界があったわ。こちらもタイムパトローラーを使って修正しようとしたんだけど、その歴史だけは無理だった。介入するどころか世界の中に入ることが出来ないなんてはじめてよ」

 

「タイムパトローラー?」

 

 ベジータの問いかけに時の界王神は、どこか気さくな表情で答えてくれる。

 

「世界にはね、正しい時の流れっていうのがあるの。本来の歴史って言うべきかな? たとえば悟空くんが地球育ちのサイヤ人で、君を倒した過去。君と悟空くんが戦いのライバルとして生きている今、これがほとんどの世界で起こった正しい歴史」

 

 しかし、と時の界王神は続けた。

 

「本来の歴史の流れに、その歴史の外から来た者が介入して歴史を変えてしまうことがあるの。これを時空の歪みと私は呼んでるわ。君の息子のトランクスが、心臓病で倒れるはずの悟空くんを助けるために未来からタイムマシンで薬を渡しに来たときとかね。それが良い方向に進むのなら放っておくけれど、どう考えても悪い方向にしか進まない場合、歴史を改変したものを排除して正しい歴史に戻すのが、タイムパトローラーよ」

 

 ベジータの表情が鋭くなる。

 

「息子がやったことは大罪だと、アンタも言うのか?」

 

 これに時の界王神は気にした風もなくあっけらかんと応えた。

 

「うん? ああ、ザマスの言葉ね。確かに人間が時を越えるのは罪かもしれないけれど、そんなことが出来る人間が居ることの方が私は驚いたわね~。でも、罪か~。なるほど~」

 

 なにやら一人納得したような表情でつぶやいて頷き、明るく笑いながら言った。

 

「それじゃ、罪なら償ってもらわないとね。ちょうど新しい人材が欲しかったところなのよ〜」

 

「ーー?」

 

 ベジータが訝し気に眉根を寄せる中、ピッコロが告げた。

 

「それで、時の界王神様。どのようにすれば俺達は、ザマスの編んだ理を抜けることが出来るのですか?」

 

「え? もしかして、あなた達。私でも介入できなかったザマスの世界に行くつもりなの?」

 

「ーー今頃かよ」

 

 今、聞いたとばかりに答える時の界王神に、ガクリと肩を落としながらブロリーが恨めし気に呟く。

 

 すると時の界王神が、眉根を吊り上がらせて怒鳴りつけた。

 

「やめなさぁああああい!!」

 

 甲高いキンキン声に悟空達の表情が歪む。

 

 それを気にするでもなく、時の界王神は続けた。

 

「いい!? あの世界は完全にザマスのモノになってしまってるの! 私ですら介入できない完璧な世界の理よ。それを打ち破るなんて下手をしたら他の次元にまで影響を与えるかもしれない。それに仮に行けたとしても、世界の理を歪めるような力をずっと放ち続けるなんて、自殺行為だわ!!」

 

 脅しでもなく本気の表情の時の界王神に、悟空が悔しそうな表情になる。

 

「じゃ、やっぱ無理なんか? オラ達は、トランクス達を助けらんねえのか!!」

 

 これに時の界王神が表情を変える。

 

「ちょっと! トランクスって! トランクスはあの世界にいるの!?」

 

「え? あ、ああ」

 

 悟空の驚いた表情を受け、時の界王神が絶望した表情に変わる。

 

「なんてことなの! あの世界は、歪みが強すぎてもう元には戻れない。全王様に消され、時の理から外れた。いわばもう一つの時の都なのよ! いいえ、生者も死者もないあの世界は生きている者さえ取り込んで自分の一部にしてしまう虚像の世界!!」

 

「ど、どうなるんだ? 取り込まれると」

 

 ベジータの問いかけに、時の界王神は真剣な表情でベジータを見上げて来た。

 

「世界の一部になるのよ。ザマスの世界の一部となって、永遠に在り続けるだけの不変の存在になる。そんな世界に在ればゆっくりと狂っていくわ。どれだけ強靭な精神を持っていてもね。仮に世界の一部になってしまったら、気が狂う前に他の次元に行けたとしても、ザマスの支配からは逃げられない。周りが変化していく中、自分は永遠に変わらずに絶望して正気を失う。そしてザマスの一部となった存在は逃れた別の世界をもザマスの支配下に侵食させていくのよ。自分の意思に関わらず、ね」

 

「そ、それでは、トランクス達を仮に現代の世界に連れて来れても。助けたトランクス達が原因でこの世界までザマスの支配下になると?」

 

 ピッコロが焦りながら問いかけると、時の界王神は静かに頷いた。

 

「そうよ。そんな異形の世界がザマスなのよ。あなた達、それでも本気でザマスの世界に闘いを挑みに行くつもりなの?」

 

 改めて時の界王神は悟空達を睨みつけるように問いかけた。

 

 これに孫悟空が怒りの表情を浮かべる。

 

「父ちゃんと悟飯、ターニッブやガーキン達もあの世界には居んだ。それにオラ、ザマスを許せねえ!!」

 

「ーートランクス達が世界の一部に取り込まれる前にザマスを倒せばいいんだろ? 俺達に任せておけ!!」

 

 悟空に応えるようにベジータも叫んだ。

 

 これに満足そうに全王は微笑む。

 

「ーーうん。悟空達なら出来るのね。クロノア。悟空達に君のポタラを貸してほしいのね」

 

「! 全王様!? もしや私をお呼びになったのは、彼らに私のポタラを使わせるために?」

 

「うん! 他の界王神達のポタラじゃ、悟空達の力に耐えられないけど。君のなら出来るよね」

 

 全王の言葉に悟空が目を見開いた。

 

「え? ポタラ? 合体すんのか!」

 

「ベジットーー! そうか、究極の肉体とはベジットのことか!!」

 

 ベジータが納得したような表情に変わり、全王が頷く。

 

「悟空とベジータ君が合体したベジットなら、ザマスを倒せると思うよ。死者の意思が肉体を真似て多次元世界にまで及ぼす影響を与えた、あの力なら」

 

「た、たしかに私のポタラならベジットを作り出して時間制限無しで闘えますけど。でも、ポタラを破壊されたらお終いですよ!? その瞬間、合体が解けます!! ザマスだって合体戦士の特徴は分かってるはずですし」

 

 渋る時の界王神から目を離し、全王は悟空とベジータを見つめた。

 

「一つだけ約束してほしいなぁ」

 

「「?」」

 

 首を傾げる二人のサイヤ人に向かって全王は微笑んだ。

 

「絶対、勝って戻って来てね。悟空、ベジータ君」

 

「おう! 任してくれ!!」「必ず、ザマスを倒す!!」

 

 二人の固い意思を確認し、全王は再び時の界王神に目を移す。

 

 孫悟空とベジータの表情を確認した時の界王神も、静かに自分の耳からポタラを外した。

 

「いい? 合体を解きたければポタラを外せばいいけど、壊されたら二度と合体できないからね? 気を付けて行くのよ」

 

「ああ! ありがとな、時の界王神様!」「いくぞ、カカロット!!」

 

 二人は同時に『時のポタラ』を付け、二つの光に変化する。

 

 そのまま磁石のように引き寄せられ、二つの光は一つに重なり、濃紺の道着を着た逆立つ黒髪に二房の前髪を垂らしたサイヤ人が現れる。

 

「ーーベジット」

 

 ブロリーが静かに彼の名を呼ぶと、ベジットは己の肉体を見下ろして笑った。

 

「「よっしゃぁああ!!」」

 

 通常の黒髪の状態でありながら、とてつもない気を放つベジットにピッコロが目を見開いた。

 

「こ、これがベジット? 桁が違う!!」

 

「ーーフン。相変わらずのパワーだな」

 

 やや不快そうにブロリーが告げると、ベジットはニヤリと返す。

 

「「お互い、死者の意思が作り出した偽者には苦労させられたな」」

 

「ーー全くだ。カカロット、ベジータ。俺の分まで頼んだぞ」

 

「「ああ。俺たちに任せとけ!!」」

 

 ブロリーの突き出した拳にベジットも合わせる。

 

 これにピッコロも拳を合わせた。

 

「時の階段は未来世界に繋がっているはずだ。理の壁を今の貴様達なら抜けれるだろう。未来を頼んだぞ」

 

「「ああ」」

 

 戦士達の期待を一身に預かり、ベジットは静かに笑う。

 

 これに時の界王神が語り掛けた。

 

「そこはこの時の界王神ちゃんに任せて! 貴方を送り届ける道くらい作れるわ」

 

 言うと白い世界に黄金の裂け目が生まれる。

 

 満足そうにそれを見た後、時の界王神はベジットに目を向けた。

 

「その代わりーー必ず無事に帰ってくるのよ?」

 

 これに親指を立てた後、ベジットは笑った。

 

「「サンキュー! 時の界王神様!!」」

 

 白い気を纏い、ベジットは一気に気を高めた。

 

「「待ってろよ、皆!! 今、行くぞ!!」」

 

 そう言い放ち、ベジットは時の界王神が作り出した時空の道に突っ込んでいった。

 

ーーーー

 

 黄金の髪に黒の瞳孔が現れた翡翠眼をしたベジットは、静かにザマスを見据える。

 

 これに同じ髪の色と瞳をしたザマスは鋭く目を細めた。

 

「ーーなるほど。過去の世界の全王が時の界王神を呼び、貴様を此処に寄越したわけか」 

 

「「そう言うこった。さ、遠慮は要らねえぜ? 今の俺に時間制限なんてねえからな」」

 

「フン。そのポタラが弱点だと聞いたが? 何故、そこまで話した?」

 

「「ーーいいハンデだろ?」」

 

 世界の意思となったザマスを相手にしても、その不敵さは変わらない。

 

 絶対の自信と態度、そしてそれに納得せざるを得ない力を持つのがベジットだ。 

 

「神を挑発していいのか? 後悔することになるぞ…!」

 

「「ーーさせてみろよ」」

 

 笑みを消した両者。

 

 瞬間、気が爆ぜて立っていた二人が消える。

 

 互いの中央でぶつかり合い、気を桁が違う倍率で無限に高めて行く両者。

 

「こ、これほどだと? 今のベジットの力は、もしかしたら天使をも凌駕している?」

 

「し、信じられない。ザマスの編んだ理の世界で、これほどまでの力を放つと言うのか」

 

 シンとゴワスがつぶやく中、雷が起こり次元が歪む。

 

 圧倒的なパワーとパワーのぶつかり合いは、ザマスが編んだ不変の理にすらも影響を与えるようだった。

 

 これに究極17号が気付き、目を見開く。

 

「まずい、せっかくの理がベジットとザマスのパワーで歪められ始めている。ザマス! まともに勝負するな! ベジットの狙いは、超パワーのぶつかり合いによる理の破壊だ!! お前がまともにやり合えば、全王から奪った世界に綻びが出始めるぞ!!」

 

 ベジットの拳を掴み止め、ザマスは無表情のまま炎のように燃える瞳を超17号に向ける。

 

「ザマス!?」

 

「悪く思うなよ、17号。だが、人間から挑まれて逃げる弱き神など、不要だ!!」

 

 言うとザマスの足先にロゼの光刃が纏う。

 

 拳を掴み止めたまま、次々と蹴りを放つザマス。

 

 瞬間、ベジットはブルーのオーラを右拳に宿し、掴み止められた左拳をそのままに、上段、中段、下段に放たれた蹴りを拳部分で受けて防ぎきる。

 

 目を見開くザマスの横面に、そのままストレートを放つベジット。

 

 ザマスは拳が当たる瞬間に首を横に捻って威力を殺す。

 

 そのまま接近した両者は膝蹴りを互いにかち合わせて後ろに離れ、ザマスがベジットの左拳を離して右拳を握ってロゼの炎を纏わせると、ベジットも同時に右拳にブルーのオーラを纏わせる。

 

「うぉおおおっ!!」

 

「「つぅおりゃあっ!!」」

 

 叫び合う両者の気迫に応えるように黄金の炎が高まり、界王神界に響き渡る。

 

「流石だな、ベジット。だが、たった二人のサイヤ人が合体しただけの貴様が、世界そのものと融合した私に届くなど、許される事ではないぞぉおおっ!!!」

 

 パワーを更に引き上げるザマスだが、ベジットも一歩も退かない。

 

「「ククク、最高だ。こんなに楽しい闘いが出来るなんてよぉ。やっぱ、オメエは俺の期待どおりの男だ。ターニッブに真っ向から勝つだけあるぜ。だがよ、勝負に勝つのは俺だぜ、ザマス!!」」

 

「吐かせ、ベジット!!!」

 

 お互いの黄金のオーラが天井知らずに高まり、不変の理を破壊して大地が起こり、空がひび割れていく。

 

 それでもザマスは退かない。

 

 ベジットの不敵な笑みに対し、ザマスは歯を食いしばり挑む。

 

 その真っ直ぐな打ち込みに、ベジットは心から笑みを浮かべている。

 

 同時に弾け飛ぶ首。

 

 構わない、両者は構わずに殴り合う。

 

「何をしてるんだ、ザマス!? それだけの腕と力があればベジットのポタラを破壊するなど造作もないだろ!?」

 

「すまないが。少し、静かにしてくれ」

 

「なんだと!?」

 

 超17号の目の前には、体力と傷が全快した白い道着のサイヤ人、ターニッブが立っていた。

 

 青白い波動を練り上げ、気を纏う。

 

 その力に、超17号は金の髪を靡かせてアイスブルーの瞳で訝しげに睨みつけた。

 

「…もう全快しただと? バカな。いくら界王神の付き人の力でもアレだけ消費した力を、こんな短時間で?」

 

 ターニッブは爽やかな笑みを浮かべて超17号を見つめた。

 

「あんな闘いを目の前で見せられたんだ。心が熱くなってジッとしては、いられない!!」

 

 真っ直ぐな瞳でターニッブは、超17号を見つめる。

 

「ーー俺と闘ってくれないか?」

 

 これに超17号が冷たい笑みを返した。

 

「いいだろう。そんなに俺の力が見たいなら見せてやる」

 

 両手を突き出し、超17号が漆黒の雷の球を生み出して放った。

 

 同時、ターニッブも腰だめに構えた波動を一瞬で放つ。

 

 両者の間で、二つの光がぶつかり合い相殺した。

 

「…俺の地獄玉を相殺した、だと?」

 

 目を見開く超17号に対し、ターニッブは拳を握って斜に構える。

 

 静かにリズムを刻みながら、ターニッブは告げた。

 

「お前の力は、こんなものか? 悔しかったら、本気を出せ!!」

 

 これに超17号がニヤリと笑みを浮かべる。

 

「調子に乗るなよ、サイヤ人!!」

 

 赤黒い気を纏い、超17号が力を引き上げる。

 

 対するターニッブは、黒帯を締め直して告げた。

 

「かかって来い!!」

 

 更なる闘いの火蓋が切って落とされようとしていた。

 

 




ふー、やっとここまで来たか(;´・ω・)

次回は、明日の午前7時です。

よろしくお願いいたします(≧▽≦)
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