悟天とターニッブの話を描いてみました(*^^*)
楽しんでください(*^^*)
エクシア00さん、ありがとうございました(*^^*)
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白い道着を着た自分の父親や祖父と瓜二つの男。
彼と初めて会ったとき、孫悟天少年は目を大きく見開いていた。
父や祖父に似ているけれど、違う。
飾り気がなく無口で、それでも真っ直ぐな黒い瞳は雄弁に語っていた。
彼の魂の熱さを。
「この人が、お父さんの言ってた強い人…!」
青年が家を訪ねて来た日を孫悟天は忘れないだろう。
自分たちの持っている強さとは違った、心の力を持ったサイヤ人との出会いを。
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「お願いだよ、お母さん!! 僕、もっと強くなりたいんだ!!!」
その日の晩に自らの母に必死になって頼み込んでいた。
「悟天ちゃんが、修行なんかする必要ねえだ!!」
そう言って厳しい顔をした母のチチは、悟天を抱きしめながら告げる。
「いいだか? オメエはまだ子どもなんだ。悟飯の時もオラは反対してたんだ。セルん時は悟空さよりも悟飯が強くなっちまっただから、仕方ねえけんど。オメエはダメだ。子どもは、子どもらしくしてりゃあええだ!」
「でも! 僕は強くなりたい!! 強くなって、お母さんを守りたいんだ!!」
父の悟空や祖父のバーダックは強い。
彼らならば、どんな事があっても地球を守り抜いてくれるだろう。
だったら、自分は母を守りたかった。
ヒットに孫悟空が殺されたと思った時、敵討ちと共に悟天は考えたのだ。
父は闘いが大好きだ。
だからこそ、普通の生き方はできない。
妻や子を想う気持ちは強いけれど、同時に強くなりたいという願いを捨てられないのだ。
「お父さんやお祖父ちゃんみたいに、強くなって。誰よりもお母さんを守りたい!!!」
「……悟天」
真っ直ぐな少年の想いにチチは微笑んだ後、抱きしめた。
「大丈夫だ。オメエのおっとうの悟空さは、誰よりも強え。オラもオメエも守ってくれるだ。だから、オメエは普通の子どもとして生きてけろ」
「でも! お父さんだって負けちゃうこともあるんだよ!!」
「…悟天」
真っ直ぐに悟天はチチを見上げる。
「お父さんが負けちゃったら、誰がお母さんを守るの? お祖父ちゃんだって、お父さんと同じだもん。いつかは負けちゃうかもしれない。死んじゃうかもしれないんだよ!!」
止められないと悟天は幼心に知っている。
自分の父親や祖父は、強いモノと戦うことを望んで、いつかは死ぬだろう。
破壊神ビルスの時、殺し屋ヒットの時、父はいつだって逃げなかった。
死ぬことよりも逃げることを嫌がった。
逃げるよりも負ける方を選んだ。
悟天は、それを傍で見て来た。
「兄ちゃんが今まで僕らを守ってくれてた! でも、兄ちゃんにはパンちゃんやビーデルさんが居るんだ。今度は僕がお母さんを守る番だから!!」
「……だめだ」
「お母さん!!」
真っ直ぐにチチは悟天を見下ろして告げる。
いつものように喚くのでなく、膝を曲げて悟天と視線を合わせて肩を抱き静かに口を開いた。
「悟天? オメエ、オラを守るためだけに強くなるんか? それでオメエのおっとうや爺様に追いつけると本気で思ってるんだか? だったら、悪いこと言わねえだ。やめておくだ」
真剣なチチの言葉に思わず悟天は目を見開く。
「どうして?」
「オラの旦那の悟空さは、修行馬鹿だ。強くなりてえって一心で自分を鍛え上げてるだ。確かにセルやフリーザみてえな化け物と戦って地球を守るために悟空さは修行してる。けんど誰かを守りてえとか、そんな気持ちを修行中の悟空さは考えてねえ。強くなりてえってだけなんだ。だから、悟空さは強ぇんだ」
微笑むチチの姿は泣いているようにも見える。
「どんだけ言ってもよ、悟空さは止まってくんねえ。けんどよ、オラは知ってる。自惚れじゃなくオラや悟天。悟飯のことを悟空さは大好きなんだ。だからオラ達のところに戻って来てくれる、悟空さの帰る場所はオラ達なんだべ。悟空さのお父様もきっと、同じだべ」
母は静かに笑みを消して、真剣な表情で自分を見下ろしてきた。
「そんな二人にオメエ、誰かのために強くなろうなんて半端な考えで追いつけるなんて本気で思ってるだか?」
幼い少年に、チチの言葉はどれだけ伝わるかは分からない。
だけど、チチの複雑な想いを悟天は感じ取っている。
「今日、僕の家を訪ねて来たターニッブさんを見て思ったんだ。あの人もお父さんと同じだって。それでね、お母さん?」
「分かってるだ。そうか。悟天、分かっちまただか。ターニッブさんが悟空さと同じだって」
「分かるよ!!」
悟天は拳を握り締めて叫んだ。
「あの人、どっかで死んじゃうような気がするんだ!!」
強い。
誰よりも強い意志を感じる瞳。
力だって、おそらく悟天など足下に及ばないのだろう。
それでも、それでも。
ターニッブと言う男は、死を厭わない。
それは具体的にイメージとして悟天に伝わった。
彼とはじめて出会った時、悟天の頭の中にはビルスにKO寸前まで追い詰められた悟空の姿が。
殺し屋ヒットに心臓を止められた時の悟空の姿があった。
理屈でなく感じたのだ。
どれだけ強くても、どれだけ信念を貫いても。
死を恐れない悟空の姿。
普段、明るくて優しい悟空の姿に惑わされていた。
悟空とターニッブは本質が似ている。
「そうか、悟天。オメエ、ターニッブさんを見て感じちまったんだな。いつかは、悟空さが死んじまうことを」
「……うん」
「悟空さが何も気にせず、誰よりも強くなるために。オメエが強くなってオラを守れるようになれば…! だからオメエは強くなりてえんか?」
「うん…!!」
涙をにじませて頷く悟天少年。
腕の中の少年は幼い見た目でありながらも、いつの間にか大きくなっていたとチチは気付く。
そしてーー
「分かっただ、悟天。けんど、これだけは約束してけろ。オメエは、悟空さ達と同じになるんじゃねえだ。オメエはオメエのおっとうを超えるだよ」
力強い母の言葉に、孫悟天はコクリと頷いた。
ーーーー
パオズ山の平野で。
悟空とバーダックが見守る中、ターニッブを前に悟天は山吹色の道着を着て立っていた。
「おいカカロット? 悟天の修行。よくチチが認めたな」
「ああ、オラもよく分かんねぇけど。悟天が強くなりてえって言ったらしいんだ」
「んで、悟天はターニッブを指名すんのか? 俺が幾らでも強くしてやんのによぉ」
「ははっ。オラも父ちゃんも残念ながら、今回は見学だな」
父親として複雑そうな表情で悟空は笑いながら言う。
彼としても、折角の息子のやる気を自分で鍛えたかったのだ。
バーダックも肩をすくめてターニッブを見やった。
「よろしくお願いします!!」
「受けて立とう…!」
悟天は小さな体に似合わぬパワーとスピードでターニッブの正面に踏み込み、右ストレートを顔に放つ。
軽く右に流されたのを見ることもなく、がむしゃらに左右の拳と蹴りを放つ悟天。
その必死な姿勢と真剣な様子に、悟空とバーダックは目を見開く。
「悟天のヤツ、いってえ何があったんだ?」
「…ああ。昨日までとは別人だ」
強烈なラッシュを見事に捌きながら、正面に来た拳を掴み止めて両者は止まる。
真っ直ぐな悟天の瞳にターニッブは真剣な表情を穏やかに緩めて笑った。
「いい拳だ。それにーー良い目をしている」
真剣な表情の悟天に、ターニッブは静かに告げた。
「何か、強い決心をして来たようだな」
「! どうして、分かるの?」
目を見開いて構えを解く悟天を静かに下ろし、ターニッブも微笑みながら告げる。
「君の拳が語っている。俺には、この拳だけが全てだ。だから分かる。誰かを守りたいという想いと、強くなりたいと言う願いを」
「……!!」
目がこぼれんばかりに更に見開く悟天の前に、ターニッブは頑強な拳を突き出した。
「誰かのために強くーー。その熱く純粋な想い、確かに受け止めた!!」
優しく穏やかな風が悟天の目の前を流れていく。
木の葉が、ターニッブの突き出された拳の上に応えるようにそっと置かれた。
「さあ、かかって来い!!」
拳を引いて構えるターニッブに悟天は震えている。
拳が震え、気が高まり溢れていく。
「うわぁああああああっ!!!」
幼い少年の咆哮が鳴り響き、金色のオーラが彼から溢れ出る。
悟空とバーダックは、表情を真剣なモノに変えて悟天を見ていた。
「悟天、オメエ。オラのためにーー?」
「…孫に気を遣われちまうとはな」
先の咆哮に悟空とバーダックは何かを感じていた。
金色の戦士・超サイヤ人となった少年を見据えて、ターニッブは風の拳を構えた。
「うわぁああああああ!!! 僕は、強くなる!! お父さんやおじいちゃんが、誰よりも強くなるために!! 僕が母さんを! 皆を守るんだぁあああああああ!!!」
「ーーーー来い!!」
溢れる想いと闘気を纏って、悟天は拳を繰り出した。
強烈な思いがパオズ山の平野で爆ぜる。
バーダックが締め付けるような胸の痛みに思わず歯を食いしばって拳を握り、隣の悟空は耐え切れずに声を喉が張り裂けんばかりに上げた。
「! 悟天…! 悟天ぇえええええええんっ!!!!」
悟空の絶叫が響く中、光が収まり、白い道着を着た青年の腕の中に、穏やかな顔で眠りにつく少年の姿があった。
ターニッブが、こちらを見る父と息子に顔を向けて力強く頷く。
「悟空、バーダック。この子は、強くなるぞ」
その言葉に悟空は弱ったような、泣きそうな、けれど明るい笑みを浮かべて告げた。
「ああ。オラの子だかんな!!」
「…当たりめえだ、俺の孫だぞ」
隣のバーダックは、前髪で目元を隠しながら微かに震える声で告げる。
そんな二人の親子を見つめてターニッブが穏やかに笑い、悟天を大切に抱えたまま、一歩。
二人に向かって歩き出した。
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