ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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 この話は、映画ブロリーのネタバレを含んでおります。

 それでも良い方は見て下さい(´・ω・)

 苦手な方は、何度も言いますがブラウザバックをするのです(>_<)

 では、ついて来れる方は夢を詰め込んでくださいね!(^^)!


エピソード・オブ・超ブロリー
小惑星バンパでの激闘


 

 荒廃した惑星。

 

 常に吹き荒れる嵐のせいで植物など育つはずもなく、黄土色の地面と緑色の空。

 

 地平線まで続く枯れ果てた荒野と岩山の群れ。

 

 世界には、巨大で丸いダニのような生物と、山のように大きな緑色の獣しかいない。

 

 それ以外の世界を彼は知らない。

 

 彼は空を見上げている。

 

 背丈は2メートルを優に越え、首から下は逞しい仁王像のような無駄のない引き締まった筋肉を持っている。だが彼の表情は、どこか幼い。

 

 長い黒髪に鋭い黒目、左頬に傷を負った黄色人種のような肌の青年。

 

「……! 呼んでる?」

 

 その声は、笑っている。

 

 楽しそうに笑っているように、彼には聞こえた。それもーー自分によく似た声で。

 

 知りたいと思った。

 

 世界には、父さんと自分とバァとその仲間しかいない。他には食料となるダニの群れ。

 

 それ以外は、動くものを知らない。

 

「……誰、だ? お前は……?」

 

 黒い瞳を閉じて、彼は思う。

 

 笑い声の主を。

 

「ブロリー!」

 

 自分の名を呼ぶ声に、彼ーーブロリーは背を振り向く。

 

「何をしている? 訓練の時間だ!」

 

 左目を失った白髪の男ーー父が、言ってくるのをブロリーは頷く。

 

「……は、い」

 

 今日も厳しい訓練が始まる。生き延びるだけでも相当過酷な環境にある小惑星で。

 

 バァと鳴く巨大な緑色の獣を相手に訓練を続ける。自分の初めてできた友達のバァは、二度と自分と仲良くなってくれない。

 

 怒るバァを見て何もできない。

 

 長い首を伸ばして巨大な口を開けて俊敏に獲物を狩る獣を相手に攻撃を躱し、受け、跳ね返す。

 

「いいぞ、ブロリー! その力だ! その力さえあれば、俺たちはーー俺は!! 復讐が出来る!!」

 

 生き延びてみせる。どれだけ老いても、どれだけ衰えても生き延びてみせる。

 

 ベジータ王に復讐するまでは。

 

 恐怖に引きつらせて、命乞いをする王を見るのはさぞ、気分が良いだろう。

 

 狂気の笑みを浮かべて、隻眼の老サイヤ人は笑っていた。

 

ーーーー

 

 広大な宇宙。

 

 闇にあって輝く星の海を漂う巨大な円盤型の宇宙船。

 

 たった4人からなる最強の部隊の頭目は、宇宙を恐怖で支配するコルド一族の血を引いている。

 

「クウラ様!」

 

 水色の肌を持った美形の男が声を上げる。これにクウラと呼ばれた紫色と白の肌を持つ人型のトカゲのような宇宙人は閉じていた真紅の瞳を開いた。

 

「どうした、サウザー?」

 

「はっ! フリーザ軍のものと思われる古いSOS信号を受信したのですが。モニターをご覧ください!!」

 

「……?」

 

 見れば、モニター越しにも分かる荒廃した小惑星が映し出されていた。

 

「……94番恒星を周回する小惑星ーーバンパか。中々、過酷な環境にある星だと記憶しているが。その惑星からSOSが出されているのか。それがどうした?」

 

「はっ! 計測器やスカウターの故障とは思うのですがーー!」

 

 サウザーが映し出したのは、宇宙船のパワーレーダーだ。そこに、あの惑星に居るのであろう生命体の戦闘力が計測されて叩きだされている。

 

「ーー測定不能? ほぉ?」

 

 そこで初めて、クウラの顔に面白そうな色が宿る。

 

 長年、宇宙を航海してきたが、こんなことは初めてだ。確かに計測器の故障を疑うべきなのだろうが、そうではないとクウラの勘が告げている。

 

「サウザー。その計測不能の生命体以外の存在を計測器で測ってみろ」

 

「ははっ!」

 

 サウザーの眼が見開かれる。同時にクウラの笑みが強くなった。計測器の戦闘力は4200と出ている。

 

「どうやら、故障ではないようだな」 

 

「し、しかし、この計測器はクウラ様が直接、科学者たちに依頼して造らせた特注品です。クウラ様ご自身の戦闘力をも計測できるようになっているものがーー測定不能などと」

 

「ーー居るんだろう。俺よりも強い、何者かが」

 

 こともなげに言い捨てるクウラにギョッと目を見開くサウザーと同僚二人。

 

 面白い、と表情が言っている。

 

「フリーザが言っていたな。地球という星には超サイヤ人が居ると。あの生意気な弟の鼻をへし折ったソイツに興味はあるが。此処は、寄り道をするとしよう」

 

 楽しげなクウラにサウザー達が同時に頭を下げる。

 

 巨大な宇宙船が、荒廃した惑星へとゆっくりと降下を開始した。

 

ーーーー

 

 辺境の宇宙を飛ぶ中型の10人くらいで乗れる宇宙船(ふね)。

 

 操縦に要するのは1人だけだが、それも簡易なデータを入力すれば自動操縦に交代できる。

 

 黄色い肌のニット帽のようなものを頭に被った老人がモニターの宇宙図を確認しながら操縦している。

 

 その後ろでは少女の域を出て間もない緑色の肌に短い白髪の美しい女が居た。

 

「いくら人手不足とはいえ、新人で女のアタシや非戦闘員の老人を組ませて、こんな辺境にまで来させるなんて。フリーザ軍も、幸先よくないね」

 

 女が宇宙船の窓からのぞく星の海を見ながらボヤくと、老人が苦笑して応えた。

 

「ーー仕方ないだろう、人出不足は事実だ。昔のフリーザ軍は、この広大な宇宙の全てを支配していたと言っても過言じゃなかったが。今はなぁ」

 

「軍の早期再生のために戦闘員を秘境まで探して来い、かぁ。最低でも戦闘力1000を超えなければ要らないとか。贅沢過ぎるよね、レモさん」

 

 女のボヤキは本格的になってきた。

 

 これにレモが嫌そうな顔をした後、告げる。

 

「チライ、それくらいにしてくれ。少なくとも俺は、まだ死にたくない」

 

「大丈夫だって。フリーザ様も一々、アタシたちみたいな一般兵の会話迄盗み聞きしてやしないよ」

 

「……だが、フリーザ様を悪く言ったヤツは影で消されてるのは知ってるだろ?」

 

「そんなの噂だろ?」

 

「どうかなぁ。フリーザ様だからな、そんな些細な事でも消される可能性はある」

 

 などと会話をしていると、モニターに強大な戦闘力を暗示する表記が出る。

 

「? SOS信号? 大分、古いものだが」

 

「レモさん! 戦闘力!!」

 

「ん?」

 

 測定不能を叩きだすモニターにレモの眼が見開かれる。計測器の故障かと目を見開くが、強大な戦闘力は二つ。

 

 あの惑星に存在している。

 

「ーーど、どうしよう?」

 

「行こうよ! コイツ等をスカウトしちゃえば、アタシ達も帰れるんだからさ!」

 

「し、しかし!」

 

「ごちゃごちゃ言わない! 行くよ!!」

 

 チライが操縦桿を握り、一気に宇宙船を荒廃した小惑星へと向け急降下を始めた。

 

「た、助けてくれぇえええっ!!」

 

 レモの悲鳴が悲しげに響いている。

 

ーーーー

 

 二人が着陸したのは、SOS信号のすぐ傍だった。

 

 何十年も前の旧型の宇宙船が、乗り捨てられている。その運転席からSOS信号が出されていた。

 

 チライが外を確認していると、中からレモが出てくる。

 

「どう? 居た?」

 

「いや、誰も居ないな」

 

 そんな二人の左目に付けられているスカウターが機械音を鳴らして警戒をするように告げてくる。二人は、スカウターの反応した方向へ振り返り、手持ちの銃を構える。

 

「誰だ!!」

 

「撃つな! 俺はフリーザ軍だ!!」

 

 こちらに走り寄りながら白いマントを付けた旧式の戦闘服を着た白髪の老人が叫び返してきた。

 

 その言葉にレモが目を見開いて彼の尻から生えている猿のような尾を見つめ、気付いた。

 

「助かった……! もうダメだと、思った。本当に、長かった……!」

 

「サイヤ人? 珍しいな」

 

 横でチライがスカウターの戦闘力を表示させると。

 

「戦闘力4200。すごいけど、さっきの計測不能の持ち主じゃないのかな?」

 

「4200? 凄いじゃないか! さっそく宇宙船に乗ってもらおう!!」

 

 がっかりしたようなチライにレモが嬉し気に応えると、男を宇宙船に案内しようとする。しかし、男は応えた。

 

「待ってくれ、息子がいる。呼べば来るから、一緒に連れて行ってくれ」

 

「ああ、分かった」

 

 戦闘力4200など、今のフリーザ軍なら幹部クラスも固い。

 

 嬉し気なレモとは対照的に、チライはジッと男を見た後、周りを見渡す。

 

「ねぇ? あんたの息子、何処に居るのさ?」

 

 男はチライに向き直ると背筋を正して応える。

 

「俺はサイヤ人パラガス。息子ーーブロリーは、狩りに出かけているところだ」

 

「ーー狩り?」

 

 話し合う三人の前に、足音が聞こえる。

 

 パラガスは、足音の方を向き直り嬉しげに笑いかけた。

 

「ブロリー! 来たか!!」

 

 チライとレモがそちらに顔を向ければ、綺麗な戦闘服を着た三人組が立っている。左目にはスカウターが付けられており、明らかに遭難者ではない。

 

「えっと? 誰がブロリーさん?」

 

「ーーいや。誰だ、お前達は?」

 

 チライの質問に答えたパラガスの言葉に三人組は、嘲笑を返した。

 

「見ろよ、ドーレ? 戦闘力1万もないサイヤ人の雑魚と、論外が二人だぜ?」

 

「やはり計測器の故障だったな、ネイズ。クウラ様も気にし過ぎなんだよ」

 

 茶色の肌をした尖った耳を持つ爬虫類のような見た目の男に背中まで伸ばした長い黒髪に緑色の肌を持った男が応える。

 

 水色の肌に白に近い黄色の髪をした男は、彼女らを見比べた後に告げる。

 

「いや、クウラ様の勘が外れることなど滅多にない。少なくとも、俺がクウラ様にお仕えするようになってからは一度もない」

 

「だけどよ、サウザー。コイツ等の戦闘力じゃ、この惑星で生きていくのも危ういぜ?」

 

「つまりーーコイツ等以外に居るってことだ」

 

 ドーレに応えながら スカウターを展開して探す。大きな戦闘力を持った者を。

 

 ネイズと呼ばれた男がパラガスを向いた。

 

「そういや、お前サイヤ人だな?」

 

「そうだが……!」

 

 困惑気味に応えるパラガスに頷いた後、彼はチライとレモを向く。

 

「で、お前らはフリーザ様のところの下っ端か」

 

「なんだよ、感じ悪いね!」

 

 歯を剥き出しにして応えるチライの横からレモが問いかけた。

 

「す、すまない。俺はレモ。フリーザ軍に長年勤めている。その俺でも聞いたことが無いんだが。そのクウラ様とか、アンタ等はいったい?」

 

「ーークウラ様を知らんのは無理もない。あの方は表に出たがらないからな。クウラ様は、フリーザ様の兄だ」

 

「な、なんだって!!?」

 

 淡々と説明するサウザーに対し、驚愕するレモ。これにドーレが笑う。

 

「いいね。そういう反応を待ってたよ。で、俺たちはーーああ、テメエらの軍で言うおちゃらけ軍団、じゃねぇ。ギニュー特戦隊だったか? そいつらより上のクウラ機甲戦隊だ」

 

「試しにスカウターで測ってくれていいぜ?」

 

 ネイズも冗談気味に告げてくる。これに素直にチライが計測する。

 

「う、嘘。三人ともーー10万を超えてる?」

 

「な、なんだって?」

 

 レモが思わず測定すると本当に三人の戦闘力は10万を軽く超えていた。信じられない現象にパラガスも目を見張っている。

 

 そんな三人の下に、一人の青年が空を飛んで現れる。

 

 彼は上半身を裸にしており、体中に切り傷を付けている。腰には大きな緑色の毛皮を巻いていた。

 

「ーー奴か」

 

 冷たい目を光らせて、サウザーが呟く。

 

 ドーレとネイズも闘志に目を見開いた。

 

「……ブロリー!!」

 

 チライが思わず自分達の目の前に背を向けて立った凛とした黒髪の青年、ブロリーをジッと見る。

 

 鋭い目を細めてブロリーは、サウザー達を睨みつける。

 

「ネイズ、ドーレ。コイツだ、間違いない」

 

「……!本当だ、スカウターで計測できねぇ」

 

「流石、クウラ様。勘が冴えていらっしゃる」

 

 三人はブロリーに向かって構えを取る。これにパラガスが叫んだ。

 

「ま、待て! 何のつもりだ!?」

 

「決まっているだろう? その男がクウラ様のお眼鏡に適うのか、俺たちで見極めるのさ!!」

 

 だが、その時声が響き渡る。

 

「余計な真似をするな、サウザー!!」

 

 その低い声は決して居丈高ではない。

 

 それでも、この場に居る者たちを全員金縛りにする何かがある。見上げれば、巨大なフリーザの船と同型の宇宙船が空に浮かんでいる。

 

「ほ、本当にーーフリーザ様の兄?」

 

「クウラ様!!」

 

 その姿を見れば、一目瞭然だった。今のフリーザと瓜二つの姿をした180を越える背丈の男がいる。

 

 男ーークウラは、かしずくサウザー達三人には目もくれずにブロリーを見つめている。

 

「ーー構えろ」

 

「----っ!!」

 

 全身の毛を逆立てて威嚇する獣のようにブロリーは唸りながら、歯を剥き出しにしている。

 

 冷たい真紅の瞳に笑みを浮かべてクウラは両手を広げる。

 

「来い!!」

 

 それだけだ。それだけで、ブロリーが白い気を全身に纏わせてロケットのようにクウラに突っ込んだ。

 

「ま、待て! ブロリー!!」

 

 パラガスの制止の声を、無視してブロリーが拳を打ちこむ。

 

 クウラはそれを片手で掴み止めた。

 

「………ッ!!」

 

「どうした? 本気を見せてみろ」

 

「ぐぉおおおおお!!」

 

 クウラの挑発に応えるように左拳を打ちこんでくるブロリー、それを右手で弾き、左拳を打ち返すクウラ。まともに顔面に喰らいのけ反るブロリーだが、すぐに顔を元の位置に戻して殴り返してくる。

 

 強烈な拳と蹴りを交換する両者。ブロリーの拳がクウラのガードの上に叩きつけられ、拳圧に押されて彼の足が後方に引き下がる。

 

 その場で打ち合いに応じていたクウラの眼が細められる。

 

(パワーが少しずつ上がっている。しかも、学習能力も素晴らしい)

 

 自分の動きを真似てきている。ただ、真似るだけではない。自分のものにして吸収しているのだ。どのように使えば効率よく相手に叩き込めるか、を本能的に理解している。

 

 獣のように、生まれながらに狩り方を知っている。しかも、相手の動きを吸収して進化する。

 

(どこまで上がる?)

 

 笑みを強めてクウラはフットワークを見せ始める。

 

 ブロリーが変わらずに猪のように突っ込めば、闘牛士のように紙一重で横に回り込んで躱しながら拳と蹴りを急所に叩き込む。

 

「ぐあぁ」

 

 悲鳴を上げて後方にのけ反るブロリーを更に踏み込んで腹に拳を叩き込み、前のめりになった体を長い尾で錐揉みに回転させ、 足首を掴んで地面に投げ飛ばす。

 

 地面で転がりながらブロリーが四つん這いになって着地する。

 

 姿勢を低くして下から潜り込むようにブロリーは、超スピードでクウラに接近する。これをクウラは人差し指に赤い光を灯すと放ってきた。

 

「うぐぅ!?」

 

 思わず撃たれた右腕を押さえるブロリーの、左腕を打ち貫く。更にクウラの光は両足を打ち貫いた。

 

 煙を上げて前のめりに倒れながら唸るブロリー。首だけをクウラに向けて睨み上げてくる。

 

 これを愉快げにクウラは見下ろしている。

 

「フン、怯えすら見せんーーか」

 

 笑うクウラを見上げてゆっくりとブロリーが立ち上がる。その瞳が金色に輝き始めている。

 

「よせ、ブロリー!! それ以上はダメだ!!」

 

 変化に気付いたパラガスが叫ぶ。これにブロリーが目をパラガスに向ける。

 

 リモコンを取り出している。そこに怯えの色を見せたブロリーにクウラが鋭く目を細めてからパラガスに目を向ける。

 

「ーーおい」

 

「は! 私はーー」

 

「邪魔だ」

 

 目から怪光線を放ち、クウラは簡単にパラガスの持ったリモートコントローラーを消し飛ばした。

 

「うわぁ!」

 

 手に持ったリモコンが爆発し、パラガスの左手から血が流れていく。

 

「さあ、続きだ」

 

 淡々とした声でクウラは傷ついたパラガスを見向きもせずにブロリーを見下す。

 

 瞬間だった。

 

「ーーお父さんを、傷つけたな」

 

「それがどうした?」

 

「許さない……!!」

 

 ブロリーが立ち上がり、金色に輝く瞳をクウラに向けて睨みつける。強力な緑色の気が彼の手首や膝を打ち貫いた筋や腱を再生させていく。

 

 黒髪が天に向かって逆立ち、炎のような形を取る。

 

 クウラは全身に青白い気を纏わせると構えた。

 

「ーー許さなければ、どうする?」

 

「倒す!!」

 

「出来るか? お前に」

 

 瞬間、ブロリーがクウラに突撃した。

 

 右の拳を大きく振りかぶってブロリーの拳がクウラに迫る。受け止めるクウラは拳を返す。しかし、勢いに押されて後ろに下がってしまう。

 

 打撃を交換する両者だが、ブロリーの攻撃を受ける度にクウラの両足は後方へずり下がってしまう。

 

「なんだと? クウラ様が、パワー負けしている!?」

 

 サウザーが驚愕に目を見開く中、クウラ当人は淡々と拳を返しながらブロリーの左フックを右腕で受け止める。勢いに押されてクウラの躰が後方に下がっていくも止まる。

 

 瞬間、強烈な左拳がブロリーの顔を射抜いた。後方へ吹き飛ぶブロリーの背を更にクウラが高速移動で追いついてから蹴り抜く。

 

 荒廃した岩山に体を叩きつけられるブロリーに向かって更に掌を向けて赤い目を見開いた。

 

「バァッ!!」

 

 目に見えない気合がブロリーの躰を打ちのめして岩山を貫かせる。転がりながら岩山の向こうに着地したブロリーは雄叫びを上げた。

 

「ウォオオオ!!」

 

 緑色の気を炎のように燃やすと、一気に突っ込み岩山を消し飛ばしてクウラの前に現れる。

 

 瞬間、クウラも気を纏って拳を振りかぶった。

 

 またしても強力な打撃を交換する打ち合いを演じる両者。二人は円を描くように回転しながら上昇していく。

 

 フットワークを駆使して、自分に有利な位置に足を運ぼうとポジショニングしている。

 

 音速を超えるスウェイ(上体反らし)、左右のステップ、高速移動を駆使する両者は、先ほどまでの単純な打撃の交換ではない。

 

 相手の隙を見つけようと絶えず移動して、死角から打撃を放り込んでくる。

 

 ブロリーは獣のように叫ぶだけだが、その実は駆け引きやフェイントを理解して巧みに利用してくる。

 

 一度喰らった攻撃は、二度目は喰らわない。しかも自分の技術へと取り込んでいくのだ。

 

 純粋故に、彼は目にしたものを自分のものとして使えるのだろう。

 

 ついにクウラの顎が跳ね上がった。

 

 ブロリーの拳が、クウラの拳を避けた上でまともに入ったのだ。

 

(見切り始めたかーー。なるほど、コイツは想像以上だ)

 

 サイヤ人のような下等種にこだわっている弟には、失望のようなものを感じていたが。なるほど、これだけの事ができるヤツが他にも居るのならば、こだわる理由には充分かもしれない。

 

 クウラの全身に纏わるオーラがゆっくりと、紫色に変化を始める。

 

 仰け反らされたクウラにブロリーが拳を打ちこもうと接近してくるのを見つめ、顎を蹴り上げる。空中で後ろに回転しながら着地し、首を横に振って意識を取り戻しているブロリー。

 

 クウラはゆっくりと両手を広げる。

 

「これで限界ではあるまい? 見せてみろ、貴様の本気を!!」

 

「ウォオオオオ!!」

 

 叫びながら、ブロリーの気が上がる。対峙するクウラにはハッキリと圧力が増したのを理解できる。これにニヤリと笑みを浮かべて更に拳を打ちあう。

 

 この場にフリーザが居れば、兄の纏うオーラに目を見開いたであろう。

 

 彼の力は、金色のフリーザに匹敵している。それはつまり、神の次元にクウラが足を踏み入れていることに他ならない。

 

 超サイヤ人ブルーになった悟空やベジータとも殴り合えるほどに今のクウラは強くなっている。

 

 そのクウラとブロリーは全くの互角である。

 

 どちらも退かず、打撃を応酬し合っている。天が割れ、大地が起こっても二人には大した意味もないようだ。

 

 譲らない。クウラの拳がブロリーの腹を打ち貫けば、ブロリーの右拳がクウラの顔を捕らえる。

 

 笑ったのは、クウラかブロリーか。あるいは両方か。

 

 目を見開いて闘志と牙を剥き出しにしながら、その笑みは強くなっている。 

 

「悪い夢を見てるみたいだぜ。あの、クウラ様と互角だと……!」

 

「ああ。まさか、これ程とは……!」

 

 ドーレの言葉にサウザーも頷く。

 

 本当に互角なのだ。どちらも譲らない。交互に弾かれる首を見る。脚は止まっているが、顔は交互に弾かれる。

 

 だが、両者の打ち合いも徐々に差が出てきた。ブロリー の方が打ち合いに負け始めたのだ。

 

(純粋なパワーならば、クウラ様よりもサイヤ人の方が強い。だが、パワーだけで我等が仕えるクウラ様が負けるなどあり得ない!!)

 

 クウラの実力を知るサウザーだからこそ、彼の勝利を疑うことはない。

 

「す、スゲェ。こんなに凄いのかよーー!」

 

「や、やはりフリーザ様の兄ってだけはある。シャレにならんぞ。アンタの息子もーー!」

 

 チライとレモの言葉にパラガスは両膝を地面に着いた。

 

「もう駄目だ。ブロリーを制御できる術は、もうない。終わりだ、俺はブロリーに殺される」

 

 夢遊病者のように呟くパラガスにチライがムッとした顔で叫んだ。

 

「何を言ってんだ!?アンタが傷付けられたから、アイツは怒ったんじゃないか!!なんで、そんな事を言うんだい!?」

 

「ーーお前のような小娘に、サイヤ人を理解できるものか。親が子を利用し、子が親を殺すーーサイヤ人をな」

 

 諦めた表情で呟くパラガスにチライが目を見開いて怒鳴り付けようとした矢先。

 

 強烈な右ストレートがブロリーの腹を打ち抜き、右の上段回し蹴りが横面を捉える。

 

 グラつくブロリーに、クウラは情け容赦の無い怪光線を両眼から放ち、吹き飛ばす。

 

 強烈な衝撃波で岩壁にめり込むブロリーだが、クウラは更に右の前蹴りを放ってブロリーを壁の奥に押し込んだ。

 

「……グ、ゥゥ!」

 

 身動きが取れず暴れるブロリーにクウラは静かに口元から流れる血を拭い告げる。

 

「素晴らしい学習能力と闘争本能、そして戦闘力だ。だが、まだだ。貴様はまだ、自分の中に力を眠らせている」

 

「……っ!!」

 

 歯を食いしばり、牙を剥き出しにしてブロリーは目を見開く。動くなら今にも襲い掛かりそうな程の気迫を見せている。

 

 クウラは、しばらくブロリーを観察した後、彼を抑えつけている脚を退け、自分の身に纏うオーラを納めた。

 

「……?」

 

 目を見開いて不思議そうな表情に変わるブロリーにクウラは笑みを返す。

 

 先程までの冷たく嘲るようなものではない。心から認めた者に対する彼なりの敬意の現れだ。

 

「ーー気に入ったぞ、貴様」

 

 クウラは、それだけを告げると呆然とこちらを見るパラガス、チライ、レモを見つめた。

 

「お前ら、フリーザの部下か?」

 

 冷たい真紅の瞳に射抜かれ、チライとレモが震え上がる中、ブロリーを力でねじ伏せたクウラに対し、パラガスの反応は早い。

 

「如何にも!フリーザ様の下で働かせて頂いているサイヤ人、パラガスと申します!!」

 

「ーーほう?ならばお前の息子という、この男ーー。ブロリーもサイヤ人なのだな?」

 

「は、はい!!」

 

 背筋を伸ばして左腕を直角に曲げ、サイヤ人の最敬礼をするパラガスにクウラは瞳を細めて微かに苛立つように呟いた。

 

「似ても似つかぬーー小物が親か。まあ、いい」

 

 パラガスから目をチライ達に向ける。

 

「あ、あの。アタシらはーー」

 

「フリーザ軍の一般兵でして、戦闘はーー!」

 

 震え上がるチライとレモにクウラは真紅の瞳を閉じると言い放った。

 

「お前達、フリーザになど仕えずに俺の下に来い。報酬はくれてやる」

 

 その言葉と足下に投げ出された宇宙中で仕える白銀の延べ棒の束を見て、レモとチライは目を見開く。

 

「フリーザには、俺から言っておいてやる。別に気に入らなければフリーザの元へ帰るがいい」

 

 延べ棒を渡した以上、その後で彼らが何をしようと興味がない。立ち去ろうとするクウラをサウザーが止める。

 

「クウラ様! 納得行きません!! このような弱小の輩を部下にせずとも我等、機甲戦隊がーー!!」

 

「…勘違いするなよ、サウザー。機甲戦隊には機甲戦隊の役割がある。其奴らには、其奴らの役割が出来たのだ」

 

 壁からゆっくりと出て来るブロリーの瞳は黒目に戻り、逆立っていた髪は下ろされている。

 

 そんな彼を見て、クウラはニヤリと告げた。

 

「お前ら、ブロリーと共に俺の船に乗れ。面白い奴らに引き合わせてやろう」

 

 クウラの脳裏には、フリーザから教わった地球という星にいるサイヤ人の事が浮かんでいた。

 

「…一度見てやるか。弟が敗れた超サイヤ人とやらをな」

 

 楽しげなクウラの言葉の意味を理解できる者はいない。

 

 ただ、ブロリーだけは目を丸くして地球という聞いたことのない星のことを、知っている気がするのだった。

 

 

 




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次回も、お楽しみに!(^^)!
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