ギレンの野望?なんだそれは・・・   作:国連宇宙軍

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今回は、話が短めになります。


第十二話

 エリックの母親の救出作戦が予想より早く終わった事により、ヘルシオの取り調べはその日の内に行われることになった。僕も取り調べに立ち会ったが、ヘルシオの犯行動機には驚きを隠せなかった。

 

「私が情報漏洩を指示した理由? そんなの決まっているではありませんか。父親の復讐ですよ。私の父親はジオニック社の重役でした。しかし、三社併合によって父は重役の座を解雇されてしまいました。あの優秀な父が解雇されるなんてことはあってはならない! だから私は開発局を潰そうと思ったのです。私の父を評価しない会社などこの世に存在してはいけないのです! 貴方もそう思うでしょう!」

 

 ヘルシオは机を叩き椅子から立ち上がって、取り調べをしているアンリに掴みかかろうとした。しかし記録係をしていた隊員が慌てて止めに入ったことにより、ヘルシオは椅子に座らされることになった。それにしても話を聞く限り、あいつは父親から退職理由を聞いてないようだ。うん? 誰かこちらに向かって走ってくる音が聞こえるな……

 

 

 

 

 

「この大馬鹿者が!!」

 

 誰かがドアを蹴破るようにして部屋内に入ってくる。僕が後ろに振り返ると、そこに立っていたのはヘルシオの父親であるルーベンス氏だった。彼は自分の息子に近づき胸ぐらを掴むと、そのまま床に叩きつける。そして、驚いて顔をあげたヘルシオの頬を力強くビンタした。

 

「父上、なにをするのですか!」

 

「お前はキリング家の名前を汚した! それがどういう意味だかわかるよな。もうキリング家が名家と呼ばれることはなくなったのだよ」

 

「ですが私は父上のために」

 

「なにをいっている? 俺は重役の座を解雇されたわけではない。自分から辞めたんだ」

 

「で、では私はただキリング家の名前に傷をつけただけ……」

 

「そういうことだ。当たり前だが今日のお茶会も中止になった」

 

 そう、ルーベンス氏は三社統合の際に解雇されたのではなく自分から退職している。理由は、人生の余生を息子や旧友と楽しみたいから。ヘルシオは勝手に勘違いして自分の手と家名を汚しただけなのだ。彼は床でうなだれている息子を一瞥するとこちらに振り返る。

 

「ドズル様、お見苦しい所をお見せしてしまい申し訳ありません。愚息の処分に関しましてはそちらにお任せしますのでよろしくおねがいします。公国防衛隊の皆様にも迷惑をおかけしまして、本当に心が痛いです。お騒がせして申し訳ありませんでした」

 

 僕達に向かって一礼すると、ルーベンス氏は部屋を出ていった。それから約一時間取り調べは続けられ、罪について追求が行われた。やがてアンリは席から立ち上がり、ヘルシオの目の前に移動すると

 

「……さて君の処分について、軍の最高機密漏えい及び誘拐、監禁、暴行の指示等により終身刑が妥当だとは思うが、刑務所での態度によっては減刑も視野にいれる事とする。ドズル様、それでよろしいですか?」

 

 といって僕に同意を求めてくる。僕も不満はないのでそれに頷いた。

 

「ああ、問題ない」

 

「では手続きを開始します」

 

 ヘルシオは刑務所へと連れていかれた。ちなみに余談だがルーベンス氏が帰ったあと、ヘルシオは今までのことが嘘のように正直に話すようになった。よほどショックだったのだろう……

 

 

 

 その後エリックにも懲役3年が言い渡された。これは司法取引による減刑が考慮された結果である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2日後

 

 情報漏えい事件も無事に解決し、連邦の視察団が訪問してくる日となった。既に彼らはサイド3に到着しており、こちらが出した送迎用の車で向かってきている。だがテロ事件からは半月が経ち、破壊された建物等の修復作業は約85%完了した。被災し怪我を負った人々も続々と退院し始めている。いくら地球とサイド3は離れているとは言え、通達のなかにあった慰安訪問と言うには遅すぎるタイミングだ。命題にあった視察が本命だとは思うが、あのレビルが率いてくるんだ、何かしら裏があると思ったほうがいいだろう。そんな事を考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。

 

「連邦の御一行が到着されました。応接間までお越しください」

 

「分かった」

 

 僕は立ち上がり部屋を出る。するとギレンとキシリアも応接間に向かって歩いていたため合流し、3人で部屋に入る。

 応接間の真ん中には大きなテーブルが置かれており、机の両端には3つの椅子が置かれている。レビル、エルラン、ゴップの3人は既に着席していて、僕達が入って来ると一斉に立ち上がった。

 

「私は連邦軍中将のゴップです。そしてこちらは少将のレビルとエルランです。まずはこの度のテロにより被災した方々の怪我の早期ご回復を切に願います」

 

 3人は深々と頭を下げる。

 

「ここに来る道中町並みを拝見しましたが、もうすっかり復興していますな」

 

 ゴップは真っ直ぐこちらを見据えながら、ゆっくりとした口調で話を進める。

 

「ええ、公国防衛隊や大工の面々が頑張ってくれていますから。それで本日はどのようなご用事でサイド3に?」

 

「文面で送った通りですよ。被災した方々へお見舞いが主な理由です」

 

 お互い、顔は笑っているが目が笑ってないんだよな……

 

 

 

 

 

 

 

 

一年戦争が終わった後の戦乱

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