ギレンの野望?なんだそれは・・・   作:国連宇宙軍

17 / 41
第十七話

 演説でのギレンの話をまとめるとこうだ。連邦と戦争するといっても彼らの大半は地上におり、攻略するには地球に降下しなくてはならない。だが降下するための足がかりとなる地球軌道上は連邦宇宙艦隊が常時監視していて、監視の目をかいくぐることは大変困難である。そのためまずは連邦宇宙艦隊を排除するために、コロニー1つを使って誘き出すというものだった。その際人的被害が出るとまずいから、コロニーを作戦に使用している間は住民を避難させるようだ。(コロニー丸ごと囮とは考えたものだな、ギレンよ)周りを見渡すと、小声でなにかを話している人が多い。

 

「なにか意見や反論があるものはいるか?」

 

 ギレンが問うと、恐る恐る挙手をする者がいた。

 

「恐れながら総帥、国力の差が段違いである連邦に戦争を仕掛けるのはどうかと思うのですが。それにコロニー1つ分の人数となると、場所が足らないのではないでしょうか?」

 

「ふむ、いい反論だな。資源や食料の面ではそうだろうが、軍事力の差は今では半分程度だ。それに戦いは数だけではない。質と数が合わさるからこそ、勝利へと近づける。連邦の腐った戦争理念には負けんよ。そして、場所については問題がないことは確認済だ」

 

 連邦の腐った戦争理念か、大艦巨砲主義に偏った物量過信など原作でも酷かったからな。この世界線ではどうなるのかな?

 

「それでは各自、よろしく頼む。それと新たな軍組織の辞令についてはそのうち出されるだろう」

 

 出席していた人たちが退室した後、ギレンはこちらに顔を向け……あれ、満面の笑みだぞ? 嫌な予感がするな。

 

「ドズル、お前に軍の総司令を命ずる。明日までに役職と配属についての意見をまとめた書類と就役している艦数・モビルスーツ数を提出するように」

 

 …………総司令が僕……だと? 

 

「総司令は兄貴じゃないのか?」

 

「私は国をまとめないといけないのでな。それに権力を1つに集中させすぎるのはよくないぞ」

 

 開発部長に総司令に校長などなど、僕には十分権力が集中していると思います! なんて言っても聞き入れてもらえないんだろうな。それに書類提出明日までとかきつくない? 課題多いのに提出期限1日とか意味のわからないことを言う先生みたいだな。処理能力追いつかんぞ。

 

「これは各役職のリストだ。これに当てはまる人物を選び出してくれ」

 

 彼はそう言って、紙の束を僕に渡す。

 

「ああ、分かった」

 

 今日は徹夜だな。徹夜は転生前の期末以来か。エナドリ、この世界にもないかな? 

 

 

 

 

 

 

 

 30分後・執務室

 

 リストの一番上には僕の名前が記載されている。その下に書かれているのは宇宙軍司令と地上軍司令そしてその隣の空欄2つ。その下には様々な役職名が書いてあり、めちゃくちゃ多い。はぁ、本当に面倒くさそうだ。試行錯誤しながら、作業を進めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 10時間後

 

 

「失礼するぞ、兄貴。言われたものを作ってきた。それともう1つ。就役している艦艇数は合計で204隻。内訳はムサイが123隻、チベが58隻、ザンジバルが22隻、親父専用のグレート・デギンが1隻だ。続いてモビルスーツだが、合計で382機。内訳はヴァッフが193機、ザク1が30機、ザク2C型が112機、ザク2R1型が47機。以上だ」

 

「ふむ、ご苦労だったな。これをもとに役職を作成させてもらう」

 

「そういえば兄貴、もうすぐ大模擬戦場がソロモンとア・バオア・クーに完成する。ヴァッフはザクの下位互換であり、性能としては遅れを取っているため大部分を練習機として使いたいと思っている。大丈夫か?」

 

「ああ、あと一週間で生産を終了すると言っていたな。問題はない」

 

「了解だ。じゃあ俺はこれで」

 

 執務室を出た僕は、その足で開発局へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開発局内の会議室には、いつもの面々とギニアスがすでに座っている。

 

「遅れてしまってすまないな。それで、話というのは?」

 

 ラースとギニアスが互いに顔を見合わせ、譲り合いを始めた。数十秒後、押し負けたギニアスが先に話し始める。

 

「閣下に開発を命じられていたモビルアーマーが完成いたしました。名前はビグロ。一撃離脱を主点においており、閣下が求めておられた性能をフルに発揮できます。武装はチベ級のメガ粒子砲より数倍上の威力を持った単装高威力メガ粒子砲を中央に1つ、8連装ミサイル・ランチャーを片側に2基ずつ搭載し、高火力を実現しております。また、モビルスーツ用ラックを4つ取り付けております。しかしビグロの速度に対応できるモビルスーツはヅダぐらいです」

 

 ふむ、よくできているな。なんか設計図見るとクローがついてるけど姿勢制御用なのか。

 

「要求通りに作ってくれたことに感謝する。だが、生産性はどうだ?」

 

「高速戦用に作ってあるため、コックピットは耐G機能をモビルスーツより高くしてあります。その分コストも掛かるので多少生産性は劣ると思われます。ただし、量産できるように簡略化も検討しておりますので、生産性についてはもう少し時間を頂きたいです」

 

「分かった。よろしく頼む。ラースの方は?」

 

「はい、ドロス級の開発が終了しました。今はソロモンの裏に係留してあります。データをご覧になられますか?」

 

 渡された紙を見ると、全長は約2キロで艦船50隻、MS200機も搭載できると記述されている。ドロス内で艦船を整備できるのはとてもありがたい。要望したのは僕だが、化け物を作ってしまったのかもしれないAHAHAHA……。対艦火力は要塞並みだが搭載能力に割りふった分、対空火力は期待できないので直衛機をつけることは必須だ。防御については申し分ないが、速力はムサイの半分程度しか出ない。主力艦隊と行動をともにすることは不可能だろう。そこを視野に入れて運用していかなければならないな。

 

「そしてもう1つ、ギレン様から要請があった、ドズル様とキシリア様の座乗艦について建造の目処が立ちましたので、開発部長であるドズル様に確認をして頂きたいのですがよろしいでしょうか」

 

 そんなこと頼んでたのか、ふーん。どーせ2人ともグワジン級でしょ、わかってますよ。

 

「構わない。見せてみろ」

 

 僕の座乗艦はザンジバル級改ワルキューレ、キシリアの座乗艦はチベ級重巡改パープル・ウィドウという名前らしい。スペック表を見ると2隻とも新規設計で作られていて、火力や推力といった基本性能だけでなく居住性等も改善されている。グワジンじゃないのね。

 

「問題はないと思うぞ。このまま建造を続けてくれ」

 

「承知いたしました。これで本日のお話は終わりました。お忙しい中お越し下さりありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1週間後

 予定より1日早く模擬戦場が完成した。そのため、訓練用に使われるヴァッフ200機をソロモンとア・バオア・クーに運び込む作業も1日繰り上げられ、2つの要塞の周りは輸送船の往来が激しくとても慌ただしい。そして肝心な僕はというと2つの士官学校の卒業式に来ていた。生徒たちはここを卒業したあと、軍属となりMS操縦や艦の運航など実際に訓練していくのである。

 

「諸君らはここを卒業し、自分達が目指す道へと進んでいく。そしてジオンを守る立派な軍人となるためにたくさんの経験を積み、様々な事を乗り越えることだろう。時には辛く投げ出したいこともあるだろうが、それを乗り越えた先にこそ成長があると俺は思う。諸君らの選んだ道に幸があることを願い、贈る言葉とする」

 

(幸なんてないがな。未来ある若者を戦場に送り出すために鍛え上げるなんて、こんな世の中はさっさと終わらせなくてはならない)

 卒業式終了後、彼らは家へと帰っていった。限りある時間の中で、家族と楽しく過ごすのだろう。

 

 

 そんなこんなで半日が過ぎようとしていたとき、新体制の軍役職が開示されたのだった。総司令はもちろん僕である。そして宇宙軍を束ねるのがマハラジャ・カーン、ジオン公国親衛軍の長をキシリア、親衛軍の中で遊撃任務に当たる独立遊撃部隊の隊長をアンリ・シュレッサーが務める。なお、アンリが就任したのは新体制確立により公国防衛隊が親衛軍に吸収されたためである。そして地上軍の司令はとりあえず空席になっていた。まだ必要ないという判断だろう。あとの細かい人事については追々話していくとしよう。

 

 

 

 

 ギレンside

 今日はいよいよサイド全体会議の日である。すでに会場には全ての代表者が集まっていた。

 

「この度はサイド3にお越し下さりありがとうございます。サイド3代表、ギレン・ザビです。本来なら余分な世間話をするところですが、時間がもったいないので最初から本題に入らせていただきます。近年、各コロニーに駐留している連邦軍による事件が数を増してきております。暴力沙汰に強姦、強制的な徴収などその事件は多岐に渡ります。しかし、この問題はほとんどが揉み消されており公にはなっていません。さらに連邦上層部は、コロニーに対する強硬政策をどんどん可決し、我々の生活は苦しくなるばかりです。そこでサイド3ジオン公国は来る0079年1月1日、連邦軍に宣戦を布告し、スペースノイド独立のため戦うことを決めました。そして皆様には表に立っていただいてともに戦っていただくのではなく、資源や資金の提供、艦艇整備のための港創設など私達を支えて頂きたいのです。各サイドには私どもの艦隊を常駐させ、戦争による被害を及ばせないことはお約束します。どうか協力願えないでしょうか」

 

 私は頭を下げ、頼み込んだ。(何人賛成してくれるかわからないが、支援を受けられなくても戦争は始まってしまう)そう思いながら顔をあげると、その場にいた全員が立ち上がり拍手を始めた。思わず脱力しそうになってしまったが、驚いたのはその後の彼らの発言であった。「出来ることは何でもしたい。困ったことがあったら言ってほしい」という彼らの発言を聞いて、思わず涙が出そうだった。その後は細かい取り決めや支援の仕方などを確認し、解散したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、時代は動き出す。

一年戦争が終わった後の戦乱

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。