ギレンの野望?なんだそれは・・・   作:国連宇宙軍

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第2章 大戦
第十八話 開戦前夜


 U.C.0078 12月31日 PM06:00

 

 ソロモン・作戦司令室

 

「サイド5[ルウム]住民全ての移動を確認。最後の輸送船が作戦宙域を離脱しました」

 

 

 開戦の場所に位置するコロニーの内部からは誰もいなくなり、静けさに包まれている。デブリ衝突による外壁の損壊により、酸素漏れのため修理が必要となったという誤情報をサイド5上層部が流し、住民をうまくサイド3へと誘導することが出来たからである。数日後にはここから数十キロの地点で戦闘が開始され、それが終わるまではここに人が戻ることはないだろう。

 

 

「よし、ドロスは作戦宙域へと発進せよ。そして第1・第2艦隊も発進の準備へと入れ!」

 

 船足の遅いドロスはMS200機とムサイ級50隻分のブロック部を載せ、主力艦隊に先行する形でソロモンを出発する手筈になっていた。

 

 

 [ドロスは主力艦隊より先行し、ルウム宙域へと向かいます。]

 

 ドロスを係留していたワイヤーが外され、艦長はエンジンを点火させた。そして、ゆっくりと艦は進んでいく。司令室のモニターでそれを確認した僕は、隣に立っているマハラジャに声を掛ける。

 

「あと数時間後には、我々もここを立つ。この戦闘の勝利の鍵は、艦隊がどれだけ連邦軍の注意を引けるかにかかっている。頼んだぞ、マハラジャ」

 

「お任せください。宇宙軍司令の名に恥じぬ戦いをご覧になれることと思います。それでは準備がありますので、私はこれで」

 

 彼は司令室を出ていく。だがこの司令室にもう1人、高官がいることを忘れてはならない。彼は椅子に座り、足を組んでモニターを見つめている。

 

「兄貴、そっちの準備は順調か?」

 

「ああ、問題ない。もう準備は終わった」

 

 ジオン公国総帥である彼がなぜここにいるのか。それはある作戦を彼が率いるからである。その作戦とは、ルナツー攻略作戦。連邦宇宙艦隊の大半がコロニー落としーブリティッシュ作戦ーを防ぐために出撃すると予想されるため、ルナツーはいくら宇宙軍司令部と言えど手薄にならざるをえなくなる。そこを突き、一気に地球降下への足掛かりを作ろうというのだ。

 

「それに、サスロとキシリアの方も準備は整ったみたいなのでな。あとは時が来るのをひたすらに待つだけである」

 

「兄弟総出だ。こんなのは初めてだな」

 

 本来宣戦布告を宣言するはずのギレンがここにいるので、本国で声明を送るのはサスロの役目だ。宣言ならソロモンでも出来るじゃないかという意見もあるだろうが、ここは人で溢れかえっている。なぜなら、4艦隊計320隻程度が集結し、作戦発動まで待機しているからである。演説を行えるほど広いスペースは存在していない。以上の理由から今回だけはサスロが行うことになったのだ。

 そしてキシリアの方はというと、宣戦布告と同時にサイド3にある全ての連邦駐屯地を強襲するという命を公国親衛軍が受けているため移動指揮車両でズム・シティにある連邦駐屯地に向かっている。ほかの部隊もすでに各地へと展開済みであるため、時間になればすぐにでも行動を開始するだろう。そんなことを考えていると、不安そうな顔をしたギレンがこちらを向いている。

 

「ドズル、MSに乗って戦場に出たとしても無理はするな。お前が死んでは元も子もない」

 

「大丈夫だ。これでも操縦技術で右に出るものはいないと言われているからな」

 

 3年前に初めてヅダに乗ってからというもの、暇を見つけては1人で訓練を重ねてきた。それは全ての国民を守り、可愛い部下を死なせないためだ。

 

「あの頃が懐かしいな。重力に耐えきれず嘔吐を繰り返していたお前が、ジオン内でトップのMS乗りになるとは.」

 

 

「その話は持ち出さないでほしいぞ、兄貴」

 

 ギレンが笑っている。それにつられ、僕も自然と笑みが溢れる。兄弟で笑い合うなんて何年ぶりだ。こんな幸せがずっと続いたらいいのにな。

 

 

 

 

 

 

 PM10:00 

 

 作戦開始までの時間が迫っている。両作戦に参加する艦隊は展開を終え、出発を待っている状態だ。僕達の艦隊はドロスにMSをすべて搭載したため、積み込み作業がなく遅延は起きていない。だが隣の第3・第4艦隊はすこし慌ただしいか。初の実戦なんだ、無理はないだろう。さて、もう1つやることをすませておくか。

 

 

 

 

 ソロモン内・第1艦船ドック

 

 ここにはザンジバル級計20隻が係留され、地球降下用MS輸送機[HLV]をルナツーまで牽引するための整備が行われている。そのためドックはほぼ埋まってしまっているのだ。ブリティッシュ作戦が終わったらすぐにでも地球攻略が始まる。それを見据えての用意だ。

 

「ザンジバルとHLVの準備はどうか?」

 

「はっ! 両方とも準備は完了しています。ご命令があればいつでも移動可能です」

 

 この降下部隊の搭載MS数は200機、さらにザンジバル級も作戦に参加させるとなると320機のMSを1度に地球に送ることが出来る計算だ。

 

 

「グフの搬入作業はどのくらい進んでいる?」

 

「60%ほどが積込を終えました」

 

「分かった。くれぐれも頼んだぞ」

 

 これで全ての準備は終わった。あとは開戦を待つのみだ。僕もマハラジャがいる旗艦ワルキューレへと戻ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 PM11:30

 

 ジャブロー内

 

 地球は夜の闇に包まれ、静寂である。南米ジャブローも例外ではなく、当直の兵士と一部の高官以外は眠りについている。連邦軍強硬派筆頭であるジーン・コリニー大将は自分のオフィスで強硬派の会合を行っていた。彼のオフィスは司令部棟3階の奥に位置しており、普段は階下の喧騒など聞こえない。だが深夜であることが幸いし、廊下を走って近づいてくる部下の足音にいち早く気づいたのだった。椅子から立ち上がりドアに近づいた彼は大声で、声を発する。

 

 

「こんな時間に何事か!」

 

「コリニー閣下、大変です! サイド3に潜伏している諜報員からの情報で、取り急ぎご報告をと思いまして、走ってきた次第です」

 

「どうしたと言うのだ」

 

「ジオンがコロニーをここに落とすとのことであります!」

 

「な……なんだと」

 

 席に座っていた他の高官も慌てて立ち上がる。

 

「緊急警報だ! 寝ている者は叩き起こせ! ルナツーのレビルに連絡、なにがなんでも阻止しろ!」

 

「はっ!」

 

 数刻後、ジャブロー全体に警報が鳴り響く。忙しく人が動き、主要な軍メンバーは会議室へと集まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 AM0:00

 

 そして眠れる獅子が連邦に牙を向く

 

 

 

 

一年戦争が終わった後の戦乱

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