UC 0071 1月
キシリアにモビルスーツ開発の情報を与え半年が経った。多分、連邦側に情報が漏れるだろうがそれは仕方ないだろう。今、兄弟内で派閥争いをしている場合ではないからな。しかし、思わぬ収穫もあった。キシリアから局地型モビルスーツの提案があったのだ。僕はもちろんこの話に乗り、ついでにあの厄介な三社を合併してしまった。もちろんギレンには許可を貰っている。そして今日はギレンに話があり、ギレンの部屋に来ている。
「なんだ、ドズル。話があるらしいが?」
「兄貴、回りくどいのは嫌いなんでな、単刀直入に言うぞ。近い将来に連邦と戦争をする気があるだろう」
あのギレンが一瞬だけだが顔に表情を浮かべる。ドズルに心の中に秘めた事を言い当てられたことが悔しかったのだろう。
「そうだとしたらなんだ?」
顔をいつもの仏頂面に戻し、何事も無かったかのように振る舞う。しかも少し、圧力を感じる。おお~怖い怖い。
「戦争については俺も賛成だ。しかし、同じスペースノイドを敵に回すようなことは許さないぞ兄貴」
「ふっ、そこまでお見通しか。私も顔に何か出るようになってしまったようだ。それでドズルの意見はなんだ?」
「兄貴も耳に挟んでるだろうが今モビルスーツという人型兵器を作っている。モビルスーツは発見されたミノフスキー粒子の影響を受けることなく攻撃を仕掛けられる。これがあれば連邦の艦船なんて一ころだ。しかし、数がなければ意味がない。だが、ジオンの国力は連邦の国力の三十分の一にも満たない。そこでだ、他のサイドと連携しモビルスーツの生産拠点として利用できれば物量の差は多少なりとも縮めることが出来るだろう。どうだ?」
「……いい案だ。確かに他のサイドを敵に回して何がスペースノイドの独立だ。すぐに交渉を始めさせてもらう」
「それと、兄貴。これは俺も実現するとは思わないが親ダイクン派ともう一度やり直すことは出来ないのか?」
「・・どういうことだ?」
声音が変わった。やべぇ、完全に怒ってやがる。
「いや、ダイクン派にも優秀な人物はたくさんいるのでな。少しでも人材は多いほうがいいだろう?」
「・・それは無理な相談だ。」
「そうか。余計な事を言って済まなかった。忘れてくれ。」
「ゴホン!ドズル、これは提案なんだが……お前にはモビルスーツ開発部の責任者になってほしいのだが?」
僕がモビルスーツ開発ね。原作の知識を持っている者が開発なんて担当したらあっという間にゲルググまで作れそうだな。
「兄貴がそれを望むなら俺は構わないが」
「辞令は改めて送らせてもらう」
「それと兄貴、モビルスーツ適性試験を開始してくれないか? なるべく早く慣らさせてあげたいからな」
「分かった。お前も言うようになったな」
「そうだ、兄貴。俺は戦いは好きだから、戦争が始まりそうになったら前線指揮官にでもしてくれよ」
「ふっ、考えておく」
僕はギレンの部屋を出て、自分の部屋に戻る。おお~、正直まじで怖かった。顔面の圧力半端ないな。怖すぎてチビる寸前だったぜ。
2月
「兄上、これをご覧下さい。今後開発予定の局地型モビルスーツです」
キシリアが見せてきた資料にはグフとゴッグが記載されていた。ふむふむ、スペックは原作どうりだな。
「このグフっていうモビルスーツの内蔵式のフィンガーバルカンは整備性が悪いと思うんだが?」
「確かに、その通りです。外付け用の武器を同時に開発し、左手もマニュピレーターにして持たせられるようにします」
キシリアはさも予想していたように代案を示してくる。これは、僕の技量を試しているな。ふん、僕が戦闘バカではないところを見せてやる。
「それにグフは全ての武器が近距離用ではないか。これはコロニー内部用のモビルスーツだろう。これでは、接近する前に連邦の戦車に囲まれてあっという間に終わるぞ」
「そうですね、一応ザク用に開発が進められているマシンガンとバズーカは装備可能ですが何か新しい武器を考えてみます」
あとはゴッグか。
「ゴッグについてだが全体的に生産コストが高すぎる。あとアイアンネイルは汎用的ではないな。まあ、水陸両用はあとでもいい。今は宇宙用に集中してくれ」
「……分かりました」
キシリアは渋々企画書を取り下げた。
「それでは、失礼します。開発部長さま、本日は貴重な時間をありがとうございました」
キシリアは皮肉を含めた挨拶をして部屋を出ていった。
9月
原作ではヴァッフと呼ばれているモビルスーツが完成した。これは来年にはザクが出来そうだな。
「土星エンジン?」
今日は元ジオニック社、ツィマッド社、MIP社の三社が合併した現ジオン新兵器開発局の代表者三人が開発統括部長である僕にプレゼンを申し込んで来たのだ。
「はい、短時間で200m/秒の加減速が出来るエンジンです」
おいおい、土星エンジンって確か空中分解の原因だったような……
「すごいスピードが出るのは分かったが、本体はそれに耐えられるのか? 速度を上げたら空中分解したなんてことになったら洒落にならんぞ」
「ええ、それについては大丈夫です。三社の力を合わせることによりその問題も完全に解決しました」
「なるほどね」
三社を合併したのが良かったのか。確かにこれを開発すればドムの開発も出来そうだな。
「それで試験機はいつ出来るんだ?」
「来年中には出来ると思いますが」
「そうか、わかった。開発を進めてくれ」
「ありがとうございます」
三人は喜びを顔に浮かべながら部屋を出ていった。
一年戦争が終わった後の戦乱
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