ギレンの野望?なんだそれは・・・   作:国連宇宙軍

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今回少し他作品ネタが入っています。

それと深夜に書き上げたので、不自然なところがありましたら随時直していきます。すみません


第二十話 ルウム戦①

 1月2日 AM1:00

 

 ソロモンを離れて1日、着々と戦闘は迫ってきている。艦内は緊張感が増し、異様な静けさに包まれていた。僕も例外ではなく、艦内の空気にあてられ、寝つくことはできなかった。

 

 [ドズル様、ドロスをレーダーで捉えました。ブリッジまでお願いします。]

 

 やがて部屋の通信機が鳴り、僕はベッドから起き上がる。

 

「すぐに行く」

 

 通信を終了し、軍服に着替えてから部屋を出る。

 

 

 ワルキューレ・ブリッジ

 

 今は夜中だ。戦闘態勢でもないためブリッジは最低限の人数しかいない。マハラジャは僕と交代で休息をとるため、今はブリッジにいる。

 

「おはようございます、閣下。ドロスに追いつくまで10分程度だと思われます、もうそろそろ準備をお願いします」

 

 艦長席から立ち上がったマハラジャは、こちらに歩み寄る。

 

「マハラジャ、こちらの指揮は任せたぞ。指揮は出発前の会議通りに頼む」

 

「お任せください。閣下こそ、ご無事の帰還を」

 

 僕の目を真っ直ぐ見据えた彼の目は不安に満ちていた。宇宙軍司令の立場というよりは、副官として数年共に過ごしてきた過程で生じた信頼から来たものだろう。

 

「大丈夫だ。総司令として死ぬわけにはいかんからな。それに信頼する上司がいなくなったら、士気に関わるだろ? なあ、マハラジャ」

 

 僕が笑っておどけると、彼も安心したように微笑んだ。

 

「娘も心配しておりますゆえ、本当にご無事で帰ってきてください。そうでないと、娘に怒られてしまいますので」

 

「ハマーンか…最近はマハラジャの家に遊びに行っても口もきいてくれないが、心配してくれているのか?」

 

「もちろんですよ。なにしろ娘は…」

 

 マハラジャの言葉を遮るように、オペレーターが告げる。

 

「ドロスと接舷まであと5分です」

 

「さっきの話の続きだが……」

 

「いえ、なんでもありません。お気になさらず」

 

「そうか。では俺は、ドロスに移るとしよう」

 

 数分後にはワルキューレは接舷し、俺は自分の機体が載っているドロスへと移ったのだった。

 

 

 

 AM8:00

 

 翌朝(といっても宇宙なのであまり実感はないが)件の戦闘に向けて戦略を確認するため、僕は彼らを召集した。

 

 [教導大隊各隊長はブリーフィングルームへ集合せよ。繰り返す、各隊長はブリーフィングルームへ。]

 

 数分後、5人が部屋へと入ってくる。ゲラート・シュマイザー、シュタイナー・ハーディ、ダグ・シュナイド、ノリス・パッカード、ヘンリー・ブーンと原作でも名の知れた彼らであるが、この世界線では戦前は教官としてMS訓練を担っており、新兵の育成に尽力していた。開戦が決まってからは教官だけに少佐以上の階級が与えられ、隊長として隊を率いることになった。

 ちなみに教導大隊という名前はMS訓練の際に使っていた名称の名残で、今回の作戦ではあの時と全く同じ隊編成なので使わせてもらっている。1大隊につき40機を基本とし、5大隊である。もっとも、戦闘に臨む戦力としては少なすぎる数だがギレンが1200機ほど持っていってしまっているし、今回は艦隊の方にもあまりMSを積んでいないから仕方がない。僕は彼らが着席したのを確認すると、ある端末を机の中心に置く。

 

「朝早くに呼び出してすまないな。これは偵察部隊からの映像だ。遠距離偵察班によると連邦艦隊は前衛・中衛・後衛の3つの隊に別れ、侵攻してきている。前衛にはサラミス級を中心とした機動部隊、後衛はコロンブス級などの航宙機を搭載した空母が多数、そして中衛に新型戦艦4隻を中心とした打撃部隊という配置だ。これはおおよそ予定通りで、戦略に支障はない。ただし新型戦艦の性能は未知数だ。考えたくはないが艦隊が甚大な被害を受けることも想定しておかなければいけないだろう。そのため、君たちの優先目標をこの戦艦に変更する」

 

 彼らは黙って頷く。新兵の育成を長年担当してきた彼らはすでに貫禄があり、頼れる存在だ。

 

「ゲラート、シュタイナー、ヘンリーの隊は俺の後に続いて先に前衛艦隊を攻撃。その後、中衛艦隊へと移動する。ダグとノリスは後衛艦隊を壊滅させ、中衛艦隊の後方から強襲せよ」

 

 再び彼らが頷く。

 

「まずマハラジャが前衛と交戦に入る。それと同時にビグロを後衛に放つ。これは、航宙機を発艦させる前に空母を叩くためだ。その後、俺たちが頭上から襲いかかる」

 

「そこまでは分かりました。そこで質問なのですが、彼らが転進または撤退する際は追撃は許可していただけますかな?」

 

 そう話すのはゲラート中佐だ。普段は冷静沈着だが、模擬戦など実戦に近い訓練になると話は別だ。何と表現すればいいのか分からんが、とりあえず好戦的と言っておこう。

 

「追撃する必要はない。どうせ彼らに帰る場所などないからな。だが、1度戦闘に入ればあとは混戦だ。俺は把握しきれないだろう」

 

 彼らがルナツーに着く頃には、陥落しているだろうからな。深追いしなくても勝手に絶望してくれるだろう。

 

「ご配慮感謝いたします」

 

「だが無茶はするな。お前の機体はすこし古い設計だ。無茶をすれば損壊する可能性もある」

 

 彼が駆るのはおもに訓練用として配備されているヴァッフだ。型式が古く、予備部品も少ない。さらに、独自のチューンをしているため1度破壊されたら修復に手間が掛かる。

 

「分かっております」

 

「他の皆も自由に暴れていい。だが、部下に迷惑は掛けるな。話は以上だ。それでは戦闘が始まるまで、ゆっくり休んでくれ。呼び出してしまってすまなかった」

 

 

 

 

 解散後、ヅダがある格納庫を訪れるとラースがなにやら部下と作業を行っていた。

 

 

「ラース、ヅダの整備は万全だな?」

 

「ええ、もちろんです。それで、ビグロについてですが発進はどのタイミングで行いますか?」

 

「そうだな、連邦艦隊が我々の射程に入る直前ぐらいか。大きく回り込んで後ろに肉薄する必要があるからな」

 

「分かりました。ケリィとトクワンには伝えておきます」

 

「頼んだぞ。彼らがいかに速く空母を落とせるかによって、新兵たちの負担が変わってくる」

 

 ラースは小走りで、格納庫から出ていく。僕は自分のヅダに目線を移し、しばらく眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 1月3日 AM0:18

 

 ドロス含め全ての艦が作戦宙域に到着した。少し遅れは出たものの連邦がまだいないのは幸いだ。しばらく太陽は惑星の影に隠れ、辺りは暗闇になる。

 

「低電力モードに移行。通信機能以外は全てダウンだ。太陽が当たらない闇夜に紛れる。作戦開始までパイロットは各自のMSで待機」

 

 ドロスは艦隊の後方3キロの地点で停止し、パイロットは全員各自のMSに乗り込んだ。僕もヅダに乗り込み、その時を待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連邦艦隊旗艦タイタン

 

「ジオンの艦隊編成はまだ分からんのか?[ルウム]まで半日なんだぞ!」

 

「索敵機を飛ばしていますが未だ連絡はなく……」

 

 くっ、こんだけ探しているのに見つからないとは奴らどういうルートを通っているのだ? 

 

「索敵は継続しろ。CICは何かあったら報告を!」

 

(まさか、コロニー落とし自体が嘘ということはあるまいな。だがコロニーでも落とさない限りジャブローは落とせないぞ)

 

 PM1:30

 

「まもなく[ルウム]宙域に到着いたします、提督」

 

「うむ、結局奴らは見つからず……か」

 

「そうですな、まあスペースノイドの糞どもが考えた嘘に乗せられた形ですか」

 

「そういうな、副長。奴らだって無知ではあるまい。なにか裏があるのかもしれん。周囲の警戒を怠るな」

 

「CICより連絡! 前方にデブリ帯とのこと!」

 

(デブリ帯? この辺は事故なども起こってないはずだぞ。っ! ……まさか)

 

 とっさに前方を見たティアンムは恐怖した。なぜなら前方の暗黒から姿を現した奴らの影はとても多く、とても国力の差が大きいとは思えないものだったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワルキューレ・ブリッジ

 

「全艦、エンジン始動! ミノフスキー粒子高濃度散布。準備が整った艦より砲撃を開始せよ!」

 

(閣下の作戦通りだ。熱源を絶つことで連邦の索敵網に引っ掛からず、奴らはまんまと我々の射程距離に入ってきた。そして彼らの射程ではまだ我々には届かない)

 

「メガ粒子砲撃て!」

 

 ワルキューレから放たれた複数の光跡は、一番先頭を航行していたサラミス級の横腹を抉り取って通り過ぎていった。その後を追うようにして、先程とは比べ物にならないほどの光跡が雨のように連邦艦隊へと降り注ぐ。中には弾薬庫に直撃し一撃で沈むサラミス級もあったが、多くは軽く表面を抉るだけでそこまでの被害は与えられていない。しかし、それも作戦のうちである。

 

(まだ沈まれちゃ困る。これからが本番だ)

 

 

 

 僕が考え事をしながらヅダで待機していると、ブリッジから光が断続的に見え始めたと報告が入った。

 

(始まったようだな、さて行こうか) 

 

 通信機のスイッチを入れ、この艦の全てのMSに通信を始める。

 

「全機、発艦する。俺に続け。ドズル・ザビ、ヅダ出るぞ」

 

 MSハンガーを離れ、発進口から一番乗りで漆黒の宇宙へと飛び出す。後ろから彼らが付いてくるのを確認し、ペダルを踏み込む。向かう先は前方に見える戦だ。奴らはまだ知らない、この後どのような結果になるのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 [まだ射程距離じゃないです!][…………早く撃てよ!][……あんな奴らに……]

 

「艦長、前線は混乱しているようです」

 

「まだセイバーフィッシュの発進命令は来ないのか?」

 

「ちょっと待ってください! ……来ました、全機発進せよとの事です」

 

 

「よし、格納庫開け! 全機、前線の支援に当たれ!」

 

「レーダーに反応! 3時、9時より高速で接近する反応あり……ですが航宙機の速度ではありません! 未知の反応です……」

 

「構わん、今は発進を優先しろ!」

 

 

 

 

 後衛艦隊へと高速で接近する機影が2つ。戦闘開始直前にドロスから放たれた2機の猟犬は互いに大きく弧を描きながら移動し、戦闘開始直後に後衛艦隊の左右へとたどり着いた。そして、鋭利な牙で獲物へと噛み付いていく。ビグロのパイロット、ケリィ・レズナーは笑みを浮かべ、モニターに映る獲物を射程に入れた。

 

「連邦の訓練では横1列に並ぶなとは習わないのか? MAの戦い方、教えてやる!」

 

 ビグロの先端に位置する砲口カバーが開き、戦艦と同格の砲口が姿を現した。

 

「メガ粒子砲最大出力、発射!」

 

 砲口から放たれる最大火力の光芒は、発艦を急ぐコロンブス級の横腹を目掛け向かっていく。分類としては補給艦である同級の装甲はとても貧弱で、熱によってあっという間に融解しあえなく貫通を許した。1隻目を容易く貫通した光芒は、さらに不幸なことに横並びで位置していた隣の艦の装甲をも溶かしきり、3隻目、4隻目と次第に減衰しながらも、最終的に1機目を射出し終えたばかりの5隻目まで溶かしきったのだった。そして、同じことが艦隊を挟んだ反対側でも起こり、連邦宇宙軍の精鋭航宙隊は一機の発進以外許されず母艦と共に宇宙へと破片をばらまいた。

 

「逃がすかよ、子ネズミが!」

 

 コロンブス級から発進できた唯一のセイバーフィッシュは、命令通り前衛艦隊の支援へと向かおうとしていた。だが、その任務は果たされることなく終わる。ケリィが最高速度であっという間に追い付き、クローを使って文字通り粉砕したからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、副長。艦隊損耗率は?」

 

 前衛艦隊の指揮を執るサラミス級のブリッジでは断続的な揺れが続き、艦長は焦りを見せていた。

 

「20%を超えました。ですが、前衛艦隊の中でも後方に位置する艦はジオンからも射程外のようで被害は受けておりません。まだ、大丈夫かと……」

 

 その時、ブリッジの後方の船窓から見えるサラミスの1隻が火を吹き始める。

 

「さ、36番艦が被弾!」

 

 先程の二人のやり取りを聞いていたレーダー手は、目の前の窓から見えた光景とモニターの情報が一致したことに驚きを隠せず絶句した。

 

「副長! どういうことだ!」

 

「ちょっと待ってください! …………CICより連絡、頭上よりなにかが来ます!」

 

 その言葉を受けブリッジのクルー全員が窓の外に目を向けると、確かに頭上からなにかのバーニアの炎が見えていた。だが、それはとても数えきれる数ではなかった。それを見たクルーは、冷や汗をかき、鳥肌が全身を覆うのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連邦艦隊へと向かって下っていく部下たちを眺めながら、僕はある言葉を口にした。

 

「物量を過信する愚か者よ。力は力によって滅ぼされると知れ!」

一年戦争が終わった後の戦乱

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