(アステロイドベルトから資源衛星として運ばれてきたルナツーは、原作では戦略的価値が低く連邦軍唯一の拠点として反攻作戦の足がかりとなった。だがこの世界では一番最初に制圧され、地球攻撃の一大拠点となる。元々ジオンが勝利するために原作とは違う道になるように試行錯誤してきた。だがその結果、ジオンと連邦の両勢力の人間の性格に原作との違いが出てしまっている。ギレンの性格軟化、ジャミトフ・ハイマンのスペースノイドへの憎悪など僕の知識ではどうにもならないことが起こり始めた。この先原作の知識がどこまで役に立つのか)
そんな事を考えていると、ブリッジから通信が入る。
「まもなくルナツーに到着します。ブリッジへお上がりください」
「分かった。すぐに行く」
椅子に掛かっていた軍服を羽織り、自室を出た。
ルナツー攻略戦から3日。元連邦宇宙軍司令部があった件の小惑星は既に工作部隊によってジオンの基地へと姿を変えている。我々の艦隊はドッグに入港、整備に入った。乗組員には簡易的ではあるがベッドが用意され、激戦の疲れを癒やすことが出来る。皆がベッドに入る中、僕はギレンがいる司令室へと向かった。司令室にはワインとグラスが置かれており、彼は椅子に腰掛けて何かを考えていた。
「兄貴、入るぞ」
「ドズルか。ルウムの戦闘、ご苦労であった。まあ座ってくれ」
「兄貴も大変だっただろう」
僕はギレンの反対側の椅子へ腰掛けた。その時、グラスに違和感を覚えた。
「このワインは、祝杯をあげるためのものだろう? なぜグラスが3つなんだ?」
「もう一つはシリウスのためのものだ。そういえば一緒ではないのか?」
その言葉を聞いて、僕はとても申し訳ない気持ちになる。
「シリウスさんはバーミンガム級の砲撃を受けて戦死なされた。本当にすまない」
「そうか。もう一度酒を飲みたかったが、これは戦争だ。戦場に死はつきものであるから、お前が悔やむことではない」
「そう言ってくれると心が軽くなる。自分自身、戦闘では何回もヒヤリとした。死の恐怖を直接感じた」
「とても現状撃墜数トップの奴の言葉とは思えんな。もっと自信を持て。お前は強い」
ギレンが注いでくれたワインを飲んでいたが、衝撃的な一言に思わず口の中のワインを吹き出しそうになった。
「待ってくれ、俺が撃墜数一位なのか?」
「そうだ。戦闘記録は読んだ。お前は撃沈数8隻。2位とは4隻も離れている。ちなみに2位はガルマと同期のアルマン少尉だ」
知らない名前が出てきたぞ?
「まあそのうち誰かが抜かすだろう。そんなことより、地球攻略作戦の概要を纏めたものがこれだ。総帥に作戦実施の許可を頂きたい」
「ふむ。見せてみろ」
ギレンに冊子を手渡すと、数分ほどで返事が帰ってきた。
「問題はなさそうだな。このまま続けてくれ」
「承知した」
その後はお酒を嗜みながら、他愛もない会話を続けるうちに時間は過ぎていった。
一年戦争が終わった後の戦乱
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