ギレンの野望?なんだそれは・・・   作:国連宇宙軍

24 / 41
第二十三話 地球降下作戦①

 僕達の艦隊がルナツーに到着してからさらに2日経ち、ガルマ率いる地球降下用の部隊が到着した。ルナツーは地球を攻略するための足がかりでしかなく、戦争の本番はここからである。

 

「ガルマ、待っていたぞ!」

 

「ドズル兄さん、ルウム戦の勝利おめでとうございます。いよいよ地球攻略ですね」

 

「ああ、部隊編成さえ終わればすぐに作戦は開始される。特にお前が担当する北米地区は連邦の軍事拠点キャリフォルニア・ベースや政治的に重要なニューヤーク等とても軍事的価値の高い場所が多い。気を抜くなよ」

 

「お任せください。私が親の七光りで北米方面軍の司令に昇格したのではないと証明してみせます」

 

 原作では地球方面軍司令ではあったものの、その肩書はお飾りと言っても過言ではないだろう。だがこの世界では活躍してもらわないと困る。お坊ちゃまは卒業だ。

 

「さて、部隊編成の時間だ」

 

 ルナツー内にあった会議室を使用し、ガルマとともにルナツーへと赴いた将兵を招集する。

 

 

 

 

「皆集まったな。これより地球降下作戦の概要と編成について話す」

 

 モニターに世界地図を表示する。

 

「我々の目的は地球の連邦基地の殲滅及び資源の確保だ。そのためにまずは主要な基地を宇宙から制圧する。目標は石油や豊富な資源を確保出来るオデッサと周辺地域、連邦の生産拠点であるキャリフォルニア・ベースを含む北米全域、アジアの一大拠点であるペキン基地、オセアニアのトリントン基地、アフリカ大陸のキリマンジャロ基地の5箇所を同時にである」

 

「同時にですか?」

 

「そうだ、同時にでなければ意味がない。各地で敗走した部隊が1箇所に集結してしまえば脅威となるだろう。それは防がなくてはならない」

 

「なるほど」

 

「まず初めにルナツーのマスドライバーを使って質量弾をジャブローに落とす。これで本拠地をいきなり攻撃された連邦は大混乱だ。それを合図としてアンリ率いる遊撃部隊が、地球降下作戦の標的である5つの基地の対空砲や格納庫など対空戦闘能力を奪う。破壊工作が完了次第、我々が降下し占領する。占領後はオデッサを地球方面統括司令部とし、他の地区を方面軍とする」

 

 

「人員の配置は?」

 

「いい質問だな。オデッサ方面は俺の率いる第1軍が担い、北米はガルマ・ザビ大佐の第2軍、アジア地区はユーリ・ケラーネ少将の第3軍、トリントンをエギーユ・デラーズ中将の第4軍、キリマンジャロ基地をノイエン・ビッター中将の第5軍に任せる。どこも戦略的価値の高い場所ばかりだ。皆頼んだぞ」

 

 名前を呼ばれた4人の軍団長は力強く頷いた。

 

「作戦は質量弾発射開始時刻の45分後、地球時刻PM3:45を目安として開始される。それまでに準備を終え所定の位置につくように。以上だ。なにか意見のある者はいるか?」

 

 そう言って彼らを見るとデラーズが手を挙げた。

 

「占領後の地域の統括はどうされるのでしょうか。アースノイドである住人に一方的な恨みを持ち、スペースノイドであることを驕り残虐な行為に走る者も必ず現れるでしょう」

 

「その点について答えは一つだ。絶対にジオンの評判を落とすことをしてはならない。これは開戦前からギレン総帥が仰っていた。俺もその意見に賛成だ。占領地域の住民とは友好的な関係を築くように部下に徹底してもらいたい。もし残虐な行為が露呈した場合は即懲罰対象になる」

 

 あえてギレンの名を出したのはギレン信奉者であるデラーズなら彼の言う事なら従うと思ったからであるが、どうやら効果は抜群だったらしい。デラーズはギレンの名が出た瞬間、素直に従う素振りを見せた。正直言ってデラーズは怪しいんだよなあ。

 

「それでは諸君の健闘を祈る。解散!」

 

 会議が終了した後、僕はギレンに呼び出された。

 

 

 

 

 

「いよいよだな、準備は順調であるか?」

 

 専用の椅子に座り足を組んでこちらを見る彼はまさにジオンの総帥の顔をしていた。

 

「ああ、全てが上手く進んでいる」

 

「なら良い。だが一つだけ忠告しておこう。占領した地域の住民とはできるだけ良好な関係を築くことを忘れるな。彼らとて連邦の被害者だ。ないがしろにすれば必ず災いとして返ってくるだろう」

 

「ああ、その事は理解しているつもりだ。先程の作戦会議でもその点については徹底させた。大丈夫だろう」

 

「私はサイド3へと戻る。良い報告を待っているぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャブロー・軍法会議

 

 ルナツーから撤退したレビル達を待っていたのは、敵前逃亡及び司令部の放棄による責任の追求であった。強硬派の連中はここぞとばかりにレビルを叩き、軍法会議にかけた。

 

「ヨハン・イブラハム・レビル大将。貴殿はジオンの侵攻に際し、宇宙軍司令部があるルナツーを放棄し地球へと撤退した。これは立派な敵前逃亡である。なにか申し開きはあるか?」

 

「いえ特にありません」

 

「さらに情報によれば、ジオンの一時的な捕虜となりその後開放された。その際に情報をジオンに渡した可能性すらある。これはスパイ容疑を掛けられてしまっても仕方ない。さらにルウム沖の戦闘でもジオンに敗北し撤退とある」

 

「それについてスパイ嫌疑以外は事実であります」

 

「以上の点を考慮し判決を下す。この時点で本来なら銃殺刑であろうが、生憎今は戦時だ。レビル大将は個人財産等をすべて取り上げたうえ、無期限の独房入とする。そして部下であるティアンムを含めルナツー所属だった者は自宅にて軟禁生活を送るように」

 

 この事実は軍内部にすぐに広がった。だがプロパガンダ統制により世間へと広まる事はなかった。

 

 その後、レビルから押収した財産に目を通していたジーン・コリニー大将はある資料を発見する。

 

「V作戦。なんだこれは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 1月10日 PM3:00

 

「マスドライバー、発射準備完了しております」

 

「よし、地球降下作戦を開始する。マスドライバー発射開始せよ」

 

 号令とともにルナツーから質量弾が発射される。本来なら物資等を遠くへ打ち出すための装置であるが、武器にも転用できる。第一宇宙速度で放たれた岩塊はとてつもない威力を発揮するはずだ。次々と放たれる岩塊は全てジャブローへと向かって落ちていく。その姿をモニターで見ていた僕は、これを迎撃しようとするであろう地球連邦に思わず同情してしまいそうだ。

 

 

 

 

 空から降ってくる災いに最初に気づいたのは北米大陸に住む人々だった。しかし誰もが流れ星だと勘違いし、ジオンの攻撃だと気づく者はいなかった。

 1つ目の岩塊が地表に着弾する直前、地球連邦も事態を把握した。しかし迎撃が間に合うはずもなく、岩塊はいともたやすくジャブローの地表を抉った。その威力は絶大で落着地点には大きなクレーターができ、網目のようなアマゾン川は流れを変え、クレーターへと流れ込んでいった。その衝撃はジャブロー全体を揺らし、臆病な高官たちは我先にと緊急シェルターへと避難を開始した。地殻を貫通するほどではなかったものの洞窟上部には亀裂が入る。だが、本当の地獄はここからであった。先程、一発の岩塊であれ程の衝撃と被害が出たのに、空を見上げるとその元凶が無数に降ってくるからである。ジャブロー司令部は、これ以上の被害を抑えるため対空ミサイルによる迎撃を指示を出した。

 

「貧弱なミサイルで、あれを止められるとは思えないがな」

 

 この言葉を発したのは、ジャブロー地表にある迎撃システム管理塔の部隊長だ。先程の岩塊の被害をその目で見た彼は、司令部から発令された命令に対し反発したもののその進言は即時却下され、改めて発射の指示が出た。そのため仕方なく発射態勢に入ることになった。地上にある管理塔からの脱出の許可が出なかったということは、上層部は彼達を見捨てたのである。死期を悟った彼らは、それでも与えられた命令を全うしようとした。2個目、3個目の迎撃は速度的に不可能なため諦め、4個目の岩塊に照準を合わせミサイルを発射した。放たれたミサイルは4発、全てが岩塊を目指して飛んでいった...はずだった。だがミサイルの速度では第一宇宙速度で落ちてくる岩塊に間に合わず、目標を失ったミサイルはフラフラと飛び、やがて互いに衝突し四散した。

 

「働く場所間違えたな...」

 

 そして皮肉にも迎撃に失敗した4個目の岩塊は、管理塔付近に落着。辺りは一瞬で焦土と化した。

 

一年戦争が終わった後の戦乱

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。