ギレンの野望?なんだそれは・・・   作:国連宇宙軍

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※この作品はグフ=グフカスタムです。前日譚にちょこっと載ってるだけなので補足しておきます。


第二十四話 地球降下作戦②

 ジャブロー基地は厚い岩盤に覆われ、連邦政府高官からは難攻不落の要塞として有事の疎開地として選ばれるほど堅固なはずであった。だが質量弾のシャワーが降り始めてから約30分、その岩盤は絶え間なく注ぐ質量弾によって至るところで崩壊、地下空洞が姿を現していた。臆病なモグラどもは基地深くのシェルターに隠れ出てくる気配はない。そのため、ジャブローの中では階級の低いはずのカラス中佐が指示を出し、部下は被害をなるべく抑えるために忙しく動いていた。だが地上の対空砲やトーチカ等はほぼ全てが破壊され、被害の規模は既に甚大であった。

 

「ジオンがこのまま攻めてくるやもしれん。全戦車隊は岩盤の崩壊により外が見えるようになった位置に配置し、空からの奇襲に備えよ。間違えても地上には出るな、あそこはもはや戦車の移動に適した地形ではない。地上の対空戦力はどのくらい残っている?」

 

「対空砲が十数基残っているのみです」

 

「元の10分の1にも満たないな。無駄だとは思うが迎撃は続けさせろ」

 

 その時、不意に継続的な振動が止んだ。誰もがその状況を理解できず、司令部内は時が一瞬止まったように静まり返る。

 

「状況報告を!」

 

「は、はい!...攻撃止んだ模様です。どうなさいますか中佐?」

 

「これは一時的なものだろうが、今は体制を立て直す方が先だ。岩盤が崩壊したところには作業員をまわして、岩盤残骸の撤去をさせろ。崩壊したところには臨時のバリケードを築く。戦車隊はそのまま待機だ」

 

「わかりました。全軍に指示を出します」

 

「私はコリニー大将に今後の対応の指示を仰いでくる。少しの間任せたぞ」

 

「承知しました。ここはお任せください」

 

 カラスは指令室を出て、シェルターを目指して歩き始める。

 

「臆病なモグラめ、いつか必ず地上に引っ張り出してくれる」

 

 彼はボソッと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 PM3:15 (ジャブロー攻撃開始から15分) オデッサ付近

 

 黒海沿岸に位置するオデッサには巨大な採掘現場と周辺地域を統括するオデッサ基地がある。原作でも重要な場所とされた此処には、遊撃部隊隊長アンリ自らが赴いていた。

 

「別働隊より通信。[ジャブロー攻撃から15分経過、ジャブロー基地の被害甚大なり]」

 

「了解した。各基地付近に展開している仲間に攻撃開始を指示。我々も出撃する。シートを剥がせ」

 

 その合図とともに近くに停車していた3台のトレーラーの荷台に被せられていたシートが剥がされた。そこに乗せられていたのは、通常のザクとは容姿が少し異なった機体。ザク・アサルトタイプと命名されたこの機体は、ソロモン製であり基地の強襲を目的とし製造された。ドズルが開発局に設計を依頼していた、[敵基地近くで素早く組み上げ、一撃離脱を主とした高機動のMS]というコンセプトを参考にギニアスが開発した機体である。特筆する点として一番に挙げられるのは、彼の独断でビグロの高機動試験の結果が反映されているということだろう。推力は通常のザクの4倍、推進剤の消費はザクの3倍となっている反面、装甲は極限まで削られておりとてもピーキーな機体である。

 

「パイロットは私、ゼナ、ケムトの3人だ。準備は出来ているな?」

 

「はい! いつでも出撃可能です」

 

「よし、ターゲットは既に設定されている。破壊して離脱するだけの簡単な仕事である。出撃するぞ」

 

 そう言うとアンリはザクへと搭乗する。それに続き2人も自分の機体へと乗り込んで、起動作業へと移る。

 

「システムオールグリーン。ザク・アサルトタイプ出る」

 

 3機のザクはトレーラーからゆっくりと起き上がる。そして、オデッサ基地を見つめモノアイを光らせた。

 

「アンリ少将、ご武運を!」

 

 彼等の駆る機体は姿勢を前傾にすると背部のスラスターを最大で噴かし、一気に基地との距離を詰め始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、各地の連邦基地は大混乱に陥っていた。本拠地ジャブローが攻撃されたという情報が緊急通信で伝えられたものの続報はなく、それどころか通信が一切通じない状態に陥ってしまっているからである。所詮本部の高官の操り人形でしかない基地司令達は慌てふためいているだけで、特に行動を起こそうとはしなかった。そのため基地内の混乱は更にひどくなり、まともに行動しているのは熟練の戦車乗りと航空部隊の隊員のみであった。混乱は基地周辺の警戒網にまで影響を与え、ジオンを懐まで侵入させる要因となる。

 

「司令、ご指示は?」

 

「今通信を試みている、黙って待っていろ!」

 

 司令の癇癪に呆れたレーダー担当者は、画面に目を戻す。だがそこに映し出されていたのは地獄へのカウントダウンだった。

 

「あっ、数分前に熱源3機が第1警戒ラインを突破した模様! 第2警戒ラインまで10秒!」

 

 その報告に反応したのは副司令だった。

 

「何故見落とした? すぐに警報を鳴らせ! 全部隊は緊急発進! 対空砲起動、目標は謎の熱源だ」

 

 [航空隊及び戦車大隊は直ちに発進せよ][フライ・マンタ、滑走路離陸どうぞ][戦車大隊、司令部を背後に攻撃陣形]

 通達はすぐに格納庫に伝わり、発進準備を終えていた各部隊は格納庫を出て基地の敷地内で戦闘陣形を取る。

 

 

 

 

 

 

「無能な将の下に有能な兵は育つか...」

 

 モニターで敵戦力の確認を終えたアンリは、敵部隊の展開の速さに思わず驚嘆する。

 

「各機、対空砲だけでなく航空機も優先して潰せ。ドズル閣下に負担を掛けさせるなよ」

 

「はい! ドズル様にご迷惑は掛けさせません。絶対に!」

 

 そう言い切ったのはゼナ・ミア少尉だ。彼女はドズルへ人並みならぬ思いを抱いているらしい。

 

 

 

 基地付近へと急速に接近したザク3機は、まず基地航空隊の爆撃を受けることになった。落ちてくる爆弾を避けると、その爆弾は基地の外壁を巻き込みながら爆発した。

 

「3時の方向から再度爆撃機5機が接近中、迎撃します!」

 

 ゼナ機が腕部に備え付けてあったガトリング砲を展開し、空へ弾幕を張る。相対した5機は毎分300発という苛烈な発射速度に対応出来ず破片を撒き散らしながら爆発する。

 

「あまり時間はない。迅速に目的を達成し、離脱する。ケムトは左、ゼナは右だ」

 

 アンリ達は壊れた外壁から敷地内へと侵入した。それと同時に対空砲の自動迎撃システムが作動し、すぐに弾丸の雨が降り注ぎ始める。しかしザク・アサルトタイプの機動力には追いつくことが出来ず、全て地面を削るだけで終わっていた。作戦は順調に進んでいると思われたが、左回りで1つ、2つと砲塔を確実に落としたケムト機が司令部の建物近くにあった3つ目を破壊しようと広い場所にでた時だった。爆音とともに大口径の砲弾の集団が一度にケムト機を襲ったのだ。30発という砲弾は正確にケムト機の予想到達地点へと打ち込まれ、うち3発がケムト機に直撃した。左腕、右足、頭部を一度に吹き飛ばされた彼の機体は地面へと転がり、立ち上がることは困難だった。左腕と一緒に胸部の装甲まで剥がれ野晒しとなったコックピット内にはロックオン警報が鳴り響き、破片によって傷つけられた体は血まみれで、いつ事切れてもおかしくはなかった。そんな状況でも意識を保っていたケムトは、モニターの中でまさに2射目を放たんとしている戦車隊に狙いを定めた。

 

「...1人じゃ...逝かない...お前...たちも.道連れだ...」

 

 その言葉と共にバズーカの引き金を引く。それとほぼ時を同じくして横たわるケムト機に向かってトドメの2射目が放たれた。互いの攻撃は交差し飛んでいくが、先に目標へと到達したのは戦車隊の一斉射だった。その砲撃によって、元々装甲が薄いアサルトタイプのコックピットは跡形もなく消し飛び、パイロットのケムトも凄惨な死を遂げる。だが彼が死に際に放った置き土産は、しっかりと戦車隊へ届けられることになる。

 

 

「ケムト! くっ、ゼナ目標は全て破壊したか?」

 

「ターゲットは全て破壊してあります!」

 

「分かった、まもなく時間だ。離脱するぞ」

 

 

 

 

 

 オデッサ基地に配属されている112戦車大隊は軍の中でも異様に練度が高く、複数のテロ事件を鎮圧した実績もある優秀な部隊だった。そんな彼等はジオンとの戦争で初めてモビルスーツを撃破するという大金星を挙げ、後世に名を残すことになった。だが敵の放った弾が前衛の目前に着弾し、少なくない被害を受けた。

 

「4両は大破、3両が履帯を破壊され行動不能。乗員は脱出し、司令部内へと入りました」

 

「そうか。他の人型はどうなった?」

 

「基地内の対空砲全てと飛行中隊の格納庫を破壊し、逃げたようですね」

 

「ふむ、所詮奴らは宇宙でしか行動できん人間の退化の象徴だ。連邦軍の庭へ入ったことを後悔しているだろう。だが、飛行中隊をほぼ壊滅させてくれたことには感謝だな。あいつらは嫌いだったからな。まあそんな事はどうでもいいか。全員帰投するぞ」

 

「た、隊長! 宇宙から何かが来ます!」

 

 部下の報告を聞き、空を見上げた隊長の目に映ったのは無数のHLV。

 

「帰投命令は撤回、迎撃準備!」

 

 

 だが隊長の意識はそのHLVから放たれた1つの弾頭によって永遠に途絶えることになる。

 

 

 

 

 

 

 ドズルside

 

「目標の撃破を確認。ガトー、無理を言ってすまなかった」

 

 まだ高度は500m程あったものの開いたハッチから身を乗り出し、司令部前の広場に集まっていた戦車隊に向かってバズーカの引き金を引いた。新規開発されたジャイアント・バズは射程も威力もザク・バズーカとは比べ物にならない。とはいえ最大射程は200m程度。今回は特殊案件で射程もクソもないが重力に引かれた弾頭は目標にしっかりと命中した。

 

「降下中のHLVからの射撃なんて無謀過ぎます」

 

「ああ、分かっている」

 

「それにしても静かですね。アンリ殿が上手くやったんでしょうか?」

 

「だろうな、彼は優秀だからな」

 

 [まもなく地上です。全機出撃に備えてください。]

 

 その合図と共に、他の2か所のハッチも開いていく。僕の機体も体勢を整え、発進に備える。着地したわけではないが、このくらいの高度ならスラスターを吹かせば着地できるな。

 

「ドム、ドズル・ザビ出るぞ!」

 

「アナベル・ガトー、グフ出撃する!」

 

「シン・マツナガ、出る!」

 

 2人の部下と共に出撃した僕は、司令部の前へと降り立つ。他の兵たちも続々とHLVから降り、虚しく抵抗を続ける飛行中隊と戦車隊の残兵を手早く処理していく。僕は司令部に銃口を向け、オープン回線で呼び掛ける。

 

「ジオン公国総司令ドズル・ザビである。地球連邦軍オデッサ基地に告ぐ。今すぐ降伏せよ」

 

 [ここは連邦軍の基地でも大規模だ。降伏などしたら他の基地に笑われる。降伏など出来ない。]

 

「そうか、残念だ。では消えろ」

 

 その言葉と共に司令部は一瞬で吹き飛んだ。

 

「格納庫は全て潰せ。通信施設などは壊すなよ!」

 

「「了解!」」

 

 数分後、オデッサ基地は陥落した。まあグフ40機で攻めたら、既に手負いの基地など余裕で落とせるよな。




ドズル君のドムは開発局に置いてあったドムの試作機をラースに頼んで改修してもらったものです。後で挿し絵として載せます。

一年戦争が終わった後の戦乱

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