ギレンの野望?なんだそれは・・・   作:国連宇宙軍

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第二十六話 前進

 ドズルside

 

 地球降下作戦から1ヶ月。ジオン地上軍は補給線を確保しつつ少しずつ占領地域を広げつつあった。特にヨーロッパ地域の占領速度は凄まじく、既に91%がジオンの勢力圏になっている。そんな快進撃をしてる最中であるが僕はオデッサ基地の自室で書類業務に追われる日々で、前線には全然出れていない。部屋にあるモニターにはリアルタイムでヨーロッパ地区の情報が表示されているが、それが僕の戦闘意欲を掻き立てムズムズしている。

 

「占領は順調だな。セイラ、他の方面軍の侵攻状況はどうなっている?」

 

「各軍団長からの報告によりますとアジア地区が53%、北米地区が76%、アフリカ地区43%、オーストラリア地区23%となっております」

 

「おおむね順調であるが、やけにオーストラリア地区の占領が遅れているな。なにか理由はあるのか?」

 

「デラーズ様からの情報によりますとトリントン基地から北西部は採掘場を利用した塹壕が作られ、思うように進軍出来ていないとのことです」

 

 理由にはなっているか……

 

「1度視察に行った方が良さそうか……北米に行くついでに寄ります?」

 

「ドズル閣下は自分で戦闘がしたいだけでしょう。ちがって?」

 

「そ、そんなことはないぞ。コホン、仕方ないからトリントン基地にはうちから第6師団と第8師団のグフ計150機を増援として送っておけ」

 

「承知しました。すぐに手配します」

 

(ここ1ヶ月セイラと共に仕事をしてきたが、俺の扱い方を熟知してる気がする。いったい誰の差し金だ……)

 

 口では順調と言ったものの連邦軍の反撃により各方面軍が苦戦しているのも事実だ。連邦の歩兵と戦車の連携はグフをも退けるほど厄介なのである。原作では無理に戦線を伸ばした結果、補給が行き届かず膠着状態となってしまった。これを防ぐために占領速度を落とし地域の住民との関係も良好を保っているわけだが、その間に連邦軍は防衛ラインを何重にも引いたため進軍は予想以上に難航している。僕が指揮するヨーロッパ戦線はガトー中尉とマツナガ中尉、そして遊撃部隊から転属になったゼナ少尉が防衛ラインをどんどん破壊しているため関係ないが、他の地域では少なくない被害が出続けているのだ。

 

「ガルマから連絡はないか?」

 

「まだ連絡はありません」

 

「そうか、いつでも出れるようにザンジバルの発進準備は終わらせておいてくれ。それと俺のMSはヅダも積んどいてくれると助かる」

 

 セイラは頷き部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 シャアside

 

 北米 キャリフォルニア・ベース

 

 連邦の一大生産拠点があった此処は現在ガルマ指揮する第2軍の主要な拠点になっていると共に、兵器開発局の地上支部が置かれて新兵器の開発が日々行われている。ここから西には海もあるため、水陸両用MSを作ろうとラースが張り切っていた。かくいう私は北米での大規模作戦へ向けて基地司令部内でガルマと机の上の地図を見ながら作戦会議を行っている。

 

「ニューヤークまではあと少しという所だな。だが今一つたどり着けないのはピッツバーグの抵抗が続いているから.か。仕方ない、ピッツバーグへは私が直接出向こう」

 

「シャア自ら行ってくれるのか? 確かにあそこは苦戦しているが、君が出るほどではないだろう?」

 

「君に華を持たせてやりたいんだ。同期として君の出世を手助け出来るなら構わんさ」

 

「なら君の提案に甘えるとしよう。攻略が終わればニューヤークへは入れる。あとはドズル兄さんの援護を待ってオーガスタに集まっている残存部隊を狩るだけだ」

 

 ガルマの返しを聞いた私は疑問を口にする。

 

「その事なんだが、ガルマは不思議に思わないか?」

 

「なんのことだ?」

 

「連邦が集結しているオーガスタは民間の医療研究所があるだけだったはずだ。いくら連邦でも市民を盾にはしないんじゃないか……と思うんだが」

 

「シャアの言う通りだな。ドズル兄さんもオーガスタ付近は注意しろと開戦時から言っていたし、連邦の秘密施設でもあるのかもしれないな。一度偵察部隊を出してみよう」

 

「そっちは任せたぞ、私は2個大隊を率いて出撃する」

 

 私は部屋を出ようと歩き始めるが、ガルマに呼び止められた。

 

「出撃する前にラースの所に行くといい。君にプレゼントがあるそうだ」

 

 

 

 

 司令部を出て滑走路へと歩みを進めると、輸送機の前で私を待ち構えるラースの姿があった。

 

「おっ、シャア少佐お待ちしておりました! こちらへどうぞ」

 

「ガルマから話は聞いた。プレゼントとはなんだ?」

 

「ルウム戦の功労者である少佐が普通のグフに乗るのは駄目だと総司令に言われたので、チューンを行いシャア少佐専用機を作ったんですよ」

 

「ほう、それはありがたい話だな。でどういう機体なんだ?」

 

「まあそう慌てずに、まずはこれを」

 

 彼はマニュアルを渡す。

 

「それでは詳しく説明します。まずは移動能力についてですが、ヅダのエンジンとホバークラフトを応用したものを使うことでMSでもホバー移動できるようにしました。これによりグフでも通常の三倍のスピードを出せるようになっています。ホバーは次期主力MSに標準搭載される予定ですが、現時点で搭載されているのはドズル閣下の機体とシャア少佐の機体だけですね。反応速度はルウム戦時のデータを反映し近づけていますが、宇宙と違い重力があるので多少異なると思いますのでその点はご注意を。武装については他のMSと共用なので説明の必要はないですね」

 

「ホバー移動か、私にうまく使えるか?」

 

「少佐なら出来ます。それに数週間後には一般兵も乗るんです。あなたが扱えなければ誰も乗れません」

 

「その言い方気に入らんな。まあうまく扱ってみせるよ」

 

「ご武運を!」

 

 そう言って笑顔で敬礼した彼に敬礼を返した後、私は輸送機に入り目の前に置かれている赤色のグフに目をやった。改めて見ると上半身はほぼ変化ないが足はとても太くなっている。早速コックピットへと乗り込み、マニュアルを見ながら機体を起動する。操作性も普通のグフより良くなっているのではないかと思うほど滑らかだ。これなら私でも活躍出来るはず。私を闇から救ってくれたドズル・ザビのために必ず勝利を掴んで見せる

 

「各員機体の最終チェックを済ませておけ。すぐ戦場だ」

 

 

 1時間後、北米大陸最大の激戦区であるピッツバーグ上空へと到着した。眼下ではグフ部隊が多数の61式に囲まれ苦戦しており、予断を許さない状況だ。即座に援護が必要と判断した私は降下可能高度になっていない輸送機から飛び降りる準備をする。

 

「降下する。付いて来い!」

 

 輸送機から飛び降り、味方と敵の中間地点へと着地する。連邦軍は突然現れた輸送機に気を取られ、ほんの一瞬攻撃が止んだ。私はそこを見逃さず左腕のガトリングを戦車隊へ向け、迷わず引き金を引いた。左腕から連続して放たれる弾丸の雨は戦車隊の装甲をたやすく貫き、あっという間にその数を減らす。目の前の戦車隊を数秒で蹂躙し、次の目標を探すために移動を開始すると通信機から連邦の通信が聞こえてきた。どうやらオープン回線で会話しているらしい。

 

 [赤いMSだと? まさかシャア・アズナブルか! ][赤い彗星!? ][銀の流星よりはマシだ、破壊しろ! ]

 

(私も舐められたものだ……しかし、ドズル・ザビには敵わなくて当然か。だが私とて戦車隊に遅れを取るほど弱くはないぞ!)

 

 部下のグフと共に立ちはだかる戦車を破壊しながら陣形の深くへと侵入していく。目指すは陣形の最奥に位置する大型指揮車両だ。コックピットのモニターにその姿が映し出されると、私は弾切れのガトリングをパージし、スラスターを最大限噴かして一気に距離を詰める。道中指揮車両から激しい砲撃を受けるが、この機体を止めるには至らない。ほぼ0距離へと近づき、手に持っていたヒートソードを指揮車両のブリッジに向かって振り下ろす。刃は装甲を溶かしながらブリッジを消し飛ばして振り抜かれる。その一撃で司令系統を破壊された北米守備軍は白旗を掲げる者とオーガスタに向けて後退する者の2択に分かれた。

 

「…シャアだ。ガルマにピッツバーグを落としたと伝えてくれ」

 

 

一年戦争が終わった後の戦乱

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