オーガスタ研究所……原作ではジム・カスタムやジム・クゥエルなどのオーガスタ系MSやRX78シリーズから、果てはペイルライダーまで作っており、残しておけば我々を恐怖に陥れること間違い無しの場所だ。僕は原作の知識を持っているのでそこで何が起きているのか知っているが、他の方々は知らないためどう攻めるか考えあぐねていたところ、ちょうど連邦軍が集結しているらしく手早く破壊できることになった。そんなこんなで現在僕はザンジバル8隻、MS50機弱を率いてキャリフォルニアに赴いている。
「兄さん、来てくれてありがとう。ここからは兄さんが指揮を……」
その言葉を遮る。
「何を言っているんだ? この作戦の指揮官はあくまでもお前だ。俺はお前の指示で動く」
「……分かったよ、兄さん」
未来のジオンを担うはずの男だ。しっかりと経験をさせなければいけないからな。……というのは建前で本当は前線で戦いたいからなんだが、言うと止められるので言わないでおく。
「それで作戦についてなんだけど、東、南北の3方位から挟撃しようと思うんだ。兄さn、コホン、総司令はどう思われますか?」
「西に逃げられた場合にはどうする?」
「西にはシャア少佐の部隊を伏兵として置いています。もし逃れようとした敵がいた場合、彼が殲滅するでしょう」
ふむ、しっかりと練られたようだ。これならこのままでも平気だな。
「合格だ、この作戦で行こう。南からの進撃は俺が引き受ける」
「分かりました。作戦開始は翌々日の朝とし、準備を進めます」
ここさえ制圧すれば北米は暫く安泰だ。さっさと終わらせよう。それはそれとしてオーガスタでは何が起きているんだ? まだ試作MSさえいない段階でオーガスタ系MSの開発をしてるとも思えないし、やっぱり強化人間とか非道な実験とかなのか。いやそれも時系列的にはおかしい。いくら歴史がねじ曲がってるとはいえでもだ。直接突入して確かめるしかないか……
テム・レイside
「テム・レイ少佐、少しお話があります」
「忙しいのだが、何かね?」
オーガスタ研究所内の一角に置かれたMSグフを解体しながら私はそう答える。
「数時間後にジオンがここに攻めてくるそうです」
「っ! だから私はここに集結するのはやめろと言ったんだ! V作戦が進まなくなるではないか」
コリニー閣下の顔に泥を塗るわけにはいかないというのに。
「その件についてコリニー大将から伝言を頂いております。サイド7で開発を続けるようにとのことです」
「サイド7だと? ルナツーが陥落した今あそこは危険ではないのかね」
「ジオンは地球攻略に必死で民間のコロニー建設に目を光らせるほど暇ではない……と仰っていました」
ある程度MSの構造は把握した。少し不安も残るが開発の続きが出来るというならばサイド7へでもどこでも行ってやる。
「分かった。機材や研究者などをまとめ、移動の準備を」
「はっ、すぐに手配致します!」
2日後
今朝キャリフォルニア基地を出発した僕の隊は南から大きく回り込み、オーガスタ地区から南15キロの地点に陣を置いた。北から攻めるガルマの隊、東から攻めるグレーデン大尉の隊とは緻密に連絡を取りながら少しずつ包囲を縮めつつある。だが我々の背後には連邦のジャブロー基地があり、いつ増援が到着するか分からないため、隊を2つに分け後方警戒も行いながらの進軍で他の隊よりも負担は大きい。その分沢山戦闘が出来るかもしれないので僕にとっては良いことではあるが、部下には申し訳ないので本当に増援が来たら1人で対応しようと密かに思っている。
「閣下、連邦軍が動き始めました」
「よし、各自攻撃を許可する。思う存分暴れてこい」
今回はガトーを連れてきた。彼は専用にチューンされたグフに搭乗し、オデッサ戦線では一ヶ月で61式を100両以上葬ったと報告を受けている。オデッサ戦線の要であるガトー中尉とマツナガ中尉を同時に連れ出すことは出来ないので2人で話し合ってもらった結果、次回の遠征ではマツナガ中尉を連れていくことを条件に今回は彼に折れて貰ったのだ。
「南無三!」
モニターの前で繰り広げられる光景は連邦にとってはまさに地獄絵図だろう。ある程度近づかれれば仰角の制限で攻撃手段を失ってしまう戦車にとって、MSはまさに天敵なのだから。そのうちオデッサの悪夢とか言われそうだよね、ガトーさん。
僕自身ドムには搭乗しているもののこれといった出番はなく、ただ部下の活躍を眺めているだけでとても退屈だ。そんなことを思っていたのが裏目に出たのか、連邦軍の援軍は本当に来てしまったようだ。
「ドズル様、レーダーが南米より接近中のミデア型を十数機捕捉しました。低空飛行のようです」
無理矢理にでも61式を降ろすつもりか、なかなか勇気のある部隊だな。
「ガトー、こちらの戦場は任せる。制圧が完了次第こちらに合流せよ」
「承知しました。閣下、無茶はなさらないように。すぐに合流いたしますので」
ガトーからの返事を受け、僕はドムを駆り南に向かう。このドムなら数分でミデアの姿を捉えられるはずだ。予めヅダの対艦ライフルを持ってきておいて正解だったな。そして僕の予想は当たり、数キロ南に下った所で遠方から近づいてくる小さな機影をモニターに捉える。
「まだ少し遠いか? いや当てて見せる!」
その場で膝立ちになり対艦ライフルを構え、スコープを覗いて照準をミデアのブリッジに定めた。刹那ライフルから放たれた弾丸はミデアのブリッジをあっけなく貫通し、操縦不能となった1機目は地面へと落ちていった。次弾を装填し2機目、3機目も次々落としていく。そんな中、複数のミデアから61式が放たれた。数は……全部で36だ。
「厄介だな、距離を詰めさせてもらう!」
対艦ライフルを捨てて背中にマウントしてあったザクマシンガンを構える。それと同時にホバーを使って戦車隊との距離を一気に縮めた。一番手前にいた61式に狙いを定め、引き金を引く。ターゲットにされた61式はあっという間に蜂の巣になり破片をばら撒きながら四散した。その後も薬莢を地面へとばら撒きながらマシンガンは火を吹き続ける。1両、また1両と確実に数を減らし数分も経たないうちに戦車隊はほぼ壊滅状態となった。後方にいた61式はこちらに砲撃を放つが、僕がそれを見逃すはずはない。タイミングよくしゃがみ砲弾を避けると、反撃とばかりに弾丸の雨をお返しする。ふと空を見上げると戦車隊を下ろした奴等の姿はすでに見えない。
「ミデアは逃げたか」
その時、ガトーのグフが僕に追い付いた。
「閣下、研究所付近の制圧が完了致しました。ガルマ様が突入の指揮を取るようです。閣下もお早く」
「こちらもちょうど片付いた。連邦が追加戦力を投入してまで守りたかったもの……果たしてどんなものか」
ガトーと共に研究所へと戻り、ガルマ率いる突入部隊へと合流する。拳銃の安全装置を外し、銃弾の装填を確認する。
「総司令はここで待っててくれるとありがたいのですが?」
「俺だって軍人だ。それなりの訓練は積んでいる。それに情報漏洩事件の時には戦闘に参加していたようなものだ。俺も連れていけ」
「分かりました。ですが何が待っているかは分かりません。命の保証は出来ませんよ」
「無論分かったうえだ。俺の事は気にしなくていい」
ガルマは心配性のようだ。ドズルはオリジンでは爆破されても死ななかった男だ。そう簡単にはやられんさ。
と気合を入れて突入した我々だったが
「全員武器を置いて手を、?」
目の前に現れた光景に思わず絶句する。眼前に広がっていたのは戦争中の収容所のような風景だった。ここにいる人達は痩せ気味で栄養状態は良くないようだ。これが連邦の抱える闇なのか?
「総司令、これを」
ガルマに呼ばれ振り返ると、彼は青ざめた顔をして俯いていた。渡された紙に目を通した僕は思わず声を上げる。
「政府に異を唱える者を使用した人体実験だと?」
大規模なデモが起こった際に拘束した人たちをここに運び非道な人体実験を行っていたらしい。資料によると拷問や生体実験、薬物を投与した強化プランなど沢山列挙されている。ここにいるのはその被害者だろう。怯えた目でこちらを見ている彼らをここに放ってはおけまい。ただ気になるのは渡された紙の中にあった名簿だ。そのうち10人ぐらいが移送済みと書かれている。どこに移送されたのか突き止めて助け出さないと。
「ドズル様、大変です!」
「ラース、そんなに慌てているんだ?」
「これを御覧ください」
ラースの手に乗っていたのは一本のネジ。
「これはグフにしか使っていないネジです。開発した私が見間違えるはずはありません」
「連邦が我々のMSを解析したということか。まずいことになった」
放棄したMSは連邦に回収されないように必ず破壊処理させている。それがどこかの部隊で行われなかった可能性が高い。早急に調査して明らかにしないといけない。また仕事が増えたぞ。
一年戦争が終わった後の戦乱
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