サイド7内部
サイド7の居住地に住んでいる15歳の少年アムロ・レイは、幼馴染みのフラウに頼まれて朝から車の修理をしていた。そこへ一人の男が現れる。
「坊主、どうかしたのか?」
アムロが顔を上げると、そこにいたのは30代半ばの男。彼はアムロの後ろから作業を覗き込んだ。
「そこはそう繋ぐのではダメだ。貸してみなさい」
彼はアムロから工具を借りるとエンジンをいじり始める。
「えっと……あなたは?」
「私はランバ・ラルだ。こういうことは昔から好きでね」
そう言いながら彼はほんの数分で修理を完了させる。
「あ、ありがとうございました。僕はアムロ・レイです」
「アムロ君か、機械いじりは好きなのかね?」
「は、はい」
「そうか、いい趣味を持っているな。いつか役に立つかもしれん、そのまま続けるといいぞ」
短い世間話が終わると、ラルはその場をあとにする。アムロは去っていくラルの背中をずっと眺めていた。
ランバ・ラルとその部下3名は住宅密集地から少し離れた郊外の空き家に仮設の作戦室を作り情報収集を行っていた。
「隊長、例の青年には会えたんですか? ドズル様は戦況を左右することになる奴だと言っていましたが」
「どうやら連邦士官の息子らしい、そのことについて閣下は仰っていたのかもしれん」
アムロ・レイの身元調査はある程度進んでいた。それと並行してサイド7内の研究施設への潜入計画もまもなく始まる。ドズルから連邦の極秘作戦阻止と[アムロという青年に接触し可能ならこちらの陣営に引き入れること]との命令を受けたランバラル隊は表向きには長期休暇という名目でソロモンを離れた。それから一ヶ月経ちサイド7内の連邦軍の活動は活発的になりつつある。
「明日から連邦施設へ潜入し、さらに詳しい情報を集める。今日はゆっくり休んでくれ」
裏ルートで手に入れた連邦の制服を部下に渡すと、ラル自身も休息のため自室に戻った。
5月
オーストラリア大陸・トリントン基地
「デラーズ閣下、我が第3師団はオーストラリア中部に陣を置いていた連邦残存部隊主力の殲滅に成功致しました」
司令部の玉座に座るデラーズに頭を垂れているマ・クベだ。彼は不敵の笑みを浮かべていた。
「その際思わぬ土産を手に入れました。こちらをご覧ください」
そう言って手渡したのは1枚の紙。
「……核か。このような物を持って逃げていたとはな。よくやった、マ・クベよ」
「閣下の野望は現実味を帯びてきました。この戦争が終わり次第、実行に移されるのですか?」
「まだ判断するには時期尚早だ。だがザビ家はギレン様だけでいいだろう」
ギレンの信奉者であるデラーズは既に戦争終結の先を見ていた。彼が求めるのはギレンによる地球圏全体の独裁。それを邪魔する可能性のある他の兄弟はデラーズにとっては不要な塵であった。
「先ずはオーストラリア全体の制圧である。核にさえ耐えうる此処を拠点とすれば如何なる侵攻も阻止できるであろう。そしてドズルのいるオデッサは核の射程圏内だ。ボタン一つでヨーロッパは壊滅する」
「素晴らしいお考えです。このマ・クベ、一生貴方の側で支えましょう」
「高き忠誠感謝する。共にジオンを気高きものにしようではないか」
ドズルside
北米地区の完全制圧の報、これは他の地区で戦う兵士にとって戦闘の士気を格段に高めることになった。地上のミリタリーバランスはジオンが7割を占めている。それでも降伏しない連邦は強固な防衛線を構築しいつまでも抵抗を続けている。原作のように膠着状態に突入してしまっているのだ。それでも原作とは違い生産活動の要所は全てこちら側の手にある。数ヶ月もすれば物資が底をついた連邦は降伏するであろう。
「気がかりはV作戦か……」
ジャブローに潜入している工作員の情報からV作戦が進められているのは把握している。そのためランバ・ラルをサイド7へと送り込んだ訳だが、どうしても不安は拭えない。正史とは完全に違う道を進んでいるため、どんな化け物が開発されるか分からんのだ。下手したら一機のMSだけで、今の状況がひっくり返される可能性だってあるのだ。
「こちらもMS開発を加速しなければいけないな」
そう思い立った俺はキャリフォルニアのMS開発局へと向かった。
「グフやドムに変わる次世代MSですか? まだドムの生産は始まったばかりですよ?」
開発局のラースを訪ねた僕は自分の考えを率直に伝えた。
「それは分かっている。だが既にグフは十数体、ドムに関しても3体鹵獲されているのは事実なんだ。解析される前に新たなMSを開発し連邦より何歩も先をいかなくてはいかない」
「それは分かりますが、現在ここの開発局はドム、グフ、そして水陸両用MSの改良で占められています。本国や他のサイドのラインでないと生産はおろか開発も難しいでしょう」
「そうか……いきなり申し訳なかった」
「いえ、こちらこそお力になれずすみません」
焦りすぎか……だがいやな予感がするのは気のせいではないだろう。
そして戦争は完全な膠着状態となる
一年戦争が終わった後の戦乱
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