真知子有利と思われていたパワハラ裁判。
しかし、これぞ古美門研介知らしめる百戦錬磨の弁護により劣勢にたたされる。
そして、迎えられる最終弁論に向け準備を進める真智子に突如依頼者から和解の方針変更が告げられる。
突如依頼者から告げられる和解への方針変更に気が動転し、すっとんきょうな声をあげる真智子。 しかし、彼女の弁護方針は何を置いても依頼者第一、まずは何故和解の方針に至ったのか?その原因を確かめることに決めたようだ。
「次郎長さん、何故和解へ方針変更をするのか。差し支えなければ理由を伺ってもよろしいでしょうか?」
「構わねえよ。むしろ、突然方針を変更したんだから理由を話すのが道理だわな・・・実はね」
突然の方針変更理由、それは裁判後の顕著な施工依頼減少にあった。
今回の裁判、案件的には非常にありふれた些細な内容の裁判であり何処の新聞社も特に記事としては取り上げなかった。しかし、このような噂は直ぐに広まるものである。
貴方は経験がないであろうか?
おばちゃん達が集まり、やれどこどこの誰が受験に失敗した。どこそこの奥さんが急にパートを始めた。あそこの家のお子さんが○○の大企業に就職したetc・・
という、思わず「何でそんなこと知ってるんだよ!!」と突っ込みをいれたくなる井戸端会議の内容を。
おばちゃん達の情報収集能力(他人の家庭事情限定)、それは正にCIAが裸足で逃げ出すほど脅威的な物なのだ。
少し話がそれてしまったが、依頼者の興した一二三工業は地域密着型の施工で利益をあげていた。しかし、今回起こったパワハラ裁判、こんな絶好の井戸端ネタをおばちゃん達が見逃すはずはなく直ぐに噂は広まった。
そして、パワハラ会社の烙印を押された会社に施工の依頼など来るであろうか?必然的に、売り上げは例年の1/10にまで減少し一二三工業存続危機に陥っていた。
依頼者一二三次郎長にとってこの悪評は裁判が続く限り、いや、裁判が終わっても続くかもしれない。ならば、もう和解をしてしまい精神的にも楽になりたい。そして早く噂の元を消し去ってしまいたい、そのような思いで一杯であった。
「人の噂も75日とよくいわれるからなぁ・・・兎に角、足元に火がついっちまってもう裁判どころじゃあなくなっちまった。」
「本当にすまないね。弁護士の先生」
「次郎長さん・・」
真智子は知っている。例え和解してもこの類いの噂はなかなか消えないことを
そして、このような事態を解決する最良の方法は勝訴する事。そして無実を証明する事であることを。依頼者の最良の解決に導くため、真智子はあえて反論を唱えた。
「このまま和解は絶対に行けません。次郎長さん、諦めちゃ・・・」
諦めちゃだめです!!そう言おうとした矢先、突如その言葉は遮られた。
「あきらめないで!!」
あの男が某芸能人宜しく、決め台詞を放ちどこからともなく現れた。そして、当然のように真智子の隣の席に強引に入ってくる。
1.5人用の着席スペースに2人がけというなんとも奇妙な光景が演出されていた。
「どうしてここにるんですか!!今はお互い敵同士なんですから、スパイしないで下さい」
真智子が「あっち行け」というジェスチャーを大袈裟に行い邪魔者を追い払おうとするも、古美門は意に介さない。
「残念だったな、朝ドラ!!俺は今、原告の弁護士を解任された。だからこれはスパイ行為にも違反行為にも該当しない」
そう苦々しげに語る古美門研介。
彼は、原告のボンボンから弁護料の法外な高さを理由に弁護士を解任させられていた。
ーーーーー弁護士の解任ーーーー
どんな裁判でも依頼者の意思に沿った弁護士でないと判断した場合、例え裁判途中であっても自由に弁護士を解任できる。
ただし、解任する弁護士に最初に払った手付金や相談料、解任日までの弁護費用等は当然返却されない。代わりに、裁判終了後の報酬金(勝ち取った慰謝料の○割)は払わなくてよくなる。
また、契約解除料も必要ないらしい
大抵の場合弁護士解任のポピュラーな理由は、手続きが遅い、依頼者の意思にそぐわない裁判を行う等が大半であり今回の古美門のような理由での解任ケースは稀であると言える。
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「え!解任させられたんですか?」
「何笑ってんだ朝ドラ。あんなやつ、こっちから願い下げしてやったんだよ!」
「願い下げって、只の強がりじゃないですか」
「うるさいうるさい。そんなこと、どうでもいいだろ。」
「それよりもだ」
この話はこれで終わりとばかりに強引に打ちきると、古美門は真智子の依頼者次郎長の説得に動く
「次郎長さん、貴方は兎に角どんな形でもいいから裁判を速く終了させて悪い噂を絶ちきりたい。そして何とかして経営を回復させたい。そう思っているのではありませんか?」
「その通りだよ。弁護士の先生」
「それならば、和解は最も選んではいけない愚かな自殺行為といえます!!」
ーーーーー訴訟上の和解ーーーーー
今回のように、裁判途中で和解を行う場合は上記名称で呼ばれる。実際の裁判でもこのような和解は頻繁に行われており、割合としては50:50らしい。
訴訟上の和解を行うメリットは以下のようなものがある(やはりネット情報)
1.紛争が早く解決する
判決の場合、相手が上告すれば最高裁まで行う可能性もありそれだけ時間がかかる。しかし、和解ならその瞬間に判決を待たずして解決
2.判決リスクを回避することができる
判決では、証拠不十分と判断されて、負けてしまう可能性があるまた法の解釈で不利な判断をされる可能性もある。(ポピュラーなものだと、殺人事件などで加害者が反省しているとか、責任能力がないとかゆう意味不明な理由で減刑させられるやつ)これに対し、和解にはこのような「不確実性」がない。(ただし民事裁判に限る)
3.履行の可能性
勝訴判決を得ても相手方が履行してくれない(無い袖は振れない)、ということがあり、その場合別途強制執行手続きをとることとなる。この場合判決内容実現のためにさらなる手間がかかることがある。これに対し、和解の場合、相手方はその内容を守ってくれる可能性が格段に高くなる。
4.費用
上訴があったり、強制執行手続きをとることとなった場合は、その分余計に費用がかかることとなります。和解ではその費用負担のリスクを小さくできる。
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「次郎長さん、此方から和解を申し出るということは被告側に落ち度があったことを認めるに等しい行為です!」
「そして、落ち度を認めた場合どうなるか?世間ではこう噂されるでしょう」
「やっぱり、一二三工業の親方はパワハラを行っていたんだ!!あんなパワハラ会社にもう施工なんて任せられない。そして行き着く先は一つ一二三工業の倒産です。」
真智子・古美門二人の弁護信念は完璧に相反している。しかし、そんな二人に唯一共通している点がある。それは、依頼者の心情を明確に読み取り、裁判において何を重要視しているか?これを見抜く能力である。勿論一方は、その能力を依頼者の最もベストする形で弁護するため、一方はより多くの弁護報酬を稼ぐためという違いがあることは言うまでもない。
「親方、今回の裁判一二三工業が生き残る道は一つです。裁判に勝訴し無実を勝ち取ることこれしかありません!‼️」
「・・・」
しかし、次郎長は最終的な判断を未だ決められずにいた。
押し黙る次郎長を前に古美門は直感した。これは再び裁判に持っていける!そのためには止めの一撃が必要だということを。そこで取って置きの殺し文句を次郎長に放つ古美門
「親方、先程も言いましたがこの裁判に和解するということは一二三工業の倒産を意味します」
「この会社が倒産したら残された従業員はどうなるのです!!」
「このご時世、そう簡単に次の職場など見つかりません。倒産してしまったら親方だけでなく従業員全てが路頭に迷うことになるのです。」
「この問題は最早、親方だけの問題はなくなりました。これは、一二三工業の存続と従業員の将来をかけた問題なのです。」
「貴方には従業員を守るため現場の親方として、一二三工業の社長として、そして・・・彼ら従業員の父親としての義務をはたすめにも最後まで徹底抗戦するべきであると私は考えます!!」
従業員を我が子同様に思っている次郎長にとってこれほど効果てきめんの殺し文句はなかった。古美門の予想通り、一二三次郎長の考えは和解から一転再び裁判続行へ変更された。
今回で1部終了させる予定でしたが、長くなったのでまたもや途中投稿
次回こそ、本当にラストとなります。申し訳ありません
PS漸く私にも1週間遅れでお盆休みが来ました。
何とかお盆休みブースとで投稿ペースをあげていきたいですね(願望)