しかし、すぐさま被告側弁護を黛真知子と共同で行う持ち前のフットワークの軽さを披露する。果たして裁判の行方はどうなってしまうのか?
古美門事務所、真知子は審理前日の古美門研介乱入、そして被告側一二三次郎長の弁護に加わることに当然のように抗議を上げていた。
「どうして、いつもいつも自分勝手に行動して私の邪魔ばかりするんですか!!」
「しょうがないだろ、あのぼんぼんが自分勝手に解任したおかげで、手持ち無沙汰になったんだから」
「それに……」
ここで、一度言葉を止める古美門。
「それに、何ですか? そこで止められると気になっちゃうじゃないですか」
真知子の問いにあのドヤ顔を決め、会心の一撃を言い放った
「それに俺様が加わらなかったら、朝ドラ側の敗訴は火を見るより明らかだからな!!」
「な、誰のせいでこの裁判こんなに苦労していると思っているんですか」
「そんなの決まっているだろ、こんな勝確の裁判でも勝訴に持っていけない朝ドラの実力のなさだ!!」
「う~・・・」
今回の裁判、この男さえしゃしゃり出てこなければ真知子側の勝訴は確実であった。しかし、原告側弁護に古美門が回り窮地に立たされた。それらすべての不満を訴えようと思い放った一言、それさえもきれいにクロスカウンターを決められ完膚なきまでに叩き潰される。まさに真知子の完全敗北であった。
「でもここからどうやって、勝訴に持ち込むんですか?」
「誰かさんのおかげで、証人も完璧にそろえられちゃって敗訴濃厚なんですけど!」
「安心しろ朝ドラ!その誰かさんが被告側にまわったんだ。自分で用意した作戦など簡単に粉砕できる。現にもう、勝訴に導くための案は5つも用意している。」
「それに、これを見ろ。相手側の弁護士だ」
古美門の手には、一通の手紙が握られていた。それは、明日の審理の時間や場所及び相手弁護人が記された、お知らせ書であった(そんなものは、実際の裁判では存在しない)
真知子が、渡されたお知らせ書を受け取り弁護士の名前を確認する。
原告側弁護人:磯貝邦光
「さーてと、あのガラクタどんなふうに料理してやろうか」
「邦光さん・・・」
そう一言つぶやくと、真知子は空に向かって十字をきる。それは、これから虐殺されるであろう邦光への精一杯の彼女のやさしさであった
ーーーーー磯貝邦光ーーーーー
リーガルハイ2期から登場。元は三木法律事務所所属、とある事件をきっかけに退所。NEXUS法律事務所に入所する。
三木法律事務所では刑事部門のエースと称されていたが、実際は勝ち目の無い敗戦処理ばかり担当させられていた。やや吃り気味で歯切れも悪く、弁護士としての腕は良いとは言い難い。
NEXUSの中でも存在感が薄く、扱いは悪い(とある裁判では、検証現場に置き去りにされたりもしている。)そのためか古美門からも「ガラクタ」呼ばわりされてしまっている。
羽生、本田が事務所を去った後、NEXUSを引き継いだ。(作者は大貫善三の次くらいに好きなキャラである)
ーーーーーーーーーーーーーー
そして迎えた審理当日、まずは原告側の弁論から開始された。
原告側の主張は、今までの審理と変わらず被告側の救助方法は適切ではなかったという主張であった。その根拠、証言もやはり古美門が行っていた今までの弁論をオウム返しのように吃り気味に読み上げるだけであった。
「えー、以上の点から・・被告側の行った行為はパワハラであると。えー主張いたします」
「意義あり!!」
裁判官からの、被告側の意義の有無があるかどうかの確認を待つまでもなく、古美門の意義が飛ぶ。
「原告側用意した証人の発言を全て鵜呑みにするのはいかがなものかと思います」
「そ、そ、それはどういうことです!」
「こ、今回の証人はもともと君が集めたもので全て一二三工業で働いていた従業員じゃないか!」
「なにを根拠に」
「ええ。確かにその方々はれっきとした一二三工業の元従業員です。しかーし!!」
そういうと、古美門は用意していたいくつかの書類を原告側及び裁判官に提出する。それは、原告側が用意した証人の性別・氏名・年齢・及び今までの職歴などが書かれた履歴書であった。
「り、履歴書のようですがこれがなんだというのですか?」
「そちらの履歴書をよく見ていたただたい。何か気付く事はないでしょうか?」
各々が注意して確認するも、それはやはりただの履歴書である。質問の意図が分からず邦光・真知子ともに沈黙法廷内は沈黙に支配される、しばらくの間あえて猶予を与える古美門。そして誰も声を上げないことを確認するとわざとらしくため息を着き解説を始める。
「まず、彼らの職歴をご覧ください。彼らはみな、一二三工業で働き僅か半年足らずで全員辞めてしまわれております。」
慌てて再度資料を確認する真知子。確かに、原告側が用意した証人は全て半年未満、短い者に至ってはたった10日足らずでやめてしまっている者も散見された。
「半年と言えば、ようやく仕事のやり方が少し分ってくるところ。大企業では、ビジネスマナー等の基礎知識をセミナーで教え終わる研修期間に等しい」
「そんな研修期間も我慢できずに辞めていった者達の証言にどれほどの説徳力があるでしょうか?」
「対してこちらの用意した証人は一二三工業を立派に15年も勤め上げ、親方から暖簾分けしてもらい立派に独立し一人親方を勤め上げております」
「どちらの証人の発言が信じるに値するかこれは、職歴を見れば一目瞭然なはずです!」
真知子にとって、そして原告側弁護士邦光にとっても盲点であった。職歴これは、今回の裁判において重要な項目である。 なぜなら、一二三工業での勤務年数=被告一二三次郎長と接した時間だからだ。
この点において、15年以上の長い付き合いのある被告側証人と長くても半年未満の付き合しかない原告側証人どちらの証言が信頼できるかは、もはや言うまでもなかった。
「・・・で、ですが、被告側の救助方法はやはり不適切と言わざるおえません」
何とか、話題をそらすため原告側弁護士は原告を蹴って感電から救護した方法の不適切さを次の争点に持っていく。原告側にとってこの論点は正に最後の砦、ここが破られれば敗北必須の天下分け目の関ヶ原である。
「こ、こちらの資料からもわかるように、感電救護で必要なことは救護者自身が感電しないよう絶縁防護をしてから救護することです」
「す、すなわちゴム手袋をし回路から引き離す、または、ブレーカを断として救護する方法もあったはずd・・」
「裁判長ご説明します!!」
「原告側弁護士にお尋ねします!感電者救護のうえで最も重要なことは何でしょう?」
「で、ですから先ほどから申し上げているように絶縁防護をして感電しないよう・・」
「違う!!」
原告側弁護士邦光が発言を終わる前にすぐさま否定する古美門。
そして
「もっとも重要なのは、迅速に回路から感電者を引き離すことだ、通電電圧が高いほど、そして通電時間が長いほど感電者の死亡率は高くなる。ここで、実演をおこないます。」
そういうと、どこからともなく小道具を用意すると手際よく法廷にセットしていく真知子
「違う!そのセットはそこじゃない。そのセットはあと5cm右、行き過ぎだ!!」
現場監督さながらに、指示を飛ばしていく古美門。そして10分後法廷には被告が感電した当時の現場が見事出来上がっていた。 真知子は古美門の指示でそのセットの回路にふれ感電者約に、古美門が救護者一二三次郎長役になり、3つの救助方法がそれぞれどの程度時間がかかるのか実証する。
「あ~痺れ~る~」
大根役者顔負けの棒読みで感電役をえんじている真知子。検証順はブレーカのOFF、ゴム手袋を装着して引き離す、蹴って引き離すで行われる。
「死んでもいいぞー。朝ドラー!!」
そういいながら、ゆっくりとブレーカのある玄関に向かっていく古美門。ブレーカを切ったところでタイムキーパー役の次郎長にタイムを訪ねる。結果は、「15秒」ダッシュで行けばおそらく5秒といったところであろう。
1度目の検証を終え、2度目の検証が開始される
「た~す~け~て~」
「朝ドラ、あと1分ぐらいそうしてろ!」
ゴム手袋の装着に時間ががかる古美門。ようやく装着を終え感電者役真知子を思いっきり引き離す。
結果は、12秒。普段装着に慣れている次郎長ならば、4秒程度。
「し~び~れ~r」
「朝ドラー!!」
セリフを言いおわらないうちに、渾身のドロップキックを繰り出す。蹴とばされ、倒れる真知子と着地に失敗し勢いよく頭部を強打する古美門。タイムは「2秒」であった。
「こ、このように蹴りを放ち助けることが、一番迅速に救護することができ被告の救助方法は原告を感電死から救うえで適切だったと証明できます」
朦朧とした意識の中、真知子の肩を借りそう締めくくる古美門、言っていることはもっともなのだがそれが余計に現在の情けない姿を強調させ何とも言えない空気を醸し出していた。
その後、原告側が再度セットを用いて、3つの救助方法を実践するも結果は変わらず。3番目の蹴りを入れる引き離し方が、一番早く救助できる結果であった。
これが、決定的証拠となり原告側の訴えは棄却。被告側の勝訴となった。
また、今回の騒動に伴い本来上げられるべき工事受注が減少したために発生した損害を合わせて請求、こちらも身とめられ、約2000万円の慰謝料請求にも成功した。
それから、一か月後古美門事務所。
「ききましたか?」
「何がだ?朝ドラ」
パワハラ裁判も集結し、二人はそれぞれ別の案件もひとだんらくし服部さんの入れてくれたお茶とお菓子と共にティーブレイク中であった。
ーーーー服部さんーーーーー
下の名は不明。「昔、○○をしておりました」と新たな過去がほぼ毎エピソード紹介されほど、謎に満ちた過去。
そして、あらゆる分野に精通した知識・特技を多く持ち合わせる有能な人物。
料理や子守唄まであらゆる面で古美門をサポートする他、古美門の身に危険が降りかかった際にはボディガード的な役割も務めており、古美門は窮地に立たされる度に「服部さ〜ん!」と彼の名を叫んで助けを求めている。
そのため、誰ふり構わず慇懃無礼な態度を取る古美門が唯一、丁重に接する人物である。
ーーーーーーーーーーーーー
「一二三工業、最近親方が前以上に従業員を大切にしていると言われているみたいですよ。」
「ふーん」
「やっぱり、あの裁判から何か思うことがあってさらに従業員への接し方が変わったんですかね?」
「どうだかな、ちなみにそれは誰からの情報だ?」
「工事を依頼した受注者からです」
「従業員からは別な情報が入っているけどな」
「え?」
そこで、古美門は一二三工業の従業員がまた、親方からパワハラをうけ一人が骨折の重症。今後親方との裁判を起こすため、事務所に訪れることを伝える。
「そんな・・・」
絶句する真知子に古美門の容赦ない一撃が浴びせられる。
「いいか、朝ドラ以前にもいったが正義の反対は悪じゃない。」
「正義の反対はまた別の正義だ。どんな、言い分にもお互いの言い分もとい正義がある。」
「それは、パワハラでも窃盗でも殺人でもだ。俺たち弁護士はその弁護人の正義に基づいて弁護してるんだ。それが実際の事実と違っていても関係ない。」
「一度裁判で、無罪が確定すれば例え窃盗しようが殺人をしようが関係ない、罪には問われない。」
「そして、事実関係を証明するのは裁判官の仕事だ。私達弁護士がどうこう言う資格がないことを覚えておけ」
気まずい沈黙が走る事務所に救いの手が伸べられるようにチャイムが鳴る。
「おや?だれかきたようですね」
来客者を迎え入れる服部さん。
それは意外な人物であった。
「あのときは、お世話になりました弁護士の先生」
「次郎長さん!」
パワハラ裁判の被告次郎長が弁護のお礼を言うため、全従業員と一緒に訪問にやってきたのだ。
「え?今またパワハラで従業員を骨折させたんじゃ・・・」
「よくわからねえが、従業員で骨折してる奴はいねえよ」
何が起こっているかわからないという真知子に古美門は人を食ったような笑みを浮かべ絶叫する。
「あんなの嘘に決まってんだろ、ば~か!!」
「だ、だましたんですね!ひどすぎます」
逃げる古美門に追いかける真知子、そしてそれを笑いながら傍観する服部さんと一二三工業従業員一同。
こうして、今回の裁判は無事終わりを迎えた。
これにて、1幕終了です。
次回は、親権問題を執筆予定でしたが急遽某知恵袋で面白そうな話題を見つけたので脱線です。
第2幕は「墓裁判」をおおくり致します。
おそらく、また作成に時間はかかりますが次回もお楽しみください
PS正義の反対は~というセリフは某野球ゲームのキャラのセリフそのまま持ってきました。