※12/28(月)20:18 タイトルを修正致しました。
ユウリを誘ってから一時間、しっかりと道具を整理していった私達は安全を確認しながら街を散策していた。
「なんかニヶ月くらいたった気がする…」
「何言ってんの?」
たった一時間しかたっていないのにそう思ってしまった。ユウリに白い目で見られているが気にしない気にしない。自分で感じたものこそが唯一の真実なのだ。
「あ、あれは?」
「アレはオニスズメロト。ことりポケモンのノーマルひこうタイプ。図鑑説明は『ハネが短く飛ぶのはやや苦手。せわしなく動き回り草むらのむしポケモンをついばんでいる。』ロト」
「んじゃあれは?」
「コクーン。さなぎポケモン。むしどくタイプロト。説明は『ほとんど 動かず 木に つかまっているが 中では 進化の 準備で 大忙し。その 証拠に 体が 熱くなっているぞ。』」
「ほんとだ。熱ーい」
ユウリは少し前までの恐怖心とは何だったのかというほど初めて見るポケモンに大はしゃぎの様子。そうだろうそうだろう。ポケモンって面白いだろう?まあ私は知っているからね。微笑ましく妹の反応を見守っていこう。
「あれ?あの子ケガしてない?」
「確かに。あのポケモンはヒバニー。ほのおタイプで、『走りまわって 体温を 上げると 炎エネルギーが 体を 巡り 本来の 力を 発揮できる。』ロトが…」
何それ私知らない。
「かなり弱ってるみたいロトね…。これはどく状態だロト」
「顔色も悪いし苦しそう…。お姉ちゃん、この子なんとかならない?」
いやいや、知らないポケモンだからといってフリーズする時間もない。
すぐにモモンのみを渡すと弱々しいながらも飲み込み、顔色が少し良くなった。どく状態は治ったらしい。続けてオレンのみは…ユウリがあげているな。
この二つを食べると動かなくなってしまったが、ロトムが言うには安心して寝ているだけらしい。
そして当然、この場に置いておくことは出来ない。どこかは分からないが傷だらけのうえ、どく状態にもなっていたんだ。このボロボロの状態でコイツがここまで動けたんだ。その犯人がまだ近くにいるかも知れない。
ということを説明したらメイは納得したように頷き、ヒバニーをリュックへ入れて指を指し…
「ヨシ!」
「ヨシ!じゃない!」
そうだった。我が妹はちょっと天然、いや、馬鹿が入っているのだった。この子は昔から無自覚でいろいろとやらかすのだ(ブーメラン)
「でもいいじゃんこれ。ちゃんと運べるし安全だよ?私も動けるし」
まあそうなんだけど…。それじゃあ起きたときにパニックにならないか心配だ。…まあ、かなりぐっすり眠ってるから大丈夫かな。
「じゃ、いこっか」
催促するとユウリは不思議そうな顔をし
「この子じゃだめ?」
「駄目です」
「なんで?」
「その子が回復しても一緒にいてくれるとは限らないでしょうが、それに一体だけだとちょっと心許ないじゃん。タイプ相性もあるし…」
そういうものなのか。
そうなのだ。
言葉を交わし、ヒバニーをリュックに入れたまま、他愛のない話をしながら歩く。
「この子はほのおタイプなんでしょ?確か…みず、じめん、いわが弱点だったよね。ならそれを補える子がいいかな〜。あ、出来るなら、だけどね」
「だから決まったわけじゃ…もういいや。確かにそう。その三つに有利なのっていえば…くさタイプだね」
「そうロト!くさタイプならお互いに弱点を補えるロトね」
というわけで近くにあった公園の草むらを中心に探すことにシフトしたのだが…。
「全然いなくない?」
「いないねぇ…」
当の草むらには全くと言っていいほどポケモンがいなかったのである。
本当に何もいやしない。さっきまではやかましくも主張していたとりポケモンの鳴き声さえもここでは聞こえない。
「またビードル。お姉ちゃん任せた!」
何故かビードルはいる。
ここのビードルはなんか群れで来るのでいい感じの経験値とさせて頂いてる。因みに死んではいない。気絶するか逃げるか、それで戦闘終了だ。
一匹一匹は弱いが数が多いため、ユキミはおかげで17レベルになった。最初のジム戦位なら脳死プレイでも勝てるだろう。いや、しないが。
そうしている間にも戦闘は終わった。勿論ユキミの勝ちだ。むしタイプにはタイプ一致のこおり技は応えるらしい。
「俺の勝ち。なんで負けたか明日までに考えといて下さい」
「お姉ちゃん」
はい。真面目にやりましょう。
「なんでビードルしかいないんだろうね」
「さあ?この辺に巣でもあるんじゃ…」
そう考えたところで、はたと気がつく。
…あれ、普通に不味くない?
フ”フ”フ”フ”フ”フ”フ”フ”フ”フ”
木の上からは煩い羽音と共にスピアーが一匹二匹三匹四匹…。そのどれもがこちらに敵意を向けていて…。
うん。
「逃げろーーーっ!!!」
「わあぁぁぁぁぁーーーっ!!」
・・・・・・
普通に考えておくべきだった!当たり前じゃん!何でいないかってそりゃ何かが棲んでるからだよ!ビードルしか出ないって、そりゃソイツ等の縄張りなんだから普通は偏るよね!
こうなると私達はスピアー達にとって勝手に住処に押し入った挙げ句、手当たり次第に子供を襲っていく凶悪な犯罪者的な感じである。そりゃ許さんわ。
「かといってこのままやられてなるものかー!ユキミっ『こなゆき』!」
ユキミが放ったこなゆきは何匹かのスピアーを瀕死にさせ、さらに数匹がこおり状態になり動きを止める。しかしこれも焼き石に水。薙ぎ払っても、前列が盾となり後続には届かない。現に、スピアーとの差は着々と縮まってくる。
「ユキミー!もうちょい頑張って!『こなゆき』をし続けて!」
ユキミが攻撃に専念出来るように抱えて走ってはいるがそろそろ限界だ。あるかどうかは検証していないから分からないがゲームどおりだったら『こなゆき』の使用回数は25。今使ったので本日22回目である。
もしこのまま逃げ切ることが出来ずに使い切ってしまうと、範囲攻撃ができるのはスピアーにとっていまひとつな『むしのさざめき』だけになってしまい、今みたいにギリギリで持ちこたえることは出来なくなってしまう。
何か後一手あればいいんだけど…!
「ぬわっ!」
急にユウリがおかしな声を出し始めた。正直女子力は求めてなかったけど流石にそれはどうかと…そう言おうとした時、ユウリのリュックから何かが顔を覗かせる。
「ヒバ?」
それは先程助けたヒバニーであった。ヒバニーは自らの置かれている場所を確かめると、何故か嬉しそうにはしゃぐが、背後のスピアーの群れを見た途端慌てふためく。
そりゃ起きがけにこんなことになってればそうなるよ。
だがそんなことよりこれで何とかいけそうだ。
「ごめんヒバニー!私達も説明はしたいけど時間が無いんだ。とにかくアイツらに向かって『ひのこ』を使って欲しい!」
何が何やら分からなそうだがスピアーが敵だというのは伝わったのか、ひのこを連続ではいてくれる。
「そいやー!」
それに合わせてそこらへんに落ちている木の枝などをユウリと共に投げつける。スピアー達は意に介さない様子で進んでくる。
二人は必死に逃げているが一向に出口まで辿り着かない。
それも当然だ。だってずっとこの辺りを回っているだけなのだから。
最初は勢いを落としそうにもなかったスピアーの群れは、少しして異変に気がつく。
――気分が悪い。
スピアー達は先程まではただ敵意を向けて追いかけていたが、突然視界が悪くなり、気分も悪くなっまことな相まってその場に立ち尽くしてしまう。
だからスピアー達は近づいてくるその影に気づけなかった。
「よし、ユキミはそのままの態勢で『こなゆき』。後は私が回る!」
声に気づいて注意を向けるも時既に遅し。スピアー達の中心に立ち、回転することによって群れの全てにこなゆきがヒットし、そのほとんどを戦闘不能にする。
そしてそれを為したメイはユキミを抱えて全力疾走。公園を抜ける。そして入口付近で待っていたユウリと合流する。
「どうだった?」
「モチ、バッチシよ!」
「そっか、良かった」
それは今の作戦が上手く行ったことに対する安堵が含まれていた。作戦といっても至極簡単でお粗末なもの。
「まさか本当に煙幕が効くとはね〜」
そう、蜂は煙をたけば嫌がるのだ。ヒバニーの『ひのこ』で牽制しながら木に移らない程度で火を点ける。これを繰り返すことで煙幕を充満させたのだった。
スピアー程の体躯で効くかどうかは不安だったが、逆にその体躯だったからこそ逃げたり散らばらずにひとかたまりになっていたと考えられる。
まあ何であれ上手く逃げ切れた、ということだ。
「あ、ヒバニーもありがとね。はいタッチ!」
「ヒッバ!」
ヒバニーも満足げに飛び上がりユウリとのタッチを交わした。
…コイツ人に、トレーナーに慣れてるな。多分だが町にでも住んでいたか…ただ能天気なだけか。
「それで、どうするの?」
「どうするって?」
きょとん、と何を言っているか分からないような顔をした。
本当に忘れてたのね…。
「いや、ゲット。仲間にする?…なんならめっちゃ不利だけどユキミに弱らせて貰うって手もあるけど…」
「えと、うーーん…確かに欲しいけど……うごご…!」
妹は必死に悩んでいるが…ま、それは無いだろう。
だってゲットとかの話題が出た途端ヒバニーが耳をピクピク動かしてこちらの様子を伺っているからだ。本体は素っ気なさそうだが肝心の表情は期待に満ち溢れている。
いわゆる、トレーナーと一緒にいたいタイプのやつだった。
「うーん、でも……いや、やっぱり……」
いつまで悩んでいるつもりだろう。普通のモンスターボールをユウリに投げる。
「あたっ!」
おっ、クリーンヒット。頭に当たった事に抗議するが、それがモンスターボールだと分かると、いいの?という目で見つめる。
「もうこんなに馴染んでるんだから多分普通に入ってくれるんじゃない?試しに軽く投げてみれば?」
ユウリは少し迷った後、モンスターボールを固く握りしめてヒバニーと向き合う。
「よ、よーし。今から投げるから動かないでねー」
「ヒバっ!」
ヒバニーは両手を腰に当てて胸を張る。逃げようとすらしないことから、捕まる気はあるみたいだ。
「せーの、……フンッッ!」
「ヒボァッ!」
何故全力で投げたし。
え、今すごい悲鳴あげなかった?あのノリは完全に優しく投げるとか手で当てるとかじゃないの?ヒバニー大丈夫?頭壊れてない?
そんな困惑を余所にボールは動き出す。
一回、二回…………三回。
カチンッ☆
やったー!
ヒバニーを つかまえたぞ!
あ、捕まるんですね。
◆
「チュッチュリリィ♪」
「バニバニ♫」
「クークク♪」
「コジョジョ」
あれから少し探索してユウリはチュリネを、私はコジョフーを捕まえた。
チュリネは花壇付近にいたのをヒバニーが(ほぼ満身創痍で)弱らせて捕まえ、コジョフーは近くの学校の付近にいたのをこなゆきでこおり状態にして何とか捕まえた。
何でコジョフーかって?そりゃ私がBWでお世話になってからだよ!いいじゃん。コジョンドめっちゃデザイン好きだし「すてみ飛びひざ」とか「さいせいりょくとんぼがえり」とか結構使えると思うんだけど!
……誰に言ってるんだろ。
まあとにかく、頼りになる仲間が出来ました。
今はロトムに頼んでこっちのスマホでも使えるポケモン図鑑。いわゆるマイナーチェンジ版ポケモン図鑑アプリを開発中。必要最低限の機能だけつけたものを無料配信するのだ。
今の段階では実際にポケモンをスキャンしないと登録されないが、登録したらそれ以降は開放されるらしい。まるでゲームと同じだ。
因みに無駄にこだわっているらしく、同じポケモンでも地域や登録番号によって説明文を少し変えているらしい。
それやるヒマあったら機能を豊かにしろよと言ったが、現段階だと説明文いじるくらいしか拘るところが無いらしい。やってもらっている立場ということもあるので自由にやらせている。
嘘、普通に違う説明文とかゲームそっくりでいいと思いました。
配信してからも、アップデートはする予定で、ゆくゆくは勝手に図鑑がスキャンしてくれるレベルにまでするらしい。
そして嬉しいことに明日には取り敢えずは完成するらしく、第一歩を踏み出せるのだ。深い理解、とまではいかなくても多少は受け入れて欲しいのだ。私の予想ではこれを見たら三割の人は多少はマシな印象を持つことになるだろう。
まあ、これも希望的観測な訳だけども。
ポケモン達はそれぞれ親睦を深めているが、ユウリは今日色々あったことでポケモンを眺めながら休んでいる。なので私が夕食を作っている。
っと、キャベツは千切り…。
暫く無心でキャベツを刻んでいるとは私の目にありえないものが映り込んだ。それは我が家に三つある内の二つの包丁。そして三本目は私が折ってしまっていて……。
じゃあ私が今持ってるこの赤いのって何でしょうか。
「ツッキーーッッ!」
「全部月島さんのお陰じゃ危なっ!!」
これヒトツキだ。それも色違いの。剣部分を振りかぶって私の頭に一直線!
「何の!柳生新陰流無刀取り!」
バシッ!
よし、捉えた!…あ、まて、その鞘で顔を打つな!むず痒い。クソッ助けを呼ぼう。幸いにもヒバニーはほのおタイプたから大丈夫な筈。
「ユウゥリイィィィィィッッ!!!へるぷみーーー!へるぷみーっ!」
この大声にはユウリは飛び起き、ポケモン達も慌てた様子で台所へと向かっていく。
「お姉ちゃんっ!?」
そしてユウリが見たものとは、赤い剣に腕ひしぎ三角固め?を繰り出している姉の姿だった。
「ユウリ!コイツ引き剥がして!」
「……テレビ見よ」
「え、待って!え?マジで?ちょ、ホント、ホントに待ってぇぇーーっ!!」
ヒバニー
うさぎポケモン
たかさ 0.3m
おもさ 4.5kg
ほのおタイプ
はしりまわって たいおんを あげると ほのおエネルギーが からだを めぐり ほんらいの ちからを はっきできる。
(ポケットモンスターソードより)
たたかう じゅんびが ととのうと はなの あたまと あしの うらの にくきゅうが こうねつを はっする。
(ポケットモンスターシールドより)