しほ「時には昔の話を」   作:ゼブラーの野郎

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セピア色の写真

 

 ・ ・ ・ ・ ・

 

 \グワア!/

 

 ティーガーⅠ<シュポッ

 

審判「ティーガーⅠ、走行不能!プラウダ高校の勝利!」

 

 

プラウダ指導者「ふう・・・我がプラウダがここまで追い詰められるなんて・・・ウチのドクトリンを見直す必要があるわね」

 

しほ「ありがとうございました。いい試合ができました」

 

プラウダ指導者「こちらこそ。正直侮っていたけど、いい経験になったわ。また試合してあげてもいいわよ。そっちがやる気ならね」

 

しほ「是非」

 

菊代「プラウダの隊長さんに認められるようになるなんてすごいですよ私達。厳しい方で有名なんですよ。下手した者はしゅくせーされるって」

 

百合「まあ、お厳格でおスパルタでおイラチな鬼隊長さんにお褒めいただいたということですね」

 

 プラウダ指導者「聞こえてるわよ!」

 

好子「あーあ、もう少しで勝てたんだけどなぁ・・・でもまた試合させてもらえたら今度こそは勝てるかもね」

 

 

黒森峰生徒A「ちょっと、それってウチの戦車でこれからも続けるってことかしら?」ザッ

 

好子「!・・・ゲッ・・・く、黒森峰の・・・どうしてここに・・・」

 

黒森峰生徒B「それ、ウチの戦車よね?どういうことか説明してもらえるかしら?西住しほ」

 

しほ「先輩方、お久しぶりです。プラウダと我々の試合を見学に来ていたのですか?」

 

黒森峰生徒A「練習に顔出さないから辞めたのかと思ったけど、まさか戦車を盗んで勝手なことをやっていたなんて!あなた達の話を聞いて駆け付けたのよ」

 

黒森峰生徒B「見回り番の赤星って子が、戦車が自我を得て脱走しただなんて言ってたけど、あなた達が盗んでたのね。おかしいとは思ったけど・・・」

 

百合「どうやらバレてしまったようですね」

 

好子「バレなかったのが不思議だけど・・・」

 

菊代「えっ、盗んだって・・・」

 

蝶野「この戦車、黒森峰からパクったんですか?さっすがセンパイ!」ヤッルゥー!

 

千代「しぽりん・・・あなた・・・」ヒキチヨッ

 

しほ「盗んだんじゃない。使われていないものを借りただけだ。私も黒森峰の生徒なのだから権利はある」

 

黒森峰生徒A「そんな言い訳――」

 

 

 「待って、私が話すわ」

 

黒森峰生徒B「!・・・隊長」

 

しほ「・・・お久しぶりです、逸見隊長」

 

逸見「説明してもらえる?あなたは何が目的で、何をしているのか」

 

蝶野「あわわ・・・黒森峰の逸見隊長だ!西住流の門下生でめちゃ強い3年生!黒森峰を今までよりずっと強くした人!」

 

百合「そんなにおつおいのですか?」

 

蝶野「西住流の中でもエリートなんですよ!黒森峰を初の全国優勝に導くんじゃないかって言われてるんス!」

 

しほ「以前隊長に進言した通り、現在の黒森峰の理念に異議があります。聞き入れてもらえないようなので、自分達だけで自分達のやり方を貫こうと」

 

逸見「やりたいようにやっている・・・という訳ね。戦車の件はいいわ。確かに使われてなかったし、自分達で修理したみたいだものね」

 

逸見「でもあなた達の暴走はさすがに私達も放ってはおけないわ。黒森峰の生徒が無法者のように振る舞っているんだもの」

 

逸見「戦車道連盟や西住流からも再三警告を受けているでしょ。大事になる前に止めておきなさい」

 

しほ「いいえ、止めません。野良試合を続けてきたおかげで私達は強くなりました。そこで・・・」ゴソ

 

 

しほ「逸見隊長、私達は黒森峰女学園に試合を申し込みます。これは我々からの果たし状です」スッ

 

 

好子「な、なんだってぇー!?」

 

黒森峰生徒A「は、果たし状!?いつの時代よソレ!」

 

黒森峰生徒B「っていうかこの状況でウチと試合とかどういう神経してるのよ!」

 

しほ「隊長・・・受けてもらえますか」

 

逸見「・・・いいわ、西住しほ、あなたの申し出を受けるわ」

 

黒森峰生徒A「た、隊長!」

 

しほ「ありがとうございます。試合は一週間後・・・詳しい日時、試合条件は果たし状に書いてあります」

 

逸見「ふ・・・楽しみね。黒森峰戦車道チーム、帰還するわよ」ザッ

 

黒森峰生徒A「!・・・はっ!」ザッ

 

黒森峰生徒B「貴方たち、ケガしないようにね!」ザッ

 

 

しほ「・・・」

 

千代「ほんと無茶な人ね・・・まったく」

 

百合「しほさんは黒森峰を打ち倒すために御旗を立てたのですから、私達はこれから最終目標に挑むというわけですね」

 

好子「で、でも勝てるの?・・・私達、まだ一度も勝ったことがないのに・・・」

 

しほ「勝てる」

 

好子「どうして言い切れるのかなぁ・・・」

 

蝶野「さっすがセンパイ!肝が据わってんスね!」

 

菊代「しほさんが言うのなら負ける気がしません」フンス

 

しほ「そのためには作戦を練り、準備を整え、皆が一丸となる必要がある。期限は一週間。私達がどれくらいのものか、やってやろうじゃないか」

 

 

 

 ――西住邸・戦車倉庫(片隅)――

 

しほ「――なるほど、これなら敵も混乱するだろう。やるなちよすけ」

 

千代「島田流は変幻自在の戦術が得意。一輌でたくさん相手にするのなら、西住流より島田流の方が合うでしょ」チヨチヨ

 

しほ「・・・島田のやり口で戦うのは気がすすまんが・・・ここは仕方ない。西住の崩し方は心得ている」

 

百合「相手が西住流の戦法でお戦いになるのでしたら、しほさんならそのお突破口もご存じなのですね」

 

しほ「ああ、西住流は一糸乱れぬ隊列陣形で戦う。多対多ならば非常に強いが・・・我々ならその隙間を突ける」

 

好子「敵の隊列に割り込んで、チョロチョロ動いてかき乱す作戦なんだね」

 

蝶野「よくわかんねーですけどなんとかなるんならなんとかなるっしょ!」

 

しほ「明日、私とちよきちと蝶野で会場を下見に行く。秋山と五十鈴は必要な物をリストアップするから用意しておいてくれ。菊代はどこだ?戦車も作戦に合わせて調整してもらわねば・・・」

 

千代「菊代さんなら、門までお迎えに行ってもらったわ」

 

しほ「?・・・誰を迎えるんだ?」

 

 

 ――ザッ

 

菊代「千代さん、お連れしました」

 

しほ「菊代、誰を――・・・・・・!?」

 

 

常夫「・・・」

 

しほ「・・・・・・つ・・・常夫・・・さん?・・・」

 

 

千代「あら、さん付け?お話を聞いた時は呼び捨てだったのに」

 

しほ「だ、だって・・・どうして・・・なんで・・・」アワアワ

 

菊代「千代さんの提案で整備士の方のツテを辿ってお探ししたんですよ。ご迷惑でしたか?」

 

しほ「い・・・いや・・・そういう訳じゃ・・・」アセアセ

 

千代「積もる話もあるでしょう。何年ぶりかの再会だものね。ほら」グイイ

 

常夫「・・・」

 

しほ「ちょっ・・・あ、あの」アタフタ

 

百合「あらあら、なんだかしほさんがしおらしいでございますわね」

 

好子「しほちゃんったら女の子になってるぅー」キャイキャイ

 

蝶野「センパイねこかぶりー!」ケタケタケター

 

しほ「う、うるさい!あっち行け貴様ら!見世物じゃないぞ!散れ!散れ!」シッシッ

 

千代「ふふふ、それじゃあ皆、しほさんは二人っきりになりたいみたいだし、あっちに行きましょう」

 

菊代「はい。しほさん、がんばってくださいね」ニッコリ

 

しほ「なにをがんばるのだ何を!さっさと行け!もうっ!」

 

 

 ~~~

 

 しほ「・・・久しぶり・・・ですね。常夫・・・さん」

 

 しほ「いや、だってとても大きくなってるから・・・」

 

 しほ「すみません・・・この喋り方にちょっと慣れてなくて・・・」

 

 しほ「・・・そ、そんなことないです!・・・昔と同じ様には・・・」

 

 しほ「・・・ふふ、そうですね」

 

 

好子「わー・・・しほちゃんめちゃめちゃモジモジしてるよ」ジー

 

蝶野「くっそー、ここからじゃよく聞こえねー・・・何話してるんだろ」ジリジリ

 

千代「うふふ、実はさっきしぽりんの懐に盗聴器潜り込ませておいたの。みんなで聞いてせせら笑いましょう」サッ

 

百合「まあ、なんと手癖のお悪い。名案でございますね」キュピーン

 

菊代「ちょ、ちょっと千代さん!そんなのいけませんよ!」

 

 好子「やったー!しまちょんやるぅー!」

 

 蝶野「グッジョブベリーナイス!是非盗聴しましょうや!」

 

千代「ほら、静かにして。みんなでコッソリ聞きましょ。菊代さんは聞かないみたいだけどね」チラ

 

菊代「うっ・・・」

 

 好子「おお~、しほちゃんが丁寧語使ってる~」クフフ

 

 百合「普段と違う雌の声帯ですよこれは」

 

 蝶野「あっははは!センパイ女丸出しー!」ヤッベェー!

 

千代「ほんとーに聞きたくないのかな~?」ン~?

 

菊代「・・・・・・き・・・聞かせてもらいます」

 

 

 

好子「――ちゃん・・・しほちゃん」

 

しほ「・・・」ポヘ~

 

好子「しほちゃん!」

 

しほ「わ!な、なんだ!?敵襲か!?」ビクッ

 

好子「もうっ、ボーっとしちゃって。百合ちゃんと二人で作戦に必要なもの買ってきたよ」ガサッ

 

百合「常夫さんと菊代さんは戦車のお整備とお改造をされています。会場の下見はどうでした?」

 

しほ「あ・・・ああ、すまん。地形は把握した。それに見合った作戦を立てておく。後は――」

 

 千代「常夫さん、わたし・・・子供の頃から常夫さんのこと・・・」

 

 蝶野「わかっているよしほさん。僕もおんなじ気持さ・・・結婚しようぜ!」

 

 千代「うれしいっ!常夫さん!いっしょういっしょにいてくれや!」

 

しほ「そこ!いつまでくだらんことやってるんだ!下見の時からずっと続けて!阿呆!馬鹿!やめろ!」

 

千代「あら、別にいいじゃない。私達はただオママゴトしてるだけよ。ねーっ♪」

 

 蝶野「ねーっ♪」

 

しほ「五月蠅い!わ、私達は・・・そんなんじゃない!結婚とかふざけるな!」

 

 蝶野「しほさん・・・僕と・・・けっ、けっ、けっ・・・」

 

 千代「常夫さん・・・私も常夫さんと・・・ケッ・・・ケッ・・・コケーッコッコ!コケー!」

 

 蝶野「誓いのキィーッス!しほと常夫のラブゲェーム!」

 

しほ「わー!馬鹿!阿呆!殴るぞ!止めろ!やめてください!」

 

 

 ――戦車喫茶〈ルクレール〉――

 

しほ「いよいよ明日、黒森峰との試合だ。準備は万端。作戦通りに行けば勝てない相手ではない」

 

好子「菊ちゃんと常夫さんが整備してくれたんだもん、絶対に負けられないね、しほちゃん」

 

しほ「つ、常夫さんは関係ないだろう!阿呆!馬鹿!スカタン!」カア~ッ

 

好子「ええー・・・めっちゃ怒るじゃん・・・」

 

菊代「あのー、前から疑問に思っていたんですが、私達のチーム名って何ですか?」

 

好子「えっ?・・・・・・そういえば決めてなかったかも」

 

千代「試合に勝っても名前呼ばれないんじゃ締まりがないわね」

 

蝶野「じゃあさ!じゃあさ!マイティしほセンパイチームってのはどうですかね!?しほセンパイフォースってのもいいっしょ!」

 

菊代「しほさん同盟なんてどうでしょう」

 

好子「う~ん、どれもダサいな~」

 

しほ「えっ」

 

好子「何かいいアイデアは・・・」

 

 窓<サアァ~・・・

 

好子「!・・・ねえ、あれはどうかな?あの窓辺から見えるマロニエの並木!」

 

百合「マロニエの木はセイヨウトチノキとも呼ばれ、アンネ・フランクの木とも言われるそうです。アムステルダムの中央に生えていて、『アンネの日記』で言及されていたとか」

 

千代「へえ・・・ドイツを模した黒森峰に屈さず、希望を失わないという意味では私達には合っているかもね」

 

しほ「・・・よし、それでいこう。私達はマロニエチームだ。ティーガーとはイメージがかけ離れているがな」

 

菊代「さすが百合さん、植物に詳しいんですね」

 

百合「ハッ!い、いいえ!華道なんかでぇっきらいでございますわ!やっぱり豚さんチームに変更しましょう!」

 

好子「なんで豚なの?」

 

百合「しほさんが体重がお増えになったってお悩みになってらしましたわ」

 

しほ「ぬぉい!?そんなことをバラすな!」

 

千代「プークスクス!しぽりんったら常夫さんとラァヴラヴで幸せ太りしちゃったのかしら~?」チ~ヨチヨ

 

百合「千代さんもお体脂肪が増えたとお悩んでおられました」

 

千代「チヨォっとォ!いらんこといわないでちょうだいよ!」

 

百合「亜美さんはチームのお財布からいくらかおクスねてましたし・・・」

 

蝶野「ブーッ,゚.:。+゚!ユ、ユリセンパイ!?」

 

好子「ほーう?こっそりお金抜いてたのは亜美ちゃんだったのね」ポキポキッ・・・

 

蝶野「アワワのアワビ!こ、これにはふかーいワケが・・・」

 

百合「菊ちゃんさんはしほさんと常夫さんのお密会を見つめながらおヨダレをおタラしてましたわ」

 

菊代「あっ!そ、それはナイショにって・・・」

 

しほ「菊代ァ!覗くなと言っただろうに!」

 

菊代「アヒィー!すみませーん!推しの幸せがうれしくってついー!」

 

しほ「許るさーん!」

 

 \ドンガラガッシャ~~~ン!/

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