プリンセスコネクト! Re:Birth   作:UNAG3

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今回は話のきりが良いところで投稿したので短めです。


第10話

いきなりマホに抱きつかれた騎士は困惑していた。これが初対面ではないが、出会って間もないことには変わりはない。

それにしても好感度が高すぎている。騎士はマホを引きはがした。

 

「で、だ。 マホはなんでここに来たんだ? サレンに用事でもあるのなら別のやつを呼ぶが…」

 

「それは勿論、王子はんに会うためや。 あとぉ、うちの仲間が迷惑かけたお詫びとしてお菓子の包みを持ってきたんや、これならここの子供たちも喜ぶと思ぉてな。」

 

「なら一度、中に入るか?」

 

「それなら、先ほどスズメはんに包みを渡した後やから大丈夫や。 それでなぁ、王子はんにはうちのギルドハウスへ来てもらいたいんよ。正式に謝罪をしなあかんし、わだかまりを無くすためにもしっかり合わせたいんや。 王子はん? これからお時間頂いてよろしゅうございますか?」

 

「行くことは問題ないが、一緒に暮らしている仲間に一度断りを入れてからになるがいいか?」

 

マホは騎士を仲間たちに会わせたいようだ。騎士もサレンから「互いに謝りなさい!」と言われていたので、マホの誘いは有難かった。

しかし、騎士は昨日から別行動をしているコッコロに一度会わなければいけない。本来なら夜に帰るはずが救護院で一夜を明かしたのだ、ところに言う無断外泊なのでコッコロの小言は確定事項、これから会わないで何処かに行けば何があるかわからない。

ということで騎士は安全策を取ることにした。

 

「それでええよ。そっかぁ~、王子はんはここのお人ではないんやなぁ。」

 

「俺は雇われだからな~」

 

「ところでマホ以外には来てないのか?」

 

「そうやでぇ~、うち一人でここに来たんや。普通なら仲間も連れて来るべきなんやろが、うちなりの誠意ってヤツや。それとなぁ、いきなり王子はんとマコトはん、カオリはんを会わせるのはなぁ、と感じたからどす。」

 

マホはどうやら一人だけでサレンディア救護院を訪れたそうだ。先日に拉致されたばかりというのに… でもここら辺の治安は比較的にマシな為、マホも一人で訪れようと思ったのだろう。

けれど実際は、2人っきりになりたいがための理由作りに過ぎない。マホも獣人族(ビースト)の例に漏れず、自分に忠実であった。

 

「そうか…、俺はもう準備は出来ているし、今から行くか?」

 

「ええよ、ほないきましょか~」

 

「とりあえずスズメたちに出ていくこと伝えて来る、マホは玄関で待っててくれ。」

 

「嫌やわぁ~、うちも王子はんに着いていくで♪」

 

スズメたちに会うため騎士は一人で向かおうとしたが、マホが騎士の右腕にしがみついた。どうやら自分もついてくる気満々であった。

 

「歩きづらいから放して欲しいんだけど…普通に邪魔。」

 

「王子はんのいけずぅ。」

 

美少女に抱きつかれてもしがみつかれても平常運転な騎士は普通に鬱陶しがっている。マホを振り解こうとするが、なかなか放してくれない。

結局、マホのことを諦めたまま歩くことになった。


 

「これからマホのギルドハウスへ行ってくる。今日は世話になった、ありがとなスズメ。」

 

騎士は入り口で出迎えてくれたスズメに別れの挨拶をする。しかし、スズメの視線は騎士の顔を捉えていなかった。

 

「あのぉ? そ、そのままの状態で街を出歩くのですか?」

 

「いや、こいつが中々離れないもんで諦めた。」

 

「王子はんとお姫はんがこうするのは普通やで~」

 

スズメも騎士の状態を突っ込まずにはいられなかった。

 

「いやいや、腕組んで出歩くなんて普通じゃないですって! 目立つから止めませんか?」

 

「運命の赤い糸で結ばれたうちらには関係あらへんもん。」

 

スズメの話を無視しするマホ、スズメも言いすぎると騎士に特別な感情を抱いている、という誤解を受けそうなので強く言えなかった。

しかし、ぽっと出の女に仲の良い男性を取られるのはそれはそれで嫌なスズメであった。

女性両者は互いに無言の牽制をしているが、現在腕を組んでいるマホが若干優勢と思われる。

 

「なぁ、もう行っていいか? すぐコッコロに会いに行かないと何されるか分からないんだよ。」

 

マホとスズメが牽制しあっている中で騎士が発言するが、別の女性の名前を聞いた2人は同時に騎士へと視線を移した。

 

「「うち(私)とその人、どっちが大事なんや(ですか)⁉」」

 

「いや、普通にコッコロだけど。 どうした?急に。」

 

「「・・・」」

 

まさかのここに居ない女を選ぶなんて…みたいな感じな表情をしたマホとスズメ、騎士には何が何だかさっぱりであった。

この戦いの無意味さを知った両者はお互いに意味有り気な笑顔を交わした。

意味合いとしては「あなたのアピールはなんの意味もないですよ」と言ったところか…

 

「では騎士さん行ってらっしゃいませ。 くれぐれも騒ぎを起こさぬようにお願いしますね。」

 

「お前もドジせずに今日一日がんばれよ。 また必要になったら呼んでくれ、サレンや子供たちにもよろしく。」

 

「ほな、ごめんやす。 また縁があったらどこかでお会いしましょうなぁ。」

 

「はい、マホさんもお菓子ありがとうございました。 またどこかで。」

 

騎士とマホはスズメに挨拶をして、サレンディア救護院を発つ。 まず向かうのは騎士が拠点としている宿屋だ。


 

「ほ~ん、王子はんはギルドに入っておるんやなぁ、どんなギルドなん?」

 

「【美食殿】っていう名前のギルドだ、3人しかいないし結成したばっかりの新生ギルドだよ。そのせいで低ランクのクエストしか受けれないからギルド活動とバイトを両立させながら生活してる貧乏所帯だよ。」

 

騎士とマホは宿屋に向かう間、話をしながら歩いていた。当然、マホは腕にしがみついたままである。

通行人からの色々な感情が籠った視線を受けるが騎士はまったく意にしていない、マホも既成事実を作るかのように見せびらかしているように見える。

 

「ほな、そのギルドは王子はんの記憶を取り戻すための集まりなんか?」

 

「たしか食の探求だったはず…、ギルマスのペコがそんなこと言ってた。 俺の記憶はついでだろうな。」

 

「そうなんやなぁ、王子はんは記憶が無いのは怖くないどすかぁ? うちなら不安になるんよぉ…」

 

自分が記憶を失ったら…と考えたマホはすこし表情が暗くなっていた、耳が萎れている。

そんなマホを見た騎士は慰めようとマホの頭を撫で始めた。――少し荒っぽいがマホには関係なかったようだ、乱れる髪型も気にせずしっぽを大回転させている。

 

「不安はないな、すべての記憶を失っている俺にも仲間がいたんだ。記憶の在る無しなんて些細なもんじゃないか? なければ作ればいいし、取り戻せばいい。」

 

「さすがうちの王子はんやぁ、おとぎ話の主役みたいでカッコええわぁ~」

 

騎士の言葉を聞いて元気になりすぎたマホは頭をぐりぐりと騎士に擦り付ける。でも騎士には「面白い女だな」程度にしか思われていない…

「着いたぞ、ここが俺とコッコロが暮らしている宿屋だ。着いてくるのか?それとも外で待ってるか?」

 

「勿論、着いて行きますわぁ。王子はんの同居人にもあいさつしないとなぁ。」

 

サレンディア救護院からは比較的近い場所にあったので思ったよりすぐだったマホ、騎士はコッコロに会いに部屋に帰るがマホも着いて行くらしい。

 

「思うたんやが、ここの宿って値段するんやない? 王子はんらは結構稼いどるんとちゃう?」

 

騎士たちが利用している宿を見たマホが率直な感想を騎士に伝える…

 

「コッコロが闘技場で一発当てた金で暮らしてるだけだからな、もうそろそろ違う宿に行かないと厳しいかもなぁ。」

 

「そ、そうなんやな。」

 

まさかのギャンブルで稼いだお金で生活していたことを知ったマホはちょっと反応に困った。

とりあえず宿の中に入り、部屋へ向かう。2人は宿の中に入っても注目の的であった。

自分の部屋の前に立った騎士はノックもせずに部屋に入ろうとする。

 

「おはようコッコロ、昨日はs「セイヤァァァァァー‼」ぐあぁぁぁ⁈」

 

ドアを開けた瞬間にコッコロの飛び蹴りがやって来た。反応が遅れた騎士はガードも出来ず、飛び蹴りをモロに受けてしまい、廊下の壁へとすっ飛んで行った。なお、腕にしがみついていたはずのマホはとっさに放すことに成功していたので一緒に飛ばされることはなかった。運よく野生の感とやらが発動していた。

 

「おい、クソ主さま。 何も言わずに帰ってこなかったくせに、知らない女連れて帰ってくるなんていい度胸してますね。 蹴り一発で許してやるから感謝してください。」

 

「うえっ… ご、ごめんって、昨日は事情があって帰れなかったんだよ。」

 

「ほ~ん、その事情っていうのはよっぽど大事だったんでしょうね。 わ・た・く・し!よりもね!」

 

「はい、すみません…」

 

あまりの勢いで状況が飲み込めないマホは、ただ立っていることしかできなかった。

しかし、普段では見られないくらい怒っているコッコロ、何かあったのだろうか?

 

「わたくしは昨日の夜にずっと主さまを探し回っていたんですよ。ペコリーヌさまのところにも行きましたし――」

 

コッコロは騎士が帰ってこないため、探し回ってようだ。どうやらペコリーヌにも手伝ってもらったとのこと。

そんな騎士が翌日に何事もなかったように女を連れて帰ってきたのだ。怒って当然の権利である。

 

「手伝っていただいたペコリーヌさまにも謝ってくださいよ。」

 

「次あったら言っておくよ。」

 

「で、昨日の事情とやらはそこにいらっしゃる獣人(ビースト)のお方が関係あるんですね?」

 

「ああ、そうだ。」

 

「うちの名前はマホどす、おおきに。」

 

「わたくしはここにいる主さまに仕えております、コッコロと申します。 以後、お見知りおきを。」

 

話が自分へ流れてきていることを感じたマホはコッコロに自己紹介をし、コッコロもそれに返す。

今のマホは既成事実モードが解除されている。 コッコロ相手では分が悪いと感じたのだろうか…

 

「うちはお宅の騎士はんに助けてもたったんどす。 そのときに――」

 

マホは事情を説明するため、サレンに話したときと同じ内容をそのままコッコロに聞かせた。

 

「なるほど…そのような出来事があったのですか…。 では主さまはケガを負った身体を安静にするために昨日は帰宅しなかったということですね。」

 

「そこはあっちの言葉に甘えさせてもらっただけだから、俺の意思だ。」

 

「わかりました。ですが、この話を聞かせるためだけに帰ってきたわけではないのですよね?」

 

「これからマホのギルド、【自警団(カォン)】のギルドハウスに向かおうとしているんだ。コッコロはこれからどこかへ行くのか?」

 

「わたくしはペコリーヌさまが働いているお店の手伝いに行ってきます。どうやら人の手が足りないという話を受けまして…」

 

「じゃあ、今日も別行動ってことでいいんだな?」

 

「はい、それで構いません。あちらで粗相のないようにお願いしますね、主さま。マホさまも主さまをよろしくお願いします。」

 

コッコロに昨日の出来事を知ってもらえたのとこれからマホのギルドハウスへ行くことの承認を得ることが出来た騎士は宿を出ようとする。

 

「分かってるよ、それじゃあ行ってくるよ。」

 

「それではコッコロはん、お暇させていただきます。」

 

「気をつけて行ってらっしゃいませ。」

 

コッコロに見送られた2人は目的である【自警団(カォン)】のギルドハウスへ向かい始めた。

――どうやらマホは騎士と腕を組むのをやめたらしく、宿が見えなくなってもそのような動作を一切しなかった。 おそるべしコッコロ…




次回は正式にカォン組と会います。あとはラビリンス、メルクリあたりに出会って1章始めようと考えています。キャルちゃんはどうしようかな…
ナイトメア、ディアボロ、フォレスティエとかの登場機会はおいおい考えておきます。

ちょっとキャラおおすぎんよ~、もう一回ストーリー見直してきます!
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