プリンセスコネクト! Re:Birth   作:UNAG3

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タマキが出ると言ったのは…、あれは嘘だ。

ってなわけで、今回にタマキは出てきません。切りの良いところで投稿したのでおそらく次話で出ると思います。 ごめんね⁉








第14話

「―――ってなわけでカスミはどう思う?」

 

「どう思うって…よくそんな話題を朝から持ち出すね。もうちょっと明るい話題にしてくれると私、助かるかなぁ~?」

 

今日も騎士とカスミのコンビは日課のように朝から治安維持に励んでいた。

騎士はカスミに前日の出来事について話しており、カスミの意見、考えが聞きたいそうだ。けれど聞かれたカスミ本人は少し困り気である、どうせなら楽しくなる話題が欲しかったようだ。けれど自身の考えを伝えるという行為が好きな人物なので、歩くペースや周囲への注意も忘れずに騎士へと言葉を返す。

 

「でもまぁ、考え方は人それぞれというか… とりあえず誰が悪いか悪くないかは置いておくとして、ファントムキャッツの行いは私としても褒めるものではないね。義賊って言ってもやっていることは所詮賊さ」

 

「じゃあさ、カスミはファントムキャッツを捕まえようだとか見つけようとか思わないの?」

 

「う~ん、確かにファントムキャッツは私から見れば義賊と言えど盗人だ、けれど一部の人たちからすれば救世主やヒーローだからなぁ。しかも一部といっても数が多いし、下手に捕まえれば反感を買いかねない。それに…」

 

「それに?」

 

「被害者は悪者ばっかりだから放っておいたほうが都合が良い。なんせ勝手に抑止力になってくれているからね、こっち(自警団)側としてはありがたい存在だ。ただし、私たちの縄張り(シマ)の外だけに限る話だけどね? うちに来たら普通に捕まえるよ」

 

カスミには『ファントムキャッツ』のような義賊を特別扱いしていないが、行い自体はさほど問題視していない様子だった。ただし関係ないところ限定の話。そもそも、【自警団(カォン)】の縄張りには悪徳なお店や組織は一切ないと言い切れるほど存在していない。これも日ごろの活動というか血気盛んなギルドメンバーのおかげというか… なので義賊と自称する輩が縄張りに来るはずもなく、仮に来てもただの泥棒でしかない。

というわけで、【自警団(カォン)】は「来たら捕まえるよ?」というスタンスらしい。  

 

「コッコロが言ってたけど、助けたり、守っているばかりではダメって言ってたけど… カスミはどう思う?」

 

「言っていることは理解できるし、私はその意見に同意だ。やっぱり、何事もやり過ぎは良くないと思うからね。(コッコロさんがそんなこと… あの人って本当に子供かい?)」

 

「でも、【自警団(カォン)】はいつもみんなを守ったりしてるけどそれは良いのか?」

 

騎士は素朴な疑問をカスミに伝えた。今もこうして住民たちを毎日守るために巡回し続けているのだ、今のやり取りでは少し矛盾しているのではないか、と騎士は思ってしまったようだ。

 

「そうだね、だけど私たちの行っていることは‟仕事”であり、‟慈善活動”ではないことをまずは知ってほしい。今こうしてやっている活動は、与えられた対価に対しての行動に過ぎないんだよ」

 

「ん? どういうことだ? 俺に分かりやすく言ってくれ」

 

騎士には上手く伝わっていない様子で、カスミから騎士の顔を見ると、いかにも「分かってません」みたいな表情になっていた。 カスミは少しため息をつき、再度説明を行う。

 

「つまりだね、私たち【自警団(カォン)】は住民からお金を貰う代わりに守ってあげているんだ、要するに仕事だよ、し・ご・と。騎士さんも働いたらお金貰っているだろ? それと同じようなものさ」

 

「うん、そうだけど… でもマコトはカスミみたいではなかったな」

 

「まぁ、マコトさんはね? あの人、私たちとは違って結構なお人好しだから…――」

 

カスミいわく、「自分から積極的に誰かの力、支えになろうとするのはマコトさんぐらい」であって、自分を含めてのメンバーはマコトほどのお人好しではないらしい。 あくまで仕事として治安維持をしているくらいの認識だ。だけど、仕方なくやっているという訳ではないが――

 

「それでは、こちらからも聞いてみよう。 騎士さんは今までのことについて、どう思う?」

 

「………」

 

次は自分が聞く番という感じで、カスミが質問された内容を騎士にそのまま返す。 カスミは騎士がどういう人物でどんな考えを持っているか知りたくなっていた。 騎士は深く悩む素振りを見せていたので、カスミは答えやすくするために選択方式に切り替える。

 

「それじゃあ、ファントムキャッツみたいな義賊は悪いと思うかい?」

 

「盗むことはダメだからってペコが言ってたから悪い」

 

「だったら、騎士さんは捕まえようとか思う?」

 

「ん~、ペコやコッコロがそう言うならそうする」

 

「では、―――……」

「あのねぇ、騎士さん… それらは君自身の意見ではないと思うのだが? でもね、粗方君のことが分かって来たよような気がする」

 

カスミはいくつかの質問しても、返ってくる内容は大体一緒だった。どれも「ペコが言っていたから」、「コッコロが言っていたから」ばかりで騎士の本心ともいえる答えが無かった。

 

カスミには、まるで「自分が無い」ように聞こえていて、不気味さを感じた。けれど、嫌悪感や不快感、忌避感は不思議と出てはこなかった。

 

「君はペコリーヌさんとコッコロさんが悪いことされたり、襲われていたらどうする?」

 

「当然守るし、そいつらを倒す」

 

「じゃあ、それをしている人物が私やマホさんだったりしたら?」

 

「ん? 別に変わらないぞ?」

 

「……やっぱりそうか。 君は他の人々と違うような気がして、興味深いね」

 

今の騎士の価値観、いや世界の見方は「ペコリーヌとコッコロかそれ以外」らしい。きっとその二人を中心として考えたり、動いたりしているのであろう。 カスミは、騎士が誰かを助けたり、言うことを聞いたりしているのは、おそらくペコリーヌかコッコロが言っていたことの延長線上のことであって、自発的な行動ではないと結論付けた。 

 

記憶が無い騎士といい、彼に付き従う秀才?なエルフの少女、本名を名乗らない少女… なんだか謎が多いメンバーたちだ。 だが、カスミにとってこれらは好奇心を煽る要素でしかない。

 

「(私的にはとっても面白そうなんだがなぁ~。 好奇心は猫を殺すと言うし、やめとくか? でも、こんな機会なんて滅多にないぞ…)」

 

謎に包まれて良そうな騎士の周りに首を突っ込みたくなる衝動に駆られるカスミだが、仲間たちのことを考えると何とか抑えることが出来た。また、カスミの本能とも言える何かが危険信号を放っていたおかげでもある。

 

それにしても…、それほどの要素をこんなぱっと見木偶の坊が持っているとは誰も想像しないだろう。世の中、不思議でいっぱいだ。とカスミは素直に思っていた。

 

「なら、すこし話題を変えよう。 騎士さんが好きな食べ物や料理は?」

 

「う~ん、そうだなぁ~…ペコが作ってくれた料理が一番好きかも」

 

「……ははっ、何だいそれ? 惚気のつもりかい? いや~、さっきまで色々考えていた私が恥ずかしくなってくるね! あはははっ」

 

「えっ? なんでいきなり笑って? どうしたんだカスミ。」

 

好きな料理を答えただけなのに、何故かカスミに笑われた。 なんせ、笑う要素が分からないのだ、どこがおもしろいのだろうか?と騎士は不思議な気持ちになった。

 

「いや、ごめんごめん。 でも決して君を笑った訳ではないからね?」

 

「???」

 

「(色々勘ぐるのが馬鹿らしくなってくる答えだね… やっぱり、騎士さんも私たちと同じだよ。ちょっと謎めいてるけど)」

 


 

「…あれっ? 荷物がぎょうさんありすぎて持たれへん…」

 

マホは備品の買い足しのため、街に出ていたのだが、途中でクマのぬいぐるみに一目惚れしてしまい、つい衝動買いをしてしまっていた。

しかも、買ったぬいぐるみはマホよりちょっと小さいくらいの大きさがあって、マホにとって大変運びにくい。また、一人で買い物に来ているので手伝ってくれる人影もなく…

 

「ここに置いていくわけにもいかへんし… ん~、どないしよか~」

 

かといって、一目惚れした大きなクマさんを返すつもりもないマホ。 自分の荷物たちを見つめながらどうしようか悩んでいると……

 

「どうしたその荷物? 運ぶの手伝うか?」

 

「あっ、王子はん! こんなところで出会えるなんて、やっぱりうちらは運命の赤い糸で結ばれているんやね~♪」

 

偶然、騎士と出会い、困っていそうなマホに助けの手を差し伸べた。 警邏の最中である騎士と出会うと思っていなかったマホは、騎士の姿を知った途端に大喜びした。 見た目はいつものようにおっとりというかマイペースな感じそのままだが、獣人(ビースト)特有のしっぽが大回転している。

 

「あの~ギルドマスター? 私もいるんだけど… むしろ、貴女に気づいたの私なんだけどなぁ…」

 

この時間で騎士に会うならもちろん居るはずのカスミ、だが今のマホにはそんな些細なことはどうでもよかった。颯爽と現れた騎士が困っている自分に手を差し伸べてくれる、というシチュエーションが好物なので、その場面にはカスミは映り込んでいない様子。

 

「でも、手伝うってええの? 騎士はんは警邏の最中やろ? 荷物、ぎょうさんあるんやけど~…」

 

「それは大丈夫だとも、別に問題ないよ。進む方向は同じだし、寄り道しても誤差の範囲だ」

 

「あら? カスミはんもいたんやね、お疲れはん」

 

「えぇ… ようやくかい…?」

 

ようやくマホに認知されたカスミはただ呆れるしかなかった。 そんなやり取りをしている間に、騎士はマホの荷物を軽々と持ち上げている。

 

「王子はんって、やっぱり力持ちやわ~」「騎士さんって、やっぱり力持ちだね~」

 

「で、ギルドハウスまで持って帰るんだろ?」

 

「そうやで、それじゃあお言葉に甘えてギルドハウスまでお願いしますわぁ」

 

マホとカスミが先にギルドハウスの方向へ歩き出し、その後を沢山の荷物を担いだ騎士が着いて行くが、マホとカスミがぴたりと同時に歩みを止める。

 

「おいおい、いきなり止まってどうした?」

 

いきなり立ち止まった二人の様子を見て、騎士も周囲を警戒する素振りを見せる。カスミの今の表情は、警邏中で何回か見たことある表情だったからだ、だから騎士もそれに合わせたのだ。

 

「子供の泣き声が聞こえるね」

 

「そうやね、あっちから聞こえてくるなぁ」

 

獣人(ビースト)の聴力が子供の泣き声が捉えたらしく、マホがその方向へ指を指す。 そして、その子供の場所まで駆け付けた3人は、独りぼっちになって泣いている獣人(ビースト)の子供を見つけた。

 

「この子、もしかして迷子やろか?」

 

「十中八九そうだろうね、どうやら私たちの出番のようだぞ騎士さん!」

 

「ちょっ⁉ こっちは沢山荷物持ってるんだぞ? 一回置かせてくれよ…」

 

「ぐすん… お、お姉ちゃんたちはだれ?…」

 

迷子と思われる女の子に出会った3人はとりあえず事情を聴くことにする。 マホは、泣いている女の子と視線を合わせられるように屈みこんで、声を掛けた。

 

「私たちは【自警団(カォン)】っちゅうギルドのもんや。 それでお嬢ちゃんはどないしたん?」

 

「えぐっ… お、お母さんが居なくなっちゃって… それでね… う、うあぁぁん!」

 

「よしよし、分かった分かった。もう泣かなくても大丈夫やで。うちらがお母さん探してあげるさかい、ちょっとだけお姉さんと待ちましょか~?」

 

母親とはぐれてしまったことを再び思い出してしまった女の子は泣いてしまうが、マホはその女の子を胸に抱き寄せて落ち着かせようとしている。 マホは女の子を落ち着かせている間にカスミと騎士に、母親捜索の命令を出した。 

 

カスミは迷子の女の子に付いている匂いを記憶したあと、近場の屋根に飛び乗って高所から匂いを探る。 また、騎士の方はカスミと同じ芸当は不可能なので、カスミの指示で女の子を探す素振りをしている獣人(ビースト)の女性を探すことにした。 あ、たくさんあった荷物は一度置いているので、持ちながら動いてないよ?

 

「相変わらず、王子はんって素敵やな~♪ 凛々しい横顔はいつでも眺めていたいわぁ」

 

「…あのお兄ちゃんって、王子さまなの?」

 

「そうやで~、うちを幸せにしてくれる、素敵な王子はんや。 だからお母さんもすぐ見つけてくれるで?」

 

マホは相変わらず騎士のことだけしか注目していない。同性の友情は恋愛の二の次でもいうのか… マホを見つけたのも、迷子の子にいち早く反応したのも、母親捜索の作戦指示もカスミだというのに…

 

「う、うん! わたし、絵本でしか見たことなかったけど、王子さまってかっこいいんだね!」

 

「せやろ、せやろ♪」

 

自分の王子(仮)である騎士を褒められたマホはしっぽを振って喜んでいた。

そんな感じで、時間つぶしとして騎士の自慢話を女の子に聞かせていると、マホが騎士の存在を感じ取っていた。

 

「よし、到着したぞ」

 

「早く見つかって、よかったじゃないか」

 

マホと女の子の元へ、騎士とカスミが戻って来た。 もちろん女の子の母親と思わしき女性を連れて。

 

「あ、ありがとうございます///… ――ここに居たのね! もう…、心配したんだから!」

 

「あ! お母さ~ん! それに王子さまだ!」

 

「………」

 

無事に女の子の母親を連れてきてくれたことは良かった。が、騎士が母親をお姫様だっこで連れてきたのはまだ良い…、いけなかったのは母親が顔を赤くして騎士に感謝を述べていたのだ。そんな光景を見てしまったマホは先ほどとは一変して、明らかに警戒をする表情を浮かべ始める始末。 ――獣人(ビースト)は自身のテリトリーへの侵入を嫌うものである。

 

「お、王子様? とにかく見つかってよかったわ…」

 

再開した親子は抱きしめ合い、母親は子供の頭をほっとした表情でなでおろしている。

 

「もしかして…、【自警団(カォン)】のマホさんでいらっしゃいますよね? そのお二人にも、なんとお礼を言っていいやら…」

 

「お母さんを見つけてありがとう! お姉ちゃん、王子さま!」

 

親子に感謝を述べられるマホたち。

 

「このくらいお茶の子さいさいだよ!」

 

「言われたから探しただけだ、礼ならマホかカスミに言ってくれ」 

 

「今度は、お母はんと離れたらあかんで~」

 

「本当にありがとうございました。 今度、お礼に伺いますから」

 

「バイバーイ! お姉ちゃんたち~! 王子さま~!」

 

母親と手を繋ぎながら一緒に帰っていく女の子は、マホたちにお別れの手を振っている。

 

「あの子のお母はんが見つかってよかったわぁ、王子はんとカスミはんのおかげやね?」

 

「さてと、さっさと荷物運んで活動再開するかぁ~」

 

迷子の女の子のお母さんを無事に見つけることができ、これにて一件落着である。と思いきや…

 

「私ね~! 大きくなったら王子さまとけっこんして、お姫さまになる~!」

 

どうやらあの女の子は、短期間で騎士のことを気に入ったようだ。おそらく母親を颯爽と連れてきたのが印象深かったのだろう。

だが、ここにいる内の獣一匹は、そんな微笑ましい発言をスルーできなかったようで…

 

「なんだぁ? あのクソガキぃ…」

 

マホ、キレた‼ 声普段の姿からは想像できないであろう、ドスの効いた声を発していた。 実際、となりに居たカスミはちょっとビックリしている。 しかし、マホの口はまだ止まらない!

 

「お姫様だっこ程度で頬を赤らめていた母親といい…、あの親子は出会ってばかりの男に盛る卑しい俗物やなぁ あ~、気持ち悪いわぁ…―――」

 

罵倒の言葉がすらすら口からでている。 他と比べてもかなり可愛い外見からは想像がつかないであろう程の言葉遣いになっていた、まるで道を極めた人たちのように…。 

まぁでも、マホはそういう世界のお姫さまだから特に問題は無いと思う… ――たぶん大丈夫だから、ヨシ!

 

「私からしたら、貴女も十分にあちら側の獣人(ビースト)ですよ…」

 

カスミは余りにも矛盾した発言を聞いてしまったので、思わずツッコミを入れてしまった。もちろん、これは不可抗力である。  




【いきなり設定説明】

自警団(カォン)は自分たちの縄張りに住んでいる人たちからお金を貰う代わりとして彼らを守る、という組織です、簡単に言えば地主です。
この集団は、ギルドの体制が無かった昔から続いており、その時はまだ本当の意味で自警団でしたが、長い時を経て地主扱いになった経緯があります。

マホはそんな地主の血族の一人という訳です。しかも、実家がいろんな意味で結構大きめらしい…
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