プリンセスコネクト! Re:Birth   作:UNAG3

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やったね騎士くん!これから美食殿の活動が始まるよ!



第5話

少女ふたりの絶叫がギルド管理協会内に響いた、ふと我に返ったふたりは周りの人たちに何度も平謝りをする。謝罪が終わるとペコリーヌはおでこの汗を腕で拭うようなそぶりを見せた。まるで一仕事終えたような動作である。

 

「ふぅ~、びっくりして叫んでしまいましたが、わたしの勝ちですかね?いや~、恥ずかしかったですがやる価値はあったようです。やばいですね☆」

 

勝ち負けの話ではないと思うのだが、そのセリフを聞いたコッコロは己の負けを悟ったかのような顔をして言葉を続けた。

 

「よもや、主さまが言葉を話すとは…『騎士』は避けたかったのですが致し方ありません、わたくしの“負け”でございます。それよりも主さまの成長を喜ぶべきなのでしょう。」

 

コッコロは自身の考えた名前に何故かそれなりの自信を持っていたため、悔しいといえば悔しいのだが、「わたくしは引きずらない女」と思い気持ちを切り替える。この青年の進歩を素直に喜ぶようにした――

 

青年の名前が『騎士』になったペコリーヌは喜んだ姿で青年――騎士の手を取る。

 

「これからよろしくお願いしますね♪騎士くん?」

 

騎士くんと呼ばれた青年には返事をするように微かな笑顔があった。

 

 

 

ついに申請書の記入が終わり、受付に申請書を渡す。これからギルド【美食殿】の物語が始まるであった。


 

申請書を受理した受付の女性は申請書内容を確かめていく――確認が終えたのであろうか3人の方へ視線を向けた。

 

「はい、記入漏れもございませんし大丈夫です。美食殿の皆さんこれからよろしくお願いしますね。わたしの名前はカリンと申します、これからギルドについての簡単な説明を致しますので質問があれば都度聞いてください。」

 

それから受付の女性――カリンはギルドについての大まかな説明を行う。クエストの申請や受理、ギルドランクの存在、ギルドの新規加入や脱退などの事務的なことからギルドハウスや宿泊施設利用などの公共サービスについてなど様々な内容を聞く3人、話の途中でコッコロが小さく手を上げカリンに質問をする。

 

「クエストの話なのですが、わたくしたちがいきなり高難易度クエストを受けることは可能なのでしょうか?」

 

質問を聞いたカリンが少し困った様子で答える。

 

「すみません、クエストの難易度によって受理制限がありまして…ギルドランクで受理できるクエスト難易度が変わるのですが…少しお待ちください、例をお見せしますね。」

 

カリンが掲示板のある方へ向かい、貼られていた紙を何枚か持ってこられ、紙を覗くコッコロとペコリーヌ。

 

「これがクエストの申請書です。この赤いスタンプの数がわたしたちギルド管理協会が評価した推定難易度になっていまして、基本この数に応じてクエスト受理の可否が決まります。みなさん美食殿はまだ出来たてなので、ギルドランクは一番低いブロンズです。それなので現在受けられそうなクエストはこちらですね…」

 

そう言ってクエストの紙を出したカリン。それの内容を見た二人は困惑した表情をする、それを見たカリンもまた困り気な顔をする――クエスト名「ガド遺跡に群生するキノコを採取」採取クエストだがそれはよいのだ、ただ報酬が安すぎるのである。これなら酒場のウエイトレスをやっているほうが効率的に考えてもマシに見えるほどであった。

 

「これでは1日を生活するお金も稼げません…」

 

落胆するコッコロが縋るような表情でカリンに声を掛け、「お情けを恵んでもらおう作戦」を決行するがカリンの反応はいまいちである。やはり同性相手じゃ厳しいかと心の中で舌打ちするコッコロに代わりペコリーヌが質問を続ける。

 

「あの、それではギルドランクはどうやって上げていけばよいのでしょうか?このような報酬ばかりでは日々の生活がギリギリになっちゃいます。」

 

「ギルドランクを上げるにはクエスト実績をコツコツ積み上げるほかありません。皆さんが満足できそうな報酬を得られるようなクエストを受けるには最低でも上から2番目のゴールドぐらいなければ厳しいかもしれません。」

 

「それってどれぐらいかかりますかね?1、2年くらいです?」

 

「おそらく、早くても3年近くかもしれませんね。」

 

苦笑した表情で答えを返したカリンの言葉を受けて、ペコリーヌは固まった。そんなペコリーヌをみたコッコロが再度質問する。

 

「では、わたくしたちが高難易度クエストを受ける裏技みたいのはないでしょうか?」

 

「あるにはあるのですが、ほかのギルドと同行するという手段があります。クエストを受注するギルドの許可さえあれば同行できますが、報酬の配当は受注ギルドのギルドマスター次第なのであまりお勧めしません。何度か報酬についての揉め事がありましたのでやめた方がよいかと…」

 

「そうですか…、そこまで言われると諦めざるを得ませんね…」

 

落胆するコッコロであったがペコリーヌが励ますように声を掛ける。

 

「大丈夫ですよコッコロちゃん、クエストがダメでもお金を稼ぐ方法はまだまだあります!飲食店や露店での日雇いだったり賞金首稼ぎ、最悪賭博場もありますから元気出してください。」

 

「と、賭博ですか?」

 

後半は少女が提案するもされるもおかしい内容だが、お金が欲しい3人はそんなことなど関係ない。そしてコッコロはまさかの賭博という単語に反応してしまい説明をペコリーヌに促したがカリンに止められてしまった。受付の前で無関係の話を始めないで欲しいの事、3人は大人しくギルド管理協会を後にしたー

 

「ペコリーヌさま、先程の賭博場の件についてなのですが…」

 

「賭博場というより闘技場というほうが分かりやすいかもしれませんね、どっちが勝つかにお金を賭けるんですよ。ルールも分かりやすいですし入場制限もありませんから始め易いですよ。」

 

「へぇ、なるほど。そのような場所がここに有るとは…闘技場ということは死者がでてしまう恐れは…」

 

「いえ、ほとんど競技化しているので死者が出るのは稀だと思います。と言っても2回しか行ったことないんですけどね。」

 

何故か賭博場もとい闘技場へ向かい始めていた。他にも候補はあったはずだが既に昼時である、これから働こうにももう遅い。また賞金首を探すにもコッコロと騎士には土地勘は無いので効率が悪い、結局消去法で賭博が残ってしまった。

ちなみにカジノもあるが招待者や貴族のみが利用できるためペコリーヌはあえて言わなかった。言ったらコッコロが何かしでかしそうと思ったからではない。

 

「ところでペコリーヌさまが闘技場にお行きになったときの結果はいかがでしたか?」

 

コッコロの期待の眼差しがペコリーヌを刺す。ペコリーヌは言葉ではなく顔を逸らすことで返答した、つまりはそういうことだ。その返答を見たコッコロは呆れ顔をする。

 

「それなら何故言い出したのでしょうか?わたくしてっきり勝たれたと思いましたが、よもやこの少ないルピを元手に賭博をなさろうとしたんですか?もう少し考えてから物事を話した欲しいです。」

 

ストレートな物言いにペコリーヌのアホ毛も垂れ落ちる。

 

「いやぁ、コッコロちゃんなら勝ってくれそうだなと思いまして…」

 

「優秀で聡明で完璧なわたくしのせいで勘違いしてしまうのは仕方のないことですが初心者に期待しても何もないですよ。」

 

(チョロすぎではないでしょうか…)

 

そこまで言ってないし思ってもいないのに何故かドヤるコッコロ、先ほどまでの流れは何処に行って行ってしまったのか…

 

結局、闘技場についてしまった3人は観客の流れに従って入場していく。そのままペコリーヌ先導もと闘技場内を進んでいくと観客席の歓声や野次、怒号が混ざったような声が聞こえて来る。それだけで戦いが行われており、多くの観客で賑わっているのが分かる。その声の元へ移動すると中央には戦う者がいた。そして周りを囲うように観客席が広がっていて、一面観客が覆い尽くしている。

 

「わたくし、はじめてこのような場に来ましたが…いかにもってところでございますね。どこもかしこも似たような人だらけです…おや、あちらの方は特等席とか何かでしょうか?貴族らしき方々がいらっしゃるようにお見受けします。」

 

さらりと周囲の観客をディスりながらも特等席と思われる場所に指を刺すコッコロ。指した先は観客席の最前列であり用意されている席も違う、何より見た目が一般人ではない。どうやら護衛であろう姿も確認できる。

 

「あそこは貴族専用席です。あそこで品定めや自分の奴隷の活躍をより近くで見ることができるんです。ヤバイですね☆」

 

「ん?何やら物騒な言葉が消えたような…奴隷?」

 

「そうですよ?わたしの国は奴隷制度ありますから。」

 

平然と言い返して来るペコリーヌに「ランドソル王国ヤバイですね☆」と言い返しそうになったコッコロは視線を闘技場中央の試合に移すーー「あそこで闘ってるの奴隷だったんだ…」と言葉を漏らしてしまうのであった。

 

ちょっとドン引きしているコッコロを見てペコリーヌが慌てて発言のフォローをする。

 

「勘違いしないでくださいね⁉︎奴隷とは言いましたがコッコロちゃんが思っているようなことではないです!」

 

どうやらランドソルの奴隷制度というものは契約に近いらしく、強制労働や慰安目的などで買うのはもってのほからしい。奴隷の購入相場をペコリーヌに聞いたときには思わず声を出してしまったほどだ。

 

「なぜそこまでのお金を出してまで奴隷を購入するのですか?」

 

「う〜ん、おそらくは周囲に自慢するためだとか見栄を張るのが一番の理由だと思いますよ?強い奴隷を所持するのは貴族にとっては昔からのステータスですからね。」

 

「わたくしには理解不能な世界でございますね。」

 

「わたしもですよ。でも奴隷になる人たちはたいていお金や地位、名声を求めています、身体ひとつで成り上がりを夢見る人にとっては良いチャンスなので互いに利益がある…わたしはこの制度を悪くは思いませんね。」

 

「そのような内容だったとは…すみません、どうやらわたくしは早とちりをしてしまったようですね。」

 

話をしている間に歓声が響き、試合が終わったことに気付いた2人、せっかく来たのだ一回ぐらい最少額でも賭けてみようかと考えるコッコロは投票売り場へ向かおうとしていた。

 

「あの連れてきたわたしが言うのもアレですが本当にやるんですか?残りのお金なかったような…」

 

「大丈夫です。いざとなったら非常用に手を出しますし、最小額だけ賭けてどのようなものか経験してみるだけなので」

 

そもそもわたくしのお金でございますし…と言われると何も言えないペコリーヌ。そのまま受付へ向かうコッコロを騎士と共に追いかけたのであった。


 

「すみません。この闘技場について詳しくおはなしを伺いたいのですが…、よろしいですか?」

 

受付にいる人物に声を掛けるコッコロはやる気満々の様子。

 

「はい、もちろんです。では基本的な説明をさせていただきます。この闘技場で行われる試合は1対1もしくはチーム戦、バトルロイヤルがあります。基本1対1が主流でチーム戦やバトルロイヤル方式は月に2∼3回の頻度でしか開催されていません。スケジュールは外と中に設置している掲示板を確認してください。購入については投票売り場で購入してください。売り場の受付に勝つ側を伝え、賭ける金額を払うことで投票券を購入することができます。」

 

受付スタッフの丁寧な説明が終わり、投票売り場の方向も教えてもらった3人は言われた通りの方向へ進んでいくと人であふれかえる光景が一面に広がっていた。あまりの混雑に購入意欲が少し失せたコッコロだが小さな体で人の海を無理やり割っていく。

 

人の海を割って進んだ3人は意外に売り場に着くことができた。混雑しているのは換金したい人たちだったのであろう。

 

「あの、こちらで投票券を購入できるとお聞きしたのですが、合っていらっしゃいますか?」

 

「はい、こちらで間違いありません。あちらが購入した投票券を交換できる場所ですが、購入希望ですか?」

 

「そうなのですが購入前に参加選手の状態や投票率が高い側については確認することは可能でしょうか?」

 

「参加選手については投票締め切りからだと約20分前に入場いたします。また投票人気率についてはこちらで確認することができますよ。」

 

参加者の状態は入場したときだけ確認できないらしい、ついでに倍率を聞いたが白側と黒側があって現在人気をしているのは黒側のこと。聞きたいことを聞き終えたコッコロは売り場を後にする。

 

「とりあえず、参加選手の状態とやらを見ておきましょうか。なにも知らないで購入するのはただの馬鹿ですからね。」

 

闘技場の観客席へ出た3人は選手の入場を待つ。そして待つこと数十分後、進行担当の人であろう男がマイクパフォーマンスをしながら入場選手の紹介をしている。どうやら白側選手の成績と黒側選手の戦績を言っているが人気の通りに黒側選手の方が良いらしい。そんな中、コッコロはその内容を聞かずに両選手をじっと見つめている。かなりの本気具合を見せているペコリーヌは息をのんだ。それから2分ほど経って、

 

「白い方が勝ちますね。」

 

じゃあ、買ってきますといって颯爽と売り場へ向かおうとするコッコロを引き留めるペコリーヌ。

 

「ちょっと考えるの早くないですか⁉しかも人気じゃない方ですし、ほんとうに大丈夫ですか⁉」

 

「わたくしの目にはそう見るのですし、ほかの大衆に流されるような軟弱思考ではないのです。あとこれわたくしのお金です。」

 

じゃあ、と本当に買いに行ったコッコロ。ペコリーヌは勝てば満腹、負ければ空腹なのでただコッコロを信じるしかないのであった。


 

結果から言うとコッコロ大勝利であった。コッコロとペコリーヌは今日初めてで分からなかったが、試合はどうやら番狂わせだったらしく、周囲の阿鼻叫喚の理由を後から知ることになった。そのおかげで返ってきたお金は元の10倍を超えていた。しかも、ロリっ子(コッコロ)は少ない額と言っていたのになぜか有り金突っ込んでいたらしい。それをさらりと言いのけたコッコロにペコリーヌはドン引きしていた。これがビギナーズラックというものですか、と思いながらペコリーヌはもう帰ろうと提案するが――

 

「賭博なんてもの初めて経験しましたが案外余裕でございましたね、このままの調子で生活費稼いじゃいますか。」

 

あぁ自分の才能が恐ろしい、などと言ってドヤ顔するコッコロは居座る気満々だ。説得できぬペコリーヌはただただ祈るしかなかった――が、祈りが通じたのか次もその次もコッコロの予想通りになり、無敗で闘技場を後をすることになった3人、外はすでに日が落ちていた。

 

コッコロとペコリーヌはさっそく宿を探す。現在の所持金だと3人でもそれなりの場所で1ヶ月ほど宿泊が可能だが、ペコリーヌはその誘いを断った。

 

「このままコッコロちゃんにお世話になりっぱなしはわたしのプライドが許しません、なので明日から自分の生活費は自分で稼ごうと思います。」

 

「では明日から別々の行動をするということでよいのですか?」

 

「そうですが、ギルド活動をする場合はどちらかに尋ねるようにしましょう。」

 

「わかりました、ではさっそく宿を早く決めて夕食に行きましょうかペコリーヌさま。今日は景気祝いにいっぱい食べてよいですよ。」

 

「ホントですか⁉やったぁ!さすがはコッコロちゃんです。ヤバいですね☆」

 

そうして、これから泊まる宿屋も決めることができ、陽気に飲食街へ繰り出す【美食殿】であった。




最後のほう駆け足になってすいません、ボキャ貧でございます。
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