・やられたらやり返す! 倍返しだ!
・やられる前にやれ
・勝てばよかろうなのだァァァァッ!!
・ただでやられはせんぞ! 手足の一本でもいい、必ず傷跡残してやる!
みたいな感じです。
「なんでこうなったんか説明お願いしますわぁ。カオリはん、カスミはん。」
明らかに今まで「
「コイツがマコトをあんな風にしたんさ!」
「はいはい、カオリさんは少し冷静になってくれ…私から説明するよ。」
まだ興奮状態にあるカオリを「どーどー」となだめるカスミが代わりにこれまでの状況をマホに話す。
「私たち3人は誘拐されたギルドマスターを助けるために匂いを追ってここまで来たんだよ。そうしたら爆発音みたいのが聞こえたんで向かったら、匂いの着いた賊らしき者たちを見つけてギルドマスターの居場所を吐かせようとしたんだけど…どいつもこいつも「いきなり爆発が~」しか言わないもんだから結局手分けして探すことになったのさ、匂いも途中で途切れてたしね。」
「マコトの姿が見えんかったから探したんさ。そしたらマコトがこの男にやられていたんさ~。」
冷静さを取り戻したのかカオリが言葉を繋げた。
「やっつけることはできたんだけど、代わりに私はこの有り様さ~。マホ、早く治して欲しいんさ~。」
「あらら、よぉ綺麗に折れてますなぁ…。みらくるまほりんくるりんぱ~♪ 完治まではいかんどすが、少しはマシになると思うんよ。」
カオリに折れた腕を見せつけられたマホは回復魔法をかけてあげた。魔法である程度治したが、完治はまだになりそうだ。
そして、傍で気を失っているマコトにも回復魔法をかけた。こちらも相当やられているらしく、カオリぐらいかかりそう。
「あの~お二人とも? 話を続けてもよろしいかな?」
腕がポッキリと折れているのにいつものようになったカオリといつでものんびりなマホのせいで場の雰囲気が崩れていくことを感じたカスミはいち早く話を続けたかった。
それと、どうしても自分の考え――推理というのをマホとカオリに聞かせたかった。
「私はね、この男から微かながらギルドマスターの匂いを感じ取った。おそらくマコトさんも…だから攻撃を仕掛けたんだと私は推理する。今まで倒した賊もギルドマスターの匂いを付けていたからこの男も仲間だと思ったのだろうね。そしてやられたマコトさんを見つけたカオリさんが入れ替わるように戦闘になり、決着が着いたときにちょうどギルドマスターが来てくれて、今に至るという訳だ。…それでだが、ちょっといいかい? ギルドマスターからこの男の匂いがするのはもしかして――」
「ご名答や、カスミはん。この王子はんがうちを助けてくれた御方どすえ。」
「やっぱり…そうだと思ったよ…」「えっ⁈」
マホの返答を聞いて頭を押さえるカスミとびっくりするカオリ、また正反対のリアクションだった。
「ちょっと待って?じゃあ、私たちはマホの恩人と戦ったことになるのさ?」
「まぁ、そうなるだろうね…私が先に出会っていたらこんなことにならなかっただろうに…」
カスミは久しぶりに本気で頭を抱えていた。仲間の短気と血気が原因で厄介ごとを作ったのだ、しかも殺人未遂で終わったので本当にラッキーであった。
こちらも負傷者が2人出たが、万が一のことを考えてしまった
「とりあえず、ここで話し込むのはいかんから馬車隊へ向かいましょか。マコトと王子はんを荷台で寝かせたほうがええ。」
「「馬車隊(さ)?」」
先頭に立って歩くマホに付いていく二人と運ばれる負傷者組。
付いていくとマホが言っていたように馬車隊が並んでいた。中には荷が積んでいる。
「おお、嬢ちゃん!その様子だと間に合ったか。」
「なんとか間に合いましたわ、おおきに。おかげで一大事にならへんどした。」
「ギルドマスター?この馬車隊はいったい…?」
何故、馬車隊とマホが知り合っているのか、そもそも馬車が複数なのに護衛が見当たらない。などなど、カスミは現状を解明するべく聡明な頭脳を働かせ、嫌な真実を手繰り寄せてしまった。
「この馬車隊はなぁ、王子はんが護衛をしていたんや。ひとりですごいやろぉ~。あ、ケガした二人をこの荷台に積んでおくれやす。」
答えを聞いた瞬間、カスミは地に伏した。何故かと言うと…
「これ、私たちがあの男の代わりに護衛をしないといけないじゃないか!しかも、明らかに依頼最中を襲ってしまったから賠償金が発生する恐れも…!でも、こちらも怪我人が出ているし――」
「さきほどからカスミはんは愉快やなぁ。」
「誰のせいでここまでなっているのか教えてあげましょうか?!」
カスミは少しだけマホにイラッとしていた。この問題を重要視しているのはどうやらカスミだけの様子…どうにもならないことを知ったカスミは肩を落としたのだった。
マホは道中で騎士、マコト、カオリの3人に回復魔法を当て続けていたので、今は疲れて寝息を立てている。また、カオリも途中からぐっすり眠っているし、騎士もマコトもまだ目を開けていない。
カスミは1人で馬車隊周囲の警戒を行いつつ、これから面倒ごとが起こらないようにと心の中で祈り続けていた。…ちなみにマホたちは目的地がどこなのかは聞いてはいなかった。
「お~い。カスミちゃん、もうすぐ着くから寝ている嬢ちゃんたちを起こしてくれねぇか。」
「わかったよ、おじさん。」
カスミは後ろの馬車へ移動し、おやすみ中の人たちを起こしに行った。現在はただの使い走りのカスミはせっせと働いていた。
「ギルドマスター、カオリさん。もう到着するから下りる準備するよ。カオリさんはマコトさん運べるかい? ダメなら私が運ぶけど。」
「はぁ~ぅ、よく寝たさ~。大丈夫だよカスミ~、私がマコトを運ぶさ。ほらマホも起きて~。」
カスミの声を聴いてすぐに起きるカオリ、マホは声を掛けても起きなかったのでカオリが身体を揺らして起こそうとする。
…数回揺らしてようやく起きたが、まだ瞼が半分しか開いてない。
「うにゅ……ふあぁぁ、ふぅ。なんやぁカオリはん。」
「馬車が目的地に着くってさ。下りる準備しないとってカスミがいってたさ~。」
「そうなんかぁ~。ところでこの馬車はどこに着くんやろなぁ~。」
「そういえば聞いてないね。」
目的地を知らないことを知った二人はとくに何も思わなかった。
・
・
・
「さぁ着いた着いた! カスミちゃんはもういいぞ、護衛とかありがとな! 十分助かったわ。」
「荷降ろし手伝わなくていいのかい?」
「くたばってる護衛のお兄ちゃんを叩き起こすから大丈夫だよ、これ以上手伝ってもらうと申し訳ない感じがするからな。」
「負傷者を叩き起こすのかぁ… とりあえずお言葉に甘えよう。こっちは依頼主に今回の事情を話してくるよ。」
目的地に着いた馬車隊とマホたちは別れることになった。あとは依頼主とのお話だが…マホだと心配なのでカスミが担当することになった。
カスミ本人は非常に嫌がっていた。しかし、現状それが一番の最善案のため、カスミは早々に諦めた。
意を決したカスミは依頼主が住んでいると思われる屋敷?の門の前に立つ。さながらカスミは出陣するような面影だ。
後ろにいるマホとマコトをおんぶしているカオリにはそのような雰囲気は一切感じられない。
「ここの屋敷?がそうなのかな、ずいぶん大きいね…。ここらへんは私たちの管轄ではないからあまりわからないが、貴族の繋がりがある人が住んでいてもおかしくはなさそうだ。」
「はぁ~、大きいところさ~。」
「ほんまに大きなぁ~、どのくらいの人が住んでおるんかねぇ。」
建物を見上げる3人はだいたい同じ反応をしていた。
カオリが門に名前があることに気づいた。
「ね~ね~。門に『サレンディア救護院』って書いてあるよ~。おうちじゃないのかも。」
「あら、ほんまや。もしかすると保護施設のようなものかもしれまへんなぁ。」
「サレン? どこかで聞いたような…。」
名前を見たカオリだけが違和感を感じ取っていた。マコトも起きていれば何らかのヒントはあったかもしれないが、そうはならなかった。
とりあえず門の先へ向かい、
「あら?お客さまですか… ここは【サレンディア救護】です。どのような御用ですか?」
「私たちは【
「マホどす、おおきに。」
「私はカオリ、よろしくさ~。」
「これはこれはご丁寧に、私はこの【サレンディア救護院】の代表を務めていらっしゃいます、サレンお嬢様に仕えているすずめと申します。」
互いに挨拶をしたことを確認したカスミは本題に入る。
「こちらの勘違いなどがあって、そちらの馬車隊を護衛していた者と戦闘が起きてしまってね…。お互いに負傷者を出してしまったから事の顛末を依頼者に説明をしたいんだ。時間は空いているだろうか?」
「そんなことが…、ってケガのほうは大丈夫なんですか⁈ とりあえず中に入ってお待ちください、さぁ!」
「すまない、お言葉に甘えてお邪魔させてもらうとしよう。」
怪我人がいることに気づいたすずめは建物内に入ることを勧める。
カスミたちもそのほうがありがたいので素直に従ってサレンディア救護院へ入る。
「すみません、お見苦しいですが子供たちが後片付けをしないばかりに…。さぁ、こちr――きゃっ!!」
案内するため先頭を歩いていたすずめが綺麗にすっころんだ。どうやら足元のおもちゃで転んだらしい。玄関からそうだったが子供の靴が沢山あった。おもちゃも同様だ。
「大丈夫かい、すずめさん。」
「すみません、お気遣いありがとうございます。こんなドジはいつもですから。」
そのまますずめの先導のもと、客室まで案内されたカスミたち。カスミはある質問をした。
「すずめさん、ここには多くの子供たちがいたが、このサレンディア救護院っていうのは児童施設なのかい?」
カスミはさきほどから気になっていたことをすずめに尋ねた。ほか2人も同様だったのだろうか、「うんうん」と頷いている。
ここまでの道のりで遊ぶ子供やその遊具、服など多く見てきたのでカスミは聞かずにはいられなかった。
「はい、このサレンディア救護院は身寄りを失った子供たちの保護施設になっています。皆さんはもうご存じかと思われますが、近頃ロストという現象はお分かりですよね?」
「もちろんだとも、それについて調査の依頼が来るぐらいだしね。」
「ありがとうございます。そのロストの影響で保護者を失った子供たちが増えてしまって… お仕えしているサレンお嬢様が被害に遭った子供たちをなんとかしようと、お仕事を辞めてまで立ち上げたのがこのサレンディア救護院なのです。 …まだ立ち上げたばかりですが。」
「サレンはんというおかたは凄い人ですなぁ。…まだできたばかりなのに子供たちの数がぎょ~さんおるのはそれだけ被害があるということなんやなぁ。」
「はい、ロストもそうですが捨てられる子供も保護していまして…それもあってか常に家計簿は火の車状態ですよ。」
すずめが苦笑した様子でマホに返答をする。それもそうだ、ここはランドソルの城下町、仕事や地位、金などを求める人が往来する場所。裕福な者などほとんど居ないと言っても差し支えない。しかも多種多様な人が居るのだから治安も悪い、そんな城下町では捨てられた子供が生きるために犯罪に走るなど日常茶飯事であり、さらに原因である育児放棄を何とかしようと思う人もいない。
だれもが自分の生活で精一杯であり、国も城下町に関しては基本不干渉なのだ。だからこそ城下町は賑わっているのだが。
「やる前から分かっていただろうに… 何故、この施設を立ち上げたのかい?」
カスミはさらに質問する。サレンという人を馬鹿にするわけではない。
が、児童の保護という途方もないこと、多額の金が必要なこと、デメリットのほうが大きいことなど問題は沢山出てくるのにどうして救護院を立ち上げたのかとても気になったカスミだった。
しかし、この疑問がきっかけでカスミはとんでもないことになるのだが、彼女は気づくはずもない。
「やりがいのあることをしたいとおっしゃっていました。前職はやりがいを見いだせなかった?とか…だったはずです。」
「すごいなぁ、私は真似できないし、しようとも思わないなぁ。立派な人なんだね、良い人に仕えることができてよかったんじゃないか?」
「もちろんです! 私のようなドジでもメイドとして雇っていただけるんです、とっても良い人ですよ! 剣の腕も頭の良さもトップレベル! しかも元【
主を褒められたすずめは興奮した様子で主の自慢をする。が、最後のほうの言葉に
「んん⁈ すまないすずめさん。最後の方をもう一度言ってくれないか?」
「剣の腕も頭の良さもトップレベル?」
「いやぁ、それよりも後のほうや。」
「元【
「それや‼」「それさぁー‼」「あばばばば」
一斉に驚く3人に反応してすずめも驚いた。特にカスミなんか口から泡を吹いている。
「サレンってお人の名前を何処かで聞ぃたことおるなぁと思ったら、どうりでなぁ。」
「ここは元
「あの~、口から泡吹いていらっしゃる方がいるのですが大丈夫ですか?」
「気にせんでええよ、長話はこれまでとして… ほなサレンはんを呼んではくれんか? うちらも話を進めんと。」
カスミのことは無視しろといって、マホはすずめにサレンを連れてくるよう頼み込む。マホはいつでものほほんとしているが馬鹿ではないのだ。カスミが使い物にならないため、マホが話し合いの担当になった。――まぁ、本来そうするべきなのだが…
・
・
・
しばらくするとマホたちがいる客室に扉をノックする音が響く。
「お待たせしました。【
「お待たせしてすまないわ、あたしが【サレンディア救護院】、ギルドマスターのサレンよ。よろしくね、【
すずめに連れられてサレンがやってきた。もう日が落ちそうな頃合いなのに忙しそうであることが伺えた。
「お忙しいところえらいすいまへんなぁ、よう知っとると思うんやけどうちは【
「私はカオリさ~。」
「同じく【
カスミはなんとか復活していたがまだ強張っており、顔は青ざめているので今にも倒れそうな感じになっている。
その姿をみたサレンは少しからかってやろうと思い始めていた。最近のサレンは仕事漬けで鬱憤というかフラストレーションが溜まりに溜まっていたのだ。
――カスミはただただ、運と状況が悪かった。あぁ、南無三!
「あたしが元【
「あばばばばばばばばb――ブクブクブク…」
ああ、哀れなカスミ…サレンの含みのある発言と表情を向けられ、自身の耐えられる精神負荷キャパシティをゆうに超えてしまったカスミは白目を剥き、泡を吹きながら撃沈した。おそらく先ほどより重症だろう、負傷者1名追加になりそうだ。
「いけずやわぁサレンはん、カスミはんにおいたをするのはそこまでにしておき。」
「あ~あ、カスミせっかく起きたのに、これだと当分無理かも~。」
「ごめんなさい、最近は気分転換する機会がなくて…ちょっとからかい甲斐がありそうな娘を見つけちゃったもんだからつい。」
これ以上時間をかけるのはよろしくないと判断しているマホはさっそく本題に入った。
マホが誘拐されたところから騎士に助けられたところ、騎士が誘拐犯と間違われて戦闘になったことや戦闘の顛末まですべて隠さずサレンに打ち明けた。
「――なるほどね、ありがとう。今回についての話はよくわかったわ、だからあいつ寝てたのね。てっきりサボりかと思ったじゃない。」
「あのぅ、王子はんはどもないどすか?」
「ん? あいつのことなら叩き起こして働かせたから問題ないと思うわよ。今回のことはあたしからあいつに伝えておくわ。」
「おおきに、サレンはん。そしたら、うちらはここで帰らせてもらいますわぁ。まだ後日、伺いますゆえ。」
「私らは結局なにかしないといけないのさ? うちはお金あんまり持ってないさ~。」
「別になにもしないわよ、わだかまりがあるのは古巣のことだし、あたし自身にそういうのはないから安心して。ただ、これから何かあったらお互いに協力する程度でいいわよ。さっきのいたずらのこともあるし、この件は不問よ。」
「ありがとうなのさ~。サレンは良いやつで良かったのさ~。」
一応、被害側のサレンが不問にすると言ったので今回の問題は無事に終了した。サレンは賠償金でも分捕りたかったが、負傷者はあちらの方が多かったこともあり、温情でやめたのだった。そのかわりのカスミへのからかいが起きたのだが…
とりあえずこれにて一件落着であった。
サレンとの話を終え、自分たちのギルドハウスへの帰路に就いた【
それを見たマホとカオリは大笑いしながら歩みを進める。――カスミの意識はいまだに沈んでいた。
執筆していたらカスミちゃんがかわいそうな子に…
でもそんな女の子見るとチョットだけテンション上がらない?上がらないですか…
これにてカォン組との馴れ初め?が終わりましたので岸君にはさっさと次のギルドと出会ってもらいます。なるべく自然な流れにしたいね。
ところで、コッコロと岸君がサレンディア救護院に居候したのはいつからなの?
わたし、わかりません!