ソードアート・オンライン ~たった一人の為の英雄~   作:まっちゃんのポテトMサイズ

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第17話 親友

俺は重い瞼を開ける。

視界には木目調の焦げ茶色の天井が目に入り、溜息を吐く。

 

「…負けたか」

 

ベッドから上体を起こし、周囲を見回す。

傍には木製の椅子が置いてあり、部屋の中央には丸テーブルが置かれていた。

 

「誰にも負けない程の力が無くては、ユナを守るどころか…」

 

言葉を紡ぎ終える前に黄色の長袖のシャツを着たノーチラスが部屋に入ってきた。

宿屋の中だからなのか、彼は何時も装備していたチェストプレートを外していた。

俺は気まずさのあまり、ノーチラスから目を逸らした。

 

「…起きてたんだ」

 

何も言わずにコクリと頷き、何を話そうかと、思考を巡らせる。

ノーチラスは俺の傍にある椅子に腰を下ろし、溜息を吐いた。

 

「…良かった。もし、君が死んでいたら…」

「俺がそんな柔な訳がないだろ」

 

重い口を開けて、震える声で何とか言葉を紡ぐ。

今、ノーチラスはどんな表情をしているのだろうか。

怒りに満ちた表情、悲しみに満ちた表情、呆れた表情。

考えれば考える程想像は溢れてくる。

 

「そっか、そうだよね」

 

その言葉をあまりにも安堵に満ちた声で言うものだから、思わずノーチラスの顔に視線を移してしまった。

彼の顔は、俺の想像とはかけ離れていて、目に涙を浮かべながら、優しく微笑んでいた。

 

「ノーチラス…?」

「どうしたの?」

「何で、何でそんな笑みを浮かべているんだ?俺はお前に殴られても、仕方がない事をしたんだぞ…?それなのに、何で」

 

ノーチラスは驚いた様に目を見開いてから、「何でって、僕達は“親友”じゃないか」と、微笑みながら言った。

俺はノーチラスに背を向けて、短く息を吐く。

息が苦しくなり、何かがこみ上げてくる。

ノーチラスは俺の背を摩りながら、「今まで辛い思いをさせてごめん」と言った。

 

「…俺の方こそ、悪かった。お前を裏切って、勝手に居なくなって、お前を心配させて、本当にすまなかった…!!」

 

声が震えて、上手く言葉を紡げない。

温かいものが俺の頬を伝う。

それを掌で拭いとるが、止めどなく溢れてくる。

声を押し殺しながら、肩を震わせる。

 

「…声を出しても大丈夫だよ。ここには僕と君しかいない」

 

ノーチラスはそう言っていたが、俺は声を押し殺した。

ノーチラスに弱いところを見せるわけにはいかない。

俺はノーチラスやユナを守るのだから、常に強くあらねばならない。

 

「…もう、大丈夫だ」

 

それを聞くと、ノーチラスは俺の背中から手を放した。

最後の一粒を拭い取り、顔をノーチラスの方に向ける。

 

「そう言えば、ユナは何処にいるんだ?」

「ユナは、君には会いたくないらしくて…」

「そうか。幼馴染を殴ってしまったのだから、仕方ないな」

「で、でも、新だって謝っているんだし…」

 

ノーチラスは顔を俯かせた。

どうやら、俺とユナの仲を直したいようだ。

俺は彼の肩に手を置き、「何も無理にユナを連れて来なくても良い。ゆっくりと、罪を償っていく」と言ってベッドから立ち上がる。

 

「…なら、僕だって手伝うよ。友達が喧嘩したままって言うのは僕だって気まずい」

 

ノーチラスは立ち上がって、俺の目を見つめてそう言った。

 

「…ああ、分かった。お前が居れば…多少は楽になるかもな」

 

俺は扉を開けて、振り返って言った。

そして、扉を閉めた途端、廊下の壁に寄り掛かるようにして、俺たちの部屋の前に腕を組んで立っていたアスナと目が合った。

 

「…何処に行くつもり?」

「待っていたのか」

「良いから質問に答えなさい」

 

アスナは俺の事をキッと睨みつける。

 

「…何処にも行かない。アイツには散々迷惑を掛けてしまったしな」

 

俺は苦笑いを浮かべ、アスナを見つめる。アスナは驚いた様な顔をして、「そ、そう。なら良いわ」と言った。

 

「…何だ。俺の顔が何か可笑しかったのか?」

「いいえ。ただ、貴方が笑っているところなんて久しぶりに見たものだから…」

「俺だって人間だ。それくらいのことはする」

 

不機嫌そうに言ってしまった気まずさからアスナから視線を逸らす。

アスナは少し萎縮した様子で、腕を組むのを辞めて、下ろした左腕の肘に右手を置いて、俺から視線を逸らした。

 

「…アスナ。少しレベリングに行っても良いか?」

 

気まずさを断ち切るために、俺はアスナを連れて外に出ようとする。

アスナは自分を付き添わせることを条件にレベリングを許可してくれた。

 

雨が降る、湿っぽい空気の平原に出ると、アスナは何を思ったのか、「此処って人気が無くて不気味ね。貴方がレベリングに使うのも納得できるわ」と言った。

俺はその言葉に違和感を覚え、辺りを見回す。

確かにあまり人目に付かない場所を狩場としていたが、ここまで人気が無い所は初めてだ。

何か嫌な予感がして、アスナに周囲を警戒するように伝え、数歩進む。

すると、アスナと俺を包むように周囲に霧が立ち込む。

直ぐに霧は晴れたが、そこは先程の平原では無く、何もかもが血の様に赤く染まった平原だった。

その平原の中央には黒い棺が浮かんでいた。

 

「…ねぇ、AL。さっきまで私達、普通の平原のフィールドにいたわよね」

「ああ。…安心しろ。このような事は慣れている」

「慣れているって事は何回かこの現象に出会っているという事よね?何とかして脱出する方法は無いの?」

「あの中央に浮かんでいる棺の中にいるボスを倒すだけだ。それ以外には何もない」

 

俺は棺を指さして言った。

アスナは具合が悪いのか、何故か顔色が少し悪くなっていた。

 

「…と言うより、他の方法を探している暇がない。そんな事をしている内に殺されてしまう」

「そう。なら仕方ないわね」

 

そうは言っているものの、アスナの足は微弱ながらも小刻みに震えていた。

 

「…アスナ、大丈夫か?足が震えているが…」

「大丈夫よ。ただ、このフィールドに移されてから何か寒気がするの」

「そうか。無理はするなよ」

「ええ」

 

俺は棺に近づき、その黒光りしている身体に触れる。

すると、棺は軋むような音を立ててゆっくりと開き始めた。

その棺が完全に開ききると、その中から、赤いドレスを纏った美しい女性がドレスの裾を両手で持ち上げて、ゆっくりと赤いフィールドに着地した。

俺は後ろに飛び退き、そのボスの様子を観察する。

しかし、そのボスの背後にHPバーと名前が現れる事は無かった。

ボスは何かを探しているように周囲を見回す。

そして、背後にいるアスナの事を見つけると、興奮した様に目を見開いた。

 

「良い女の子が居るじゃない!!ねぇ貴女、いくつなの?」

 

アスナは驚いた様子で、言葉に詰まりながら「えっと、一六歳、です」と言った。

すると、そのボスは更に興奮した様に飛び跳ねた。

 

「ねぇ貴女!!少し協力してほしい事があるのだけれど、良いかしら?」

「そ、その…」

 

アスナは言葉に詰まりながら、助けを求めるように俺の方に視線を移した。

俺はそのボスの様子を見て、何か違和感を感じていた。

ボスのHPバーや名前が出て来ないのもそうだが、何よりも、俺たちに敵意が無いという事だ。

…もしかしたら、これはボスではないのかもしれない。

そんなゼロに近い可能性の事象が脳裏を過る。

明らかにこいつはボスだ。しかし、何故俺たちに敵意を向けない?

疑問は沢山あるが、取り敢えず、今はこのボスの出方を伺うべきだ。

アスナにメッセージでこのボスに協力をする事を指示する。

 

「わ、分かりました。それで、一体何をすれば…?」

「この機械の中に入ってくれればそれでいいわ」

 

ボスはフィンガースナップをして、人一人が入るぐらいの大きさの人型の鋼鉄の機械をフィールドに召喚した。

その機械からは鉄の匂いがしており、俺は何か嫌な予感を感じながら、ボスの行動に意識を集中させる。

 

「分かりました」

 

アスナはその機械の前まで歩き、閉じているその機械を開けた。

その瞬間、ボスがアスナの背中を押そうと右腕を伸ばした。

俺は直ぐに握り拳に赤いライトエフェクトを纏わせ、地を蹴ってボスの右肘目掛けて拳を叩き落とす。

骨が皮膚を突き破り、ボスは大きな悲鳴を上げた。

俺はアスナの腕を掴み、ボスと距離を置いた。

 

「…おい、そこの男。よくもまあ私の狩りの邪魔をしてくれたわね」

「お前の狩りなんてものは俺にとってはどうでも良い事だ。そんなことに俺の友人を巻き込むな」

 

ボスは顔を真っ赤にしながら怒りに満ちた表情で、俺の事を睨みつけた。

 

「そんなこと…?アンタみたいな愚者に何が分かるのよ!!」

 

そう言いながら、腰の鞘からダガーを取り出し、こちらに突進を仕掛けて来た。

 

「…行くぞ、アスナ」

「ええ!」

 

 

シノンとかリーファとかのIFに出て来るキャラは登場した方がいい?

  • もちのろんじゃろ、このボケナスがぁ!!
  • え?別にええわ
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