ソードアート・オンライン ~たった一人の為の英雄~   作:まっちゃんのポテトMサイズ

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第18話 美の為に

ボスはダガーの刃先を俺に向けながら胸部目掛けて突っ込んでくる。

俺は腰を落として、エクスカリバーを横にして、それに手を添えてその攻撃を防ぐ。

ダガーの刃先がエクスカリバーの平の部分と勢いよく衝突し、金切り音が鳴り響き、火花が飛び散る。

俺はダガーを弾き、ボスの腹部を左足で突き放すように蹴る。

ボスは数メートル吹き飛び、腹部を右手で押さえながら血を吐いて、俺を睨みつけた。

 

「アイアンメイデン、今よ!!」

 

背後で鉄が軋む音が鳴り、俺は振り返る。

すると、そこには無数の針を内蔵した全面が開いた女の人型の人形があった。

 

「…呆気ないな。所詮は只の吸血鬼だったか」

 

俺はエクスカリバーを振りかぶり、内蔵された針を一撃で全て叩き折る。

 

「なっ…!?」

「血が大量に付着し、錆びて脆くなっていたんだろう。…それだけ少女を殺してきたんだな。エリザベート・バートリー」

「…っ!?な、何で私の名前を…」

「あのアイアンメイデンを見ればわかる。それに、お前は吸血鬼を表す棺桶から出てきた。…あの拷問器具と吸血鬼。これらに関連するものと言えばかの有名なエリザベート・バートリーしかいないだろう」

「…そう。私は吸血鬼だと言われているのね」

 

エリザベート・バートリーは少し残念そうな顔をして溜息を吐いた。

 

「…ああ。当然の結果だ。処女の生き血を浴びれば若さが保てると勝手に思い込み、大量に少女を虐殺した自分勝手な女の事など、真面な物で言い伝えられないだろう」

「人間なんて皆利己主義でしょう。私は別に悪くないわ。欲望に忠実になっただけだもの」

 

眉間に皺を寄せて怒気を孕んだ声で吐き捨てるように言った。

 

「それを悪だと言っているんだ。自身の為だけに他人の人生を踏みにじるその行為こそが悪だと言っている」

「…その欲望がどれだけ重要な事か、貴方には分からないわよ」

「ああ。理解したいとも思わない。他人の欲望の重さなど心底どうでも良い」

「ふざけるな!!」

 

エリザベート・バートリ-はダガーを左手で強く握りしめ、その刃先を向けながら俺に突っ込んできた。

俺は弓を構え、エリザベート・バートリーの両肩に矢を放つ。

勢いよく飛んだそれは突き刺さった後に光を放ち、爆発した。

エリザベート・バートリーは地面を転がりながら数メートル吹き飛んだ。

彼女の両腕は捥げ、彼女の傍に二本ともダガーと共に肉がつぶれる音をたてて落ちる。

彼女の傷口からは大量の血が流れ出していた。

アスナは彼女のそんな姿に目を向けられず、顔を背けていた。

ふと、エリザベート・バートリーの頭上にあるHPバーに目を遣ると、それは既に全損していた。

エリザベート・バートリーはそれでも立ち上がり、傍に転がっているダガーを口に咥え、ふらつきながら俺の元にゆっくりと近づいてきた。

軈て、俺の目の前に来ると、ダガーを落とし、俺を見上げて口を開いた。

 

「…私は間違っていたのかしら?美しくありたかったというだけのちっぽけな誰でも抱く願いを叶えることすら間違っていると言われるの?」

 

俺は何も言わず、エクスカリバーを振り上げた。

その時、アスナが俺の手を掴んだ。

 

「…その剣を降ろして」

「何故だ」

「少し、話したいの」

 

アスナは手の力を強めながらそう言った。

俺は渋々エクスカリバーを下ろす。

 

「ありがとう」

 

そう言ってアスナはエリザベート・バートリーと向かい合った。

 

「…エリザベート・バートリーさん」

「何?どうしたの?」

 

エリザベート・バートリーは苦痛を押し殺し、無理矢理笑みを浮かべた。

 

「私は貴女の願いを理解できます。…その願いを叶えようとする事も理解できます。決して間違っていた訳ではありません」

「…私は正しかったのね」

 

エリザベート・バートリーは安堵した表情を見せた。

 

「でも、だからと言って虐殺をしていい事にはなりません。少女の生き血を浴びて若さを保てるというのは只の迷信です」

 

その一言で表情は一転し、怒りに満ちた表情になると、顔を伏せ、口を開いた。

 

「…そんなの、分かってたわよ。だって私は結局老けていったもの!!」

 

そう言って狂ったように大声で笑った。

一頻り笑い終わると、突然溜息を吐いて、顔を曇らせた。

 

「願いを抱く事も、願いを叶えようとする事も、貴方達の言う通り間違って何ていなくて、正しかった。それらの事をして只自分を正当化しようとしていただけだった。…何だか、全部が馬鹿らしくなってきたわ」

 

そう言って弱々しく微笑んだ。

 

「私を殺して頂戴。…もう、何もかも疲れたわ。…これ以上生きてると可笑しくなってしまいそうになるわ。あの時の様に苦しませないで頂戴」

 

エリザベート・バートリーはそのまま目を閉じて俯いた。

俺はアスナに視線を飛ばす。

アスナは苦虫を嚙み潰したような顔でゆっくりと頷いた。

俺はエクスカリバーでエリザベート・バートリーの胸を突き刺した。

 

「…ありがとう」

「礼を言われるようなことではない。…それを言うなら彼女に言え」

 

そう言いながら、エクスカリバーを引き抜く。

エリザベート・バートリーは閉じた口の端から血を零し、千鳥足でアスナの目の前に立つと、彼女の右の頬に手を添えた。

 

「見れば見る程綺麗ね。…貴女は私とは違って正しいのだから、もっと美を追い求めなさい。まだまだ美しくなれるわ。…それと、私のように何処かで道を踏み外さないように、迷信を信じない様に祈ってるわ」

「…はい」

 

エリザベート・バートリーはアスナが頷いたのを確認すると、力が抜けたように倒れた。

そして、ドサリという音と同時に青い破片となって空に散っていき、周囲の風景も次第に色褪せていった。

 

「これで良かったのかしら」

 

アスナは溜息交じりにそう言った。

 

「ああ。少なからず、何もせずに殺すよりかは良かったと思うぞ」

 

俺はエクスカリバーを鞘にしまい、フィールドの出口の方に歩を進める。

アスナもそれに釣られるように白銀のレイピアを鞘にしまって早足で俺の横に追いつく。

 

シノンとかリーファとかのIFに出て来るキャラは登場した方がいい?

  • もちのろんじゃろ、このボケナスがぁ!!
  • え?別にええわ
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