…というわけで、作者の文才が無い分、読者様の妄想を膨らませてお楽しみください。
部屋に戻るとすぐに料理が運ばれてきた。彼は「そうだよこれこれ!」とテンションが上がっていた。花より団子か。
仲居さんから料理の説明を聞いたあと、二人で手を合わせる。
「「いただきます。」」
旅館の料理はとても美味しかった。彼もとてもご満悦な表情で料理に舌鼓を打っていた。
いつも家で一人でする食事は味気なかった。おばあちゃんが入院してからはずっとそう。こんな生活が続くのかと絶望しかけていた時、急に彼は東京に帰って来た。時間が合う時だけ食事をするようになった。今日も何回も一緒に食べた食事の1ページ。
旅館の食事だからかもしれないけれど、彼と囲む食事は心がちょっとあったかくなる、そんな気がした。
料理を食べ終わり、テレビを見ながらくつろいでいると。彼はふと思いだした様に、
「そういや部屋に露天風呂あるんだっけか、ちょっと入ってみるか。絶対入ってくるなよ。絶対だぞ。」
芸人のフリみたいな言葉を残して、彼は隣の露天風呂に行った。
私はこの時いたずらを思いついた子供みたいな顔をしていたと思う。
音を立てずに浴衣を脱ぎ、彼のいる露天風呂に侵入?する。
彼は「良い眺め。良きかな良きかな」と、海の景色を見ながらつぶやいていた。
音を立てずに彼の後ろに回り込み、目を塞いだ。
「だーれだ?」
「…一ノ瀬。マジで?」
「……マジよ。」
「クセになってんだ、音消して歩くの。って言ってもらって良い?」
「嫌よ。っていうかごまかさないでよ。」
「…俺、もう上がっても良い?」
「駄目。アンタを困らせてやろうって思ったんだから付き合ってよ。」
「えぇ…」
「入るわよ。」
彼に背を向けて浴槽に入る。そこまで大きくないので彼に抱きつかれる形になる。
「やっぱ俺上がって良いっすかn「駄目」アッハイ…」
静寂が流れる。私は慎重に言葉を紡ぐ。
「…どうしてあの時、私の前からいなくなったの?」
「…俺としては言いたくない。俺の身勝手な我儘だ。あの時の俺自身の選択は全く後悔していないし、今後も後悔するつもりもない。」
「…そっか。…いつか私に言ってくれる可能性は?」
「…分からないな。」
「…そう。」
私は浴槽から上がって部屋に戻る。去り際に彼は「そりゃ問い詰められるよな」、とひとり呟いていた。
彼には彼なりの覚悟があってあの選択をしたんだと思ってる。彼は身勝手な我儘と言っていたけど、多分私の事をきちんと考えて。その選択の理由は彼しか知らないし、彼の口から聞かないといけない。どうしたら彼から本音を聞くことができるのか思いつかないまま、私は短く息を吐いた。
温泉のシーンを書くためだけに、このエピソードを書いた。後悔も反省もしていない。
あともっと後で書く予定の話をここで書いてしまった。後悔はしているがキャラが勝手に暴走した。致命的な矛盾出してたら内容変更するかもしれません…
これから少しずつですが、二人の過去、彼がいなくなった理由が明らかになっていきます。マグロ、ご期待ください。渡哲也さんのご冥福をお祈りします。
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