一ノ瀬ちづるに幼馴染がいたら   作:さっきのピラニア

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本日も、駄文ですがお楽しみください。


2018年4月19日 誕生日と飲酒

--4月某日

 

 

「なぁ水原、木曜日の夜空いてるか?」

 

「空いてるけど…何か用?」

 

「お前の誕生日じゃねぇか…。この前自分で言ってたじゃねぇかよ…忘れん坊さんかよお前…。」

 

「…そうだったわね。忘れてたわ。」

 

「若いのに寂しい誕生日だねぇ。何か欲しいものある?無いならこの前言ってた登山靴とお酒になっちゃうけど。」

 

「誕生日プレゼントにしてはお洒落じゃないわね…。…良いわそれで。山にも連れてってくれるんでしょ?」

 

「時間が合えばな。んじゃ、当日の夕方に駅で待ち合わせな。」

 

「うん。」

 

 

--当日の夕方

 

 

「すまんな待たせて。んじゃ行くか。」

 

そう言って私たちはアウトドアショップに向かう。

 

「ん~久しぶりに来たな。時間も無いし、靴の所行くか。」

 

「登山靴って結構高いのね…。」

 

「まぁそこそこするねぇ。雪山登山はしないだろうしライトトレッキング用のやつが良いかな。重くないから疲れにくいし。」

 

「男性用はザ・登山靴って感じだけど、女性用はそうじゃないのね。」

 

「一時期登山女子も流行ってたし。その層を取り込むためにデザインも意識してるのかねぇ。知らんけど。ま、デザインが好みのやつで選んで試し履きしてみ。サイズが合わないのが一番マズイからな。」

 

彼は店員さんを呼んで私の足のサイズを測ってもらう。サイズの合う在庫のある靴を出してもらい。その中から私は一番登山機能性のある物を選んだ。

 

「一番無骨なやつを選んだねぇ。もーちょいお洒落なやつもあったろうに。」

 

「機能が一番付いている靴を選ばせてもらったわ。登ってる時ケガしたくないもの。」

 

「現実的なこって。あと靴下も選ぶか。絶対厚手のやつな。」

 

「暑くない?」

 

「靴の中で足が動くと疲れやすいのよねぇ。そこは我慢してくれ。」

 

「分かったわ。」

 

靴と靴下を選び、会計をする。

 

「なんか高いもの買わせちゃって悪いわね。」

 

「誕生日だし良いって事よ。それより登山に出かける方が億劫だわ。体力付けとかんとなぁ。」

 

「何それ、ちゃんと付き合ってよね。」

 

「へいへい。」

 

アウトドアショップを出て、酒屋に向かう。初めて入るけどスーパーとは比較にならない品ぞろえね。

 

「さて何買いましょうかねぇ。最初だと缶チューハイ辺りが妥当だと思うけど。何か飲みたいものとかある?」

 

「それで良いわよ。あとアンタがいつも飲んでるやつ。」

 

「あれをいきなり飲むのはなぁ。ハイボールにすればいっか。」

 

そう言って彼と店の中を回る。彼はチューハイ、ビール、日本酒と種類の違うお酒を適当にカゴに放り込んでいく。あ、おつまみも入れてる。

 

「入れすぎじゃない?そんなに飲めないわよ。」

 

「また後日に飲めば良いさ。よし、買ったし帰るか。どうする?家で飲むか?」

 

「そうね。」

 

 

そう言って私たちは帰路についた。

 

「んじゃ。誕生日と成人おめでとう。乾杯。」

 

「ん、乾杯。」

 

私たちはグラスを合わせる。私は缶チューハイ。彼はビールを選んだ。

 

「どうよ、大人の味は?」

 

「甘くて普通のジュースみたいね。これならどんどん飲めるわね。」

 

「飲みすぎるなよ。一応お酒だからな。」

 

「分かってるわよ。アンタのやつも頂戴。」

 

「ビールは口に合わないと思うぞ。まぁ良いけど。」

 

彼からグラスを受け取って一口飲む。

 

「…苦いわね…。」

 

「これが大人の味ってやつですよ、お嬢さん。」

 

「…なんかムカつく。」

 

そう言って彼は私から取り上げ残りを飲み干す。クルミを口に放り込んで彼はキッチンへ行き。新しいお酒を持ってきた。

 

「何持ってきたの?」

 

「ハイボールよ。ウィスキーと炭酸を合わせたやつ。」

 

彼は氷入りのグラスを渡してくる。以前飲んだウイスキー特有の風味と炭酸が口に広がるけど、この前よりは飲みやすいと感じた。

 

「ビールよりこっちの方が好き。」

 

「そうですかい。日本酒とかワインも買ってきたけどまた後日だな。他のは大学で友達と飲みなさいな。一応忠告しておくが、カルーアミルクとカシスオレンジには気をつけな。」

 

「…忠告ありがと。一応警戒はしておくわ。」

 

「ま、一ノ瀬はそこんとこしっかりしてるからお節介かもしれんな。」

 

「……フン。」

 

「どうしてそこで機嫌悪くなる?俺何もしてないだろうが。」

 

「…自分で考えなさい。鈍感。」

 

「えぇ…他のお酒も飲みたかったとかか…女心は良く分からん…」

 

 

彼には暫く悩み続けてもらおう。といっても私から聞かないのが悪いのかもしれないけれど。

私は自分のチューハイを飲み干す。私にはお酒の良さはよく分からなかった。まだまだ子供って事なんだろうか?彼は早々にハイボールを飲み干し。いつものウィスキーを飲んでいた。

 

 

「…ねぇ。アンタのと同じやつ頂戴。」

 

「はいはい。この前みたいに飲むなよ。あれは勘弁してもらいたい。」

 

そう言って彼は私にグラスを手渡す。彼の半分しか入れてくれなかったけど。

このお酒の量が私と彼との違いなんだろうか?手を伸ばせばすぐ届きそうな距離。

半口だけ飲んで長く息を吐く。…すごく強いお酒だ。私には彼の半分でも少し多いのかもしれない。今日がまた終わっていく。

 

私は今日で20歳になった。もうお酒も煙草も大丈夫な歳になった。数年前に成人した彼とはあまり年が離れている気はしないけれど、たまに凄く遠くに行ってしまっているように感じてしまう。

それは彼が社会人だからか分からないけれど、彼と同じお酒を飲んでいると、ほんのちょっぴりは近づけたんじゃないかと私は思っている。それは気のせいかもしれないし幻想かもしれない。でも気の持ちよう何だと私は思う。酔いの回った身体に熱を感じながら、少しだけ彼との物理的距離を詰めた。彼は嫌そうな顔をしていたけど。

 




どうしてこの二人付き合ってないんだろう(2度目の疑問)

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