私は自分の部屋にいた。
ホットミルクを飲みながら佇む。落ち着くけど何か物足りない気がする。彼の作ったカプチーノが恋しい。彼の家に行って勝手に作ってしまおうか。あれがないと生きられない身体になってしまった。
私は彼からクリスマスに貰ったぬいぐるみを抱きしめる。ぬいぐるみには彼から半ば強引に奪い取ったTシャツを着せている。すんすん。彼の匂いがする。懐かしくもあり、今もあり、とても安心する匂いだった。
彼はおばあちゃんに会うのが気まずいと言っていた。会わせる顔が無いと。どうしてそんな事言ったんだろうか?彼は進路を自分で決めて進学しただけ。私には彼の考えが分からなかった。おばあちゃんだけが知っている彼の姿もあるのだろう。ここで考えても仕方がないことなのかもしれない。
スマホを取り出して、とある女性アーティストの曲をかける。
彼が居なくなってから聞くようになった曲だった。
『本当はね泣いてた 涙はもう流れない 枯れてしまったの?
なにもかも許せたら流れるかもしれないけど 守りたいものばかりだな』
…涙は心の隙間を悲しみを埋めてしまう。
泣いてしまえばアイツとの記憶が薄れてしまうような気がするから、私は泣かなかった。
…流石におじいちゃんが死んじゃった時は泣いてしまったけれど。
『今すべてが戻るなら繋いでたんだろうな
悔やんでももう戻らない 会いたいよ 』
…私があの時彼を繋ぎ止めることができたら、彼は離れなかったんだろうか。彼のいなかった4年間はもう戻らない。あの時勇気を出していれば彼との仲はもっと進展していたのだろうか。
『サヨナラするたびに消えてしまった色は そう遠くない場所でぼくを待っていた
きみに出会うまで忘れたふりをして 誰にも言えずに隠してきたものが
胸の奥で軋んで泣いた ココニイルヨ 』
…一度彼とは離れてしまった。でもまた会えた。今まで言えなかったこの感情は、いつか彼に伝える事ができるんだろうか?
『何回だって間違えるけど終わりはしないなら 笑ってたいな』
…私はあの時選択を間違ってしまったのかもしれない。今も間違っているのかもしれない。でも、この関係はまだ終わっていない。この関係から一歩踏み出して。彼と一緒に過ごしたい、笑い合いたい。そう想う気持ちは彼と過ごして一層強くなった。
彼女の歌が好きだ。小学生の頃を思い出すから。
彼女の歌が好きだ。アイツとの楽しかった日々を思い出すから。
彼女の歌が好きだ。…私には助けてくれと歌ってるように聞こえるから。
彼に会いたい。彼の事をもっと知りたい。彼の心に寄り添ってあげたい。
飲み物で身体は暖かかったけれど、心はとても冷たく寂しかった。
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