一ノ瀬ちづるに幼馴染がいたら   作:さっきのピラニア

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本日も駄文ですがお楽しみください。


2018年6月某日 クラウドファンディング

--透の家

 

 

「おばあちゃんの具合はどうだ?」

 

彼はそう言って私の前にグラスを置く。いつものカプチーノ。

 

「…かなり悪いみたい。」

 

「近々お見舞い行きますかねぇ。おばあちゃんも喜んで迎えてくれるし。」

 

「…そうね。お願い。」

 

「今日は一緒に行こうって言わないのな。どうした?なんかあったか?」

 

私は飲み物で口を湿らせてから答える。

 

「…今回も駄目だった。…オーディション。」

 

おばあちゃんの病名を聞いた時から分かってた。

映画なんてそんな簡単に出られるもんじゃない。

おばあちゃんに私が映画に出ている姿を見せるのは、たぶん間に合わない。

だからこそ、後悔しないようにやってきた。おばあちゃんの最期に1ミリの未練を残さないように。

でも今回も駄目だった。

おじいちゃんは昔、夢は願えば、想えば必ず叶うと言っていた。

どれだけ願っても叶わないことがあるって知っている。おじいちゃんが死んじゃった時もそう。その時は本気だったのかもしれないけど、無責任じゃなかったのかもしれないけど、夢は叶うなんて言葉は言って欲しくなかった。

 

 

「私はどうしたら良いと思う?これ以上何をしたら、おばあちゃんの最期に後悔しないんだと思う?」

 

「…今のままで良いんじゃないのか?あと今のお前に何ができる?無いんだったらこのままでいい。このまま頑張り続けている事実だけで良いんじゃないのか?」

 

「…それでも私は後で考えてしまうと思うの。もっと何か出来たんじゃないかって。おばあちゃんを満足させる結果を見せてあげられたんじゃないかって。」

 

「…それじゃあ今、誰かに頼る必要があるんじゃないか?…俺は大した事はできないが、頼りになる人はいるだろう?…頼りになる人が現れた時にその人に頼れば良いさ。」

 

「…うん…。分かった…ありがと。」

 

彼の言葉は正しかった。ただ、正しかったからこそ、現状を何も変えられない自分が、とても歯がゆかった。

 

彼の家で少し過ごした後のち、私は家に帰った。すると家の前に木ノ下和也にいた。ずっと待っていたらしい。私にパソコンの画面を見せてきた。クラウドファンディングというものが資金を集めることができれば、個人でも映画を作ることができるらしい。私が銀幕に立っている姿を。彼は言ってくれた俺が金を集めるから映画に出ろと。男はバカで嘘つきで、突拍子の無い事をいう人ばかりだけど、現状を打開する唯一の方法が見つかった。彼はやってみせると言ってくれた。なら彼に賭けよう。おばあちゃんに私の映画を見せてあげるという一つの夢を叶えることができるかもしれない。

 

私はあの時どんな顔をしていたのだろう?期待?嬉しさ?彼はキツそうならお隣さんにでも相談してくれと言ってくれた。彼は相談以上の事をやってくれようとしている。彼の顔を見てくれている限り本気なのだろう?どうしてここまでしてくれるのだろうか?好意?同情?私の夢が叶うのが見たい?おばあちゃんの事?いろいろあると思うけど、もし、この夢が叶ったら彼には頭が上がらないような気がする。

 

 

--後日

 

 

「…ほほう、和也がクラウドファンディングねぇ。ずいぶん大胆な行動に出たもんだ。彼もすげぇ勇気のある事をするねぇ。」

 

「…彼にはとても感謝しているわ。彼は私の夢もおばあちゃんの事も知ってる。彼以上にこのクラウドファンディングを任せられる人はいないと思うもの。」

 

「そうだねぇ、彼は適任だと思う。俺も出来る範囲で協力させてもらうよ。後でURL教えてくれ。」

 

「うん。」

 

手詰まりだった私の一つの夢への現状に一筋の光が差した。人に頼ることで。多くはない人との繋がりを手繰り寄せて。私の事を見てくれている人はいる。彼の言う通りチャンスは巡って来た。後はそれを掴むだけ。まだその道は遠くて険しそうだったけど、それを掴むために、より一層努力をしたいかないとなと気を引き締めた。

今日も一日が終わる。昨日とは違う一日が。積み重ねた今までの日々が少しずつ報われていく。夢へと向かっていく。

 




最近執筆用に無線キーボードを買おうか悩み中です。
とりあえず安いやつにするかHHKBのめっさいいやつにするか…悩みます…

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