-ある日
「この前、お互い制服を着て出かけるって話、覚えてる?」
「…あ~そんな話したなぁ。あれマジでやるの?」
「マジよ。せっかくお互い制服持ってるんだしやってみたいじゃない。」
「お前は偶にバイトで着てるじゃねぇか…」
これは完全に私の我儘だ。彼と私は高校が被った時期は無い。けど、彼は私が高校生だった私のことは知らない。私は私が欲しかった過去を作るために行動させてもらおうと思う。
--当日
今日は少し遠くのショッピングモールに行く。彼曰く、ご近所に制服姿見られるのは色々と誤解を生むから勘弁してほしいらしい。
「この格好普通に恥ずいな。この格好でレンタル彼女してるの尊敬するわ。」
「そう?…アンタはぎりぎり高校生に見えなくはないってぐらいね。」
「まぁ完全に社会人だしな。同じ高校の生徒に出会わないことを祈ろう。」
適当にウィンドウショッピングしたあと、お店でご飯を食べる。食べ終わってモール内を回っているとトラブル?が起きた。
「あ。」
「え?」
「ん~?」
七海麻実がいた。電車でばったり会った以来見ていなかったけど。この状況はあまり良くないかもしれない。
「麻実さん…。」
「あ!千鶴さん久しぶり~。」
「あ、えっと、お久しぶりです。」
「隣にいるのはレンタル彼女のバイト?それとも彼氏?」
「…い、いえ。」
彼に目配せをする。これ以上私から説明しても説得力が無いので彼に任せたい。彼もそれを察した様で、少し微妙な顔をしながら話し始めてくれた。
「…この状況めっちゃ恥ずいな。…どうも、市倉透です。よろしく、七海さん?で、合ってるかな?立場的に言うと彼女とは幼馴染って所かな。」
「よろしくお願いします。透さん。あと~私の事は七海って呼んでもらって構わないですよ。」
彼に対しては彼女は猫かぶりモードの様だ。
「それじゃぁそうさせてもらいますかね、七海さん。」
「それでぇ、二人って本当に幼馴染って関係だけなんですか?レンタル彼女じゃないとすると、普通に制服デートに見えるんですけど。」
「それは話すと面倒臭くならないから聞かないでくれると助かる。」
「そうですかぁ、残念。こんな所で立ち話もなんですから、そこのカフェでお話しませんか?千鶴さんの最近の事も聞きたいし。…どうです?」
彼が私にどうするか?と目配せしてくる。私としてはあまり話したくはないのだけども、断り辛い雰囲気なのでこのまま流れに任せてカフェに入ることにした。せっかくのデートが台無しだ。
注文を取って話を始める。
「で、二人って何で今日一緒に出かけてたんですか?」
「いつもの外出だよ。制服のコスプレ姿はあるけどな。七海さんは何でここに?」
「私はウィンドウショッピングです。バックとか化粧品の新作チェックです。」
「女子はそんな事してるのねぇ。大変そう。」
「思ったより楽しいですよ。今度一緒に行きます?」
「いーや遠慮しておくよ。完全に動く置物になりそうだし。」
「動く置物って表現独特で面白いですね。」
二人は普通に雑談していた。彼女が思ったより彼と打ち解けて話せているのが納得がいかないけど、しばらく雑談していると飲み物が運ばれてきて雑談は続く。私はなかなか会話に混ざれないでいた。
「ちょっと聞きづらいこと聞くんだけど、和也の元カノで合ってる?」
「合ってますよ。それが何か?もしかして千鶴さんから話を聞いていたりします?」
「まぁちょっとだけね。二人の関係って今どんな感じなのかなって気になってね。」
「ふーん。彼との昔話とか興味あったりします?」
「興味はあるけど聞かなくて良いかな。彼恋愛関係だと変な暴走してそうだし。」
「そうなんですよ!今も何か新しい彼女がいるみたいなんですけど、千鶴さんとも良さそうな関係なんで気になっているんですよね。」
そう言って彼女は私に目配せしてくる。流石に話さないわけにはいかなそうだ。
「彼とはレンカノの関係もあるけど、普通にただのお隣さんですよ。それ以上の事はないです。」
「そうなんだぁ。でも、お隣さんってことは家に上がったりすることもあったりなかったり?」
彼女は探りを入れてくる。もしかすると、この前の事を疑っているのかもしれない。
「そんな事はないですよ。彼も男ですから、家に入ると何が起きるか分からないですし。麻実さんは最近彼と会ってますか?」
私は嘘をついた。映画の件もあり、彼の家には頻繁に行っている。ただこのことを彼女には知られたくなかった。
「学校で見かけるくらいかな~でも最近彼何だか忙しそうなんだよね。何してるんだろ?透さんは何か知ってます?」
おそらく、映画の件でいろいろとやってくれているんだろう。
「…多少は知ってるけど、俺は部外者だからそういう話は本人から聞いた方が良いんじゃないかな。まぁ元カノだから話づらい所もあるんだろうけどさ。」
「そんな事無いですよっ。学校でも和くんとは時々話はしていますし。…私が彼と別れた事後悔して話しかけている様に見えます?」
「うーんその現場見てないから何とも言えんけど、微妙な距離感だわな。ま、麻実さんも過去はそんなに振り返らずに良い人を探しなさいな。あと、和也周りひっかきまわさないでもらえると助かるかな。結構話しちゃったしそろそろ終わりにしようか。」
そう言って彼は席を立って、私たちも席を立って今日は別れた。彼女と透が連絡先を交換していたのは気に入らなかったけど、普通はそんなもんか。
「すまんな、付き合わせて。話づらかったろ。」
「まぁそうだけど。偶然会ったんだし仕方ないんじゃない?出かけようって言ったのも私だし。」
「さいですか。俺らも帰りますかねぇ、時間も頃合いだし。」
「スーパー寄るから付き合ってよね。何か食べたいものある?」
「へいへい。んじゃぁオムライスでよろしく。あとアイスも食べたいかな。最近暑くなってきたし。」
私たちも帰路へ着く。彼との日常がまた一つ積み重なっていく。私は今できる事を全力でやるだけ。おばあちゃんの事も、女優の事も、彼との関係も。
ただ、進んでいるようで進んでいない彼との関係への打開策だけは見いだせない。この停滞に甘えていてはいけないのは分かってる。私が出来ることは少ない。進めようとした関係も、彼には軽くあしらわれてしまった。じゃあどうして彼はここにいる?仕事の関係?それとも私の為?彼の意図は掴めない。でもこの答えは私が見つけないといけない。戻って来た彼、女優の夢に向かう私、彼の他の人との関係。彼も人だ。少しつづだが変わって行く。その変化を見逃してはいけないんだと思う。その変化に私が気付くことができれば、彼との関係は変えられる…はず。もしくは私が彼との関係を変えられる一手を打てるかどうか。色仕掛けはたぶん通用しない。容姿は良い方…だと思う。でも彼は靡いてくれない。彼を変える一手を私が打てば彼は変わってくれるんだろうか。
--七海視点
今日はモールでウィンドウショッピングしていると、水原千鶴と知らない男に遭遇した。お互い制服姿だったのでレンタル彼女の最中かと思ったが違った。幼馴染らしい。彼の趣味?彼はそこまで乗り気そうじゃなかったから彼女の趣味?考えても仕方がない。
流れでカフェで二人と話すことになった。彼と話している時、彼女はあまり居心地が良さそうじゃなかった。偶に彼のことも睨んでいた気がするし。彼の印象は普通。至って普通。
ただ、和くんと水原千鶴と両方の関係を知っている彼の存在は面白い。
彼は言っていた。和くん周りをひっかき回さないでほしいと。彼は彼女から私の事も知っている様子だった。これは私に対する牽制なんだと思う。普通を装っておいて何となく私の本性に気付いていそうな気もする。そんな素振りは見せてこなかったけど。
彼に少し興味が沸いた。連絡先も交換したし。また会って話をしてみるのも面白いかもしれない。
リクエストがあったので、麻実との一幕を書いてみました。お楽しみ頂けていると良いんですが…
制服回と合わせると文字数足りないなぁ…と思って合体させてしまいましたが、普通に文字数3000字行ったので書き終わった後、あれ…結構文字数行くやん…ってなってました。
今日で連続投稿1か月達成できました。ここまでダレずに書けたのも応援してくださった皆様のおかげです。ありがとうございます。
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