先日、透さんからLINEが来ました。千鶴さんについて相談したい事があるから話を聞いて欲しいと。彼は私に相談しづらいことを話してくれるみたいです。誰かに頼られるって嬉しいです。
当日、彼と待ち合わせをして会いました。彼の腕に抱き着いて匂いを嗅ぐと、煙草の匂いがします。
「…目の前で吸うのは悪いと思ってな。嫌だったか?」
私は首を振る。でも、
「…でも、…身体に良くない…です…」
「大人ってのは吸いたくなるときがあるんさ。見逃してもらえると助かる。」
喫茶店に向かいます。彼はマスターに会釈をして人差し指を口の前に当てます。ここは彼の行きつけの店なんでしょうか?
彼はアイスコーヒーとショートケーキを、私は紅茶とモンブランを注文します。
しばらくすると食べ物が運ばれてきました。彼はコーヒーを一口飲むと私に話始めました。
「いきなり本題には言っちゃって悪いんだけど、ちづるのことだ。相談というよりかは俺の愚痴になっちゃうかもだけど、この事話せるのは墨ちゃん位しかいなくてね。許してくれると助かる。」
私は首を振ります。
彼が千鶴さんの事をちゃんと見てくれるきっかけになってくれると嬉しいですが、どうなんでしょうか?
「まずはどこから話そうかな…時系列でいっか。」
彼は語ってくれました。千鶴さんと出会った昔の事、彼女が大学で再会した今の事、彼の考え、二度目の決別をしようとしたこと、彼女はそれでも離れなかったこと。そして彼の彼女に対する気持ちを少しだけ。
私は黙って彼の話を聞いていました。やっぱり彼は千鶴さんに好意があったみたいです。ただ、彼女に自分は釣り合う存在ではないと、彼女の好意に答えることはできないと言っていました。私はそんな事は無いと思います。千鶴さんは他でもない透さんの事が好きなんです。誰でもない彼自身の事を、です。でも、彼はそれに納得していないみたいです。彼が踏み出せないのは他でもない彼自身の問題です。私は彼の気持ちに対する答えを持っていないのはとても歯がゆいです。以前、私は彼に自分の気持ちに素直になって欲しいと言いました。素直になれなかったのは、彼なりの事情があったみたいです。でも私は思います。千鶴さんと透さんには幸せになってほしいと。こんなのもお互いの事を思い合って、慮っている二人が結ばれないのは私も悲しいです。
彼は大方話し終わった後、大きく息を吐きました。
「ごめんな。こっちばかり話過ぎちゃって。墨ちゃんから何か意見をもらえると助かるんだけど。」
私は考えます。彼と彼女の関係の責任は持てませんが、少しだけ背中を押すことはできます。
「…わ、私の考え…は、変わらないです…透くん…は自分の気持ちに…素直になって…ほしい、と…、私は…思うな。」
「…そうか…ありがとう。」
最後に彼は店の人に、
「マスター、豆のストックってあります?あったら200gお願いします。あとお会計は一緒でお願いします。」
やっぱりこの店にはよく来ているようだ。二人で店を出ます。
「今日はありがとう。中々こういった事を相談できる人がいなくてね。聞いてもらえて助かったよ。あと、この話は一ノ瀬にはできれば内緒で頼む。」
私は頷きます。これは二人の問題です。二人関係を知って、私は恋のキューピットにはなれなそうです。私ではどうすることもできないです。ここからは二人の問題。そう私は思います。
「二人に幸せな結末となりますように。」
私は帰る途中、空を見上げながらそうつぶやきました。
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